原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年9月17日

(平成22年9月17日(金) 9:34~9:53  於:会見室)

1.発言要旨

 閣議後の会見を始めさせていただきます。
 内閣改造ということで、全員が辞表を提出をいたしました。昨年9月に総務大臣、それから、地域主権担当を拝命して、一年とちょうど一日になります。今日にも内閣改造があると思われます。長い一年でございましたけれども、皆様に大変お世話になりました。
 いろいろなところで改革の道筋を作ることができました。安心・安全の消防、そして、地域主権改革、光の道を中心とする情報通信改革、世界に開く私たちの、例えば、地上デジタル日本方式、行政評価の徹底で、徹底的に無駄の排除、そして公務員制度改革をはじめとする人事の管理。たくさんの改革を前に進めることができました。しかし、地域主権改革三法、あるいは放送法、そして、郵政の改革法案、まだ実を結んでいないものもあります。そういう意味で、次にこの総務大臣のいすに座る人に、その改革を強力に前進をしていただきたい。また、そのために私も、どのような立場になろうが、しっかりと支えていきたいというふうに考えています。
 記者クラブを中心とするメディアの皆様を通じて、国民の皆様に心からお礼を申し上げます。政権の交代、それは、依存と分配の政治を変えるということでありました。言論のとりで、ICTフォーラムというものも作らせていただきました。民主主義の基本である、自らが自らの地域を作り、そして、自ら政治に参加することによって、地域を、そして国を、そしてきずなを、社会を強くする。そういう試みに、多くの皆さんが御協力をくださいました。税調の会長代行としても新しい公共をはじめとする、あるいは地方の大きな税制、地方交付税を1.1兆円増やすことはできましたが、法定率にまで踏み込むことはできませんでした。ぼったくりバーと言われた直轄事業負担金、これも事務費の部分を無くすことができましたが、それは、まず初年度でした。地域主権戦略大綱、まとめ上げたとおり、実際の変革は一歩も、そして、1秒たりとも停滞を許されるものではありません。現下の厳しい国民生活の現状にかんがみて、更に強いリーダーシップをふるって、そして、日本を立て直し、国民の生活、暮らしの安心を勝ち取ってまいりたいと、このように考えています。この間、世界にも随分足を運びました。多くの世界の友人の皆さんとの共同プロジェクト、NICTを中心とする情報通信のプロジェクトも、今走っています。脳と情報通信の融合プロジェクト、あるいはアメリカのFCCとの4つのプロジェクト。オーストラリアやインド、そして、アジアとのプロジェクト。そして、南米を中心とした地デジのプロジェクト。先ほど幹部がアフリカから帰ってきましたけれども、様々な国々との共同プロジェクトをしっかりと前に進めて、ここは、昔は内務省ですけれども、内務省の仕事だけをしているわけではなくて、国を開く情報通信省としての大きな役割もございました。その中で、大変ハードな日程を、松田会長をはじめ多くの皆さんが御一緒していただいて、そして国民にしっかりと真実の姿を伝えてくださいました。多くの時差の壁も越えていただいたり、朝早くから夜遅くまで本当に大変な、皆様の伝える努力、正確に報道する努力に重ねて感謝を申し上げ、この場を借りて、一応、第一次菅内閣の結びとしての、私の、皆様への感謝と、そして、これからの決意に代えたいと思います。
 ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)日本経済新聞の林です。
(答)お世話になりました。
(問)お世話になりました。幹事社から、冒頭1問お伺いします。大臣の冒頭のお話とも重なってくるのですが、本日ですね、内閣改造が行われる見通しだということで、第一次菅内閣が本日をもって総辞職をしたということに絡めてですね、今、大臣から、一年を振り返っての御発言があったのですが、光の道構想であったり、地域主権改革、ICT権利保障フォーラムの議論もまだ最中、渦中だということで、いろいろ議論はまだ終わっていない、結論が出ていない事案というのが多々あると思うのですが、その中でも特に、大臣としてやり残した課題、これだというものを1点挙げていただければ、教えてください。
(答)そうですね。一番はやはり言論のとりで、ICTフォーラム。最初は日本版FCCという話になったのですが、そうではなくて、しっかりとした言論の自由、報道の自由、表現の自由、そこのところは、まだ制度まで見えてこなかったですね。これはゆっくり、憲法、人権にかかわることですから、しっかり御議論いただくということで、これは前から予定していたことですけれども、そこのところは引き続き見守ってまいりたいと思います。後については、ビジョンを示し、そして、一定の方向性を付けましたから、逆に、それを実現できる人たちに、強力に進めていただければ有り難いなと思っています。
(問)北海道新聞の中村です。今、大臣、冒頭でもおっしゃったのですけれども、地域主権改革について伺います。これは、かなり長いスパンで取り組まないといけない課題かと思うのですけれども、仮に一年で大臣が代わられた場合、政策の継続性はというのはどのように担保されるのでしょうか。また、もう1点。今ですね、次期総務大臣として、片山前知事が有力視されていますけれども、政治主導というのを前面に掲げている民主党が、敢えて民間の方を選ぶということにそごはないのかということを伺いたいと思います。
(答)前段については答えられますが、後段は仮定の話なので、私が述べられるものではありません。前段については、地域主権戦略大綱、それから、国と地方の協議の場、もうこれは実質化しています。そして、地域主権三法についても、これは継続審議という形に法文化しているわけです。こういった中で前に進めていただきたい。更に言うと、その先には地方政府基本法というものがあったわけです。つまり、地方自治の憲法と言われる地方自治法、これの抜本改正。これも議論がもう煮詰まってきたところですから、後は、その議論の方向性に向かって、しっかりと実行あるのみというところだと思います。地域から様々な、本当に活動的な芽が吹き出してきました。私はよく大阪を言うのですけれども、大阪だけではないですね。四国もそうだし、九州も、東北も、北海道も、いろいろなところで大きな芽が吹き出してきました。一つ心残りなのは、夕張を中心とする、やはり非常に厳しい立場にある地域、もちろん過疎法はできましたけれども、新過疎法の改正を国会が作ってくださいましたけれども、現実には、地方はまだ相当厳しい状況です。地域主権改革というのは、何も東京から離れたところをよくする改革ではなくて、東京そのものの生活、都市部そのものの生活も、しっかりと豊かにする改革なのだということが、大分御理解いただいてきたのではないかというふうに思います。
(問)西日本新聞の山本です。
(答)おはようございます。
(問)昨日、民主党の幹事長に岡田外務大臣の起用が決まったのですが、これ、いわゆる脱小沢路線の一環だというふうに受け止められていますが、その点についてどう思うかということと、あと、仮に御自身、原口大臣がですね、第二次改造内閣の閣僚から外れた場合、それも脱小沢路線の一環だとお考えなのか。どうですか。
(答)岡田さんが脱小沢というふうに見るかということですか。それは、見方によるのだろうなというふうに思います。もともと岡田さんと小沢さんは、新進党という形でやってきて、それを小沢さんが壊す過程も見ていますし、その後、民由合併で一緒にやる過程も見ていますので、それは、一概には言えないのではないかなというふうに思います。
 私が外れたから脱小沢かという質問については、仮定の質問ですから、外れないように頑張りますと言うこともできないし、何とも答え難いものであります。
(問)中国新聞の荒木と申します。先ほどの地域主権改革で若干質問をします。これからですね、実行あるのみと、さっき大臣がおっしゃいましたけど、おっしゃったとおりで、一括交付金化とか、出先機関の見直しも含めて、これからですね、霞が関を敵に回すような、非常にハードルの高い改革が待ち受けていると思うのですけれども、1年間振り返りつつ、その辺りを実行するために、こういった課題がある、ここを乗り越えないといけないというのを、是非教えて頂きたいのですが。
(答)正直、半年、1年前には、できるかなと思っていたこともできてきた。直轄事業負担金なんていうのは、その象徴ですね。ただ、役所の方々一人一人は、非常に志が高くて能力が高い。しかし、集団となってきたときには、この間の出先機関の自己仕分けのようにですね、何かしら国民の方からは見えない文章になってしまう。そして、見えないところで改革が後退をしたり、骨抜きになる。これが一番厳しかったですね。だから、総務省については、私はもうそういうことはないというふうに思いますけれども、いろいろな各省との折衝の中で、やはり、今、国を開かなければこの国はもたないのだという認識が、政務三役を中心に、それぞれのつかさつかさに浸透しているかどうか。政権を取ってすぐですから、浸透の度合いが足りないところについては厳しかったです。しかし、鳩山総理が、地域主権改革については、1回地域主権戦略会議で激しい言葉を、総理にしては、鳩山総理にしては、珍しく激しい言葉をおっしゃっていただきました。また、あのときは行政刷新担当が確か仙谷さんだったと思いますが、そういう政務三役は辞めるべきだという言葉まで、仙谷さんが言ってくれました。そういったところで、随分ブレイクスルーできたなと。それともう一つは、改革派の首長さん。情報発信力が有るだけではなくて、本気でその改革に取り組んでいる。その首長さん方を、やはり選んでこられた主権者の皆さん、そこの御協力があったればこそできたのだと思います。この地域主権改革は、独りよがりではだめですね。人の悪口だけ言って、誰かを叩いて、そして、ショーアップするやり方では絶対にできないので、私は、麻生知事会長をはじめですね、それぞれの市長会、町村会、あるいは議長会の方々が、本当によく協力していただきました。いや、NPOや多くの市民の皆さんも御協力をいただきました。そこがやはり改革の原動力、この1年と1日を振り返りますと、いろいろな、NPOやNGOとをかませたもの、それから、地域を、参加していただいたもの。これ大体成功しているのですね。あるいは企業もそうです。インドにデリー・ムンバイ構想で五つの経営体の皆さんと御一緒しましたけれども、そういったものは大体成功するのですね。役所の中だけ、あるいは、霞が関の論理だけでやっているものというのは跳ね返されている。そこのところは多くの教訓で、政権全体に共有をしていくべきものだというふうに思っています。
(問)毎日新聞の笈田です。
(答)お世話になりました。
(問)最終、終盤の方、先日、大臣の方から、靖国問題に関して政務三役会議で検討会というお話がありましたけれども、それからの期間が短かったわけですけれども、現状、どうなられたのかと、今後の見通しについてお願いします。
(答)これは、行政手続として国会図書館の方、それから、様々な研究者の方から、その手続、合祀の手続そのものが成立しているのか、あるいは有効なのかというものがございました。あるいは、毎日新聞さんやメディアの方からも、同種のお問い掛けがあって、それを受けて、私は、渡辺副大臣を中心とするプロジェクト、この間、政務三役会議で元区長さんにも来ていただいて、お話をさせていただいた。引き続き、それを行政手続的にどうなのかということを検証するということを進めているところでございます。私自身、今後どうなるか分かりませんが、遺族会や様々な団体の皆さんからも御意見を伺って、そして、これ、かなり、今の段階の印象ですが、無理筋なことをやっているなという、そういう御報告ですから、しっかりと、行政手続を所管する総務省としては、その立場から検証がされるべきだというふうに考えています。
(問)朝日新聞、伊東です。お世話になりました。
(答)お世話になりました。
(問)若干仮定が入るのですが、もう大半の閣僚の方の顔ぶれが固まりつつあって、大臣も報道で御存知かと思います。率直に、さっき脱小沢か否かという質問もありましたが、挙党態勢で今後、大臣、菅政権はやっていけるかどうか。それから、特に大臣がこの1年、総務大臣をやられてきて、今夜発足するであろう新内閣に、是非こういうふうにやってほしいとか、こうあるべきだと思うようなものがあればと思います。よろしくお願いいたします。
(答)仮定の話ですから、外れたという仮定でお話いただくのも、じくじたる思いがありますけれども、もう最後ですから申し上げると、やはり挙党態勢がとれるかどうかというのは、政権政党としての民主党そのものが問われているものだと思います。挙党一致ということを総理がおっしゃって、適材適所とおっしゃっているわけですから。ただ、それは誰がどこに行くかというのは、まだ分かっていませんね。人事が、これ鳩山内閣の組閣のときに、漏れることは一切ありませんでした。だから、今、漏れているのでしょうか。それとも、勝手に書いておられるとは思いませんけれども、こういう事態は閣僚としては異例だなというふうに思います。もちろん報道は自由ですから、自由に、予測が出るのは当たり前だと思いますけれども、それが決まったかのように受け止られるというのは、少し控えた方がいいだろうというふうに思います。受け取って、発言をするということをですよ。
 後段について言うと、私は何とも言えないと思っています。今を政権交代の中途だと見るのか、それとも、もう最終的な二大政党の枠がはまったと見るのかでは、これ随分違います。私は、菅内閣がこの変革を、しっかりと人間中心の、国民生活が第一の政策を打ち続ける限り、国民の信頼を失うことは無いと思っています。ただ、長いものに巻かれたり、役所の論理がもし前に出てくるとすると、それはさっきの地域主権改革と同じで、国民の失望を買う。だから、次の皆さんにお願いをするというのも、何かもう外れたのを前提みたいで非常に嫌なのですけれども、その前提で言うと、やはり議員を中心としたあの選挙で国民が選んでいただいた。その原点を常に踏まえながら、改革に取り組んでほしいというふうに思います。全員、今日も総理が412人、もちろん国民新党さんを入れればもっとですけれども、全体で政権を盛り立ててくださいというお話をされましたけれども、それが言葉どおりのものになることを期待をしています。
(問)各社よろしいでしょうか。大臣、一年間どうもありがとうございました。
(答)本当、一年間ありがとうございました。

(以上)