菅大臣記者会見要旨 平成21年9月29日

(平成21年9月29日(火) 11:32~12:02  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、閣議後の定例会見を行います。

 組閣から約2週間が経過したわけですけれども、皆さん方の目にもいろいろ映ってみえると思いますが、非常にスピーディーなスタートに加えて、かなりいろいろな作業も進み始めております。

 多くは官房長官の会見でもお話があったと思いますけれども、今日の閣議で、来年度の予算についての基本的な方針を確定いたしました。その席で総理のほうから、これまでの内閣、自公内閣でいえば、各大臣はいかに自分の役所の予算を一円でも多くするか、それに懸命になり、族議員がそれを後押しをするというのが常態であったわけですけれども、それに対して、今回の予算編成に当たっては、要求官庁であると同時に、その大臣は要求する立場であると同時に、自らの所管する役所の予算も査定する、つまりは、無駄なもの、不要なもの、そういうものは自らそれをカットする、そういう立場にあるのだということを閣議の席でも明確にされました。

 これは、私は、まさにこれまでの縦割りの、それぞれの役所が大臣を役所の利益を代表として先頭に立ってやってきた予算編成とは全く性格を異にする予算編成がスタートすることの、まず総理の意気込みであると同時に、明確な方針を出された、このように思っているところです。

 そういう中にあって、もう1点、昨日の基本政策閣僚会議などでも、鳩山カラー、鳩山総理のカラーをこの予算編成の中でもしっかりと位置づけていく、こういうことの必要性が議論されました。ややもすれば、無駄を省くというその表現が、何か緊縮財政というふうに誤解をされてしまうことについて、あくまで、無駄なもの、不要なものは徹底的に省くけれども、それにかわってマニフェストで盛り込んだものを中心にして、まさにコンクリートから人へと、そういう方向での積極的な財政運営を目指していくんだ、予算をつくっていくんだ。景気に対しても、今の状態ではまだまた予断を許さないということで、景気刺激的な、そういう基本的なスタンスは鳩山内閣にとっても必要だ、こういう認識も共有をしているところであります。

 また、私の担当する国家戦略室についても、いろいろな具体的な活動が始まっていることは皆さんも御承知のとおりです。

 昨日、予算編成のあり方の検討会をスタートさせましたが、その場でも申し上げましたように、この中で議論した中で、来年度の予算編成から適用できるものはできるだけ早くまとめて、そのこともあわせて総理の判断を経た後、各大臣に予算編成のあり方という形での指示を出していただくことになるだろうと、このように思っております。

 いろいろと複数年度の問題、使い切りの問題、あるいは透明化の問題など、いろいろな観点が出されておりまして、その中から、来年度から適用できるものについてそれなりの結論を10月半ばまでをめどに取りまとめていきたいと思っております。

 そういった中で、今日の閣僚懇談会の中で、例えば環境なら環境という大きなテーマについて、これまでは各役所ごとにそれらに関する予算要求があったわけでありますけれども、こういう大きなテーマについて、縦割りの役所の壁を超えた、そういう立場での予算の編成ということはできないんだろうかという指摘を、小沢環境大臣からも、問題が提起をされました。二、三の議論があったわけですけれども、これもなかなか大きな課題でありますので、おいそれとやりましょうということはなかなかできないわけですけれども、何人かの大臣からは、やはり国家戦略室がまさに鳩山カラーの象徴とも言えるこの25%削減を目指す、そういう大きな方向での環境政策、そして、その環境政策に当たるいろいろな省庁の予算要求をそういうテーマで全体の像を考えるといったことも、ある意味で国家戦略室の予算のあり方という範疇での大きなテーマだと、そういうふうに受け止めまして、その場でもそういった御意見を踏まえて、この予算編成のあり方のもう一つのテーマとして取り組んでいきたいと、このように考えているところであります。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2問お願いいたします。1問目は予算編成についてです。先ほど、官房長官の記者会見でも配られましたけれども、来年度、平成22年度の予算編成の方針が閣議決定をされました。内容を拝見いたしましたけれども、基本的には文言のみで、いわゆる具体的な数字が入っていない内容になっております。今後の経済あるいは税収見通しを踏まえて、これは副総理も担当大臣ですので、国家戦略室として今日決定の方針をさらに定量的というか、数値目標を盛り込んだような、さらに数値的に肉づけしたような詳細な指針を追加的に出すお考えがあるかどうかというのをまず1問目で伺います。
 2問目は、本日の閣議についてです。閣僚懇談会と一緒になるかもしれませんけれども、およそ所要が1時間だったかなと思います。時間がかかった議論のテーマは何であったのかというのを御紹介いただければと思います。副総理が自社政権で厚生大臣をおやりになられて、その当時の会見で、閣議が空洞化している、サイン会であったというようなことを随分おっしゃっておられました。民主党政権になって、閣議の内容が変わったと常々発言されておられますけれども、閣僚同士の自由討議が増えたというような理解でよろしいでしょうか。そこら辺の印象も含めて2問目のお答えをお願いいたします。
(答)最初の質問については、私もイギリスの予算編成のあり方などを若干勉強する中では、当初に歳入の見通しなどをきちんと位置づけて、それから総枠を決めて歳出の議論に入っていくというあり方があり得るのかなと個人的には思っておりました。そういう中で、いろいろこの間、議論なり打ち合わせをしてきたわけですけれども、我が国の場合には、少なくとも来年度の予算ということで言えば、歳入見通しなどを含めて6月段階では一定の仮置きがあったようでありますが、12月ごろにかなりはっきりしてくるということであります。そういったことも踏まえて、もう一つの要素は、マニフェスト実現という、この鳩山政権のまさに国民とのお約束、これには具体的な数値が入っているわけです。ですから、これを実現するということは、例えば子育て支援等々、初年度の分についてはこれだけのことはやりますという数値の目標も出ているわけでありますので、そう考えますと、今言われたように、全体の枠などの数値目標という形にはなっておりませんが、少なくともこれは盛り込むんだというマニフェストの数字は事実上この決定の内容としては入っていると、このように理解をいたしております。そういう意味で、従来はこういう方針を出せば、あとは各役所から従来型の概算要求が上がってくるのを待って、そして財務省の査定を経て、最後のところでもう一度政治家、大臣が出るという従来の姿でしたが、そうではなくて、今日も私も確認しましたけれども、10月15日に一たん出てきたものについても、特に行政刷新会議のほうでいろいろ意見を言って、担当大臣と議論をする。あるいは、私の担当する国家戦略室からも、先ほど申し上げたような透明化とかいろいろな問題についての意見がある場合は、その段階からも意見を申し上げていくと。そういうことでは、今回は、ある意味で鳩山政権が誕生したこの時点、つまりは9月16日からスタートしたこの時点から言えば、やはりこの時点でスタートを切ることが必要だろうという判断の中でこういったものを閣議決定をしたと。これがこの閣議決定の意味であります。
 それから、閣議の時間が予定よりも長いということでありますが、これは私が常日ごろから申し上げておりますように、閣議は全く様変わりをいたしております。よく申し上げていますが、私がかつて経験した閣議では、一言官房長官が閣議を始めますと言われた後は、事務の官房副長官がほとんどすべての案件を説明し、場合によっては法制局長官が言われることもありましたが、いずれにしても、政治家ではないそういう立場の人が案件を説明し、そしてそれを受けてサインをするということが閣議の本体の場合もそういう形でありました。私が、この3度目になりますか、4度目になりますか、この鳩山内閣の閣議では、まだ正式な形で事務の官房副長官が何か問題を提起されたことは、私の記憶が間違っていなければ、一度もありません。すべては官房長官ないしは政務の官房副長官のほうでいろんな議題を出され、説明がなれさております。この意味は、もう皆さんもおかわりだと思いますが、従来の事務次官会議というものがあって、そこがすべての、いわば事前の役所、場合によったら族議員、場合によったら業界、そういうものとの調整を終えたものを事務次官会議で確認し、翌日の閣議にかけるという、123年間とどなたかが言っておりましたが、そういう明治以来のやり方を根本的に変えた結果が、まず閣議という場で進行している。今回若干案件が多かったものですから、今日は閣議の時間も若干長かったのがあります。それに加えて、閣僚懇談会という一応の区分はされておりますけれども、実質的な議論がこの閣僚懇談会でかなり活発に行われております。今日は課題が多かった上に、この閣僚懇談会での発言も数多くありまして、その結果が少し長い閣議ということになりました。その一つが、先ほど申し上げたような、例えば予算編成のあり方で、環境なら環境というテーマでやるといったようなことの御意見も出ましたし、あるいは各大臣が外遊されていたことの報告もありましたし、いろいろな質問やいろいろな報告があったと。全部は私書きとめておりませんけれども、そういう自由闊達な意見交換があることによって長くなったというのが現実の閣議の様子であります。
(問)予算編成について2点お伺いしたいんですけれども、今回シーリングが外れたということだと、概算要求の提出期限の時間がないというところで、大臣が査定するといってもなかなか難しいところもあると思うんですけれども、各省庁の要求が膨らむんじゃないかという懸念が出ていますけれども、これについてどのようにお考えになっているのかということと、あと、来年度予算については、景気対策の面も考慮するというお話がありましたけれども、今年度の予算、88兆で史上最大規模とされていますけれども、大体この程度の規模になるというような見通しをお持ちなんでしょうか。その2点お願いします。
(答)もう既に補正予算の見直しという作業が、これも2回目の閣議で決定の後、現在進行しております。さらにこれから来年度の予算ということで、先ほど一番今の質問にかかわる問題をあらかじめ申し上げたわけです。つまりは、これからの大臣は、要求する大臣であるだけでは大臣の仕事をしたことにならない。つまりは、自らからが要求かる中身について精査をし、そしてそれが本当に国民の生活にとって、日本にとって必要なものなのか、それとも役所にとっては必要かもしれないけれども、必ずしも国民にとっては意味をあまり持たないものなのか、それをどこまで精査できるかというのが各大臣の役割だということを今日の閣議の席で改めて総理大臣が各大臣に対して言われたわけであります。
 そういう意味では、一般的に要求が膨らむというのは、それは各大臣がどこまでそれを精査できるかできないかにかかわっているわけでありまして、今回の補正予算の見直しも同じような意味を持っておりますので、私は野放図に要求が膨らむことはないだろうし、またそういう姿勢の中で取り組んでいただくことによって、逆に言えば、マニフェストに掲げた多くの新しい政策を実現することにもつながると、このように思っております。
 それから、予算規模等については、先ほど冒頭申し上げましたように、いろいろな仮置きを置いて考えるという考え方もあるのかなと思っておりましたが、やはりいろいろマーケット、国債のマーケットとか、あるいは税収の見通しとか景気の動向等々がかなり変動する中にあって、今の段階でそういう数字を挙げることはしないと。方針を明確にするけれども、数字を挙げることはしないでスタートさせようということでありますので、そうした方針ということで御理解をいただきたいと思います。
(問)関連した質問なんですが、先ほど閣議決定した予算編成の方針についての中で、新たな財源を生み出し、これにより財政規律を守り、国債マーケットの信任を確保していくということで、国債発行に触れていますが、鳩山内閣として国債発行、どのような基本姿勢で臨むかということをお願いします。
(答)まさに今読まれたような気持ちで臨むということです。
(問)もう少し具体的にお願いできますか。
(答)ですから、ここに書いたように、財政規律を守り、国債マーケットの信任を確保していくと。つまりは、国債マーケットの信任がきちんと得られるような形、あるいは最終的にはもちろん額の問題になるでしょうけれども、そういうことを念頭に置いて考えていくという、まさにそのことが書いてあるわけです。
(問)昨日の予算編成のあり方検討会の中で、先ほどおっしゃいましたけれども、予算編成過程の透明化を行うという議論がありましたけれども、これは具体的にどのような方法で透明化を行うというふうにお考えでしょうか。
(答)ここは、2人のかなりこの問題に詳しい方にいろいろなお話を聞いて、その中でも出てきている一つの案です。ですから、私が必ずしも細かい点でこうすればいい、ああすればいいということはなかなか説明が十分かどうかわかりませんが、例えば、そうなるかどうかちょっとあまり確定的には申し上げられませんが、例えば10月15日に何らかの新たな意味での各省からの要求が上がってきたときに、もちろん大ざっぱなところは皆さんに当然お知らせすることになると思いますが、場合によってはそういうものをかなりインターネット上に公開することによって、ある種のいろいろ関係者から意見を出してもらう。あるいはその編成が進む中で、第2段階での問題も出して、さらに意見を出してもらう。
 あるいは、ある意味で当事者的な人からもこれはこうじゃないかと、単に従来のように増やす意見を陳情で聞くということとは違って、逆にこういうものは実際には本当は要らないんじゃないのという意見も出てくる可能性もあるわけでありまして、そういったことが多分昨日話をされたある種の識者の方々の頭の中にあるという、そんな感じが、説明から私が理解したのはそういう意味で理解いたしました。
 ただ、だからすぐ来年度からできるできないということは、先ほど来申し上げておりますようにこれからの検討課題です。
(問)円高が進んでいますけれども、これはどういうふうにごらんになっているかということと、あと、今日の朝、8月の消費物価指数が発表されて、過去最大の落ち幅ということ、4カ月連続で更新しているんですけれども、これについてどうお考えですか。デフレの懸念はないのかお教えください。
(答)為替相場については、基本的には財務大臣のほうがいろいろお話しをされていると理解をしておりますが、できるだけ安定的な推移が望ましいとは思っております。少し安定をしてきたのかなという認識も持っております。今日の現時点はちょっと見ておりませんが、昨日の終わりの段階では90円を少し挟むような展開だったのかなと思っております。
(問)円高が景気の二番底をもたらすとか、そういう影響というのはどういうふうにお考えですか。
(答)もちろん、円高によって影響を受ける受け方、輸出を中心とする企業にとっては厳しい側面がありますし、逆に輸入の多い分野ではある種の負担の軽減もありますから、そういった意味で、景気に対する影響もしっかりと見ていかなければならないと、こう思っております。
 それから、もう一つの物価の低迷についても、これがさらに持続的な下落、つまりこの下落傾向がさらにさらに続いていくのか、それともこのあたりでとまるのか、これも十分に注意深く見ていかなければならないと思っております。そういう意味で、もし続くとすれば、いわゆるデフレという状況に逆戻りする懸念もありますので、そういう警戒心を持ちながら今後の動向を注視していきたいと考えています。
(問)先ほどの冒頭の発言でおっしゃった予算編成の方針で、鳩山内閣の方針として、景気刺激的なスタンスをとるというお話をされたと思いますが、マニフェストで子ども手当てとか高速道路の無料化とか、内需拡大につながる政策を打ち出されていますけれども、大体来年度以降の話になると思いますが、この足元の、年末とか年度末、かなり景気が厳しくなっていく中で、政権としてどういう景気刺激的なスタンスをとるのか、もし具体的に何かおありになれば。
(答)マニフェストに盛り込まれたことは、ある意味では家計に対する支援につながるものがかなりありますので、そういう意味では内需に対してよりそれを刺激をするというか、そういう要素がかなり入っていると思います。ですから、何かマニフェストは中立的で、さらに何かというよりも、マニフェスト自体がかなり積極的な、少なくとも財政出動、政府支出の出動になっています。
 従来は、公共事業という言葉が、いわゆる一言で言えばコンクリートに偏るというか、そういう見方をされているわけですが、私はだから、これは経済学のいろいろな方の意見を聞かなきゃいけませんが、公共事業という言い方ではなくて、政府支出という言い方で、その中にはもちろん従来のコンクリートにかかわるような事業もあれば、例えば介護に従事している人に対する待遇改善というものを例えば一部財政で支援すると、こういうことをすれば雇用にもつながるし、ある種の内需拡大につながると。
 そういう意味では、政府支出という概念で考えた場合には、来年度の予算が景気をやはりどちらかといえば刺激をするという、そういう性格を持つことが必要だろうと、こう思っています。
(問)来年度に至る前にまだ半年ぐらいあります、来年4月まで。それまでの、先ほど二番底という話がありましたが、ここが今非常に心配されていると思うんです。その点について何か、具体的に何が必要か、手を打つ必要があるのかという認識はお持ちなんでしょうか、景気刺激に関連して、この半年ぐらいの間で。来年度予算が本格的に始まるまでの年末であるとか年度末がどうなるかということが非常に心配されていると思うんですけれども。
(答)いずれにしても、現在、麻生内閣で組まれた補正予算を見直しという形はもちろんとっておりますが、もともと2年目、3年目に使うといったものも含んだものを今見直しているわけでありまして、ある意味ではこの補正予算そのものが今、少なくともある割合はどんどん動いているというふうに認識しています。
 この時点で次の補正予算をどうするかということを私の一存で申し上げるわけにいきませんけれども、いずれにしても、もう一度補正予算を組まなくてはならない、税収などの落ち込み等もどうなるかということも含めて、そうありますので、現時点で次の補正予算のあり方について余り申し上げるところまでは来ておりませんが、いずれにしても、景気の動向には注意深く見守りながら、場合によっては何らかの対応を打っていく。
 特に雇用については、非常にまだまだといいましょうか、もっと厳しくなるおそれがありますので、これは補正予算の見直しにもかかわっておりますが、例えば7千億積まれている、失業した人に対するいろいろなスキルアップのための講習、さらにはその間の生活支援といったものが今のような仕組みで本当に動くのかですね、いろいろ天下り団体を経由して民間に入札を求めるというようなことをやっておられるようですが、もっと早い段階で動かせる手当てがないのか。もちろん、これは厚労大臣が直接は担当されることでありますけれども、他党からもこういう問題での政府に対策本部をつくったらどうかという意見も出されております。そういうことも含めて、しっかり注意深く見守りながら、必要な対策についてはこれから順次議論し、検討していきたいと、こう思っています。
 以上です。

(以上)