菅大臣記者会見要旨 平成21年10月6日

(平成21年10月6日(火) 11:37~12:02  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、閣議後の定例会見を始めます。

 昨日来、長妻厚労大臣とも相談をしておりますが、緊急の雇用対策本部というものについて、どういう形で立ち上げるべきか検討いたしております。少し構想が固まれば、総理に申し上げ、また官房長官に申し上げて、何らかの形をとりたいと思っております。直接は厚労大臣の所掌のところが大きいわけですが、場合によっては経産大臣にも産業界の雇用という問題で、例えば雇用調整金などは、担当は厚労大臣ですが、それを支給する対象は企業ということになりますので、そういう点からは経産大臣にも加わっていただいた形がいいのかなということで、今調整をいたしているところであります。

 私のほうからその程度です。

2.質疑応答

(問)本日の一部報道で、2010年度の税収見通しについて、40兆円を下回るのではないかというような記事がありました。10年度予算編成において、国債発行について、09年度における国債発行高を上回るような発行というのがあり得るかどうか、現段階でのまず御見解を伺いたいと思います。
(答)報道は見ておりますけれども、まだ直接に関係者からのそういう話を聞いておりません。いろいろ関係する話ですので、私の個人的な見通しを申し上げる場でもないと思いますから、もうちょっと報道の中身の根拠がどこの部署で見通した問題なのか、もうちょっと様子を見てみたいと思います。
(問)続きまして、もともと副総理は以前から予算編成の考え方について、今まで、従来型だと歳出がそのまま各省庁の要求を支える形のホッチキスだったわけですけれども、その歳入見積もりというのをまず前提に置いた上で、最終予算を検討すべきだという考えをずっと言ってこられました。そういう意味では、国債発行枠については、09年度分を超えずに、むしろ歳出を抑えるという方向で予算編成をするという考えは、いまだにお持ちでしょうか。
(答)一般論として、イギリスなどの予算編成のあり方などを多少勉強したところでは、そういう歳入の見通しを立てて、総枠を決めて、それから歳出について考えていくという考え方があるということで、まさに一般論としてはそういうこともあり得るなということを思っております。ただ、この間の経緯でいえば、ちょっと日にちはいつでしたか、閣議決定した来年度の予算編成の方針、つまりは10月15日までに出してくるようにという、従来で言う「骨太」にかわるような方針をつくる段階で、多少の議論をした結果、この時点でそういう見通しを、歳入見通しを、特に税収見通しなどを含めて把握するのは、実際的にはなかなか困難だということがありまして、そういったことについては12月のそういう見通しがもう少しはっきりするところも含めて、並行的にやっていこう。つまりは、先に税収見積もりを確定して、予算要求を上げてもらうのではなくて、予算要求をそれぞれ絞り込んで上げてもらうことと、そうした税収見積もり等について突き合わせをすることは、その後のプロセスの中でやっていくことにしましたので、まさにそういう考え方で現状が進んでいるということです。
(問)もう1点だけ。その場合、そのプロセスで行くにしても、最終的に歳出のほうにあわせて歳入を考えるのか、あるいはあくまでも税収見通しも含めて、国債発行枠も決めて、最終的にもやっぱり歳入の大枠を決めた上で、絞り込んできた各省庁の要求をさらに絞り込むという考え方にするのか、ここはいかがですか。
(答)ちょっと質問の正確な意味がよくわからないのですが、つまりは埋蔵金ということもこの間にいろいろありましたし、また、今補正予算の見直しもやっている最中ですし、1つがすべてを規定するようなことではなくて、それらをまさに総合的に考えて、もちろん景気動向等も考えて対応するということであって、機械的にこれが絶対だというふうには考えていません。
(問)補正予算の見直しの件なんですけれども、今日、閣議及び閣僚懇でどういった議論があったのかということと、あと今後各省庁から出されたものをもとにさらに洗い直すというか、さらに上積みを目指していくということになるのか、そのあたりの方針についてお願いします。
(答)これは官房長官がこの場で説明があったというふうに理解していますが、今日の午後に仙谷大臣のほうから総理に報告がなされる、その後、仙谷大臣の方から全体については、現状について皆さんに会見等で説明すると、そういうふうに聞いています。
(問)今日の閣議及び閣僚懇で議論にはなっていないですか。
(答)議論というのか、今のような段取りが説明されて、さらにその後についてどういう対応をするのかという程度の話はありました。その中では、さらなる精査を行いたいという趣旨の話が仙谷さんのほうからありました。
(問)今後の補正の精査なんですけれども、国家戦略室はどういった形で見直しにかかわったりするんでしょうか。
(答)もともとというか、時々皆さん方の中では、責任を押しつけ合ったというようなことを書かれるときもありますが、もともと、特に総理、官房長官を除けば、仙谷さんのところと私のところと財務大臣のところを含めて、あるいは官房長官を含めて、閣僚委員会でこの方針を出して、その取りまとめをやる中心は行政刷新会議、つまり仙谷大臣のところという認識で、私はもともと一致していると、今でも一致していると思っております。ですから、これまでも、これからも、第一義的には、大変御苦労ではありますけれども、行政刷新会議、仙谷大臣のところで精査をしていただく。もちろん、ある種の共同責任ですから、何らかの個別的な方向について、少し何かやってくれというようなことがある場合は、もちろん十分考えなければいけませんが、一義的には仙谷大臣のところが担当していただけると、こういう理解は最初の段階から今日まで変わっていません。
(問)今度の補正の見直しの基本的な考え方ですけれども、補正の今年度の支出分は減るという、あるいは増えるのか、あるいは変わらないのか。それによって今年度の実質GDPの成長見通しというのも変わると思うんですけれども、それについてはどういうお考えをお持ちですか。
(答)まず、今回出されたものの中で、減るのか、増えるのか、増減がないのかというのは、そのぞれぞれの項目を見てみないと、私には今お答えできる材料はありません。つまり、御承知のように、あの補正の中には、来年度、再来年度にわたる補正もたくさん入っていますので、そういう意味では来年度、再来年度に当たるものについて、例えばそれは本予算に回す、あるいはそれは当面この補正予算から外すということになれば、数字は減っても本年度の支出総額は減らないわけですし、場合によっては前倒しになれば、本年度の支出は増えるわけですし、あるいはもともと本年度出すということになっていたものを止めるとすれば減るわけですから、それはどういう形で組み合わさっているかというのは、全体をまさに精査しなければわかりませんので、私にも現時点でそれを、増えるか、減るか、ニュートラルかというのはわかりません。
 考え方としては、私の理解は、これは補正予算の額を抑えるためにやっているという理解はいたしておりません。補正予算というものの中で、無駄なものとか、あるいは来年度、再来年度にわたるものの中で、それはちゃんと来年度つければいいじゃないかと、ある予算もないから、国債運用にされたってそうですが、基金に積んで、そういう強引なやり方をしているものについては見直していこうと。それを来年度の予算というものの中で、改めて新たな政策に使うことももちろん十分あります。
 また、第二次補正ということについては、まだはっきりした考え方が固まっておりませんけれども、私の理解ではいずれにしても税収の落ち込みなどが、それこそ予想されるところもありますので、1月にはどちらにしても補正が組まれなければならないと思いますから、場合によっては本予算の前の補正の段階で緊急なものについては手当てをしていくということも十分ありますので、そこまで言えばさらに、つまり今年度ということで言えば、この作業を通して、今年度の歳出がもともとの第一次補正が考えていた歳出よりも減るということには基本的にはならないのではないかというのが私の見方です。ただ、これは先ほど言ったように、いろいろな数字を精査する立場で今おりませんので、私の見方ということで申し上げました。
(問)今のお答えで、緊急のものについては補正で手当てするというお答えだったと思いますけれども、具体的に緊急のもので手当てすべきものとして今お考えになっているものはどういうものが考えられますか。
(答)例えば、マニフェストの中に、介護職員の報酬の引き上げといったようなことも、来年度からの項目に入っています。それに関連した補正の予算の部分があると聞いておりますし、また、いわゆる人材育成の7,000億というものも積まれていて、場合によったら、そういうものの中で、いわゆる年末あるいは年度末をまたぐ雇用情勢に対応できる、あるいは対応するために使えるところがあるならば、そういうことも考えなければいけないのかなとか、必ずしも金額でいくかどうかわかりませんが、雇用調整金のようなものの弾力化とか、雇用に関するところではそういう面があり得るのかなと。他の面でももちろん出てくるかもしれません。
(問)来年度の予算の考え方で、先ほど幾つか質疑ありましたけれども、歳出の面と、歳入の各省がやってくる面と、両方両立てで考えながら進めていくというお話があったと思いますが、かなり今税収が減っていて、来年度の経済成長も余り見込めない中で、経済成長を達成するためには、ある程度の歳出拡大はやむを得ないというお考えは持っているのかどうか、そこはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)いろいろ矛盾したことを言われて質問されたので、なかなか答えにくいんですが、一般的に言えば、いつもこの場で申し上げておりますが、今の日本の景気の状態、それに関連する雇用の状態は、まだまだ楽観できるというところまでは来ていない、警戒心をしっかり持っていかなければならないという前提の中で、来年度の予算も考えていきたい。ただ、もう一つ大きな目標として、鳩山イニシアチブと言われる2020年における25%の削減という目標を達成するということの中で、いわゆる環境と経済成長というものを両立させ得ると、私だけではなくて、総理や我が党の関係者は基本的には思っているわけでありまして、そういう意味ではそうした環境と成長を両立させるプログラムのやはりスタートが来年度の予算になるのではないかと。そういう中長期の展望も持った中での成長戦略というものもあわせてきちっと位置づけていければと、こう思っています。
(問)その成長戦略は国家戦略局を中心にまとめられていくんでしょうか。今おっしゃった環境と成長の両立というのは。
(答)まだ具体的な取り扱いについては、多少の下話は来ておりますが、当然環境に絡む話であれば環境省、さらには経済も含めて経産省、あるいはいろいろな課題についてはもっと多くの農林省、あるいは国土交通省、いろいろな分野がかかわると思います。逆に言えば、そういうふうに省庁を超えた横断的な考え方が必要な極めて大きな課題でありますので、ある意味で国家戦略局として、そういう省庁横断的なことについて、ある役割を果たすことになるのではないかと、現時点ではそういう多少の予測も持ちながら、できるところのある種の準備は少し始めるように、私の動かせる分野のところでは指示を出しているところです。
(問)ちょっと確認なんですが、先ほどの雇用対策の財源についてなんですが、7,000億の就職支援基金についても触れられましたけれども、これは今マニフェストの7.1兆、そのために補正を見直ししている部分の一部の削る部分に当たると思うんですが、そうなるとマニフェストの7.1兆の分を多少今年度内に、言葉は悪いですけれども、先食いして雇用対策に充てるという理解でよろしいんでしょうか。
(答)そこは余り細かく厳密に、わからないという言い方がいいのか、必ずしもそうなるかならないか、いろいろな組み合わせですから。私の見通しで言えば、今の7,000億は、今までのままであれば、多分使え切れません。過去においても2回のもの、もっと規模はぐっと小さかったんですが、半分も、10分の1も使っていないようなケースがものすごく多かったですから、私は予算委員会でやりましたけれども。ですから、今のままのスキームでは多分使い切れません。ですから、そういうことを含めて、必ずしも先食いになるかならないかと言われても、見直しの中身についても、必ずしもこの部分について詳細に私が知っているわけではないので、一概にそういうことにはならないというか、一概にそうなるとは限らないというのが正確なところでしょう。
(問)2点お伺いします。政と官の関係見直しの一環で、事務次官の会見が廃止されましたけれども、その後各省で会見数を増やしたりとか、大臣会見をオープンにするなど、いろいろ対応がとられていますけれども、今後内閣として、各省の記者会見のあり方について、私的な見解なり基準なりをおまとめになる考えはありますかいうことと、あともう1点は、情報公開の件なんですけれども、民主党はかねてから市民の参加を進めるため、情報公開を徹底するということをうたってきましたけれども、実際政権がスタートしてみて、政策の決定過程など、必ずしも情報公開が徹底されていないというふうにも見受けられますけれども、菅さん自身はどのように今見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)まず最初の件は、やはり多分これは官房長官を中心に何らかの、もし統一的な形で決めるとすれば、そういうことになるんだろうと、そう思っています。
 それから、情報公開については、私は、まだスタートの段階ではありますけれども、従来の政権の中でできなかった情報公開が進んでいくだろうという幾つかの前進を感じております。一番わかりやすくいえば秘密協定の問題、50年間、30年間の、つまりは総理大臣ですら知らされていなかったと報道されている問題について、きちっとどういうことだったのかということを岡田外務大臣のもとでスタートをされました。
 情報公開というのは、私も薬害エイズのことをやってみてよくわかったんですが、大きく言って2つの流れがあります。つまり国民とか、あるいは場合によってはメディア、そういう皆さんからもっと情報を開示しろというやり方と、大臣がここまでは全部表に出せというやり方と、両方あるわけです。ですから、我が政権は基本的に開示すべきものはその役所にとってちょっと都合が悪いからとか、これが出てみると前のやり方が間違ったのがばれるからとか、そういう基準では止めません。でから、薬害エイズにしても、C型肝炎にしても、我々野党の時代にもそのことを言ってきた。これからは大臣がきちんと判断して、開示すべきものは、私はどんどん開示が進むだろう。その第一がまさに外務省のいわゆる秘密協定問題だと思っています。
 よく皆さん方から言われるプロセスのところの情報開示ということは、ちょっと性格が違うと私は思っています。つまりプロセスの中で、もちろん最終的なところはほとんどすべて開示すべきだろうと思っていますが、だれとどういう話し合いをして、それで調整をしているときに、それこそ、ちょっと例がいいかどうかわかりませんが、見合い結婚の相手を紹介しているときに、こっちの相手に、このお嬢さんにはほかの話もありますなんてことを一々開示してやることはできないわけですから、そういう意味では、プロセスというものの開示と、先ほど申し上げた本質的な開示ということは、少し分けて考えていただいたほうがじゃないかな。もちろんプロセスにおいても開示すべきものはありますし、そのほうがいい場合もありますけれども、プロセスの中で一時的には結論が出るまでは開示できないという場合に、それが情報公開に必ずしも反しているというふうには、一概にはこれも言えない、こう思っています。
(問)後段の部分の政策の意思決定過程の開示のあり方については、菅さんが実際に政権をやられてみてどういうふうに感じましたか。今後改善の施策があるというふうに見ていらっしゃるか。
(答)改善というよりも、私は今のプロセスの中で、多少初めてのことが多いですから、試行錯誤という意味で改善の余地はあるかもしれませんが、特に意図的に何かを隠しているという、私はそういう姿勢には、内閣全体としてはそういう姿勢にはない、出すべきものは出そうとしている。多少の新しいシステムの中での試行錯誤はあって、部分的にはそういう意味での皆さんに対しての若干の御迷惑がかかっているかもしれませんが、それは試行錯誤の一過程だと私は思っています。

(以上)