古川副大臣記者会見要旨 平成21年12月28日

(平成21年12月28日(月) 15:36~16:17  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 それでは今年最後の定例会見を始めたいと思います。
 今日は仕事納めですけれども、戦略室のほうはまだ30日に成長戦略の決定の仕事がありますので、明後日が仕事納めということです。多分皆様方にもお付き合いいただくのだと思いますが、年末までお付き合いをよろしくお願いいたします。
 今日は、先日25日に官邸で菅副総理と私と松井副長官とで行いました論説懇でお配りした資料を皆様方に御参考までにお配りしました。新政権の予算編成、今までとどう違う形でやってきたのか。その中で、国家戦略室がどういう役割を果たしてきたのかということを簡潔にまとめさせていただきました。
 特に、中で1枚だけカラーにしてあります、従来の予算編成の流れと今回の予算編成の流れの比較を見ていただくと、今回の予算編成というのが従来とは違って財務省の役割が非常に小さくなってきているという部分と、総理の直属の機関である国家戦略室と行政刷新会議が今回の予算編成の中で財務省とも協力して予算をつくっていく主導的な役割を果たしたと。
 昨年までですとほとんどがこれは少なくとも11月の段階までのところはもう官僚の世界の仕事で、12月になっていわば政治家の出番が出てくるというようなところでありますけれども、今回の場合は予算編成の当初から各省の政務三役、政治家中心に予算編成を行ってきた。そういう意味では、今回の予算は従来の政権であればできなかったであろう公共事業の2割近い削減、一方で社会保障関係費のほうを1割程度増やすという、そういう大きな予算配分の変更という中身も大きく変わりましたが、同時に予算編成の過程が大きく変わった、そういう予算編成であったということを、もう一度このお配りした資料で見ていただければと思っております。
 いよいよ年も迫りましてちょうど鳩山政権の100日も経過したところでございますけれども、私もこの100日を振り返ってみますと、一日一日非常に中身の濃い日々の繰り返しだったかなと思っております。中身が濃くて仕事が多かったので、あっという間の100日という感じもありますし、一方で中身が濃いので何年かたったようにも感じる。そういう意味では大変に重い100日でありました。
 振り返ってみますと、選挙の前から政権移行や、政権発足後どういう形で新政権を運営していくのか内々ブレーンストーミングはやってまいったわけでございます。その中で思った以上にできた部分もありますし、同時にやはり頭の中、紙の上でプランニングするのと、実際やってみるとなかなかそう思うようにいかない部分というのも、両方ありました。いずれにしてもこれが政権交代というものではないかと思いますし、この政権交代というのは私たちも初めての体験でありますけれども、これは今まで政権を担ってきた官僚の皆さんもこういう意味での政権交代というのは初めての体験でありますし、そしてまたそれを見守っていただいてまいりました国民の皆様にとっても初めての体験と。そういう中の100日間でございましたので、さまざまな試行錯誤はありました。その中にはいろいろ御批判いただく部分もあったかと思いますし、また同時に応援もいただく部分もあったかと思います。一つ一つ国民の皆さんの声やいろいろな御指摘には真摯に耳を傾けて、そしてまた来年に向けて、皆さん方からいただいた声も踏まえて新しい年をスタートしていきたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても鳩山総理も申し上げておられるような無血の平成維新というのはまだ始まったばかりでございます。これから4年間がマラソンだというふうに例えれば、この100日間というのは、ウォーミングアップして、いよいよスタートのピストルが鳴り競技場を1周して、ようやく年内の予算編成を終えて競技場から外に出たところかなというぐらいのところだろうと思っております。来年からがいよいよこのレースも本番になってくるのではないかと思います。長いこれからの道の中では、途中では心臓破りの坂もあるかもしれませんし、いろいろな困難があるかと思いますが、何とかこれからの長い道のりを走り抜けて、また競技場に戻ってきて、そして4年後の選挙のときに、もう一度国民の皆さんに判断していただけるような、そういう状況に向けてこれからも頑張ってまいりたいなというふうに思っている次第であります。
 特に今日は皆さんに御報告することはございませんので、私からの漫談はこれくらいにいたしまして、あとは皆さんから何か御質問等があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)国家戦略室と行政刷新会議についてなのですが、来年1月以降取り組む事項と、もしできればスケジュール感を含めて教えていただきたいのですけれども。
(答)国家戦略室も行政刷新会議も、ともに新政権でゼロベースで立ち上げた組織であります。私も立ち上げから携わらせていただきましたので、なかなか出来合いの組織と違って、つくり方からしてどうするのか、そういうところから議論があった話でありますから、この3カ月間というものを考えてみますと、組織づくりから体制をつくっていく体制の整備にかなり時間が削がれた部分もあるかなというふうに思っております。
 国家戦略室も行政刷新会議も、首相のリーダーシップを強化する、官房長官とともに三本の矢となって総理のリーダーシップを支える、そういう仕組みをつくっていくと。トップダウンの政策決定、意思決定を可能にする機関として、極めて重要な組織になるはずだと考えてまいりました。ですからそういう組織になるためには、短期間で成果を出すことよりも、きちんと将来にわたってこの組織が持続するような仕組みというものをやはりつくっていかなければいけない、政権が代わったらまたなくなってしまうというような組織であってはいけない、そういう思いで組織づくりをしてまいりました。たまたま行政刷新会議のほうは、事業仕分けで非常に皆さん方にも注目していただいたものですから存在感があって、一方で国家戦略室は存在感がないのではないかという御指摘もいただきましたけれども、私は刷新会議、国家戦略室ともに今後につながっていくための組織の基盤とはできたのではないかというふうに思っております。
 来年からはいよいよ刷新会議、国家戦略室も本格的な始動をしていくことになっていくと思います。まず国家戦略室につきましては、今回の予算編成でも本来のあるべき予算編成ですと、基本方針とかそういう方向性を示して、それに基づいて概算要求から実際の予算の査定作業とかそういうものも行われていくと。順序的にいえば、そういうものが続いていくわけでありますけれども、今回の場合は10月からスタートということでありましたから、そういう意味での方向を示していくのと、そして実際の査定作業をするといいますか、予算編成作業をするのが同時進行という形になりました。しかし来年は、1年かけて再来年度予算の編成ということになっていきます。この3カ月間に用意してまいったように、予算編成のあり方を抜本的に変えていく、その本格的な取り組みが来年度予算から始まってまいります。その予算編成過程のあり方の抜本改革をリードしていくあたりを、国家戦略室がとっていくということでございます。予算編成等のあり方の改革に関する閣議決定に基づいて、国家戦略室が具体的内容を指示するというふうに明記されました予算執行の監視チームを各省に設けるとか、政策目標の目標値を定め、モデル的に来年度から始めるなど、こうした予算編成のあり方の改革について、22年度からスタートするということで、既に今内々作業に入っておりますけれども、年明け早々にも、そういうものをまとめて指示をできるようにしていきたいと思っております。またこれまでの予算のあり方検討会などで確認をいたしました、来年前半に複数年度予算を視野に入れた中期財政フレームの策定や財政運営戦略、そうしたものの策定というものにも、年明け取り組んでいくことになろうかと思っております。
 また今度の30日に基本方針がまとまる成長戦略につきましても、それを具体的に肉づけし、来年前半にまとめていく、そこに向けての作業というものも行ってまいります。国家戦略室は、1省庁に任せていてはその省庁の縦割りの中でやれないものについて総合調整を行う、そういう役割も担っております。そこで、従来から取り組んでおります雇用や環境、こうした問題に加えて、さきの税制改正大綱の中でも示されました税制の中長期のビジョンを示す専門家委員会や、あるいは社会保障や納税の環境整備のための番号制の導入、年金制度を初めとする社会保障制度の抜本改革に向けての環境整備など、1省庁でやっていては話がまとまらないようなものについて、国家戦略室がまさに取りまとめ役、調整役をするような形で議論をリードしていくという作業が、来年にはスタートしていきたいと思っております。
 また行政刷新会議のほうでございますが、行政刷新会議のほうでは年明け早々にも行政刷新会議本体を開きます。事業仕分けの結果がどういう形で来年度予算に反映されたのかの報告と、今後行政刷新会議で取り組んでいく施策についての議論がスタートしていくことになると思います。まずはさきの経済対策の中に含まれている規制改革につきまして、主要事項を定めて、行政刷新会議の下、取り組んでいく。規制改革もこれまでなかなか省庁やさまざまな利害関係者、団体などの障害があって乗り越えてこられなかったわけでありますけれども、幼保一体化の話に象徴されるような、そうした規制改革の主要テーマについて取り組んでいく。さらに刷新会議のほうでは、今回の事業仕分けの中で明らかになってきた独法や公益法人の見直しを行います。そもそも独法や公益法人自体が必要なのかどうか、またこれら法人のもとになっている制度や仕組み、そして法人を運営する主体の存在のあり方そのもの、そういうところまでやはり切り込んでいかないと、我々が主張していた一般会計・特別会計合わせて207兆円の全体を見直すというところまでいかないということになります。今年行った事業仕分けは、制度とか主体の存在まではまだ手をつけない形の中での取り組みでありましたけれども、いよいよ来年からは制度そのものや主体そのものの見直しに取り組んでいくことが中心になっていくのではないかと思っております。
(問)これは30日に菅さんに伺えばよろしいのかもしれませんけれども、菅さんが年明けに閣僚を集めて合宿を開くというふうに言っていますけれども、これはどういう狙いか。あと誰が参加していつやるのか、その辺を教えていただけますか。
(答)ちょっとそれは私のところへ下りてきていないので、菅副総理に直接聞いていただいたほうがよいと思います。
(問)予算編成を1回実際におやりになって、今改めて振り返っていただきたいのですけれども、従来のシーリングというやり方、この仕組みについて、今実際1回経験された中で、この仕組みの是非といいますか、メリット、デメリットについていかがお考えになりますでしょうか。お願いします。
(答)シーリングというのが一定の効果があるのは事実だと思います。ただ同時に、シーリングというやり方をやりますと、要は問題の根本的なところには手をつけないで、表面上の数字だけいじる、そういうことに終わってしまいがちなのです。
 ですから先ほども申し上げましたけれども、やはり私たちは予算の表に出てくる数字だけではなく、その背景にある構造や制度まで手をつけていかなければいけない。そこに手をつけないと、税金の無駄遣い構造や、あるいはこの前の事業仕分けで明らかになった、いわゆる中抜き構造がなくなっていかないと考えております。安易にシーリングという手法に頼っていくと、そうした構造をそのまま温存した形で、表面上だけ実は予算が抑制されたかのように見えてしまう、そういう面があるのではないかと思っております。
 同時に、本当に必要なものとそれほど必要のないものも一緒にみんな一律でカットになってしまいます。ですから予算を大きく大胆に見直し、配分を大きく見直すこによって必要なところには手厚く予算を配分する。しかし優先度が低いものは大きくカットするには、シーリングという方法を使うとむしろやりにくくなるということもあります。
 ですから、シーリングのプラス面、マイナス面が両方あることを踏まえながら考えていかなければいけない問題ではないかなと思っています。
(問)先ほどお話があった戦略室で年明けから取り組むという社会保障制度の抜本的改革なのですけれども、この議論の進め方は、例えば関係省庁で作業チームのようなものをつくるといったイメージなのか、それとも有識者の方を集める予算編成のあり方検討会のような形なのか、どういう形で議論を進めていくかというイメージありましたらお願いします。
(答)この話は具体的にまだ副総理などとも議論を詰めている段階ではありませんが、やはりマニフェストでも、年金制度を4年間のうちに制度設計をしてということをうたっております。年金改革は私もずっと取り組んでまいったのですが、民主党案のベースになったスウェーデンの年金改革というのは、議論の段階からかなりいろいろな工夫をした、党派を越えたメンバー、政治家だけではなくて、各界の専門家なども入れて議論していました。私たちが目指す今の年金制度に代わる新しい年金制度をつくるというのは、相当制度設計のやり方を含めて工夫しなければいけないことだと思います。これまでもう10年近くにわたり年金改革の議論が、これだけ国民の皆さんの年金不信が強いにもかかわらず空回りしてきたということを考えても、今度やるときにはやはり空回りのないような形で議論をスタートさせ、そして結論を出していくということをしなければいけないと思います。どういう形で年金をはじめとして社会保障についての議論をしていくかについては、そのあり方も含めてこれは慎重に検討して決めてまいりたいと思っています。
(問)先ほどのシーリングの話とも関連するのですが、事業仕分けの予算への反映のときに、財務と行政刷新、菅さんのところで連名でペーパーを出されたときに、これぐらい削減できますと、金額ベースで各省に、各省シーリングのような形で示すことで、結果的に予算のでき上がりを聞いてみると、廃止になった事業でも名前が変わって復活していたりというものがいくつかあったりすると思うのですけれども、そのあたりの手法のやり方について、事業仕分けの効果は本当に反映できたのかというところを含めてちょっと御感想を伺えますか。
(答)先ほどから申し上げておりますように、事業仕分けだけですべてが解決する話ではなく、そのいわば事業の裏にある制度だとか、それを運営している主体の存在そのものなどまで手をつけて初めて問題の解決になるということであります。また同時に皆様にもいろいろ御批判をいただいたりした、実は廃止とか縮減になった事業の中でも、事業の目的そのものは問題があるというのは少なかったのですね。やっていることは一番末端では非常によいことをやっているのだけれども、そのやり方に問題があるから廃止・縮減になったというものがほとんどなのです。目的そのものが、例えば若者自立塾などというものはやらなくてよいという話ではなかったのです。やり方が問題ではないかと。
 ですから、名前が変わったのに予算がついているではないかという話については、私たちからすると、きちんとそのやり方を変えて、そして本当にこの目的に沿った、中抜き構造のない、できるだけその目的を一番効果的に実現できるような形でやるということであれば、それはそのことまで否定するわけではないのです。ですから名前が変わったけれども同じような事業が残っていること、そのこと自体で何かすりかえたというふうには私たちは思っていません。
 ただもちろんそういう事業もまた、これは仙谷大臣も申し上げていますけれども、常にやはり見直しというのは必要ですから、常日ごろ見直していかなければいけないということになると思います。同じような事業が名前を変えて予算の額も変わったけれども、残っているからというそれだけで問題だというふうには思っていないのです。よく中身を精査するということが大事ではないかと。
 同時に、まさに今回のいわば刷新会議の結果を受けてのこういう形でそれぞれの省庁に枠をつけたのは、シーリングとは違います。シーリングというのは一律にやるものですから。めりはりをつけてあのような形で枠を示していったと。
 今後のあり方としては、各省一律にシーリングをかけるというやり方よりも、もう少しきめ細かく、こういう事業についてはこういう形でもっと縮減できるのではないかとか、やり方については、来年以降一考の余地はあるのではないかと思っています。
(問)2点伺いたいのですが、1つは今回のこの予算の結果についていろいろお話がありましたけれども、最初民主党が選挙中もおっしゃった予算の組み替えということに関して言うと、非常に物足りない内容というか、組み替えというのが果たしてできたかどうか、かなり疑問な点が相当あると思うのですけれども、これについて先ほどの制度の問題もいろいろあると思いますが、戦略室を担当されたりしてどういうふうにお感じになっているのかというのが1つと、あと今後、特に戦略室で取り組んでいくことになると思いますが、消費税の議論について、社会保障を見直したりする中で必ず議論されることになると思いますけれども、いつごろどういうスパンでやられるのか。仙谷大臣が次の総選挙までに何らかの形で示さなければいけないというふうにおっしゃっていますが、この点についてはどのようにお考えなのでしょうか。
(答)皆さんの見方と我々の見方は違うのかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたが、公共事業を2割近くカットして、一方で社会保障のほうは1割近く増やしたと。これくらい大きな、いわば前年と比べて予算の配分が変化したような予算編成というのは、過去と比較していただければ、ないのではないかと思うのです。4年間でいえば、1年目の非常に限られた中では、確かに御指摘いただくような不十分な部分はあったかもしれませんが、しかし、コンクリートから人へという、大きな予算の配分の変更をしていく一歩は今回の予算で明確に見えてきたのではないかと思っています。
 そもそもこれは良い機会なので財政の役割について、少しお話しさせていただきたい。かつての高度成長期や日本が途上国であった時代の財政の果たすべき役割と、今の成熟社会、高齢化がこれだけ進んでいる社会においての財政の果たすべき役割というのは、根本的に変わっていると思うのです。かつてはそれこそインフラをつくっていくということが財政の中心的役割であった。しかし、高齢化社会、成熟社会の中で、しかも時代が大きく転換していく中で、公共事業に頼っていた人たちが農業に移っていくなど、人々が今までの生活とは違う生活あるいは仕事に移っていかなければいけない。今まで乗っていた船から次の新しい船に乗りかえなければいけない。勇気が要るリスクをとらなければいけない。当然みんながみんなうまく船を渡れるわけではなくて、渡り損ねて落っこちてしまったりする人もいるわけです。そういう人を見捨てるのではなくて、きちんと拾い上げて、新しい船に乗れるような手を差し伸べていく部分が、実はこの大きな大転換期であり、かつ社会が成熟した時代においては必要だろうと。そういう意味で財政の役割は何かといったら、社会的なセーフティネット、いわば年金制度、医療、失業対策などのセーフティネットを提供するところにあると思うのです。かつてのような社会的なインフラ、道路や橋を作るなどのインフラにお金をかけるよりも、財政に求められている役割というのは、こういう大転換期で成熟社会だからこそ、社会的なセーフティネットを提供するところにあると、国民の皆さんが求めていると思うのです。
 そういう意味では、今回一般歳出の中で初めて社会保障関係費が半分を超えたことについて批評などもございました。が、私からしてみると、逆に、本来であれば20年ぐらい前には社会がこうした状況に入っているにもかかわらず、今まで本来財政がやらなければいけなかった部分が一般歳出の中で半分にも至っていなかったということのほうが、いかに今までの予算配分が社会のニーズに合ってこなかったのかの反映であると思うのです。
 私たちは財政というものが、そういう形でセーフティネットを提供することまさに政府に求められることであり、政治の役割であると考えています。セーフティネットがあるからこそ人々は今まで乗っていた古い船から隣の船に飛び移る、そうした勇気が出てくるわけです。
 例えば下にセーフティネットもないところで空中ブランコをやれと言われて、やれないのを臆病者だと言えるのか。サーカスをやる人だって下にネットがあるわけです。逆にあるからこそ思い切ってアクロバットをやれるわけですよね。今まさに人々に求められているのは、古い船から新しい船に飛び移るという、その人にとって見たらこれまでの生活とは全く違うことをやる。例えば公共事業をやっていた人が農業などにチャレンジする。その人にとってみれば、言ってみればアクロバットをやるような話です。しかしそういうことをやってみようという勇気を与えるためには、セーフティネットというものが必要です。セーフティネットをきちんと用意することによって、それこそ今は大企業になっていますけれども、ソニーの盛田昭夫さんやホンダの本田宗一郎など、新しい産業の起業家をどんどん生み出し創業していくことにもなってくるわけです。皆さんの中で、今の仕事を辞めて、新しい事業をやろうという人たちがどれくらい出てくるか。しかし、今皆さんがこうやってペンをやっている限りは、10年たっても皆さんがソニーの社長やホンダの社長にはならないわけです。しかしそういう中から、リスクをとってもやろうという人が出てきたら、その中から新しい企業が生まれて産業が生まれてくる、そういう芽も出てくるわけですよね。
 新しい産業、新しい企業が生まれてくることが今求められていて、そういう産業や企業が成長すること、そのことが新たな経済成長につながって、その経済成長の果実が実は財政の健全化にもつながっていく。
 だからなぜ財政の健全化が必要なのかといったら、これは財務省的に借金を返す、少しでも庭先をきれいにしたいから財政の健全化が必要だということではなくて、今財政に本当に求められている必要なセーフティネットを提供するためには、その費用を賄えるだけの財政の状況でなければいけない。だからこそ財政は健全化を目指していかなければいけないと思うのです。コンクリートから人へというのは、もう少し専門的な用語でいえば、いわば社会インフラ、社会資本整備というところから、社会的なセーフティネットの提供へと大きく予算の配分を、財政の役割を転換していこうというところにある。私はその一歩は、今回の予算でしっかりと示すことができたのではないかと思っています。
 2番目の消費税の話、これは税調とも絡みますが、税調の税制改正大綱をもう一度またお読みいただきたいと思っております。それだけではなくて、民主党時代に私がもう一つまとめた、税制改革大綱とアクションプログラムを一緒に読んでいただきたいと思います。私たちは今の日本の税制は、消費税だけではなくてほかの税制も含めて全体的な見直しをしなきゃいけない、そういう時代にあると思っています。日本の税制の仕組みというのは、基本的に半世紀以上前のシャウプ勧告を受けた税制の骨格に消費税が乗ってきましたが、基本的にはシャウプ勧告を手直しした形でやってきました。しかし、今申し上げたように社会の構造は大きく転換していますから、新しく転換した社会に適合した税制の仕組みを考えていかなければいけないと思っています。
 ですから消費税だけではなくて、所得税、法人税、資産税などのほかの税制を含めて見直ししていこうと思っています。その中で消費税については、以前から社会保障の目的税という形にして、社会保障以外には使わないことを明確にした上で、消費税そのものの持っている逆進性などの問題については、消費税額控除のような形を導入してはどうかということも検討してまいりました。
 ですから、仙谷大臣がおっしゃったのは、消費税額そのものを上げるということをこの政権の4年間のうちにやることはありませんけれども、消費税のあり方そのものをどういう形にしていくかの議論はこの期間中も行っていくということだと理解しています。同時に私たちは、やはり消費税を社会保障のための財源というふうに位置づける以上は—これだけが財源ではないですよ、当然ほかのものも含めてなのですけれども、少なくとも消費税については社会保障の財源というふうに位置づけるとした上で、しかし同時に、その財源を必要としている年金制度や医療制度、その一方の社会保障制度の姿はどうなのだろうかと。そもそも年金制度や医療制度といった社会保障制度そのものに対する国民の信頼が失われている。そういう状況をまずきちんと立て直すというところがないと、ただ社会保障のために必要だからということで、消費税をもっと上げますよという話では、これではやはり国民の皆さんの理解も得られないはずです。そういう意味で私たちは、まずはやはり社会保障制度の仕組みをきちんと明確にしていく、その新しい制度の下でどれくらいの財政的な負担が必要なのか、ではその財政的な負担をどういう形で負担していくのがよいのか。保険料がよいのか、税制がよいのか、また税金だったら消費税がよいのか、あるいは所得税がよいのかとか、そういう議論をしていく。その中では当然消費税の議論も入ってきます。
 ですから是非そこは消費税だけの話ではなくて、ほかの税制を含めた議論にしていかなければいけないと思います。それだけではなく保険料や、社会保障制度全体を含めたものとして考えていただきたいと思っております。
 では皆さん、よいお年を。というよりは、まだ30日があるのですけれども、またお目にかかりましょう。

(以上)

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