菅大臣記者会見要旨 平成21年12月22日

(平成21年12月22日(火) 18:02~18:23  於:合同庁舎4号館408号室)

1.発言要旨

 月例経済報告に関する関係閣僚会議が開催されましたので、その概要を報告をさせていただきます。

 皆さんのお手元にも資料が行っているかと思いますが、景気の基調判断につきましては、「持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」これは先月と全く同じ表現になっております。こういう判断に至ったのは、一つは生産などの上向きの動きが続いているものの、他方で、外需や経済対策に牽引されたもので、自律的な回復には至っておらず、雇用の厳しさに表れているように、景気の水準は依然低いといった、これまでの状況に基本的な変化がないことを踏まえたものです。

 先行きにつきましては、当面、厳しい雇用情勢が続くものとみられるものの、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されております。しかし、一方で、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクに留意する必要があります。

 政府は、緊急雇用対策を推進することに加えて、現下の経済雇用情勢への緊急対応、成長戦略への布石の2つの視点に基づいて、「雇用」、「環境」、「景気」を主な柱として、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を12月8日に閣議決定をいたしました。

 政府は、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な取り組みを行い、デフレ克服と景気回復を確実なものにするよう努力を重ねていきます。

 加えて、二、三申し上げますと、昨日、マニフェストに関する総理の判断、決定がなされ、今日この後、来年度の税制についての閣議が行われる。今週中には、来年度予算について、まだ確定的ではありませんが、今週中にできるだけ閣議決定まで持っていきたい。

 つまりは、年内予算編成ということがきちんとやれることが私は景気経済に対する一つの積極的なメッセージになると、このように思っておりまして、この点はしっかりとやり抜きたいし、またやらなければならないと思っているところです。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点ほど伺います。
 1点目ですが、今のお話にもありましたけれども、昨日の総理の指示で、暫定税率、子ども手当に関しては一定の方針が示されましたが、同時に、2兆円程度経済対策に使うようにという指示もなされたと思います。経済財政の担当大臣として、どういった追加的な景気対策を考えていらっしゃるのか、どの程度の経済効果を見込めると考えているのか、現在お考えになっている内容について伺えればと思います。
(答)今、言い忘れたというか、もう一つの要素は、成長戦略策定会議が動いておりまして、この会議において、成長戦略の骨格・骨子を年内に発表できるようにしたいと思っています。
 実は、いろいろなものが並行して動いているので、今の質問の総理から2兆円の財政出動といったことの指摘を受けて、雇用やあるいは景気対策にどの部分に振り向けるか、今、内閣府で言えば古川副大臣などを含めて検討をしてもらっているところです。
 例えば、雇用で言えば、これまでの制度に積み増して雇用対策に充てていくといったことなどを含めて、新たな制度というよりも、これまでにいろいろ打ってきた対策をより強める、そういう形がまずは考えられるのではないかと思っております。そういった意味で、昨日の今日という意味ですので、今、具体的に手元にその素案があるわけではありませんが、大筋今申し上げたようなことです。
(問)今回の月例のところで、政策態度のところで日銀との協調についてかなり書かれていますが、先日の政策決定会合で白川総裁も、物価の上昇について1%程度が望ましいといった形の方針を出されていますけれども、政府として、インフレ目標についてより明確に示すべきだというお考えをお持ちなのかという点が1つと、あと、その前に、12月最初に、日銀として新たな金融の追加緩和をしていますけれども、この評価について、さらに追加緩和が必要という主張の声もありますが、大臣としては、さらに一段の緩和に踏み込むべきというお考えを持っているのかどうか、この2点について伺いたいんですけれども。
(答)私は、まず全般的に、特に12月1日の午前中に閣議で事実上決めたものを、午後には日銀が臨時の政策決定会議を開いて、日銀としての方向性も出していただいた。このことは、政府と日銀が極めて一体的に動いている私は象徴的な形だと思っておりますし、それ以降も適宜コミュニケーションといいましょうか、意思疎通を図って、それこそ水も漏らさない形でやっていけているのが現状だと認識いたしております。
 そういう意味では、政府のほうは、第二次補正、それから本予算、それから先ほど言った成長戦略、そういった政策を順次打っていくことに今なっておりますし、日銀のほうも12月1日は0.1%、3カ月という低金利に長期、3カ月ものも誘導していくという、これは私はかなり効果を上げていると。
 今日の為替も91円台ということですが、つまりは、金利の低め誘導が効果を上げて、アメリカとの対比で為替が、円が下がってきていると思っております。
 また、先日のゼロを超える2%ぐらいの間の物価上昇、大体プラス1%ぐらいの物価上昇が望ましいというこの表現も、ある意味ではインフレターゲットというふうにも理解できますし、これも、これまでの日銀が、ややもすればデフレ容認ではないかという見方がある中で、積極的に打ち消すという意味では、私は非常に今の時宜にかなったことだと、このように思っております。
 そういった意味で、ちょっと質問と話が少し膨らんでしまったかもしれませんが、日銀と政府の意思疎通は非常にしっかりととられて運営ができていると、このように思っております。
(問)確認ですが、これ以上の追加緩和は今のところ必要ないというお考えでよろしいんでしょうか。
(答)これは、確かに白川総裁も言われていますが、ありとあらゆることは常に考えているということを言われているわけです。
 ですから、私たちは、基本的な認識を共通にしておけば、いろいろな手法については多少は過去のいろいろな手法があるということは私も知っておりますが、この手法をとるべきだ、あの手法をとるべきだというところは、まさにそれはそれぞれ日銀の独立性といったことも含めて考えればいいので、ですから、私が今この段階でこれ以上の何か日銀の政策発動が必要がないというつもりは全くありません。まさに状況に応じてコミュニケーションを絶やさないで、日銀は日銀としてのやり方で、必要だと考えればやられるでしょうし、そこまで私がそういう日銀がやるべき中身について、これはいい、これは悪いとか、こうあるべきだということは言うつもりはありません。
(問)月例と離れて、予算のほうなんですけれども、先ほど、総務、財務の政策会議で子ども手当の地方負担について決着したというふうにお話されていたようですけれども、どういう形で決着されたのか、関係閣僚のお話を聞いた上で総理が裁定されたのか、その辺ちょっとご説明いただけますでしょうか。
(答)この間、マニフェストについては、かなり前から、関係する、最初は副大臣にそれぞれ説明いただき、さらに大臣に説明いただき、場合によってはそれぞれの意見の調整なり食い違いをはっきりした中で取りまとめの準備を進めてきました。その中に、党からの要望というものも入ってきましたので、それも含めて、さらに取りまとめの仕事をずっとやってきました。
 そして、昨日の段階で、5項目マニフェストについて、中にはA案、B案という形で総理にお示しをして、そのどちらが適切かということの最終的な決定をいただいたということです。そのA案、B案という形になるまでには、直前にも、それぞれの、そういう形になった場合は、それぞれの関係大臣にあらかじめ会うなり電話で、こういうA案、こういうB案で、最後は総理に決めていただきますけれども、それでいいですねと。中には、A案、B案でなくて、さらに新しいC案を出された方もありましたので、それはちゃんと総理にC案をお伝えしますから、そういうことで、A案か、B案か、場合によったらC案か、そういうことを総理に判断していただこうと思いますがよろしいですねと、それぞれの項目について関係閣僚のそういう選択肢についての理解・了解をいただいて、そして総理に、その中で、この大臣はこう言っている、この大臣はこう言っている、党はこういっている、ここで決断をしてくださいと、そういう形でやりました。
(問)確認ですけれども、現行の児童手当分を地方に負担してもらうというのは、昨日の段階で総理が決断されたという、そういう理解でよろしいんでしょうか。
(答)もちろんです。つまりは、これは党からの要望にも書かれてありましたが、地方負担を増やさない形でというのは、逆に言うと、これまでの地方負担分は、形が変わっても負担をお願いするという形でやるというのは、実はこれ自身については、やり方についてはいろいろ意見が分かれていましたけれども、地方負担分を直接使うか、保育園の関係で振り替えるかという仕組みのいろいろな提案の差はありましたけれども、地方負担分を何らかの形で使うということについては、例えば総務大臣、厚労大臣の間でも、かなり早い段階から基本的な理解はいただいておりました。
 だから、どちらかというと、昨日の総理の判断は、そのことをどういう仕組みの中でやっていくのかということで、結論的に言えば、保育には今回は絡ませないで、これは幼保一元化などの議論の中では考えるけれども、来年度の予算については絡ませないという形での案を総理が決定をいただいたと、こういうことです。
(問)若干話は変わるんですけれども、日本航空への融資についての政府保証で、今朝、藤井財務大臣が来年度予算に盛り込まないという考えを明らかにされました。これまで、菅副総理を中心に日航の再建問題協議されてきた中で、この藤井大臣の御判断についてどう思われるかということをまずお伺いしたいと思います。
(答)いいんじゃないですか。

(以上)