古川副大臣記者会見要旨 平成22年4月1日

(平成22年4月1日(木) 15:44~16:06  於:合同庁舎4号館11階共用第1特別会議室)

1.発言要旨

 それでは定例会見を始めたいと思います。
 まず私からは、国家戦略室で検討しておりました予算執行の情報開示充実に関する指針及び予算監視効率化チームに関する指針につきまして、昨日各府省に送付をし、本日国家戦略室ホームページに掲載いたしましたのでお知らせをいたします。既にもう予算執行監視チームは動いている省庁もありますが、指針については昨日送付しております。
 なお、政策達成目標明示制度でございますけれども、これは政府内の他の部局でも、例えば行政評価局のほうが、昨年の事業仕分けで抜本的強化という話があったものですから、それを受けての強化策を検討して動いているとか、さまざまな行政内部のPDCAサイクルの強化に向けた動きが幾つか出ております。それらと併せて、政府全体で行政やあるいは予算執行のPDCAサイクルを全体としてやはり整合性のとれたものにすべきではないかと、あれもこれも似たようなものが重複して、結果的に事務作業だけが増えるようなことになっても良くないのではないかというお話も出まして、少しその辺を全体として整理をする中で政策達成目標明示制度も位置付けていこうということとなりました。
 それを受けまして、戦略室といたしまして政府全体のPDCAサイクル、どういうふうにまとめていってサイクルをつくったらいいかということについての議論を、既に関係部局の実務者に集まってもらって議論を開始しております。そういう議論を受けて政府全体としてのPDCAサイクルを形づくり、そのもとで政策達成目標明示制度についても位置付けていきたいと思っております。
 また戦略室といたしましては、各府省の予算執行効率化チームの活動をフォローアップして、行政のマネジメントの効率化に向けて引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お願いします。1点目は、今日の日銀短観で大企業製造業の業況判断指数が4期連続改善となりましたけれどもそれに対する受け止めと、あともう1点、昨日政権公約会議の初会合がありまして、参院選マニフェストの策定作業が本格化するということですが、5月下旬を目途に最終案をまとめるということで、現在の政権公約の財源確保策を含めて検証していくということですが、それと6月にまとめる政府の財政再建方針との整合性を含めてどういう方向で議論するかというのを教えていただきたいんですけれども。
(答)まず1点目でございますけれども、今お話が出ましたように、日銀短観では業況判断は厳しい状況が続いているものの4期連続で改善となっております。この結果、景気が着実に持ち直してきているという政府の月例経済報告の判断と整合的なものというふうに認識をいたしております。ただし、デフレや雇用情勢などのリスクがあるという状況は続いておりますので、引き続き景気動向については注意深く見てまいりたいと思っております。
 2点目ですが、この政権公約会議を受けて、今日もマニフェスト企画委員会を行いました。研究会のほうがそれぞれ所属の議員もメンバーが決まったという、これから議論していくその方向性というものについて総理からの指示というのもあったわけでありますが、その政権公約会議のもとに置かれました企画委員会のほうには、私をはじめとして政府の者も入っておりますから、この党のほうでの議員の皆さんの議論なども十分に配慮して聞いていきながら政府の中で議論もまとめていく。これも並行的に議論していって整合性のとれた形でまとめてまいりたいと思っております。
(問)今の政権公約会議の関連なんですけれども、これからまとめていく中で、党内の中にもこれまでのマニフェストを一部修正しなければいけないんじゃないかと、当然厳しい経済状況を踏まえてということだと思うんですが、例えば来年の子ども手当の2万6,000円満額支給も、これも考えたほうがいいんじゃないかというような議論もあるようなんですが、この辺りそういった修正も含めてどのような観点からその議論を進めていくべきかと、どのような点を留意して作業を進めていくべきかというふうにお考えでしょうか。
(答)基本的なところは、やはりマニフェストは、昨年選挙で国民の皆さん方にお約束をして、まさにマニフェストに基づく政治をやっていこうと。これまでの前政権までには行われていなかったマニフェストを軸とした政治、政策遂行というものを行っていくと。やはりそうした姿勢というものは今後とも続けていくと。そういう意味では、基本的な方向性というものは昨年お示しをしたマニフェストを引き続きその実現を目指してくということだと思っております。
 しかし、そこは経済状況、あるいは財政の大変厳しい状況、様々この政権、新しい政権になってから半年経っているので、色々な状況の変化というものもあるわけでありますから、そういうものも踏まえて今後のあり方というものは決めてまいりたいと思っております。
(問)最初に説明がありました予算執行の監視のための指針についてなんですけれども、これは各府省庁で、年度内にできれば予算執行計画をつくって、新年度の予算執行を監視していくということだったと思うんですけれども、指針が出てくるタイミングとしては結構想定していたよりも遅かった、本当にぎりぎりだったというふうな印象なんですが、その辺は何で遅れたのかというのを教えていただきたいんですが。
(答)年度内にというのは予算執行の監視チームを年度内に立ち上げていただきたいということです。ですからそこは各府省、私どもがお願いをした執行の監視チームは立ち上がっておると思いますから、年度内にお願いしているというのは、そういう意味では全然遅れておりません。
(問)あともう1点、政策達成明示制度なんですけれども、これは今のお話ですと、重複するものなんかとの整理をした上で確立していくというお話なんですが、それはいつ頃に明示制度として確立されていくのですか。
(答)もともと22年度は試行的に、23年度から本格実施をしようということで考えておりましたから、試行する段階の中で、例えば行政評価局のほうがもう既に強化案を出したり、それを実施しようとしているとか、昨年この政策目標達成明示制度というものを掲げたときには議題には挙がっていなかった行政刷新会議のほうからの行政事業レビューの話も出てきたものですから、ちょっとここは少し整理をしたほうがいいのではないかと。
 例えば同じような事業を評価するのに、行政評価局のほうではこういうシートをつくり、こちらではまた別のシートとつくるとなると、結局同じようなことを行政の末端では、2つも3つも書類を書かなければいけないみたいな、行政を効率化していこうと言っているのに、逆に行政を効率化と反対の方向に行くようなことになってはいけないのではないかと。そういう意味で、財務省など各府省庁などから行政の執行の適正化とか予算執行の適正化が出ていることもあって、副大臣会議などでもその辺はきちんと整理をしてもらえないかと。整理がなく、あれもやれこれもやれということだと逆に行政を効率化するのと反対の方向になってしまうと、そういう議論もありました。ここのところはもともと22年度は試行期間というふうに位置付けておりましたので、戦略室のほうで、各府省そういう行政執行や、あるいは予算執行の監視というのでやっている人たちに集まってもらって、整理できるところは整理していく。例えば、同じものを見るにしても、フォーマットを統一すれば、1つつくってそれを財務省と評価局両方出せばそれで済むというふうになれば、それも例えばですけれども効率化になるわけですから、今の実態がどうなっているのか。末端のところで、確認をした上で、もともと我々が考えている政策目標達成明示制度も、ではどういう形のところで位置付けると。場合によったら、今までやっているものと一部分いわば重複があって、一緒にできるところがあればすることも含めて考えておるところであります。
(問)そうすると現時点では、23年度に間に合うようにそこを整理していくということで。
(答)そうですね。ですからこの機会に、今までの行政評価というのも、かなり前政権までもそういう評価をしようという動きとか色々やってきてはいるんですけれども、実際には前にあったのをそのままにして上乗せ上乗せでやってきたというのがどうも実態のようです。この機会に全体を整理をして、行政全体のPDCAサイクル、いたずらに事務作業を増やすものではないような形に整理する形でまとめてみようと。その中で政策目標達成明示制度というものを位置付けられるようにしようと、そういう結論になったということです。
(問)今日は4月1日ですけれども、当初国家戦略室が戦略局への格上げを目指してこられた日だと思うんですけれども、6月の中期財政フレームとか、新成長戦略の取りまとめに向けて格上げが遅れてしまっている影響について、改めてどういうふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
(答)私の仕事が減らないということで、たくさん働けという、そういうことかなというふうに思います。が、できれば本当は一日も早く通していただいて、そのときにどうなるかというのはわかりませんが、いずれにせよ本来であれば国家戦略局の局長になられる方は国家戦略局の仕事に専念できるような状況を早くつくったほうがいいのではないかというふうには思います。今のこの状況ですから、それ以外にもいろいろなことをやらないといけないという中で、しかし決めたことはやっぱりやっていかなければいけないということで頑張るということです。
(問)もう1点なんですけれども、政治主導確立法案に限らず、国家公務員法案とか、国会改革法案とか、そういったものについても成立が遅れていますけれども、これは政治主導の体制づくりに向けて影響、これもどういうふうに見ていらっしゃるのか教えてください。
(答)それはやはり一日も早く、法案が通って成立をしたほうが、政府の中に入っている人間はかなり過重な仕事を抱えておるというところがありますから、そういう意味ではそのほうがスムーズに行くのではないかというふうに思っております。ただこれは国会のことでありますから、国会のほうで一日も早く議論していただいて、そして成立するということを私の立場ではお願いをし、希望するということであります。
(問)今日、大手生保の第一生命が株式を上場しまして、経済効果への期待などについて、副大臣、御所見があればお聞きできますでしょうか。
(答)特に私だからということはありませんが、一般論として申し上げれば、やはり株式市場の活性化というものは好ましいことだというふうに思っております。そういう意味で、こういうことをきっかけに株式に対する一般の方も含めた関心というのも高まればいいのではないかとは思いますし、同時に最近、株式市場、投機的なマネーも多いということで、いわゆる投機ではなくて投資として参加する参加者の人たちが少し腰が引けているというか、そういうところがあるのではないかと。あるいは、なかなか個人の投資家とか、そういう投資家という人たちが参加しにくいような雰囲気もあるのではないかということも感じておりますので、こういうことをきっかけにして、投機マネーではなくて投資として株式市場に参加をされる方、またそういう投資の対象として株式というものを考えてそれにお金を入れる方と、個人投資家をはじめそういう人たちが増えるきっかけになればいいなと個人的には思っております。
(問)今のその株に関連して、今日日経平均が1年半ぶりの高値をつけたんですが、ということはつまり鳩山政権が始まって以来の最高値ということになるわけですけれども、日銀短観も業況感が改善していると、株もかなり強くなっているということで、国民新党とかが言っている更なる景気対策の必要性について現時点でどのようにお考えでしょうか。
(答)まさに22年度始まったばかりであります。予算も成立をして、予算成立前から、新年度予算が成立すれば速やかに執行に移せるような、そういう体制を整えてまいりました。第2次補正が成立をして、今度もまたもう一回フォローアップチームをやる予定でいますけれども、景気対策の第2補正の円滑な執行というものもチェックをしてそのときに各府省にお願いをしてきたことでありますから、まずやっぱり今の時点では、この2次補正から、そして今日から始まった新年度、成立した予算を速やかに執行できるような環境を整えるということが景気に対しても大事なことであると考えております。
(問)それに関連してですが、今日の日銀短観では、設備投資はいまだ前年比でマイナスが続いているんですけれども、これについて受け止めを。またエコノミストの間では、民主党の企業向けの政策についてなかなか姿が見えないので国内投資をためらっているのではないかという声もあるのですけれども、今後企業行動についてどのようにエンカレッジしていくのか所見をお願いします。
(答)やはり設備投資がなかなか伸びにくいというのには、まだ、今景気が回復の途上にあるというもの、これが本当に自律的なものと言えるのか、あるいは先行きがどうなるのかというところについての、なかなか見通しが見にくいという状況にあるからではないかと思っております。そういう意味では、政府としては、この景気回復を確実なものにしていくようにすること。そのためにも成立した予算案というものを着実に早期に実行していくと。これまでの政策をきちんととっていくということが大事なことだというふうに考えております。
(問)郵政改革に関連して1点お伺いしたいんですけれども、預け入れ限度額の引き上げという形で決着しましたけれども、この出口の議論、資金運用について少しお伺いしたいんですが、今後資金運用面については、政府部内ではどのような場で、いつ頃までに決められていかれることになるのかという点と、もう1点、原口総務大臣は、インフラの整備ですとか、海外の事業への展開にも資金を投入するような考えを示されていますけれども、これは結果的にかつての財投懸念みたいなことにもつながると思うんですけれども、その辺は、副大臣どのようにごらんになっていらっしゃるのか、2点お伺いしたいんですが。
(答)今後のゆうちょに集まってくるお金の運用についてどういう形で議論するのかということについて、政府の中でどういうふうになるのかについては、私は今のところ承知をしておりませんのでコメントする立場にはございません。
 原口私案というものも、私もマスコミの報道を通じて見ておるだけでございますが、一般論として申し上げれば、そもそもこれは別に今の限度内の範囲内といっても、8割方国債の運用をしているという、今のゆうちょ、かんぽマネーの運用のあり方というものについては、これは検討をする余地はあるのでないかと思っておりますが、私も、原口私案というのはマスコミ報道以上のことは承知をいたしておりませんので、それは中をよく見た上でまた考えたいというふうに思っております。
(問)今の国債の運用について検討する余地があるのではないかというのは、8割よりも下げるべきではないかという、そういうご趣旨なんでしょうか。
(答)私が申し上げたのは、要はゆうちょ、かんぽに集まってくるお金、今集まっているお金もそうなのですけれども、この運用というものをどうしていくのかと。金融機関であれば、当然集めたお金は運用しなければいけないわけでありますから、その運用のあり方というものについては、それは今国債が中心になっていますけれども、この全体の、そもそもゆうちょ、かんぽに集まっているお金の運用のあり方というのについては、これは考えていく、そういう必要があるのではないかと、そういう趣旨であります。

(以上)