菅大臣記者会見要旨 平成21年12月11日

(平成21年12月11日(金) 11:37~11:54  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは会見を始めます。今日は閣議、正確には閣僚懇の中で、私のほうから平成22年度予算の編成に当たっての各閣僚に対する、ある意味でのお願いを申し上げました。つまりは、行政刷新会議などでいろいろ事業仕分けをやっていただいたものを、それを参考に横断的に見直すと。そういう中で、概算要求額から6,900億円以上の歳出削減をする必要があるという、このことを先日、仙谷大臣、藤井財務大臣とも合意をしたので、その歳出削減について、それぞれの府省には、財政当局から伝達をいたしますので御協力をお願いしたいと、このことを申し上げたところであります。皆さん、顔つきは別として、特に異論は出ませんでした。

 もう一点、来年度予算の編成の基本方針についてのいろんな新聞記事等が出ております。閣議後、総理あるいは官房長官とも話を、若干立ち話ですが、いたしまして、総理のほうからも、44兆円という数字については、その前後の言いぶりはいろいろ考えなければいけないけれども、44兆円という一種の目標、努力目標とでも言うんでしょうか、そういうものについては、やはりきちんと表現をするようにということを言われました。今、私の国家戦略室のほうで原案を練っておりますが、そういう指示も含めて、まだ基本政策閣僚委員会という場所もありますので、そういうところで議論する中で、基本方針をまとめていきたいと、このように考えております。

 私のほうからは以上です。

2.質疑応答

(問)来年度予算につきまして、2問お伺いをいたします。基本的なことをお伺いしますが、もともと予算編成の基本方針については、今週中の取りまとめを副総理は目指しておられたかと思いますが、来週以降ということになりました。改めて方針決定の時期的なめどと、おくれた理由について伺いたいというのが1問目です。
 2問目ですけれども、今話題にされました国債の発行枠についてでありますが、これまで総理はじめ副総理、財務相は44兆円を上限とするような発言をされてこられたと思うんですが、国債発行の目標額ではなくて、上限額について、今、副総理はどのようにお考えか。以上2点お願いいたします。
(答)いろんな時期については、もちろん常に年度内編成という大原則をにらみながら、それぞれの立場で段取りというか、日程を考えているわけですが、私はなるべく早目、早目にいったほうがいいんではないかという発想でものを見ておりますけれども、今回の22年度の編成の基本方針について、ですから、一般的に言えば早目が望ましいということはありますが、来週の早い時期であれば、十分に年内編成という大きな、これは何としても守りたいと思っていますが、それに対応できると、十分間に合わさせることができると、こう認識をいたしております。
 それから、44兆円について、どういうこれまで表現をしてきたかということは、それぞれの場面でいろいろな表現があったと思いますし、今回の基本方針も、まだこれからですので、表現ぶりは先ほど申し上げたように、まだ確定的なことを申し上げるところまで来ておりません。いずれにしても、いつも申し上げているわけですが、何か対比で私が緊縮財政論者のような言い方をされる人もいますが、44兆円というのは、まさに当初予算としては最も大きな国債発行になる。しかも、来年度の税収見通し、まだ確定的ではありませんが、少なくともこの44兆円以上の税収が見込める状況にないわけですから、当初予算としては、最初から税収以上の国債発行ということを、今はそうせざるを得ない状況にあると。リーマン・ショック以来の状況が、最悪の状況からは少し抜け出しつつあるけれども、まだ大きな厳しい状況が続いているという認識の中で、ここまでの国債発行はやむを得ないだろうという意味で申し上げているつもりです。同時に、しかし、マーケットというものもありますので、あまりマーケットに、一体どうするんだと、そういう不安が生ずることは好ましくないので、ある程度こういうことを考えていますということは、これまでもいろんな方がいろんな表現で言ってきたわけでありまして、そういう意味では、マーケットに対する不安を生じないことと、一方では景気刺激的な姿勢を来年度予算においても維持するという、そのぎりぎりのところで、こういった数字を申し上げているわけです。
(問)先ほど44兆という数字について、一種の努力目標とおっしゃいましたが、これは副総理自身、目標には掲げるけれども、突破する可能性もある、あるいは突破もやむなしという認識でいらっしゃるということなんでしょうか。
(答)ですから、先ほど来言っているように、前後の表現等はまだ確定しておりません。私としては、今申し上げたように、マーケットのことを考えると、ぎりぎり、この間言い続けてきたことですから、やはりそういう数字を掲げることに多分なると思いますが、なる以上は、何とかその線でおさめたいという思いはあります。
(問)現実問題として、概算要求の作業とかも難航しているんではないかという指摘もありますけれども、現実問題では突破してしまう可能性というのはあるという認識はありますか。
(答)何となく誘導質問的質問ですけれども、「現実問題」という意味がどういう意味合いなのか、まだ税収見通しも出ていませんし、あるいは、いわゆる埋蔵金からどれだけ捻出できるかということも、まだ確たる数字が出ておりませんので、「現実的」という言い方でちょっと「そうです」とも言いかねますね。何とかそれの中で編成したいというのが、私の少なくとも、希望と言ったらちょっとやや抽象的ですが、できればそうしたいということです。
(問)冒頭で、各大臣に概算要求から6,900億円以上削減する必要があると要請されたとおっしゃられましたが、これは当然マニフェストの分も含んだものだと思うんですけれども、6,900億円というのは、ちょっと規模としては削減の幅として小さいような気もするんですが、今後上積みの可能性はあるんでしょうか。
(答)マニフェストは、仕分けの中にはほとんど関連しているものはないはずですので、横串という言い方の中にも、マニフェストに関連しているものは、私の一般的な、一件、一件をどうこう調べたわけではありませんが、そういうものにはかかわらない範囲だと思っています。マニフェストはマニフェストとして今、各大臣等々、これも何とか、来週のある時期には詰めきりたいと思っていますが、それは別個に詰めているところです。
(問)今の質問に関連しますけれども、副総理の言い方は、6,900億円以上の歳出削減をする必要があるという言い方でいらっしゃいましたけれども、これは横串を刺せば6,900億円以上は歳出削減できるという意味なのか、それとも6,900億という数字を目指して、各省庁やるようにという目標数字なのかというのが一つと、それから仙谷大臣、藤井大臣とも合意したということですが、これは昨日の内閣府での会談で、そういう合意をしたということなんでしょうか。
(答)2問目についてはそうです。3人で集まったときにということです。
 それから、目標なのかというお話ですが、私のところは御存じのように、そんなに1件、 1件、これが幾らでこれが幾らということは、マニフェストを例外とすれば、そこまではやっておりません。その3人が合意したという意味は、もちろん行政刷新という、あるいは仕分けということをやった担当大臣として、仙谷さんはそれを横断的に広げるというのは担当大臣としての役目であります、また、それを受けて財務大臣は、それぞれの概算要求の項目の中から、横断的横串の中で同じように判断すれば、ここはこれだけ削れるんではないかという一つの見通しを持たれていますので、そういうことの中で、順番は私から申し上げたわけですが、結局はそういう3大臣の合意ということで申し上げたわけで、具体的には、この後、財政当局のほうから各役所に伝達するということを、これも閣僚懇では申し上げました、ですから、私のほうではなくて財務省のほうから各省庁に、このくらいはこうしてくれというのが具体的に伝達されるはずです。
(問)亀井大臣が、来年度予算について、二次補正の7.2兆円と合わせてトータルで102兆円を下回らない規模の予算編成をするべきだと言っていますけれども、44兆円という目標がある中で、どういうふうに折り合わせていくお考えでしょうか。
(答)今日は大変、亀井大臣は静かでありまして、閣僚懇を含めて、一言も特に発言はありませんでした。ですから、そういう議論は、そういう議論をする段階になってから議論をしたいと思っています。
(問)先ほどの確認ですけれども、6,900億円というのは、仕分けの結果を横串で反映させれば概算要求の中から少なくとも6,900億円は削れるという理解でいいですか。
(答)基本的にはそういうことです。
(問)マニフェストについては、それ以上の削減をまた今、別に詰めているということですか。
(答)ですから、何か皆さん、どうも削減という言葉が好きなんですが、マニフェストについては、もちろん概算要求は出ていますけれども、もともとが民主党のマニフェストの中から出てきているわけですから、それをどう実現するかということで今それぞれの大臣とやっているわけです。ですから、削減という言葉は、少なくとも私にとっては、ちょっとあまりに的確な言葉とは感じていません。
(問)あともう一個だけ、予算編成の方針では、国債の話は先ほどきちんとした数字を入れるという話はありましたけれども、成長率の見通しとか税収の見通しであるとか、あとそれに伴う大体の予算の総額の規模ですね、そういったものもある程度の数字は置いておきたいというふうにお考えなんでしょうか。
(答)週明けのその段階で、ほかの数字を具体的に表現するというのは、今のところ考えていません。
(問)国債だけ。
(答)そういう数字が出てくれば、これから詰めますけれども、まだ詰まった数字が出てくるとは聞いておりません。
 それから、成長率等については、総理のほうから成長戦略の策定を年内にということで指示を数日前にいただいていますので、今成長戦略策定会議、多分、議長は総理になっていただくことになると思いますが、その制度をつくる準備を始めています。と同時に並行して、国家戦略室としては、この10年間程度の間に16本の、いわゆる成長戦略が過去に出されております。そういうものの精査を大分前から始めておりますし、また経産大臣、直嶋さんのところでも、あるいは他の省庁でも成長戦略によって相当の蓄積を持っておられますので、先日、直嶋大臣とも話をしましたが、そういうものを踏まえた形で、年内にある方向性を示すような成長戦略を示したいと、このように思っています。

(以上)