原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年2月5日

(平成22年2月5日(金) 18:05~18:28  於:会見室)

1.発言要旨

 閣議後会見を始めさせていただきます。冒頭3点でございます。
 まず1点目は、先ほど、第7回の自殺総合対策会議が開かれまして、私の方から3点、福島大臣はじめ各閣僚に要請をいたしました。一つはうつ基本法、そしてひきこもり基本法の制定に向けた検討であります。うつは心の風邪と言われますが、どなたにでも起こり得るものであるのですが、治りにくかったり、あるいは家族との関係や社会との関係について、大変つらい思いをされているというかたがたがたくさんおられます。そういう中で、私たちは亡くなりました山本孝史議員を中心にがん基本法というのをつくらせていただきましたが、うつ、それからひきこもり、これはNPOの調査によると360万人いらっしゃる。この数字は政府として確認をした数字ではありませんけれども、平均年齢が32歳であるという報告を受けています。政府としてしっかりと取り組んでいくべきだという提案をいたしました。これが1点目。それから2点目は多重債務問題。これから年度末を迎えるわけですけれども、だれかに相談することができれば、あるいは弁護士に相談することができれば、多重債務の重みに苦しんで命を絶つということはなかっただろうにという案件を私たちも毎年何回も何回も経験をし、そのたびに申し訳のない思いをするわけですけれども、そのことを提案いたしました。それから3点目は寄り添う仕組み、新しい公共ということで、京都の例を引きましたけれども、京都には「こみカフェ」というNPOがあります。これは女性を中心としているNPOですけれども、働きづらさ、生きづらさを感じている人たちに寄り添って、1週間のうちにたとえ2時間でも働くことができれば、それは多くのまた新たな道を見つけることができるという、そういうNPOの活動をされていらっしゃるかたがたがおられる。そういう新しい公共に対する、これは市民公益税制という、税調でも議論していますけれども、この自殺対策の大きな柱の中に入れるようにという要請をいたしました。これが1点目です。
 それから2点目は、閣議前に安全保障会議を開きまして、この中身については非公開でありますけれども、安全保障会議において、ハイチへの自衛隊施設部隊の派遣等について審議し、決定を行ったところでございます。
 3点目、これは閣議の中で私が要請をしたことですが、社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視ということで、道路橋の保全等を中心としての結果に基づいて、国土交通省及び農林水産省に対し勧告を行ったものであります。この背景は、我が国の社会資本は1960年代、いわゆる高度経済成長のときに集中的に整備をされています。それがもう今年で50年を超えているものが急増し、その維持管理・更新費が膨大となる見込みでございます。また重大な事故につながりかねない損傷等も相次いで発生をしている。これらの状況から、社会資本については今ある社会基盤を大事に長く使い続けると、こういうことが重要でございまして、調査結果のポイントは後で申し上げますけれども、まずもって維持管理の基礎となる台帳等の整備が不十分であること、それから点検、補修等が未実施など、安全の確保が不十分、長寿命化対策によるコストの縮減額等の効果の把握も不十分、つまり、つくることに目的があって、その後の維持・管理にどれほどの多くのコストや、あるいは安全上の配慮をしなければいけないかということが、これまである意味でおざなりになっていたのではないかという問題意識を持っています。このことから施策の中心である長寿命化対策の実効性にも疑問が見られますから、今後の取組としての勧告を行ったところでございます。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)大きく2問、質問させていただきます。まず政治と金の問題についてよろしくお願いします。民主党の小沢幹事長の資金管理団体をめぐる事件で、現職の石川衆議院議員が起訴されて、野党からも辞職勧告決議というものが出されています。同じ民主党の議員としてこれをどう受け止めて、党はどう対応すべきだとお考えでしょうか。それから資金管理団体代表者である小沢幹事長は続投を表明して、これは総理も支持されていますが、大臣自身どう受け止めて、世論はこれに納得しているとお考えでしょうか。
(答)一議員としては自分の考えはありますけれども、総務大臣としては個別の案件については申し上げられません。総務大臣として言えることはありません。
(問)民主党議員として、現職議員がこうやって逮捕されたという事態について何か御感想はないでしょうか。
(答)民主党議員としてもそうですけれども、総務大臣ですから、所管する政治資金規正法上のことについては、個別の案件については言わないというのが私のとるべき態度だと思っています。
(問)それでは、新政権になってもこういう政治と金をめぐる疑惑が相次いでいると、国民の政治不信を高めるような結果になっているのですが、どうやって鳩山政権と民主党に対する信頼回復を図っていかれますでしょうか。
(答)一般的に言うと政治資金規正法、これをだれからも分かるような形にして、そして参入障壁になるのではなくて、しっかりと説明できる日々のコンプライアンス、日々のガバナンス、これを効かせられるような、その努力が必要だと思っています。
 私自身のことについても、この1月の収支をすべてまとめさせましたけれども、公開して、そして複数のかたがたに目にしていただこうということで、今、どういう公開の仕方ができるのか、これは他の方に強制するのではありません。自分自身のコンプライアンス、自分自身の政治姿勢として示すわけですけれども、そういう日々の積み重ね、日々の透明性、日々の公開性、これを着実に実行していくということが大事であると、これは個人の議員としての考え方です。
 党としては党が考えることですけれども、私が総務局長のときに示した、あるいは政治改革本部で示してきたその方向性を党がしっかりと確認し、すべての党員あるいは議員が実行していく、これが大事であるというふうに考えています。
(問)2問目なのですが、先日、総務省顧問の山本全国町村会長が贈賄容疑で逮捕されました。今後の対応、後任の人選など、どうするおつもりか。それから関連で、そもそも顧問の方に原口大臣のかつての同僚の議員の方に人選が偏っているというような指摘も野党などから出ていますが、それについてどうお考えでしょうか。
(答) 1点目は山本町長については、今事実関係を精査しているところでございまして、御本人の意思も伺うようにしながら、総務省の内規、そして私たちのコンプライアンス規定に沿って必要な手続を進めていくということでございます。
 顧問についてでございますが、偏っているという考え方は全くとっていません。総務省顧問は総務省組織規則第339条に基づき、総務省の所掌事務のうち重要な施策に参画いただくために置くこととしているものでありまして、それぞれ発表するときも基準をお示しをしたとおりです。つまり私たちの変革を真っ先に先取りして各地で実行されている、あるいは総務行政に特段の造詣が深い方、そういうかたがたに顧問になっていただいておりまして、なお、付け足しておきますけれども、13名の方が、この中には地域主権戦略会議の方で総務省顧問を解いた方もいらっしゃいますが、首長の皆さんは全員無給でありますし、そしてまた他の4名の方についても報償を払っておりません。ですから、偏っているとかというのは、私たちはそのようには考えていません。日本を変革に引っ張っていく、そういうかたがた、あるいはこれまでの総務省行政を総括ができるかたがた、昨年、事業仕分けをしたときにも行政刷新会議の指摘を受けて、更に総務省顧問に入っていただいて、政務三役と総務省予算そのものも仕分けをさせていただきました。大変大事な顧問であるというふうに考えています。以上です。
(問)石川議員の辞職勧告決議案に関連して、かつて民主党は自民党の議員が同様のことがあった場合に、これまで提出をしてきたわけですけれども、今回、山岡国対委員長が今朝、それをつるしたままでいいという趣旨の発言を国対の会議でなさるなど、野党時代と与党になってからの対応に若干の食い違いがあるのではないかという指摘があると思います。そういう指摘には大臣はどうお答えになるおつもりでしょうか。
(答)国会が御判断されることを総務大臣の立場として申し上げることはできません。一般論で言うと、個別の事案に即して個々の国会議員の進退については、本人が考えることであるということをずっと言い続けてきています。
(問)今の関連にもなるのですけれども、今回の一連の小沢さんがらみの話というのは、今回の小沢さんの不起訴処分並びに石川議員の起訴処分をもって、これでひとまず終わりという御認識なのか、それとも大臣はこの前、一般論という形であれ、国会なり国民に説明する場にはどんどん説明していくべきだというお考えを示されたと思いますけれども、今後国会内で参考人招致とか、説明を求められるような場があれば、どんどん応じていくようにしていくべきだとお考えになるか、そこら辺を伺います。
(答)もう何回も繰り返しになりますが、個別の案件については、これまでも触れたことはありませんし、総務大臣としてこれからも触れる気は全くありません。そして、これもこの間申し上げた一般論ですけれども、あらゆる機会を通じて疑惑を持たれることのないように国会議員はしっかりとした説明をすべきだと。それはだれが、どのような案件であろうが、同じことだというふうに思います。 
(問)情報通信の関係で伺いたいのですけれども、かねてから原口大臣は光の道の構想ということで掲げておられますけれども、まず第1点として光の道と言ったときに、イメージとして光ファイバ回線のことを指しているのか、ブロードバンド回線とか無線なんかも含めて、そういった意味で象徴的におっしゃっているのかというのをお聞きしたいのがまず1点です。それから2020年に普及率を100%というふうに掲げておられますが、どのように具体的に100%を目指していかれるのか、共同出資会社という話も少し伺っていますけれども、アイデアの段階かもしれませんが、その辺の考えをお聞かせください。
(答)1点目の質問にお答えすると、後者です。光ファイバということを言っているわけではありません。高速ですべての人がアクセスできる、そういうものを全国津々浦々、日本はカリフォルニアの面積しかないのですね、しかし、そのカリフォルニアと同じぐらいの面積であるにもかかわらずブロードバンドゼロ地帯がある。あるいは、私はこれから高速インターネット網を通じて教育の協働化、協働型教育ということを昨年の原口ビジョンの中で出させていただいていますし、今日この後、クラウド化についての報告を内藤副大臣から受けますけれども、医療やあるいは年金、そういったことをクラウド化していかないと、日本の税金はいくらあっても足りないと考えているわけです。そのときに、ある人にはブロードバンドの恩恵がいって、ある人には全くいかないというようなことはあってはならないと思っています。ですから、その敷き方については幹線は8割とか9割とかいう数字をおっしゃいますけれども、実際の普及率は30なのですね。その 30をどうするかということについては、幹線部分からファイバ・ツー・ザ・ホームを、例えば無線LAN、今日も皆さんこれを打っていただいているのは無線 LANですよね。そういうものにするのか、あるいは光にするのか、それは幾つか地域によって特性があるし、あるいはCATVのようなものを使うのか、バリエーションがあるのだと思います。ですから私が言っているのは光ファイバの100%ということではなくて、今の御質問で言えば後者であるということです。それからその敷き方は、今正に4つのタスクフォースを立ち上げてやっていますが、あるべき地球環境への課題へのアドジャストというか適用の、そのタスクフォースでもう議論が出ていまして、やはり答えは何かというと、すべての人が公平公正にアクセスできるということだと思いますので、そこに向けた最適な解をできるだけ早く出していきたいと、これが答えです。
(問)先ほど出ました、町村会の山本会長の逮捕の件ですが、大臣がお選びになった顧問が贈収賄という非常に重い容疑で逮捕されたということをどう受け止めるかということが一つと、後、その地方側の方のリーダー格の存在がこういった事件で逮捕されたことで、地域主権改革にどのような影響があるのか、悪影響があるのかということをどのように考えられるのかお願いします。
(答)推定無罪の原則、罪刑法定主義ということからすると、今の段階では無罪ですね。ただ、私の立場から言えば、逮捕された、贈収賄でという容疑についても、今精査をしておりますので。ただ、こういう事態が起きたことについては、大変遺憾であるというふうに思っています。間違っても地域主権改革のそのスピードが落ちるようなことがあってはならない。そう思っています。
(問) 年金運用についてお聞かせいただきたいのですが、大臣は政府内で厚労省の公的年金のですね、積立金の運用について、様々御発言されているかと思うのですけれども、この総務省の所管されている、公務員の共済年金ですね。こちらの方も同じように年金という意味でですね、年金運用という非常に重い課題があるかと思うのですけれども、これ、共済年金についてどのような御見解をお持ちなのか。厚労省の公的年金の運用手法であるとか、あるいは組織の在り方、こういったものと同様に検証すべきとお考えなのかについてお聞かせください。
(答)おっしゃるとおりで、共済年金、それから私のところはかんぽ、ゆうちょ。つまり、行政刷新会議を中心に私が言っているのはストック部分についての、これ特別会計も含めてですけれども、今のような年金基金といったものも含めた大きな評価の見直し、それからキャッシュフロー・マネージメント、つまりお金を遊ばせない、寝かせないということをですね、聖域無しに見直していきたい。これが答えです。
(問)その運用で得られた収益というのも、そういった効率的に運用することで、政府のそういったいろいろな活動に役立てたいというお考えなのでしょうか。
(答)政府の活動というよりか、目的がそれぞれありますよね。国民の皆さんの年金であれば、年金に反映をさせる。ゆうちょの加入者の様々な利益に反映をさせる。
(問)今日の国会でも亀井大臣が発言されていたのですが、いわゆる郵政の非正規職員20万人を超える方、亀井大臣は原則正社員になりたい方は正社員化していきたいという方向性を示されましたけれども、実際にやるとなるとかなりのコスト高になって、郵政の経営にも大きな影響を及ぼすと思います。現時点で原口大臣の御見解をお聞かせください。
(答)亀井大臣は、今日、私も答弁を聞いていましたが、要するに非正規社員という形で、いつまでもいつまでも3年以上も4年もという、確か答弁だったと思います。御案内のとおり、派遣労働やあるいは非正規といったものが何年も続くという状態は駄目だし、法律もそこは制限を設けているところでございます。その法律の制限に基づいて、亀井大臣の意向を示されたものだというふうに捉えています。一義的には、それは会社と労働者がお決めになるということですが、私も亀井大臣がお話になったこの意義は大きいというふうに捉えています。
(問)郵政について若干お尋ねします。亀井大臣は近々素案を示すとおっしゃっていますけれども、最近、各金融機関の団体であるとか、いろいろなところからヒアリングをされてきました。そういう場に原口大臣の姿はお見受けしなかったのですけれども、最近の総務大臣としての郵政改革法案づくりに向けての今の役割というのでしょうか、それは今どういうふうになっているのでしょうか。
(答)私も昨日、これは海外でしたけれども、団体の御意向を聞きましたし、亀井大臣が今お聞きになっているのは金融担当としてのヒアリングの部分ですね。メンバーとして方針を示し、そして大塚副大臣ともこの方向でということを指針を示しているところでございまして、亀井大臣をサポートして、早期の私たちの案の成立に向けて努力しているところです。
(問)関連して、やはり民間の金融機関なんかは特にそうですけれども、郵政が今後新しい姿になっていくときに、自分たちのビジネスが侵されるのではないか、領域が侵されるのではないか、民業圧迫の懸念が根強いと思うのですけれども、そういうところに配慮をした改革というのは、そういう方針というのは可能なのでしょうか。
(答)民業圧迫が何を指しているのかというのは、今ひとつ、今の御質問では分かりませんけれども、もう株式会社になったわけで、同じフィールドの中で、同じ競争条件でしっかりと戦えるということが大事だと考えています。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
(問)ありがとうございました。

(以上)