古川副大臣記者会見要旨 平成22年2月18日

(平成22年2月18日(木) 16:33~17:03  於:合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室)

1.発言要旨

 お待たせしました。定例会見を始めたいと思いますが。皆さんオリンピックは見ていますか。男子フリーでは、私が子どもの頃からよく知っている小塚崇彦君が頑張っております。ちなみにテレビで映っていたあの大きい幕、あれはうちの家内の母親がつくって持っていった幕ですので、ぜひ皆さん一回、高橋、織田ばっかりが注目されていますが、小塚君にもぜひ注目してあげてください。
 今日はまず副大臣会議のお話だけちょっとさせていただきますけれども、官房長官のほうからは、とにかく1日も早い予算の成立、衆議院通過に向けて、内閣として全力を尽くすようにというお話がございました。あと党との関係で、できるだけ、特に与党の議員の皆さんの意見をうまく反映するよう、十分配慮しながら政策決定に生かしていくようなど意見交換がございました。
 大島副大臣のほうから、毎年3月は自殺が非常に増えるときだそうで、この内閣、命を守りたいというのが一番のところでございますから、少しでも、特に男性の皆さん、皆さんもあまり思い詰めると、また寒い中、夜とか待っていると精神衛生上もよくないですし、なるだけ3月は家に帰って、奥さんや子どもの顔あるいは恋人の顔を見て、やはり日頃のストレスを少し解消していただければと思います。特に色々、3月8日の日は国際女性の日とかいうのがあるらしいですし、またホワイトデーもありますし、女性にお花を送りましょうという、そういうお話がございました。
 今日皆様方にニュースリリースとこの紙をお配りさせていただいておりますけれども、予算制度改革に関する指針につきまして簡単に御説明をさせていただきました。前から申し上げておりますように、国家戦略室におきまして、昨年閣議決定されました文書に基づきまして、新たな予算編成・執行プロセス導入に向けた改革の指針の作成をしておりますが、このうち、予算制度改革に向けた「3つの取組」につきまして、本日の副大臣会議で各府省に協力を要請をさせていただきました。
 皆さん方お手元にございますが、ニュースリリースのほうよりも多分もう一枚のほうの図のほうを見ていただいたほうがわかりやすいんじゃないかと思いますが、新たな予算編成・執行プロセスの導入という題名でありますが、目的はそこの上の括弧書きにございますけれども、中長期的な視野に立って、政府としての最優先の政策を国民に示した上で、省庁横断的な取り組みをチェックして、成果をフィードバックする戦略的な予算編成を行うということと、各府省が、国民・納税者の視点に立って、自律的に無駄の削減、費用対効果の高い予算編成・執行に取り組む体制を作ると。これは一部分は、言ってみれば事業仕分けの内部化と言ってもいいかもしれませんが、そういう仕組みをつくっていくと。
 そういう視点から、予算制度改革に向けた「3つの取組」といたしまして、一つは左の箱にあります各府省で自律的な効率化に取り組む体制をまずつくるということで、予算監視・効率化チームの設置のお願いをしてもらいまして、このチームがいわば推進母体となりまして、国民目線に立った行政の透明化ということで予算執行情報開示の抜本的充実を図ること。そしてもう一つ、国民への成果を重視した政策の遂行ということで政策達成目標明示制度の導入をしてそれを実現をする。これは政府、内閣として最優先の大目標を厳選をして、アウトカム指標による政策目標を立て、これが複数府省にまたがる場合には、取りまとめ府省とそれに関係する府省というのがきちんと決めて、そこが目標を設定して協同し、そして最終的な政策目標を達成していくと、そういうことを実行していくと。
 従来のやっております、特に今、原口大臣の行政評価の強化というのをやっておりますが、その辺の政策評価は各省別で、また施策・事務事業レベルの政策の評価というかなりそういう意味ではミクロのところであります。政策達成目標明示のこの大目標は、これは内閣としての重要課題という一番大きなマクロでございます。予算執行監視・効率化チームというのは、その下に各省の会計課であるとか、各局の総務課とか、そして政策評価も含めて、各省の縦割り、実は各省の部局ごとの縦割りというのもまたかなり実は非常に壁の厚いところがありますから、そういうものを廃して、全体的に省としてあるいは府省として効率的な予算執行あるいは行政の事業が行われているかどうかを監視し、また効率化するようなチーム、これはトップを副大臣を中心につくっていただきたいと思っております。こうした形が、中期財政フレームとも連動してくるわけでございます。
 もう少し詳しくはプレスリリースのほうに書いてありますので見ていただければと思っております。今こうした予算制度改革に関する指針の原案等を作成して、各省等とも事務的な調整などもさせていただいております。これを3月末までには最終的に確定をさせて、4月から直ちに新たな取り組みが開始できるように積極的に協力いただきたいとお願いいたしました。特に予算監視・効率化チームにつきましては、こうした体制、検討の担い手となる部分でありますので、副大臣をチームリーダーとする体制を速やかに、遅くとも今月中には立ち上げていただきたいとお願いさせていただきました。
 私からは以上でございます。皆さんから何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)先だって、菅大臣が消費税の増税について3月頃から議論をスタートさせるというふうに発言されましたけれども、これに対する御意見お考えと、それから中期的財政運営のあり方検討会で消費税に関する議論はされるのかどうか、そこら辺のお考えを伺います。
(答)菅大臣は消費税増税という話をしたわけではなくて、消費税の議論をするということを言われたと思いますので、そこは正確に御認識をいただきたいと思います。これはもともと昨年の税制改正大綱の中で、専門家委員会をつくって、そこで税制全体の中期的な見直しの議論を行う、いわばシャウプ勧告に替わるような新たな抜本的な税制改革を行う、その方向性を示しています。菅大臣がおっしゃられたのは、消費税だけじゃなくて、所得税、法人税も含めて、そういう議論を始めていきたいと。そのいわば原案を議論していただくのがこの専門家委員会だというふうに考えております。そこでの議論が3月から始まっていくということでして、その中で消費税はもちろん基幹税の一つでありますから議論されるということです。皆様方は何か消費税だけ議論するというふうに報道されておりますが、これは私から言わせると、別に前から全部議論するというふうな話で、とりたてて目新しい話ではないんではないかと思っております。
 中期財政フレームは、これはどういう予算の立て方、複数年度予算になるような形のフレームをつくるという話ですので、別にここで税の議論、消費税をどうするとか、そういう個別の税目の議論をすることは考えておりません。
(問)今御発表いただいたこの予算制度改革の関係ですが、ここの1枚目の紙のところに指針(案)というのが幾つかありますが、これがさっきおっしゃった今の指針の原案のまた原案みたいなそういうイメージなんですか。この指針(案)というのは。
(答)いや、今のところはまだ案ですよということの話なので、指針(案)のところを今議論しているということです。別にこれが案というわけではないですよ。もっと指針、実際の案はもっとかなり細かく……
(問)もうちょっと細かい話になると。
(答)ええ、やっておりますが、今のところは案の段階ですということですね。まだ指針というところまで出来上がっておりません。今、案の段階で、かなりこれは事務的な体制など細かいところがありますので、そこは各省の会計担当などの事務局のところで、これから最終的な調整をしていきたい。これ自体が案というわけではありません。
(問)あとごめんなさい、二つちょっと細かい話なんですが、この各省の副大臣がヘッドとするチームを今月中につくってほしいということですが、この各省のチームをまとめるのは戦略室長の副大臣になるということなんですか。まとめるというか何というか。
(答)基本的にはこれは各省で内部的に自律的に簡潔した形でやってもらいたいと思っております。ただこれはどういう形になるかわかりませんけれども、定期的といいますか、それぞれの省庁でどういう取り組みの状況などをヒアリングし、初めての試みでありますから改善、問題があれば直していく。日々のチェック、当然これは新しいことですから必要になってまいりますので、そういう意味では定期的に担当のリーダーの皆さんには集まっていただいて、各府省の取り組みなどを伺っていこうと考えております。
(問)これは例えば考え方として、効率化して目標といっては変ですけれども、幾らぐらい無駄を減らそうとかそういった何か横串で目標を立ててするようなことは今後あるんですか。
(答)これは全部戦略室が出すのではなくて、そのつくり方など基本的には各府省においてそれぞれ工夫しどういう形でやっていくかは考えていただくことだと思っております。
 行政の執行の効率化を行うのに、金額を幾ら削ることを目標にするというのは普通はあまり考えにくいんではないかなと思います。ただそこは私たちのほうから否定も肯定もするつもりはなくて、基本的にはこういう体制をつくって、とにかく最終的に行政が国民の目から見て本当に国民の役に立っている。そしてちゃんと税金が無駄なく使われていると、予算が適正に執行されているという状況になればいいわけであります。私たちとしては最終的なそういうアウトカムを出すやり方として、どういうやり方をとるかということについては自由な裁量を各府省のそれぞれのチームに任せて考えていただきたいなと思っております。
(問)あともう一個だけすみません。この政策達成目標なんですが、政府として大目標を立てるということですけれども、これは例えばどうなんでしょう、会議体なのかわかりませんが、またその目標を立てる集まりをつくって、例えば新年度までに決めるとかそういったことはやられるんでしょうか。
(答)本当に初めての試みでありまして、来年度につきましては試行的にやってみようということです。今どのような形がいいのか、どういうレベルで目標を決めるのがいいのかということについても関係方面と協議をしているところであります。
(問)今の質問と関連してですけれども、政策達成目標明示制度について、これは基本的には政府としての大目標ということなので、そのマニフェストで掲げているような事項が想定されているのかということと、ちょっと今と同じですけれども、やっぱりいつ頃までに政府が決めておかないと各省でもこの目標等々をつくれないというのがあると思うんですけれども、大体毎年度の目途としていつ頃までに政府で決めて、いつ頃までに各省でその政策達成目標というのを決めるのか、大体大まかなスケジュール、予算編成とも絡んでどんな形になるのかお聞かせ願えますか。
(答)本来、もう少し予算編成の議論が始まってくる前にして決めていくようなものであろうかと思います。とにかく制度の設計の議論から今までやってまいりましたし、とりあえず来年度は試行的にやってみようということであります。できるだけ早い段階で決めていきたいと思っておりますが、今年やるのがそのまま来年以降もということではなくて、今年はかなり、そういう意味では、最終的に私たちが目指している政策達成目標明示制度からするとパイロットプロジェクト的な形にならざるを得ないかと思っています。
 中身としては、これはマニフェストといいますか鳩山政権として重点的に取り組んでいる課題について、マニフェスト事項も当然重点的な課題でありますから、そういう中でどういうものがアウトカム目標を設定して進めていくというもので国民の皆さんから見てもわかりやすいものかという点なども検討しながらできるだけ早く決めていきたいと思っております。
(問)これちょっと具体的なイメージとしてなんですけれども、今、鳩山政権でも重要だと考えている、例えば子ども手当という政策を政策目標とするとしたら、これはどういうような形の目標を立てるとか、どういうようなことを達成できたというふうな形で出すのか、何か一つ具体的なケースとして出すとすれば。
(答)マニフェストの事項はこういうことをやりますということが基本的には書いてあるわけであって、その結果こうしますというアウトカムとマニフェストは、若干書き方というか、我々の今まで訴えていたところは、少しアウトカムからすると違うわけです。ですからそういう意味では、アウトカム目標を立てるものとして、マニフェストの項目、例えば今おっしゃったような子ども手当などがふさわしいのかというようなことも、いろいろ今検討しているところであります。
 ですから、アウトカムとしてわかりやすいようなもの、やっぱりこれはある程度国民の皆さんにもわかりやすいものでなきゃいけないと思っています。例えば一つの一例としていえば、今の日本のひとつ大きな社会の問題は、毎年毎年3万人以上が自殺しているという状況がもう10年以上続いているわけであります。これは本当にそうなるかどうかわかりませんけれども、鳩山政権として、いのちを守りたいと、いのちを大事にするということからすれば、やっぱりこの自殺者の数を何か目標を立てて減らすために政府挙げて取り組むというようなことは、アウトカム、目標として立てやすくて、それが実現できたかどうかという評価も皆さんにもしていただきやすいわけであります。そういう意味ではひとつあるべき、そういう目標のあり方かなと思います。が、今どういうものを目標とするのかについては、わかりやすさとか、アウトカム目標を立てるものとしてふさわしいものとしてどういうものがあるかを今検討しているところであります。
(問)政策達成目標明示制度は中期財政フレームと連動させるというふうに書いてあるんですが、これは6月までにまとめる11年から13年の歳入歳出の骨格とあわせて3年間の政策目標をつくるということとは違うんですか。
(答)政策達成目標明示、要するにどれくらいの年次でアウトカムを目的にするかというのはいろんなバリエーションがあると思います。中期財政フレームとの連動というのは、最終的に、今我々が取り組もうとしているものが全部、一つすべて準備されてうまく動くようになって、全体として完全にルーチン化というか、何回もやるような状況になってきたらこういう状況にしていきたいというところであります。我々は今年に関していえば、政策達成目標明示制度は、先ほど申し上げたようにパイロットプロジェクト的にはならざるを得ないと思います。そういう意味では我々が今取り組もうとしている中期財政フレームとすぐ連動できる形になるかどうかというのは、今のところはっきりしていない状況です。ここに書いてあるのは、今年からすぐこうだというのではなくて、最終的にこの予算編成や執行プロセスが効率化され、無駄がない、本当に効率的な行政執行が行われる体制を目指して、一つ一つ改革を取り組んでおるんだと、御理解をいただきたいと思います。
(問)先ほどの消費税の関係ですが、特に目新しい話ではないというふうにおっしゃられたんですけれども、菅大臣の消費税の増税を含めた議論をするというのは、今ちょうど世界的なソブリンリスクが高まる中で、民主党政権も新たに財政的な健全性というものを明示し出したという意味でかなり高評価があった、理解されていると思うんですけれども、逆にそうではないという意味にもなってしまって、逆に市場にも国民にも失望感が広がってしまうような気もするんですけれども、それでもやはり目新しい内容ではないということなんでしょうか。
(答)我々はまさに財政の問題は、この財政の規律をどう維持するかということで中期財政フレームや財政運営戦略の策定というものの中で検討をしているわけでございますから、先ほど申し上げたように、この消費税の議論というのは、別に増税を議論するということを菅大臣は一言も言っておられないと思います。また税については、これは所得税や法人税あるいはほかの資産税も含めて全体を検討していかなければいけない。税負担のあり方については、どの税でどういう形の負担をしていただくとかというのは、これはトータルの中で見ていかなきゃいけない話であって、消費税だけが税金を上げるのであれば唯一の税であるというような、そういう最初から前提に立ったような議論を私たちはするつもりはありません。税制全体の見直しの中で、適切な税負担を求めていくにはどういう形の税制がいいのかと。同時にそこには、対応する支出のほうもあるわけでありますから、そこは徹底的に支出を、無駄をカットしていくという作業をしているわけでございますし、また消費税については社会保障の財源として位置づけて、年金制度を初めとした社会保障制度に対する国民の皆さんの信頼が失われている状況をそのままにしておいて、これを維持するために例えば消費税を上げさせてくださいというのではこれは全く国民の皆さんに理解は得られならいでしょう。ですから、やはりそこはきちんと年金制度を初めとして、社会保障制度改革の姿をきちんと示して、それに必要な財源が明らかになり、その財源をどこで賄うのか、そういう議論になって初めて消費税も含めてどういう財源でその部分を賄うのがいいのかという議論になってくるんだろうと思っています。
 そういう意味で私たちは議論を行っていきたいと野党時代から一貫して申し上げてきたわけでございまして、その流れの中で私どもは税調での議論がスタートするということであると思いますし、そのことを菅大臣は申し上げたということだと認識しております。
 繰り返しになりますけれども、財政の規律の問題については、これは従来から常に念頭に置きながら今までも予算編成も含め行ってきたわけでございます。今後とも今行っている検討会をはじめとして、財政に対する信認を失わないような努力は最大限続けてまいりたいと思っております。
(問)今のお話の関連なんですけれども、財務省が先般、来年度の潜在的国民負担率が2年連続で50パーセントを超える見通しになったという発表をしたんですけれども、このことの受けとめと、そもそも潜在的国民負担率についてはどの程度の水準が望ましいのかと。今おっしゃった社会保障の制度改革ですとか、それから財源のお話との関連でどういった水準が望ましいとお考えなのか、その点についてお聞かせ願えますか。
(答)そもそも国民負担率は、日本では非常に広く流布しておりますが、あまり世界的には広く共有されている概念ではないんですね。私はこの負担率という問題は、いかに、国民の皆さんが、自分の負担に応じた、納得できる受益といいますか公共サービスがきちんと提供されているかと。まさにそこは国民の政府に対する信頼や国民の行政サービスに対する信頼との関係で決まってくるものであって、一概にこれが低ければいいとか、あるいは高くてもいいとか、そういう数字の水準で判断すべきものではないと思っております。
 そもそもそういう国民負担率という、極めて日本特有の、ほとんどの外国では使われていない、これはもともと日本の旧大蔵省の時代につくり上げたそうした数字をもって、そこだけで議論するというのがいいのかどうかと。そこのところは、私は一つ問い直されなきゃいけないところではないかと思っています。
 やはりこの水準というのは、単に数字だけでいいとか悪いとかということが決まるものではなくて、あくまでもその負担とのいわば裏返しになっていく行政サービスや、あるいは受益、そうしたものに対する国民の信頼や満足度とリンクした形で決まってくるものだというふうに考えています。

(以上)