菅大臣記者会見要旨 平成22年3月15日

(平成22年3月15日(月) 17:33~17:50  於:第4合同庁舎4階408号室)

1.発言要旨

 今日、3時から月例経済報告に関する関係閣僚会議が行われました。ただ、私は予算委員会の出席のため、関係閣僚会議そのものには出ておりません。私に代わって古川副大臣が冒頭基調判断の説明をしたというふうに聞いております。

 景気の基調判断につきましては、「着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある」と、多少の表現ですが上方に変更いたしました。これは、生産の持ち直しが続き、企業収益が改善するなかで、設備投資が下げ止まりつつあること、また雇用、所得環境の悪化にも歯止めがかかりつつあり、こうしたなかで個人消費や住宅建設の持ち直し基調がはっきりとしてきたことなどから、国内民間需要の自律的な回復の芽が出つつあるとの認識を踏まえたものです。

 先行きにつきましては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、企業収益の改善が続くなかで、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されます。一方、海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクに留意する必要があります。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要であります。

 政府といたしましては、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を推進するとともに、平成22年度予算及び関連法案の早期の成立に努めてまいります。さらに、政府は日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な取り組みを行い、デフレの克服、景気回復を確実なものとしていくよう政策努力を重ねていきます。

 予算のほうも、参議院の審議も順調に進んでおりますので、いわゆる2次補正と、そしてそう遠くない時期に成立が見込まれている来年度予算等、まさに切れ目なくしっかりと執行することで、こうした経済の立て直しを進めていきたいと、このように考えております。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、上方修正ですけれども、上方修正の判断をするに当たって、大臣が特に重視したポイントなり指標なりございましたら、教えていただけますでしょうか。
(答)個別の指標もありますけれども、やはり全体の大きい傾向の中で、この間、ずっと同じ表現を続けてきたわけですが、それを変更するほどの変化であるのかどうかというところを注視してまいりました。
 その中では、例えば設備投資などの低下が続いていたものが、何とかほぼ下げ止まりつつあるといったこと、他の要素は以前から少しよくなっていたんですが、そういうネガティブな要素が少し減ったことなどを含めて、若干の表現として上向きということでいいのではないかと、このように判断しました。
(問)明日から日銀の金融政策決定会合が開かれますけれども、デフレ克服に向けて日銀に期待する役割を改めてですが、お伺いできますでしょうか。
(答)日銀との関係は、先ほども、いつも言っていることでありますが、政府と十分コミュニケーションして、一体となってデフレ克服に努めていこうと、この姿勢はもちろん政府はもちろんですし、日銀もそういう姿勢をこの間もとっておられるし、これからもとっていただけるものというふうに理解しています。
 この間、国会の場でも、お互い同じ場に出席を総裁として出席をされて、総裁が言われること、私が逆に言うことをお互いに聞いておりますので、あえて、この場であまり直裁なものの言い方はしないでおきたいと思います。ただ、政府としての期待とか、そういうものは十分、そういう国会の場等を含めて伝わっているものと、このように思っております。
(問)今回、上方修正されているわけですが、いわゆる国民の実感からすると、上向きと言われてもなかなかわからない点があると思いますが、この点は、大臣はどういうふうに判断されたのか、改めて国民向けにわかりやすくお話しいただきたいのが一つと。
 あと、先ほど「いい指標も含めてある」というお話がありましたが、さっきのお答えでありましたデフレについては、なかなか回復の兆しが見えていないこと、あと今回の報告でも触れられていますけれども、若年層の雇用情勢が非常によくない中で、今回、上方修正はどういったメッセージを出したいのか、その点についても伺いたいんですけれども。
(答)政権誕生のときからずっと言われてきて、かつ、私なども非常に注意深く見てきた問題は、いわゆる「二番底」と言われるような状況に陥らないようにしたいということであったわけです。
 この国会審議で常に言っておりますが、鳩山政権になって過去の麻生政権以来のいろいろな政策、経済財政政策について、例えば規模が大き過ぎるといって否定したことはないわけでありまして、そういう意味では1次補正、本予算という形でいろいろ手を打ってきたことで、少なくとも、ある時期に比べると、株価も多少の変動は続いておりますが、やや傾向としては改善しておりますし、2月の現状判断DIについては、多少、2期、3期連続して引き続き上昇している。こういうことから二番底懸念は何とか払拭しつつあるのかなと。もちろん、厳しさは厳しさとして、特に雇用の問題は、これはもう御承知のように、10月23日だったと思いますが、鳩山政権誕生から最初に行った、広い意味での経済対策が10月23日の緊急雇用対策で、それ以来、新卒者対策を含めて全力を挙げて継続をいたしております。状況は厳しいわけですけれども、そういう対応が、ある意味では何とか底割れ的な形の景気の後退とかには至らないで今日まで来ていると、このように思っております。
 そんなことで、冒頭申し上げたように注意深く見てきましたが、少し明るいニュースがあってもいいのかなと。別にこれは政治的な判断ではありません。あくまでいろんなデータからの判断で、そういうふうに判断しました。
(問)もう1点、今回上向かせていることで、景気は回復に向かっているというふうに見ていらっしゃるのかどうかということと、あと今後のリスクについて、最大のリスクはどういった点にリスクがあるというふうにお考えなのか、その点について伺いたいんですけれども。
(答)まだ、確実に上向いているというよりも、これまでの状況が、少し明るさがより増してきたと。先行きのリスクは従来から言っておりますように、世界経済の下振れ、デフレの影響は今も続いておりますが、その状況、雇用情勢の現状も厳しいですが、より厳しくなることなどです。
 特に、ヨーロッパの状況も、多少ギリシャを含めて小康状態にありますが、まだ、そういうものが完全に解消したというふうには思っておりませんで、今申し上げました世界の景気の下振れ懸念というものは残っておりますし、そういうものが波及しての、例えばですが、今、円もぎりぎり比較的安定していますけれども、ユーロが下がることによっての円に対する影響なども、その近い将来なくなったかと言われると、まだそういう懸念も残っていると、そういうところが先行きのリスクかなと思っています。
(問)やや政治向きの質問で恐縮なんですが、たまたま一昨日、昨日と弊社で世論調査をしておりまして、内閣支持率が前月より5ポイント減の32%という数字で、内閣の仕事ぶりについても、あまり評価をしない、全く評価をしないを足して、ネガティブな答えが57%に達しております。この調査の受け止めと、政策面でも高評価されていない、いい評価がされていない状況を、副総理というか財政経済政策担当相としてどう受け止められるかというのが、まず1点伺いたいことです。
 もう1点は、自民党の鳩山邦夫氏が離党届を提出されました。できれば感想を伺いたいと思います。
(答)政策面における評価がいろんな政策の分野がありますので、いろいろなものが総合して評価をされている、その結果が世論調査としてあらわれていると思います。
 私の見方でいえば、多少短いタームで言えば、第1ラウンドが年内の予算編成ができるかどうかだったと思っております。そして、それは12月25日に実現しました。第2ラウンドは、2次補正と22年度の予算が迅速に成立して執行されるかだと思っておりました。幸いにして、2次補正も早く成立をし、来年度予算も今月中に成立することが決まったわけであります。そういう意味では、評価そのものについてどうこうは言いませんが、やるべきことはしっかりとやっている、進んでいると、このように考えております。
 そして次の問題として、いろいろ中期財政フレームなど注目されておりますが、ある意味では、この10年、長く言えばバブル崩壊後20年の日本経済の低迷をどのようにして回復から成長軌道へと変えていくかという、そういう大きな転換を進めるための準備を、この間してまいりました。
 ですから、そういう意味では、3月に入ったら税の議論も本格化するということも申し上げて現実にスタートしておりますし、年金制度の抜本的な改革のための議論の場もつくりましたし、いよいよ、この来年度予算が成立する段階から、10年、20年の日本の低迷、経済の低迷を脱却するための、いよいよ具体的な方策をあらゆる分野において議論をし、その青写真といいましょうか工程表を国民の皆さんに示す段階に来ていると、こう思っております。
 そういった意味で、経済は御存じのように「政治とカネ」のような事件とは違いますので、一つ一つ準備をして、そしてそれを実行して、そしてそれが若干の時間を置いて効果を上げていくと、私はそういう鳩山内閣の経済財政の運営については、次第にその効果も含めて理解されていくだろうと、その点はそういう見方をしております。
 鳩山邦夫さんのことは、あまり私からコメントするのは控えたいと思いますけれども、あえて一言言えば、何回目の離党だったのかなと、こんな感じもいたします。

(以上)