菅大臣記者会見要旨 平成21年11月27日

(平成21年11月27日(金) 10:20~10:43  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、定例会見を始めたいと思います。今日は閣議の前に、COP15に向けての関係閣僚の打ち合わせというものがありました。私は、この間、チャレンジ25を実現する、そのいわば責任者のような形になっておりまして、私のもとに小沢環境大臣に事務局長をやっていただいて、いろいろな関連するテーマについて議論をしております。ただ、いわゆる外交交渉的なところは、どちらかといえば外務大臣と事務局長でもある小沢環境大臣のほうに、これまでの経緯も含めて実質的にお願いしているというか、もちろん総理自身もですが、そういう位置づけでありましたが、もう少し全体としてもきちっとした方向性というか、少なくともCOP15に望む考え方を、認識を統一しておくことが必要じゃないかという意見がありまして、例えば拠出金などについても、最終的には国民の負担になるところが多いわけですから、そういうことも、今日は財務大臣も同席をされておりましたけれども、そういった国内的なことも含めて、ある程度共通認識を持つようにすべきだという、そういう結論になりました。そういう意味で、私も直接交渉にかかわるつもりはありませんけれども、その下支えの中で、今のチャレンジ25を進めるためにも、若干の全体の調整などをやらなければならないかなと、こんなふうに思ったところであります。

 また、閣議においてはいろいろな数字が報告をされました。もう御承知だと思いますが、完全失業率が0.2下がって5.1になったと、有効求人倍率は0.01上がって0.44となったと。いろいろ多少明るいそういう数字も出ているわけですが、もう一方で、これも御承知のように、昨日は一時85円、さらに一部のマーケットでは84円台という大変急激な円高が起きております。これについても閣議の席でも多少の議論があったわけですけれども、今日本経済が持ち直しと言われながらも、自律性に乏しく、依然として厳しい状況にあるわけでありまして、そういう中で円高が急テンポに進めば、景気の下押しの要因となりかねません。そういった意味で、財務大臣もいろいろと発言をされているようですが、円だけが上がっている部分と、多少の長いというかある期間で見ると、円とユーロも対ドルに対しては上がっている部分と両面ありますけれども、いずれにしてもそういったマーケットの動向とその影響をしっかりと注視をして、何らかの対応が必要ということになりましたら、そういった動向を注意深く見守る中で判断をしていきたいと、このように考えているところであります。

 あと1つ、今日、産経新聞のほうで私の政治資金管理団体についていろいろと記事が出されております。簡単に言いますと、私の後援会の1つに草志会というものがありまして、それの規約では、今回の経費は会費、寄付金その他の収入をもって充てますと、このようになっております。提供された支持者からいただいたお金は、政治資金規正法に基づく寄付というふうに認識をいたしておりまして、それぞれにお送りする領収書にもその旨を明記したものを発行いたしております。そういった意味で、弁護士とも相談をいたしましたが、問題はないという弁護士の判断もいただいています。ただ、草志会の案内や規約が、この規約も会費、寄付金その他の収入となっているわけですが、案内などでも会費という言葉が出ていることもあり、そういうものが誤解を招いたのかなと、このようにも思っておりますので、これは誤解を招かない形にきちんと改めたい、このように思っているところであります。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、最後にお話がありました草志会の関係ですけれども、問題の認識はないということであるんですが、今後政治資金収支報告書の訂正等の対応をとられる考えはあるかということと、今のお話の中で、案内などで会費という言葉について誤解を招かない形に改めたいということなんですが、今までは会費として徴収されておられなかったわけで、今後は、今実態としていろいろな方からお金をいただいていると思うんですけれども、いわゆる会費として、会費名目で徴収するように改めるのか、その点については従来どおり寄付という扱いにされるのか、その2点をお願いしたいと思います。
(答)まず政治資金報告書の記述について言えば、弁護士さんにも相談いたしましたが、この報告書できちんと政治資金規正法に基づいて寄付として扱って明記をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、そういう領収書も送っておりますし、寄付という考え方で貴重なお金をいただいておりますので、特に収支報告書を何か変えなければいけない間違いというのは、顧問弁護士のほうからも特にありませんということでありましたし、私もそのような認識を持っております。
 また、今後の扱いの問題ですが、先ほど申し上げましたように、寄付金という扱いで、この間も御本人にも領収書を出し、報告書も出してきたことでありますし、もちろん政治資金規正法上、きちんとした処理をしてきたつもりでありますので、今後もそういう形で続けたいと思っております。
 なお、先ほど申し上げたのは、会費、寄付その他の収入とか、この入会案内の中で、やや紛らわしい、どちらに入るのかわからないような表現があるという指摘もありますので、そういう紛らわしい形は逆にこの入会案内などを訂正したい、このように考えています。
(問)このような形、今回指摘されたいわゆる寄付金としての処理というのは、これは草志会ができてからずっと同じ形でやっておられるのでしょうか、それともどこかの段階で変えたとか、その辺の経緯はどうなんでしょうか。
(答)私が知っている限りは、基本的にはずっと同じやり方でやっているはずです。できるだけ公開できるものはきちんと、法律上公開しなければならないものはきちんと公開しておりますので、それはどこまで資料があるかは別として、そういう形で報告書を出しております。
(問)農業の戸別補償制度に関連してなんですが、農水省は全国一律に米でまずモデル事業をやりたいと言っています。それに対して財務省は、全国一律というのはおかしいと、麦、豆、加えて地方、農家の負担を加えてもいいのではないかという見解を出していますが、マニフェストのヒアリングをなさっている人の立場として、どういう方向で収れんをすべきだと思うか、御見解をお願いします。
(答)この農業の戸別的所得補償という制度を提案したのはもう数年前からで、私もある時期、農業再生本部の本部長ということで、直接的なことは詳しい人にお願いしましたが、当時代表だったものですから、直接的な細かいところは詳しい方にお願いしましたが、大きい意味では私もこの戸別的所得補償政策を立案するのに、そういう形でのかかわりを持ってまいりました。
 現在の具体的な形については、先日副大臣にお出ましをいただいて、一応の説明をいただきました。これから先についてはいろいろな議論があるということは私も認識しておりますので、もう少しさらなる、場合によったら説明なり、さらなる議論が必要かなと。今、私からこういう方向と言うところまで煮詰まった形での考えをまとめている段階には来ておりません。
(問)米への支援だと自給率向上に役立たないという指摘もあるかと思うんですが、その辺はどうお考えでしょうか。
(答)もともと私の認識では戸別的所得補償の持つ意味は、農業によって長期的に安定的な生活が営めるということが1つと、そして同時に自給率が向上できる、地産地消といいましょうか、日本でとれたもので日本人の食生活の多くが賄えると、こういう2つの大きな目標を持っております。
 今回の具体化された中で、いろいろ説明を聞きますと、米についての所得補償以外にも、麦や大豆等の穀物に対するいろいろな政策も全体としては含まれているという説明もいただいておりますので、そういうことも含めて、冒頭申し上げたように、全体の今の形が本来のあり方にふさわしいものなのかどうか、もう少し議論をしていかなければならないと、こう思っています。
(問)急速な円高進行についてなんですけれども、円高進行の要因、原因をどのように分析されているかということと、それから今後の対処、あと為替介入を行った事実などがありましたら、御説明できる範囲でお願いいたします。
(答)要因についてはいろいろと指摘があることは皆さんも御承知かと思っております。連邦公開市場委員会というところが秩序だったドル安だという表現をしたことが、何かドル安容認のような受け止め方をされた。これはもちろん日本の機関ではありませんので、アメリカの機関ですので、そういう要素も指摘をされております。FOMCという機関ですね。この議事録が公表されたのはそういったことに影響したと、それが1つの要因だという見方がありますし、私も、それ以外の要素もあるのかもしれませんが、1つの要因なのかなと思っております。
 対処の仕方については、先ほども申し上げましたように、日本自身どうするかということ、あるいは国際的な協調の中でどうするかということがありますし、財務大臣のいろいろ発言もありますので、注意深く見守りながら、必要に応じて財務大臣とも相談をして、何らかの対応が必要な場合にはきちんとした対応をとっていきたいと思っております。
 介入云々ということについて、私は現時点では全く聞いておりません。今後のこととしてどういうことがあり得るのか、いろいろな選択の幅があると思いますけれども、それは先ほど申し上げたように、注意深く見守る中で、必要になれば関係する閣僚と相談をしたい、こう思っています。
(問)今の円高の関係で、株価もかなり下がっているわけですけれども、政権の経済の成長戦略とか、そういうのがなかなかはっきりしないということが理由ではないかと言われていますが、その点について経済財政担当大臣としてどういうふうに対応されるかということと、あと今日は消費者物価も出ていますけれども、物価下落が相変わらず続いていますが、今後日銀との連携について、具体的に何か進んでいることがあればお伺いしたいんですが。
(答)先に日銀とのことで言えば、何度もこの場で申し上げておりますが、正式な日銀の政策決定会議に、私は直接は出ておりませんが、副大臣あるいは政務官が出て、政府の考え方は伝えるということでその都度きちんと対応しているところです。
 それから、株がかなり下がっているということは、直接には円高の影響かと思っております。よく経済の方向性がはっきりしないと、よく皆さん方が書かれているわけですが、いつもこれも申し上げていますが、私は現在進行しているところをよく見ていただければ、どういう方向に進んでいるかというのははっきりしていると思っております。
 何度も申し上げましたように、まず最初に、財政の中身をきちんと抜本的に変えないことには、いくら財政で景気浮揚を図ろうとしても、それこそ波及効果もほとんどないような、投資効果もないような財政出動を繰り返しても、私は景気を引き上げる、一時的には一部あるかもしれませんが、そういうことにならないというのが、過去の成長戦略が1つとして達成されなかった最大の原因だと思っていますので、まずそこから始める。それを現在内閣としていろいろな形で取り組んでいるのが今の段階だと、これもずっと申し上げているところです。それに加えて、今、目の前のことで言えば、第二次補正の取りまとめをいたしておりますけれども、できるだけ、例えば同じ財政出動でも千億出動すれば、それが需要効果として10倍とか5倍とかに跳ね返るような、そういうこと。さらに言えば、ルールを変えることで需要を生み出す。つまり財政的な出動ではなくて、全量買い取りといったようなことのルールを変えることで需要を生み出す。そういった形での知恵を出していく。そういうことを含めて、今、雇用、環境、景気という観点で補正予算を取りまとめているわけでありまして、私はその補正予算の効果が短期間に必ず出るというところまでは、私も言うほどの自信はありませんけれども、少なくとも従来のように15兆円の補正を前の内閣は組んだわけですが、必ずしもその中身がワイズ・スペンディングになっていなかったという、そういう批判も日本経済全体に対しては影響しているわけですから、ワイズ・スペンディングと呼ばれるような中身に変えることが、私は全体の景気のある意味での底支えとか向上につながっていくと。さらには、本予算についても、いつもこれも申し上げておりますが、決して緊縮財政をということを言ったことは、私自身もありませんし、この内閣としてそういう方針を述べている方は1人もいないわけであります。ただ、同時に皆さん方の質問にもありますように、マーケットのいろいろな動向もありますので、どこまで、景気刺激的でありながら、一方でぎりぎりの財政的な規律というものを維持できるか。狭い道でありますけれども、その狭い道のフェアウエイにちゃんとボールを乗せて、ゴールに向かっていこうと。むやみに振り回して、距離は出たけれどもOBだったといのは、全然結果としてプラスになりませんから、過去のいろいろな例を検証する中で、きちんとゴールと言いましょうか、ホールに向かって運んでいきたい。
 ですから、私は、「はっきりしない、はっきりしない」と言われるのは、私には理由がよくわかりません。つまり何十兆円の予算を組んだ、15兆円の予算を組んだんだと麻生さんが言いましたが、あるいは過去にも似たようなことがありましたけれども、それが成功したんだからそうしろと言うのなら、そういう意見として言われるのは自由ですけれども、何かそういう大きな数字を挙げないとはっきりしないともし言われているとしたら、それははっきりしないのではなくて、理解が足りないのではないかと、このように思っています。
(問)冒頭の質問に戻りますが、草志会の話ですけれども、これまで何で会費として扱わないで寄付金という形で処理してきたのか、その理由についてお伺いをします。
(答)理由というよりは、もともとそういう性格のお金だという理解でそういうように扱ってきたということです。
(問)確認なんですけれども、為替の介入については聞いていないというお話でしたが、今後為替が急激に変動した場合に、副総理御自身は為替介入すべきだというふうにごらんになりますか。
(答)ここは非常に、皆さんもよく御承知のように、相手はマーケットというものですから、政治判断とか云々というよりも、マーケットに対してどういう形でメッセージを送るべきかどうかということですので、先ほど申し上げた段階でとめておきたいと思っています。

(以上)