菅大臣記者会見要旨 平成22年3月5日

(平成22年3月5日(金) 8:55~9:09  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 今日は閣議では、特に私から御報告するようなことはありませんでした。以上です。

2.質疑応答

(問)日米の密約問題に関しまして、今日の一部報道で、沖縄返還時に日本政府がアメリカ連邦準備銀行に預金した6,000万ドルの扱いにつきまして、財務省の調査でその口座記録が見つかって、その25年間分の運用益、約1億1,200万ドルを、事実上アメリカ側に供与していたというような状況があるということが判明したというような報道があります。これについての事実確認をさせてください。
(答)外務省が中心に密約問題の調査をやって、それに関連する形で財務省も前大臣と私の段階でも調査を継続して、ほぼ事実関係はわかってきたところもありますが、まだ外務省との間での理解の問題を揃えなければいけませんので、もう少しそれに時間がかかるという状況です。
 ですからあまり断片的に物を申し上げることは余計誤解を招くと思いますが、いわゆる口座という言い方を毎日新聞がしていますけれども、何らかのそういう無利子の預け入れがあったということは確認しております。ただその詳細については今申し上げたように、きちっと外務省ないしは関係のところと認識をすり合わせた上で、できれば週明けのどこかの段階では、それの認識をすり合わせた上で発表したいと、こう思っています。
(問)外務省と認識をすり合わせなくてはいけないという部分は、今日の一部報道をベースにしていった場合に、いわゆる運用益の供与とみなせるかどうかというところで、財務省と外務省で見解が分かれているということでしょうか。
(答)分かれているというよりも、そういう解釈ができるという根拠になるようなものは、財務省に関連した調査の中では、はっきりとした形では今のところないのですね。ですから、ただその部分がそういうことなのだということが、例えば別の文書であるのならまた別なのですが、そういう意味で全然隠す気はないのですけれども、さっき言ったように無利子預金の存在ははっきりしました、もう終わっていますけれども。ただそれが穴埋めの意味なのか、あるいはそうでないのか、各国中央銀行がある程度の無利子預金を持つということも一般的にもあるようなのです。ただその金額の幅はまた色々ですけれども。ですからそういう意味で今申し上げたように、口座が存在したからイコールこういう意味なのだということを、そういう判断ができるところまではまだ明確でない。そんなことも含めて、外務省は外務省としてのやりとりがあったようですので、そういうこととの認識のすり合わせはしておかなければいけないのではないかなと思っています。
(問)大臣はここのところ委員会の中で、財政運営についてリーマン・ショックの状況の中で、財政出動はもう1年か何年か維持するという趣旨の発言をされていますが、これは10年度予算案で組んだ国債発行、44兆円規模の国債発行を11年以降も1年か数年か、それぐらいの国債を発行しなければいけないということにもとれるのでしょうか。そういう意図でもあるのでしょうか。またそういった趣旨のことを、中期財政フレームなり財政運営戦略には書き込んでいくことになるのでしょうか。
(答)色々な要素があるので、あまり一つのこと一つの要素だけで、こうなるのか、ああなるのかと言われても、まさにそれは全体的な形で、今から国家戦略室を中心に中期財政フレームという中で、それに向かって議論していくということになろうかと思っています。私が委員会等で質問にお答えしているのは、そういう意味で中期財政フレームという形での財政規律を明確にすべきだということと同時に、今の日本の経済の情勢から、いわゆる出口戦略にすぐに移れるかということの見通しとしては、まだすぐに出口戦略ということに移れる状況までは来ていないのではないかと。やや明るい数字も出ておりますが、まだまだ雇用の状況等々を含めて財政に頼る部分もあるものですから、そういうニュアンスで申し上げているところで、何かそう言ったからすぐ国債がこうとか、何がこうとか、税がこうとかという、少なくともダイレクトにつながる意味で申し上げているわけではありません。
(問)先ほどの密約の件なのですが、無利子口座の確認はできたということなのですが、金額として新聞では6,000万ドルというのが書いてあったのですが、大体そのぐらいでよいのかという確認と、あと今までは見つかってこなかったと思うんですが、今回見つかったというのはどうしてかというのをもし教えていただければ。
(答)ちょっと金額についても、ちゃんとした段階でちゃんとした形で御報告をしたいと思っています。
 それから見つかったという経緯の中では、これもちゃんとまた報告しますが、向こうからお話があったわけです。つまりアメリカの銀行のほうから何らかの通知があったと。本来なら、向こうからなくてもわかっていなければいけないのですが、そのあたりの経緯もまた最終的なところではきちんと御報告します。
(問)我々国民からすると、隠れたところでアメリカにお金を渡していたということになると思うのですが、これは何か財政法に違反したり、そういったことはあるのでしょうか。あとそういう当時の当局の責任というのはどういうふうにお考えになっているか。
(答)ですから先ほど最初に申し上げたように、報道はそういう意味合いの無利子預金だったというふうな表現になっていますが、そういう意味合いなのかどうかについて先ほど言ったように、まだ確定的なことを少なくとも財務省単独でまだ言えるような状況にはない。つまり口座があって無利子預金があったことは確かですが、先ほど言ったように、額はだいぶ違いますが、今でも一種の運転資金的に為替運用の問題等々があるので、運転資金的にある程度そういうものを積んでおくというのはあるようなのです、中央銀行であったり政府であったり。ですから、そういう意味合いとそれを超えて何か補てんのための意味合いがあったのかというのは、ちょっと今日のこの段階で確定的に申し上げることはできないという、それは冒頭申し上げたとおりです。
(問)これも一部報道で、日銀が追加緩和について検討というような報道がありますけれども、大臣御自身もこの点を聞いていらっしゃるかどうかということと、期末を控えまして円高が進行していますが、日銀がこういう検討を始めるということは歓迎されるのかどうか、この2点をお伺いしたいのですが。
(答)何か私に直接的なメッセージがあったかという御質問であるとすれば、特にこの1日、2日直接のメッセージが来ているわけではありません。ただこの間、色々な委員会に日銀総裁あるいは副総裁が出席をされていて、私も同席していて、簡単に言えば、政府は政府としてデフレ脱却に向けてさらなる努力をするので、日銀のほうも同じ目標に向かってさらなる努力をお願いしたいということは常に申し上げているわけで、あるいはそういうこともあって、日銀のほうで検討されているのかもしれません。今日の報道は見ましたけれども、直接的な、少なくとも私に関して直接的に云々ということは、今申し上げた委員会での間接的やりとりと言いましょうか、そういうもの以上は、少なくともこの近々のところではそれ以上のことはありません。
 円高の背景は、1つはやはりギリシャ問題が、ユーロ安、結果としての円高というものに影響しているのかなと思っています。ただ今日の状況では少しユーロも上がっておりますので、円高もどうなりますか、少しおさまるのかなというふうにも思っています。これはもうマーケットのことですからそれ以上の予測はできません。
 日銀がどういう行動をとられるのか、これも先ほど申し上げたように報道ベースでしか知っておりませんので、色々デフレ脱却の努力をされることは、一般的にも、これまでもやっていただいているわけですが、まさに好ましいことだともちろん思っております。

(以上)