古川副大臣記者会見要旨 平成21年12月1日

(平成21年12月1日(火) 17:09~17:32  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 では会見を始めたいと思います。まず昨日行いました菅副総理のほうの政務三役会議の御報告をしたいと思います。昨日は大変いろいろなことがあったものですから10分ぐらいしかやっておりませんが、確認いたしましたのは、今度の12月4日金曜日に行われます産業競争力懇談会に菅副総理が出ることを確認し、あとは経済情勢についての報告があったという程度でございます。
 次に、今日先ほど行いました仙谷大臣部局の政務三役会議の御報告でございます。ここにつきましては、昨日行政刷新会議第3回が行われまして、事業仕分けも先週で終わったわけでございますが、今後この取りまとめといいますか、事務局として事業仕分けのここまでやってきたことを、どういうふうに結果を取りまとめていくかという今後のあり方について少し意見交換いたしました。それと規制改革会議が今度12月4日金曜日に行われることになっておりまして、その御報告があったというところであります。こちらもちょっと時間の関係で20分ほどしかありませんでしたので、あまりいろいろと議論しているような時間はなかったというところであります。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日銀の金融政策について、今日の金融政策決定会合で10兆円規模の追加の資金供給の発表がなされましたが、かねてから政府のほうからも日銀に対して金融面からの協力を求めていたかと思いますが、この政策について受けとめを伺いたいのですけれども。
(答)今回の措置というのは、現下の厳しい経済・金融情勢に対応するものでありまして、潤沢に資金を供給するとともに、やや長目の期間の金利引き下げ効果というものが期待できますので、そういう意味では評価できるというふうに考えております。
 また同時に政府といたしまして、デフレ克服と確実な景気回復に向けて、今経済対策を取りまとめているところでありますので、この日銀の取組というのは私たち政府がとっている取組とも一致するものだという認識をいたしております。
(問)いわゆる量的緩和と呼ばれるものとは多少違う内容かと思うのですが、市場のほうでも失望感というか、円が再び高くなっているような状況もありますけれども、そういった点について、従来政府が求めていたと見られる量的緩和と違うような気もしますが、そういった点はどういうふうにお考えですか。
(答)いや、そもそも政府として別にそういうことを具体的に求めたとか、そういう事実はございません。
(問)経済対策の件ですが、ワーキングチームで会合をやっていると思いますが、現在補正予算の規模について2.7より上回る形で話し合われていると思いますけれども、規模感についてどういった状況になっているのか、その点について確認したいのですけれども。
(答)今日のまさにこれは閣議了解したことでございますけれども、現下の経済状況の変化に対応した、そうした第2次補正予算を策定するということを確認した以上でも以下でもございません。別に具体的な規模とかそういう話をイメージして置いているわけではありません。
(問)今の2次補正の作業チームなのですが、今日の議論の中で新しくまた円高対策等々も入ったことで、景気、雇用、環境に加えて、例えば福祉だったりとか地方だったりとか、そういう新しい柱についても検討されたとお聞きしているのですが、そのあたりの中身、どんな検討をされたかについて少しお聞かせ願えますでしょうか。
(答)ワーキングチームというのは、実務者協議会の話ですか。
(問)そうですね。社民党、国民新党といったものですね。
(答)新しい柱といいますか、これは従来から菅副総理も申し上げております、もともと雇用、環境、景気、こういうものをベースに考えてきた。そこに加えて、先週来からの急激な円高の進行というものがありますから、そういうものを踏まえた内容にしていこうということで議論があったわけであります。その中でもちろんいろいろな意見交換はございましたが、別に何か柱立ての議論をしていたわけではなくて、もう少しそこはどういうことがよいのかという議論をさせていただいていたというところであります。
(問)関連してこの作業チーム、ワーキングチームについては、明日以降のスケジュール感と、あとまた基本政策閣僚委員会へのかける時期の目途等についてもしお聞かせ願えれば。
(答)今日の閣議了解でも週内に対策を取りまとめるということが了解されておりますので、そこに向けて鋭意精力的に努力していくということになろうかと思います。
(問)先ほどの日銀の決定なのですが、これで日銀として金融政策としての対応は十分とお考えになるか、さらに追加の金融緩和、国債の買い切りなどを求めていくお考えはあるかということをお聞きします。
(答)金融政策について日銀が自らの権限でやられる部分については、日銀が自ら判断されることだというふうに考えております。大事なことは、日銀と政府が景気の現状、日本経済の置かれている現状について共通の認識を持ち、そしてそうした認識について必要に応じて意見交換、情報交換をしてきちんと意思疎通した上で、お互いそれぞれの役割を果たしていくということが大事だというふうに考えております。
(問)関連してなのですが、日銀と政府の今の景気認識です。「デフレ」という発言も、日銀総裁はかなり遅かったという指摘もあるのですが、政府と日銀の景気認識は今一致しているのでしょうか。
(答)私はそのように考えております。
(問)先ほどの追加経済対策ですけれども、2.7兆円を超える規模ということですけれども、財政規律の観点から赤字国債を発行してそれを穴埋めするということは、今のところ考えていないのでしょうか。
(答)もちろんこれはとにかくもともと大変厳しい財政状況の中で行っているわけでありますから、そこの部分はまさに効果のあるもの、景気に対してといいますか、今の経済状況に適したものを行っていくと。ですから我々は本予算も含めた全体としての流れの中で、今回の経済対策も考えていきたいと思っております。同時にここのところの急激な円高、それに伴ってくる景気の落ち込みというものにも十分配慮していかないと、結果的に経済がまた大きく落ち込みますとそれは税収の減にもつながっていくわけでありますから、そういう意味での先まで見た上での財政規律と、そして経済の回復を常ににらみながら財政運営についても考えていきたいと思っております。
(問)規制改革会議なのですけれども、これはどういったことをテーマに話し合われるのかお話しできる範囲でお聞きしたいのですが。
(答)規制改革は、なかなか今までの政権の中で進んでこなかったというのがあります。この前まで行っていた事業仕分けもそうなのですが、私たちが今やっている部分は、言ってみると破綻した会社のデューデリジェンスを行って、そういう意味で、この会社を再建するためにどうしたらいいかと考えている、その一環みたいものであるわけです。規制改革についても、言われていながらなかなか全然進んでこなかったものもあるわけです。ここまでも規制改革会議の皆様方からいろいろ御意見も伺ったりして、今まで議論してきたことでなぜ進まなかったのかとか、いろいろ検証をしているわけです。そういうものを踏まえ、今後どういう形でやれば、単に議論するだけではなくて実際に規制改革が進んでいくのか、まさに来年から、規制改革を言葉として言うだけではなくて実際に実行に移していく、やはりアクションが大事だと思っていますから、そのための道筋に向けてどういう形がよいのか、テーマ等を定めたりしながら、議論ができればというふうに考えております。
(問)関連して、その内容で特にこういうジャンルのものをこういうテーマでとか、あるいはそれを例えば来年のどのぐらいの時期までにだとか、その辺のテーマ、スケジュール感の部分は、今ある程度想定したものはあるのでしょうか。
(答)それはまさに会議で議論して決めることだというふうに思っています。
(問)政府と日銀の意思疎通のあり方について改めてお伺いしたいのですけれども、前回の日銀の決定会合の場で、津村政務官のほうから正式に意思疎通の場の立ち上げについて提案があったかと思うのですが、いまだにその発足されていない理由が何なのかということを教えていただきたいのが1点と、今回日銀が臨時の政策決定会合を開くまでの経緯としまして、円高が急速に進む過程の中で政府がかなりメッセージを発せられたというふうに理解しているのですけれども、個別に非公式に何らか日銀との間で意見交換を重ねられてきたのかどうか。また明日にも開かれると思われる鳩山首相と白川総裁の会見にはどういうことを期待されるのか。3点ほどお伺いできますでしょうか。
(答)政府と日銀との間でどういう形で意思疎通していくのか、そのやり方については今までもいろいろな考え方がありました。そのパターンの幾つかとして、例えば定期化もあるのかもしれないのですけれども、お互いにやり方について意見交換する中で、これは必要に応じて意見交換していきましょうという形になったわけであります。その一つの象徴が明日総理と総裁が会われる形で行われると理解していただければと思っております。
 今回の日銀がとられたことにつきましては、これは日銀が日銀としての固有の立場で、現在の状況を考えられてお決めになったものというふうに認識しておりまして、政府は政府としての考えで動いてきたということで、政府が日銀に対して何か要請したとかそういうことはございません。
(問)今のお答えで確認ですが、日銀との意見交換というのは定期的なものではなくて必要に応じてやるということで、今後の意思疎通のあり方についてはもう決まったということですか。
(答)決まったというか、これは日銀法にも政府と日本銀行は意思疎通を行うということが定められているわけでありますから、まさに法に基づいて必要なときに必要な意思疎通を行う、それ以上でもそれ以下でもないということですね。
(問)定期化とかそういうものはないということですよね。
(答)何をもって定期化というのかわかりませんが、今申し上げましたように、とにかく日銀法の書いてある趣旨に基づいて政府と日本銀行との間で意思疎通するということのそれ以上でもそれ以下でないということです。
(問)補正の件で確認なのですが、規模について5、6兆円と言っている社民党とか、11兆円とおっしゃっている国民新党とか、だいぶ差があるようなのですけれども、この点について週内にもまとめるということですが、認識に相当差があるようですけれども、ここはどういうふうに埋めていくお考えなのでしょうか。
(答)それは今日も議論させていただく中で、どういうことを具体的な対策として行っていくか、そういうところで、金額ありきという話ではないと思うのですね。私は常々申し上げているように、皆様方すぐ数字のほうばかりに目が向きますけれども、大事なのは数字ではなくてやはりその中身というものが大事であって、その中身を詰めていく中で、数字というのは最終的にその中身が詰まったことによって結果的に出てくるものであって、数字が先にあってそれに合わせて中身を詰めるようなものではないというふうに思っております。私たちとしてはそういう内容を詰めていく中で、最終的に規模も決まってくるものだというふうに認識いたしております。
(問)経済対策に盛り込む事業の項目なのですが、要はエコポイントの延長みたいに、来年度の予算に入れるものを頭出しというか前倒しで見せると、そういう内容になっていくのが中心なのですか。要は来年3月までにお金を使うという話なのか、それとも来年4月以降にやることを対策として打ち出して、その部分は来年度予算では削るとかそういう発想なのか、そこはどうなのでしょうか。
(答)私たちが今の経済状況の中で大事なことは、やはり切れ目なく今の経済状況に目配りした経済運営、そして政策を行っていくということだというふうに考えております。そうした視点から必要な政策についてまとめていって、そして実行できるものは直ちにでも実行していくとの考え方でおります。そういう意味では今回の対策、2次補正から来年の本予算、それは一体的な中で考えているということであります。
(問)今のお話の関連でメニューについてお尋ねしますけれども、今の政権の方々があまり上策だというふうにお考えではいらっしゃらない公共事業についてなのですけれども、やはり、切れ目なくという意味では、来年度の本予算で予定しているものですとか、あるいは耐震改修工事ですとか、いずれはやらなくてはならない工事、そういったものを前倒しでやるということは十分検討に値するのではないかなというふうに思うのですけれども、そのあたりはいかがなのでしょうか。
(答)まさにそれはおっしゃるように全体の中で見ていきますから、そういう中で項目は考えていくということでありまして、対策に一切全く公共事業がないとか、あるいはすべて公共事業であるとか、そういう極端な話は考えておりません。そこは全体の中で、どういうところでどういうことをやるのが一番適切なのかということはあります。
 ただ、ここは菅副総理も常に申し上げておりますように、やはり事業をやる以上はその効果が大きいもの、限られた財政資源の中で行う政策でありますから、できる限り、1使ってもその乗数効果が大きくなるような、やはりそういったものを考えていかなければいけないというふうに思っております。そういう視点から政策を選んでいくということになりますので、そこのところは私たちは公共事業などもそういう視点から物事を見ていくというふうに御理解いただきたいと思っております。
(問)一番最初に箱物と公共事業を除外したと思うのですけれども、あの方針自体は変わらないということでよいのですか。
(答)基本的には変わっておりません。はい。
(問)確認なのですけれども、これまで経済対策の検討チームの中で各省から要望額というのは聞き取っていらっしゃるのでしょうか。
(答)一応それは聞いていますけれどもね。
(問)現段階では積み上げの数字でしかないと思うのですけれども、どのぐらいの規模なのでしょうか。
(答)積み上げはそもそもしておりません。それは皆さんが事業仕分けの事業が出たときに「これを積み上げたら幾らになるのですか」と聞くのと同じで、一々カウントなどはしておりません。最初から申し上げているように、最終的に中身がまとまって、そしてこれについてどれくらい必要かというのは、まさに検討していって決める話ですから、最初に出てきたものを積み上げた数字というのは私たちは別に何の意味もないと思っています。
(問)先ほどの質問でも財政規律の観点から赤字国債を発行するのかどうかという質問があったのですが、その観点で特別会計の剰余金であったりとか、そういったものを活用していくという考えについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)予算というのは、別に2次補正と本予算とで分かれるわけではないわけですから、借金の額だってそこから分断されているわけではありませんから、今度の2次補正だけでなくて本予算も含めた、トータルの中でどうしたら財政規律というものを維持でき、かつ市場の信認というものを維持できるのか、そういう視点から考えていきたいというふうに思っております。

(以上)