福島内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年3月5日

(平成22年3月5日(金) 9:25~9:48  於:消費者庁4階会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。本日、新聞に畑作のカドミウムの件が載っておりました。この件について、消費者庁としては重大なことであるという認識を持っています。というのは、カドミウムがお米であれ、野菜であれ、例えば土壌がそれを含んでいるということであれば、これは健康にとって、命にとって重大な問題です。
 ですから、この問題に関して、消費者庁は大きな関心を持って、最後までフォローしてまいります。まず、この点については、もう今日すぐに、今、消費者庁次長と審議官が厚生労働省に出向いて調査結果を至急点検し、評価を行ってくれということをきちんと話しにまいります。
 つまり、この件というのはどういう問題かというと、環境省が調査をしたにもかかわらず、それを厚生労働省の審議会に送らなかったと。ですから、厚生労働省としては、お米については基準を設けるけれども、野菜というか畑作については設けないということになった。環境省が持っていた調査結果を厚生労働省が持っていたとすれば、米のみの基準見直しという結果が変わったかどうかということがポイントです。ですから、これはそもそも環境省がなぜこの調査結果を送らなかったのかということがあります。
 消費者庁としては、環境省と厚生労働省と2つあるわけですが、まず環境省に対しては、この調査結果を速やかに公表すべきだということを言います。それから、環境省は調査結果を国民にわかりやすく説明する必要があると。なぜ出さなかったのかということも含めて、きちんと環境省はわかりやすく説明する必要があるということを申し上げます。
 それから、厚生労働省は、新聞のコメントによれば、この調査結果を持っていればよかったということを担当者がおっしゃっています。そうすると、厚生労働省に関してこの調査結果の点検を求めていくということをやっていきます。
 ですから、消費者庁としては、もう既に次長と審議官が、厚生労働省に向かっていると思いますが、厚生労働省に対して調査結果を至急点検して、この点の評価を行い、説明を国民に対してきちんとしてくださいということを求めます。
 繰り返しになりますが、環境省に対しては、調査結果を公表し、わかりやすくこの経過を国民に説明してくださいということを申し上げます。これは、今後その説明結果や中身の点検ということになりますが、消費者庁は大きな関心を持って最後までフォローしてまいります。必要があれば、逐一御説明を申し上げます。
 つまり、これは環境省と厚生労働省の間でわからなくなっていた問題というか、環境省と厚生労働省に消費者庁はきちんと説明責任を求め、どうするのかということを言いながら、最後まできちんとフォローをしてまいります。この結果については、また逐一御説明を申し上げます。
 ただ、やはり個人的にはびっくりしまして、これはお米だけでなく野菜についてのカドミウムということで、やはり消費者の権利、食の安全という観点から消費者庁は頑張ってやってまいります。
 それから、3月8日は「国際女性の日」です。これは1910年に提唱されてから、何と今年はちょうど100年目という節目の年です。この100年間、まさに日本でも世界でも、あらゆる分野で女性の地位は大きく向上しました。この国際的な動きに合わせて、我が国においても100年間いろいろな動きがあったと思っております。
 ですから、私自身もこの100周年に当たって、国会の情勢が許せば、国連の主催する会議や日経ホールで行われる集会には、これは夜ですから出席をいたしますが、「国際女性の日」ということで、この100年間における女性の地位の向上は世界でも日本でも本当に目を見張るものがあり、次の100年に向かって、本当に女性差別ということが昔の物語になるように取り組んでいきたいと思っております。
 男女共同参画担当大臣として、また、節目の100年頑張るぞという決意を申し上げます。
 言うまでもなく、65年前までは、女性の選挙権、被選挙権は日本にはなかったわけですし、それから、戸主権というのもありましたし、子どもの親権も女性は持っていなかったと。ましてや妻は無能力者であると民法に規定があって、女の人は結婚するとこういう無能力者になって、裁判も起こせなければ、いろいろな財産の処分権もないという、妻は無能力者であるという民法の条文を大学で勉強したときに本当にびっくりしましたが、そういうことから本当に随分変わってきたと。しかし、まだまだ女性差別も不平等もあるわけで、それの解消に向けて、これは女性にとっても男性にとっても必要なことなので、男女共同参画担当大臣として頑張ってまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどおっしゃられた厚生労働省と環境省への要請ということについては、これはあくまで要請という形で、権限を行使してという形ではないということですか。
(答)まず、この調査結果を専門的にもきちんと精査をする必要があり、でもやはり消費者庁が説明を求めるというのは、これは権限に基づいてですので、まず厚生労働省については環境省から資料を入手し、米のみの基準ということを見直すかどうかということをやってくださいと言うわけです。
 そして、環境省に対しては、これの調査結果を情報開示し、なぜ情報開示をしなかったかということも含めて、国民に対してきちんと説明をすべきだということを言っていきます。これは消費者庁の権限として申し上げます。
(問)普天間問題についてなんですけれども、総理が3月中に政府案をまとめるということを昨日言われましたが、そのことについてどういうふうに思っていらっしゃるかということと、あとは、官房長官がルース大使と会談されましたけれども、そのことについてどういうやりとりがあったのかというような説明を現段階で受けていらっしゃるかお願いします。
(答)まず前者なんですが、これは3月末までに結論をまとめるということの真意を総理に直接まだ聞いていないので、どういう形なのかはちょっとまだわかりません。これは一つに、松野副官房長官と今日ちょっと話をしましたら、一つに絞るというのではなく幾つかと聞いておりますので、これについては、私は、一言で言えば、やはり重大なのは時間的なタイムリミットではなく中身なので、5月末という結論に向かって、拙速ではなく、きちんと中身について3党で協議をしてまいりましょうと言いたいと思います。
 ルース大使と官房長官が会った件については、昨日朝7時ぐらい電話で話をし、今日も閣議後に話をいたしました。ルース大使と会ったことは事実であり、しかし、中身について場所を具体的に挙げたりということはないと説明を受けました。
(問)それに関係して、昨日、重野幹事長が検討委員会の開催を小沢幹事長に与党幹事長会談で求められました。福島党首としても、やはり検討委員会は今後も開いていくべきだとお考えでしょうか。
(答)私も全く同じで、社民党党首として検討委員会を開いていくべきだと思っております。もちろんその中身がどういうのかということに関しては微妙なときもあるかもしれません。しかし、検討委員会が開かれないと、政府の中でやっていることがブラックボックス化してしまって、本当に3党の協議に基づいてやっていくということがだんだん薄れてしまうのではないかという危惧を持っております。これはやはり3党でやっていく、3党で協議をしていくということが大事なので、検討委員会はきちんと開かれるべきだと思いますし、社民党としては開催を求めていきます。
(問)それにもう一つ関係して、検討委員会を開いて、そして社民党、国民新党それぞれの委員からの案を提出する場とすべきだということでよろしいのでしょうか。
(答)基本的にそうです。
(問)今日、閣議後に福島大臣は10分ほど残られて官房長官とお話しされているかと思うんですけれども、どういったことを話されたのでしょうか。
(答)ですから、普天間基地の問題でルース大使に会われたことの中身についての確認と、もう一つは、地球温暖化防止基本法のことに関してどう盛り込むかとか、原子力についてどういう記述にするのかということについての意見交換です。協議です。
(問)温暖化防止法についてはどのような要請をして、それに対して長官からはどのような回答があったのでしょうか。
(答)今この問題については2点ありまして、地球温暖化防止基本法を骨抜きにせず、実行性のあるものにするべきだということで、キャップアンドトレードをきちんとすべきだとかいろいろな点は社民党として要請をしております。そちらの話を事前に官房長官には言っておりますので、今日は主に原子力についてどのように扱うかという点についての協議です。まだ協議の途中です。
(問)具体的に原子力の推進の文言を入れないでほしいという要請をされたということでよろしいのでしょうか。
(答)そうですね。
(問)今の地球温暖化に関してなんですけれども、民主党内には温暖化対策として、原子力、原発推進ということを求める方もいらっしゃいます。今、長官との協議中だとは思うんですけれども、今後、閣議決定法案提出の期限が迫る中でどういうふうに対応していかれますか。
(答)ですから、これは民主党の中でもさまざまな意見があり、世界の中でも日本の中でもいろいろな意見があります。地球温暖化防止のために原子力発電所が切り札になるどうかということについては両方意見があり、社民党はそれは問題であると考えております。ですから、これについては協議中です。
(問)関連してですけれども、当面、原子力に一定程度力を借りないとCO2排出削減にはつながっていかないのではないかという意見が根強い中で、社民党の考えはよくわかるんですけれども、ではその代替案があるのかと、どこまで新エネルギーで対応できるのかと、その当たりの提示が非常に弱いという指摘がありますが、いかがでしょうか。
(答)ただ、もう一つ、なぜ地球温暖化防止基本法が出るかというと、人々は環境問題に本当に心を痛めて、なぜそのことをみんなが関心を持つかといったら地球の環境を守ろうということだと思うんですね。ですから、CO2のこともさることながら、やっぱり原子力発電所は生成途中はいいのですが、放射性廃棄物が出るという問題に関して、なかなか長期間そのことを守っていけるのかということもありますし、地震大国日本における耐震基準の問題などもあります。
 ですから、環境問題ということに関心を持つとすれば、社民党はどんどん良いですよとはならないと。ただ、社民党の考えは新規建設はやめるべきで、今ある原子力発電所は耐久年数が何十年とありますよね。それについては今すぐやめろというわけではなく、今すぐやめても電力の需給ができませんから、社民党としてはどんどんつくるというのではなく、今ある原子力発電所は、耐久年数はやむを得ないというか仕方ないというか、実は現実的な考え方で提言をしております。
 CO2削減について原子力をという考え方は、やはり耐震基準における危さだとか放射性廃棄物が出ることの問題点など、環境負荷の部分が別の意味で高まることを無視していると私は思っております。ですから、やはり自然エネルギーや一時的に天然ガス転換やいろいろな形でやるべきで、ここで大きな切り札として第1番目にやるというのではないと思っております。
 ですから、これは社民党は原子力という言葉を入れないでほしいと要望しているわけですが、どういう形になるか、これは粘り強く交渉して、現在協議中です。
(問)検討委員会の件でもう一回確認なんですけれども、政府案ができるまで、あと日米交渉に入ってからも定期的に検討委員会をずっと続けていくべきだということなんでしょうか。
(答)これは基本政策閣僚委員会でも検討委員会でもいいのですが、要するに、政府が交渉していることがブラックボックスになって、3党できちんと協議をし、了解をしながら進むというのではなく、例えば、極端に言えば、最後に基本政策閣僚委員会にこれでアメリカも合意をし、これで決まりましたと出ると、それは困ると思っているわけです。これは連立政権ですし、きちんと3党で協議をしていくということが何らかの形で担保をされるべきだと考えております。
(問)それは検討委員会ではなくてもいいということなんですか、その担保されるものは。
(答)ただ、検討委員会があれば、やはりそこでいろいろな話がきちんと出るわけですから。ブラックボックス化することは困ると思っております。ですから、検討委員会が今の段階ではベストだと考えております。
 カドミウムの件は、消費者庁が頑張りますので、ぜひよろしくお願いします。
 大変遅れましたが、先日はぶらさがりだったので、これを見せることができなかったのですが、3月を自殺対策強化月間にして、3月1日、新橋の駅で「お父さん眠れてる?」という小さなチラシの入ったティッシュペーパーをいろいろな人に配りました。これは「お父さん眠れてる?」というので、疲れているのに2週間以上眠れない日が続いている、食欲がなく、体重が減っている、もしかして「うつ」かもというので、「お父さん眠れてる?」キャンペーンをやっています。
 それから、自殺対策強化月間「いのち」、あなたの問題解決を支援するための相談窓口が全国にあります。この下に、「気づき」、「共感」、「つなぎ」と入っているんですね。この2つの大きなポスターとチラシなどでキャンペーンをやっていきたいと思っています。駅とか車両に貼ってもらったり、のぼりをつくって大臣室にも置いているんですが、本当にキャンペーンをやって自殺に追い込まれる人を少しでも減らしたいと思っています。
 3月が1年間で自殺に追いやられる人が一番多いと。年度末なので、卒業式や入学式、転勤あるいは配転、いろいろなことがあり、その意味で3月を自殺対策強化月間にして自殺者を減らしていくようにやってまいります。
 これは内閣を挙げてやっております。経済産業省が中小企業庁を中心に中小企業の皆さんへの相談を強化するとか、厚生労働省もそうですし、国土交通省もそうですが、JR東日本などもキャンペーンをやっていくということで、内閣を挙げてやっております。何を効果というかわかりませんが、自殺をなくし、かつ内閣のそれぞれの役所で連携をとりながらやっていきたいと思っています。
 昨日、参議院の予算委員会で連帯保証人の制度の見直しが議論になりました。法務省がやっている債権法、民法に関する改正の中で、連帯保証人の制度についての見直しも入れてもらいました。これは命を守るプランの中に入っているもので、内閣を挙げてすべての大臣がこの自殺の問題に関心を持ち、変わっていくようにと思っています。
 最近、中学校の女の子が自殺をしたという痛ましい事件があり、これはまた文部科学省も子どもたちの自殺をどうやって本当に食いとめることができるのか一緒に、いじめが原因だと報道されておりますが、いじめが原因かどうか、そういうものも含めて、警察を始め、文部科学省にも国土交通省にも厚生労働省にも経済産業省にも、あらゆる役所で、本当にみんなで力を合わせて、この命を守る、自殺する人を、自殺に追いやられる人を本当に減らしていくための施策をしっかりやっていきたいと思っております。
 長くなってすみませんが、自殺というのは、自分には関係ないと多くの人は思うと。自死遺児の子どもたちや家族に聞くと、みんな「まさか」とおっしゃるんですね。自分と自殺とか自分の家族と自殺というのはあまりつながっていないんだけれども、まさかと思ったと。ですから、「自殺」というと、みんなは私とは関係ないと思ってしまうかもしれないので、「お父さん眠れてる?」ということであれば、ちょっと自分にも関係あるかな、お父さん最近疲れているなとか、自分の身近な問題としてこの「気づき」ということですが、気づいて、共感してつないでいくということになるのかなと思っています。
 これ、お母さんにしていないのは、「お父さん、お母さん眠れてる?」なんですが、30代、40代、50代の男性の自殺者がやっぱり多いということがあって、「お父さん眠れてる?」キャンペーンで、「気づき」と「共感」と「つなぎ」で気づいてもらうというところのキャンペーンをやっていきたいと思っています。
 3月中のこのキャンペーンもぜひ御協力をよろしくお願いします。

(以上)