古川副大臣記者会見要旨 平成21年12月24日

(平成21年12月24日(木) 14:49~15:13  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 それでは、記者会見を始めたいと思います。今後は、政務三役会議のブリーフィングは、政務官からやっていただくことにしますが、今日は先ほど、菅大臣部局の政務三役会議が終わったばかりですので、今日が最後ということで、私のほうから三役会議のブリーフィングはさせていただきたいと思います。
 まず今日は、今後の知的財産戦略本部の進め方について議論しました。新しい専門調査会の体制、人選等について意見交換を行いましたが、今日のところは決まっておりません。次に、新たなIT戦略につきまして、今後の推進体制や進め方について議論をいたしました。さらに、12月16日に開催されましたアジア原子力協力フォーラムの結果について報告を受けました。三役会議の協議は以上でございます。
 私のほうからは、せっかくの機会ですので、一昨日決まりました税制改正大綱について、そして予算編成が最終段階に来ている中で、国家戦略室の関わり方についてお伝えしたいと思っております。
 もともと、名前が「国家戦略」というものですから、大体何でも最後は国家戦略室がやるかのように皆さんも感じられているようなところがございます。実際は、国家戦略室設置の決定の中で、基本は税財政の骨格を示す、そして経済運営の基本方針を示すことが戦略室のメインのタスクです。その他、総理から指示された内閣の重要事項、政策に関して企画立案、相互調整をすることになっております。
 そういう意味では、やっぱり一番のポイントは、これまでの縦割りの予算編成または税制改正について、縦割りを廃して全体的な視点から骨格を決めていく。この辺は今まで財務省がやっていたところを、財務省にかわって決めていくことが中心になります。そうした、いわば国家戦略室の根幹の使命というものを、これまで、さまざまな形で果たしてまいりました。
 一つには、予算編成のあり方の改革です。国家戦略室では、予算編成の在り方に関する検討会を開催して、予算編成のあり方の改革の方向性を示しております。それに基づきまして、今年の予算から始めること、また来年度以降の予算編成において実施すべきものについて、中期財政フレーム、複数年度を視野に入れた財政フレームなど、予算編成のあり方の改革の中身について、閣議決定もしております。閣議決定に基づいて来年度の予算編成を行っており、今後ともさらなる編成のあり方の改革を実施をしていきたいと思っております。続きまして、財政に対する市場の信認確保に関する検討会を開催し、その議論の論点を整理いたしました。そうしたものを参考にしながら、さきの予算の基本方針もまとめました。来年、予算編成のあり方を改革していく、その中で財政規律をどう維持していくのかと、財政健全化も含めて、来年以降の予算編成の中でしっかり取り組んでいくと、そういう方向性も示しました。そういう意味では、私どもは予算の中身を変えるだけではなくて、予算編成のあり方そのものを、これまでのあり方から大きく転換をしていく、その一歩を踏み出す、そういう道筋をつくってきたわけす。また来年以降、さらにこの予算編成のあり方を大きく変えていく、そうしたガイドラインは、ここまでの段階で国家戦略室が中心になって示すことができたのではないかと思っております。
 また、税制改正につきましても、そもそも新しくできました税制調査会で総理が諮問を出されたわけですが、その諮問文の原案は戦略室で作成し、それがベースとなって諮問案になりました。また、この税制改正大綱の原案のドラフトにつきましては、これは財務、総務の副大臣以下の政務二役と私と入りまして、まさに政治家が中心になって起案をした。特に「はじめに」のところから、今回の税制改正大綱でお示しをした、来年度の税制改正をつくる具体的項目以前の部分については、国家戦略室、そして私が中心になって起案をさせていただきました。大きな納税者主権と、納税者の立場に立って税制を抜本的に見直していく、そうした考え方の部分、現状認識や、税制改正を行うに当たって、納税者の立場で税制全体を見直していく、そうした大きな方向性の部分です。また、税制調査会でのさまざまな議論を踏まえて、いくつか大きな政治的な判断をしなければいけない場合については、菅国家戦略担当大臣が会長代行として、藤井財務大臣、そして原口総務大臣とともに、三大臣会議で最終判断、方向性を示してまいりました。
 そういう意味では、11月の予算重点指針、税制、予算の基本方針を国家戦略室が中心となって立案をし、それに基づいて新たな経済対策や、第二次補正、そして来年度の予算編成という流れにつながってきていたわけでございます。またマニフェストのここの予算重点指針の中と同時に、そのときの予算編成に関する関係の閣僚委員会の合意に基づきまして、マニフェスト主要事項をどういう形で取り扱っていくかということにつきましても、国家戦略室のほうでヒアリング等を行い、関係大臣や副大臣、政務官の政務三役等での意見交換を行い、論点を整理し絞り込み、最後は総理の御判断をいただいて決めるという形までもっていったわけであります。
 予算編成の基本方針につきましても、国家戦略室のほうで起案をさせていただいております。皆さんの目からはあまり表だっては見えにくかったのかもしれませんが、年度内の予算編成を実現をするということは、もともと考えてみますと、この政権は発足をしたのがちょうど100日前の、秋ももう深まってからのころでございますから、去年までの、前政権までの予算編成というところから考えると、非常に時間的な制約がある中で、しかも、昨年までの予算編成のやり方とは全く異なるやり方で、予算の編成を行ってきた。さらには、税収の、当初見通しから10兆円という税収減が生じるというような、政権獲得前には全く予想していなかったような大変厳しい財政状況、経済状況の中での予算編成であるわけです。まだ最後の山はありますけれども、何とか年内編成で、そこのめどは見えるところまで来たと。そういう方向へ導いてきた国家戦略室の役割というものは大きかったんじゃないかと、その点については、私は自負をいたしております。
 そういう意味では、国家戦略室の一番の骨格的な、基本的な任務であります税財政というものについての骨格を示して、その枠内の中で、いわば私どもが中心になって、年度内の予算の作成に向けて努力をしてきている。今、最終のコーナーを回って、最後あと一むちか二むちを入れればゴールラインを超えられるかなというところまで来ているんじゃないかなと、そういう認識をいたしております。
 私からは以上ですが、何か皆さんから御質問はございますか。

2.質疑応答

(問)税財政について、まず簡単にお尋ねします。まず税制改正大綱ですけれども、マニフェストに掲げた政策をフルスペックで再来年度以降やっていく上では、今回の税制改正大綱は、その恒久財源を確保するものとしては、やはりちょっと心もとないのではないかといったような見方が強いかと思われますけれども、これは来年度以降、抜本的な見直しをさらに進めていかれるということだと思いますけれども、具体的に今回積み残した課題というのはどういうものであって、今後どういった切り口で作業を進めていく必要があるとお考えなのか……。
(答)それは税の話ですか。
(問)税制の話です。
(答)税制については、これはぜひもう一度、皆さんも機会がありましたら、今回の税制改正大綱をお読みをいただきたいと思います。今回の大綱は、これから鳩山政権の4年間において、どういう方向で税制の改正を行っていくかという、基本的ないわば哲学といいますか理念を示したことが私は非常に大きな意味があったんだと思っています。当然税をいじるということは、減税になる人もいれば増税になる人もいることですから、やはり税というのは相当丁寧にやっていかなければならない問題です。私たちは、そういう意味ではシャウプ勧告以来の税制のあらゆる項目について見直しを行っていきたいと、政権獲得前から考えてきたわけです。今回の税制改正大綱の中には、あまり長くなってもということで圧縮した部分がありますので、行間等も含めた方向性を理解していただくには、ぜひこの昨年、一昨年にまとめました民主党の税制改革大綱や、税制改革のアクションプログラムをあわせてお読みいただきたいと思います。これら方向性をもとに、いよいよ来年度から本格的な税制改革に取り組んでいくことになろうかと思います。  消費税の話だけに目がいきがちで、世の中の関心もそうであるというのは承知をしております。しかし、日本の税制の問題は単に消費税の問題だけでなく、所得税、法人税、相続税などの資産課税のあり方や金融課税のあり方、あらゆる税目について、本当に今までの基本的な仕組みでいいのかが問われていると思います。  また、税制の仕組みだけではなくて、その税制を執行していく、いわゆる納税環境の問題もあります。今回の税制改正大綱でも歳入庁という考え方を示し、また番号制度の導入というものもありましたが、やはり公平で透明、納得と。私たちは、特に納税者の視点、先ほどから申し上げておりますが、税制改正大綱で納税者の視点というものを一番の起点に置くんだということは、これまでの税制のあり方を考える視点としては、これは私は自画自賛するようでございますけれども、画期的な方向転換であるというふうに思っております。  従来は、税金というのは徴収をする側の視点で考えていた。これを税金を納める納税者の視点に立って、その視点で税制のあり方、仕組みも考えていこうとしている。公平・中立・簡素というのがずっと戦後一貫して言われてきた税制の基本原則であったわけであります。それは理論や税の仕組みを考える徴収する側からすると、非常に美しい税制になるわけでありますけれども、私たちは、そういう税理論としての美しさとか、誠実さということ以上に、やはり税金を納める納税者の立場に立って、税制は考えられなければいけないと考えています。納税者の視点に立ったときに、では何が原則なのかということで、公平・透明・納得という、この三原則を掲げ、これが今回の税制改正大綱の中でしっかりと位置づけられた。私たちは納税者の視点に立った形で、これまでの税制をあらゆる面にわたって見直していくという姿勢をお示しをしたわけであります。  そうした視点から、今申し上げたような納税環境の整備と同時に納税者権利憲章の制定もしっかりと明記をさせていただきました。税金については、もちろん納税の義務が課されているわけでありますけれども、義務がある以上は当然権利もあるわけでありまして、やはりこの納税者の権利というものを、しっかりと確認をしていく、これをお示しさせていただいたということも大きなことだと思います。  そういう意味では、私どもはこれから来年度以降、税制の仕組みはもちろんのこと、納税環境や納税手続きなどについて、すべてを納税者の視点というものをベースに置いて見直していきたいというふうに思っております。  所得税の見直しというものが、今回の議論の中でも一つの大きな議論になったわけでありますけれども、来年の中心課題として上がってくるところではあろうと思います。昨今、格差の拡大というものが言われておりますけれども、そういった意味での税制の所得再分配機能、これをどう回復していくか。さらには、今回の仕組みの中でも控除から手当へという、その一環での扶養控除の廃止、そしてまた子ども手当の創設というものがあるわけでありますけれども、これをもう一歩進めて、今までの所得控除を税額控除へ、また税額控除それだけではなくて、もう一歩進んで、給付つきの税額控除へと、そういう形まで進めていくと。納税環境などさまざまな環境整備も必要であります。ですから、同時にこの仕組みについても、時間をかけて議論をし、そして国民の皆さんにも理解をいただくような形でやっていかなきゃいけないと思っています。そういう意味では、この所得税の制度の抜本改革に、まずは着手をしていく必要が、あるんではないかと私は考えております。
(問)予算ですけれども、明日、臨時閣議で決定される見通しではありますが、予算の規模で、また95兆円ですとか言っている党も含めて、与党内の調整というのはこれから必要になるのかなとも思われますけれども、そのあたりの具体的な作業の進め方はどのようになりますでしょうか。
(答)今日は、5時半から実務者小委員会が予定されております。社民党、国民新党との協議を行って、その上で必要な手続きを踏んで決定できるように努力をしてまいりたいと思っております。
(問)そうしますと、それを受けて明日、基本政策閣僚委員会、予算関係閣僚委員会、そして臨時閣議と、そういったような流れになるということでよろしいでしょうか。
(答)そういう予定でおります。
(問)わかりました。もう1点だけ。今日、午前中に開かれましたけれども、雇用戦略対話。その中で労働界側あるいは経済界側から、いろいろと御提案とか要望等が出たんですけれども、例えば最低賃金の引き上げには、やはり中小企業の生産性向上ですとか、収益力を強化するための政策とあわせてやってほしい、進めてほしいですとか、あるいは今の政権が今後の成長分野として重視していらっしゃる医療、介護分野、あるいは子育て、保育の分野については、もっともっと規制緩和を進めてほしいというような要望ですとか、そういったものがございましたけれども、このあたりについて、今日の三役会議で何かしら議論はあったか、あるいは戦略局としてどのように受けとめていらっしゃるのか、そのあたりをお聞かせ願えますか。
(答)議論はありませんでした。私もその会議には出ておりません。実際にどういう議論があったか聞いておりませんので、今のところコメントは申し上げられる立場にございません。
(問)戦略室がまとめているものの最後に成長戦略があるかと思うんですが、2つありまして、1つは明日と見られている予算案の閣議決定と同じ時期にまとめていくという方向性で検討を進めているかということが1つと、あと、これまでの政権でまとめた16本の成長戦略とどのようなところで違い、特色を出そうということで、最終的な詰めを行っているか、この2点についてお願いします。
(答)すみません。大臣のほうから「予算が終わるまでは、成長戦略にはかかわるな」というふうに言われております。荒井補佐官に聞いていただけますか。

(以上)