古川副大臣記者会見要旨 平成22年3月26日

(平成22年3月26日(金) 17:08~17:31  於:合同庁舎4号館11階共用第1特別会議室)

1.発言要旨

 お待たせいたしました。それでは定例会見を始めたいと思います。
 まず最初に1点、皆さんも御関心が高い中期的な財政運営に関する検討会ですが、なかなか日程調整ができなかったのですが、予算も成立して何とか日程調整ができまして、来週月曜日には開催をしたいと思っております。
 あと来週は、新年金制度の実務者レベルの検討チームの会合、またヒアリングですけれどもやりたいと思っております。またパッケージ型インフラの海外展開の実務者レベルの会議もまたやりたいというふうに思っております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)総理が、今日郵政の見直し案について、全閣僚による閣僚懇談会で議論しようという提案がありました。それでどの程度まで根本的な議論をまた改めてするのかというところで、閣僚によっていろいろ温度差があるようなのですけれども、亀井さんは骨格の部分は変える必要はないというふうにおっしゃっています。その辺どのような議論を期待されますでしょうか。
(答)昨日も申し上げましたけれども、2005年に仙谷政調会長の下で政調会長代理として民主党の郵政改革案をまとめたときには、金融部門は縮小していくということを示したわけであります。郵便局のネットワークを維持、活用していくということについては、当時もそういう形でやっていこうと。ただそれを、金融部門を拡大して、そこで収益を上げるという形で維持するということではなくて、やはり郵便局ネットワークの維持、活用と、それとやはり金融部分とは区別して考えるということでまとめた立場であります。その立場からしますと、やはりその方針を変えるというのであればきちんとこれは議論をして、何故変更するのかということについての説明は、し尽くされなければいけないと思います。また、今私が先ほど申し上げました財政健全化に向けての議論の中で担当しているところとのかかわりで申し上げれば、やはり郵政事業のゆうちょ、かんぽで集まってきたお金の出口の問題ですね。ここの部分について、これをどういう形で運用するのかと。現実には、このほとんどが国債で運用されているという現実を考えていきますと、今郵政担当の関係の閣僚や、あるいは政務三役のほうで行われてきた郵政改革の議論と、今こちらのほうで進めております財政健全化へ向けての議論、ここのところがやはり誤った形で誤ったメッセージをマーケットなりにとられるようなことがあってはならないというふうに思っています。私たちはこの財政健全化のところで、要は国債の発行しやすいような、引き受け手を増やすような環境をつくって、そこに国債を引き受けてもらう。そういう状況をつくることによって、国債の長期金利が上がらないようにしようという、そのような考え方を持っているわけでは全くありませんから、やはりそこは、このゆうちょやかんぽで集まってきたお金がどのように運用されるのかと。今のように、その多くが国債に回るような状況という中では、マーケットに対して誤ったメッセージ、つまり政府が本当に真剣になって財政の規律を維持していこうという気がないのではないかというようなことをやはり思われてはならないと思います。やはり財政の規律を維持するという上で一番大事なことは、政府がきちんと財政規律は維持していくのだという強い意思を持っている。そしてちゃんとマネジメントしているのだと。借金が多くてもきちんとやはりそれをマネジメントしているという姿を示すということが財政に対する信頼を維持する最大のポイントだと思いますので、そういうことについて疑念を持たれないようにしていかなければいけないわけであります。やはりそういった意味でも、限度額引き上げを行った場合には、そこで預金あるいは保険料の入ってきたものをどう運用するのかと、その出口のところについての、きちんとした議論がなされなければいけないだろうというふうに思っております。
 またもう1点は、これも事実上、今、ゆうちょ、かんぽのほうは政府保証がついているのと同じような状況になっているわけでありますから、民間の金融機関のペイオフの限度額との平仄(ひょうそく)が合わないというところについて、どのようにこれをきちんと説明していくのかと。やはり民業圧迫というふうにとられるようなことがあってはならないと思います。
 そういう意味でも、この限度額の引き上げという点については、今申し上げたような幾つかの議論をしなければいけない。そしてきちんとマーケット関係者、また国民の皆さんにもやはり理解してもらわなければいけない。そういうところをもう少し時間をかけて、そしてまた閣僚の皆さんの中でも議論していただければというふうに思っております。
(問)そうしますと限度額を引き下げるべきだと。2,000万円は認められないということではなくて2,000万円を認める場合には、その運用のほうの多様化をもうちょっと議論したほうがよいのではないかと、そういうお考えでしょうか。
(答)というかこの限度額をどうするかという問題を議論するに当たっては、今申し上げました出口の問題と、そしてやはり他の民間の金融機関との平仄の問題。この点についてはよほど議論を尽くした上でないと、これはその限度額の引き上げを行ったことによって、思わぬ色々な影響が出てくる可能性があるのではないかと。そういった意味では、この引き上げを、もし今仮に行った場合に起きてくる影響についても十分これは議論した上で、そこのところの確認というものがされないといけないのではないかと思っております。
(問)菅大臣のほうから、2兆円の予備費等の活用について議論を始めてもよいのではないかという、先日の会見で発言がありましたけれども、ただ一方で、今日は株価が1万1,000円台に回復、景気の先行指標である株価のほうは上昇しているのですけれども、その辺の2兆円の予備費等の活用についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)まず、予算が昨日成立したばかりであります。先日の第2次補正予算から、そして来年度予算に向けて切れ目のない予算執行をしていく。まずは景気のことを考えれば、来週から新年度が始まりますけれども、この新年度、切れ目のない予算執行を行えるような状況をつくっていくということがまず第一ではないかというふうに思っております。
(問)2兆円の予備費の活用については、まだ議論としては早いというふうにお考えですか。
(答)私個人としては、今の時点でこの2兆円の議論をする段階ではないのではないかというふうに思っておりますが。
(問)先ほど行われた鳩山総理大臣の会見で、鳩山総理が、社会保障制度改革とか財政の健全化では与野党の協議が必要だという考えをまた改めて示したのですけれども、それについての古川さんのお考えと、またこういう協議を働きかけるタイミングというのはどういうタイミングが一番良いのかということについてお聞かせ願えますでしょうか。
(答)私は従来から、年金制度であるとか、あるいは税制の骨格そのものを根本から変えようする場合には、そうした骨格については、これは一度変えたらころころとあまり変えるようなものではないわけでありますから、その枠組みを変えることについては、時の政権党だけではなくて野党も含めた国民的な議論、そして合意をした上で枠組みというものを決めていく。その枠を決めた中で、例えば税でいえば税率をどうするかとか、年金でいえば、では保険料とか給付をどうするかという、いわば負担とか給付のそういうことについては、それぞれ政党でどういう社会の形や、あるいは政府の役割の部分を描くのかということよって異なります。それぞれの政党でそこの部分は自分たちの考え方を示せばよいと思います。今、日本が求められているのは、従来の枠組みから超えた新しい改革、ちょうど税調でも議論を始めておりますけれども、戦後のシャウプ勧告に匹敵するような大きな税制改革、また年金制度も新年金制度にするなど、やはりそうしたものについては、これは党派を超えた国民的な合意により枠組みをつくるべきだというふうに従来から考えております。
 また財政の健全化につきましても、これも今検討会でずっと議論している中で感じておりますのは、財政健全化のあり方が政権ごとにころころ変わったりしている。そのことが、実は財政の健全化に結果として失敗しているということにも繋がっているのではないかと思います。ここまで膨大に積み上がってしまった財政赤字を解消していくといいますか、財政規律を維持していくという観点から考えますと、かなり長期にわたって継続的に財政の健全化に向けての道筋をとっていくということが必要であって、そういうことを考えますと、財政健全化のあり方は数年でころころ変わるようなものではなくて、10年20年と、いわば同じ形を続けるということをしていかなければいけないのではないかと思います。そういった意味では、この財政健全化の道筋についても、できるのであればこれは党派を超えた合意というものをつくって、それを政権が仮に替わってもきちんと続けていくと。そういう政治を行うということが、国民の皆さんの政治に対する信頼を獲得することに繋がるのではないかなというふうに思っています。
(問)今のお話に関連してですが、政権が代わっても変わらない財政健全化ということで、先ほどの総理の会見でも、財政健全化の法定化のことについても触れていたのですが、そのことについてのお考えはいかがでしょうか。
(答)法律というのは一つの考え方としてあるのだと思います。ただこれは中身の問題ではないかなというふうに思いますが、検討会の中の議論でも、あまり細かく法定をすると、今度はその時々の経済状況に応じて柔軟な対応ができなくて、かえって財政の悪化を招くという、そういうような場合もあると。そういう意味では、柔軟に対応ができるような、そういう体制でなければいけないという、そんな話も検討会の中での議論では出てきております。そういう意味では、そもそも法定化するのが良いかどうかということはありますが、しかし一つの考え方としては、大きな基本的な財政健全化への道筋という方針で超党派の合意ができるのであれば、そうしたものを法律にしていくというのも一つの考え方ではないかというふうに思っております。
(問)先ほどの郵政の件なのですけれども、議論は尽くされなければいけないとか説明が必要だというお話をされていましたけれども、金融を担当されている亀井大臣とか大塚副大臣が色々話をされていますが、もう議論というのは政策会議で十分何回もやっているという話をされていたり、大塚副大臣は民主党の過去のマニフェストの話、あるいはこの間の総選挙の話もされて、5年前には戻れないと。5年前に民主党が選挙で負けたのも民意であるし、その後に郵政の見直しについて言って選挙で勝ったのも民意であるというお話をされているわけですけれども、ここは副大臣のおっしゃることもわかるのですけれども、何故今になってこういうふうに齟齬が生じているのか。今まできちんと議論が何故尽くされなかったというふうにお考えなのでしょうか。
(答)私は別に5年前に戻れと言っているわけではありません。当然その後の状況が色々変わってきているというところはあるのだと思います。ただやはり、一度、あの5年前を考えてみますと、相当激しい議論を党内でも行って、その中で決めてきた話であります。ですからそれを変えるというのには、やはりそれなりの議論というものが必要だとは思っております。
 ここは政策会議という場で議論がされたというふうには伺ってはおりますけれども、ここの部分が、要はこの金融の部分についてのところの政策会議で行われた。しかし先ほど申し上げましたけれども、この郵政のゆうちょ、かんぽの限度額を引き上げるということ、そのことによって起きてくる様々な問題は、単に金融の分野だけではなくて、財政あるいは経済全体にかかわってくる部分でもあって、やはりそのところについての議論の仕方としては、私からすると足らなかった部分があるのではないかなというふうに思っております。
 ですからこの部分は政令事項でもありますから、やはり少し時間をかけて議論してもよいのではないか。そのほうがこれは国民の皆さんへの説明という点からしても大事なことではないかというふうに思っております。
(問)もう一点だけ。財政の検討会ですが、日程が1個入っていますけれども、これは年度内に方針は、論点整理は終わるのでしょうか。
(答)ここは、当初年度内という方向で考えておりましたが、一度、国会の予定で、予定していた検討会がその日にとんでしまうということがありまして、そのことによって予定がずれ込んでおりますので、そういう意味では、まだ次回のところでは論点整理をまとめてこの検討会を閉じるというところにはならないというふうに思っております。
(問)その次というか、あと2回ぐらいはやるというそういう理解ですか。
(答)できればそういう形にしたいというふうに思っておりますが。
(問)財政健全化についての超党派の議論のお話なのですけれども、当然その中で色々と意見の食い違いというのも出てこようかと。具体的にいえば、マニフェストに掲げた政策をやめるの、やめないのという議論ですとか、あるいは消費税どうするのだといったような議論になることも想定されるのですけれども、その辺りで譲歩されるということもあり得るのでしょうか。
(答)それは与野党協議をしてということですか。
(問)そうです。
(答)そこのところは、ちょっと私のさっきの言い方が誤解を招いたのであれば訂正しておきますが、まずは政府・与党としての考え方、基本的なものを、まずは私どもとして決めるということが大前提としてある話だというふうに思っております。先ほど申し上げた与野党協議といいますか超党派の合意が必要だというのは、一般論として私個人が考えていることです。そういう長期にわたって継続すべきようなもの、あるいは制度の根幹から変えるようなもの、いわば日本の経済社会の基礎となる根幹となるような、税制の大きな枠組みそのものを変えるとか、年金制度そのものを変えるとか、そして長期にわたって継続して取り組んでいくような、そういったものについては、望ましい形としては与野党を超えた国民的な合意をしていくべきだと、そういう考え方を基本に持っているということを申し上げたわけであります。今私たちがやっているところでいえば、まさに6月に向けて中期財政フレーム、そして財政運営戦略をまとめようとしているわけでございます。
 ですからまずは、その私どもの中でやっている作業を行うことに全力を尽くしていくと。それができたところで本当に必要があるのか、あるいは相手方のほうにも、そういう下の中で議論するという機運があるのかと。そのときの状況の中で次のステップというものを考えるということになろうかと思っております。

(以上)