原口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年1月29日

(平成22年1月29日(金) 10:41~11:06  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。大変お待たせしまして申し訳ありません。今日は少子化政策会議があって、それから閣僚懇談会が若干延びまして、申し訳ございませんでした。今から、閣議後の大臣会見を始めさせていただきます。
 まず今日、閣議においてですね、労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について発表させていただきました。この中身を言うと、完全失業率、季節調整値は5.1%となって、前月に比べ0.1ポイントの低下となりました。なお、平成21年平均の完全失業率は5.1%ということで、少し失業率が落ちてきたということであります。ただ、12月の就業者数は6,223万人となって、1年前に比べて108万人の減少となり、完全失業者数は317万人となっていますから、1年前に比べて47万人の増加。リーマンショック以降の、この経済の悪化といったことをまだまだしっかりと目を離せない状態が続いていると、こう考えています。
 また、12月の全国の消費者物価指数は、1年前に比べて1.7%の下落となりました。前月の値は、1.9%の下落でしたので、下落幅が0.2ポイント縮小したということになっています。また、生鮮食品を除く指数は1.3%の下落で、食料とエネルギーを除いた指数は1.2%の下落となりました。平成21年平均の指数は、前年に比べ1.4%の下落となっていまして、1月の東京都区部速報値は1年前に比べて2.1%の下落となりました。全国二人以上世帯の12月の消費支出は33万8,000円で、1年前に比べて実質2.1%増加して、消費支出とすると5か月連続の増加となっているということでございます。これをどう読み解くかということでありますけれども、まだ経済には予断を許さない要因が残っているものの、少しずつ数値の面だけで見ると良くなっていると。これがまず第1点です。
 それから、昨日、政府税調で私の方から二つの、税調会長代行としてお話をいたしました。一つは、経済、社会のダイナミズムを取り戻せるような、そういう税制改革を行うべきだと。もうじき我が政府も出しますが、財政の後年度影響試算というものを、政府は1990年代の後半から出しています。1990年代の後半、もうお亡くなりになりましたけれども、宮澤元大蔵大臣、首相でありましたけれども、当時の大蔵大臣と議論をしたときに、税収の弾性値を1.1に置いて、そして名目経済成長を1.75 それから3.5という仮定を置いて、そして財政がどのようなっていくかということで、ずっと議論をしてきました。単純な計算のやり方なのですけれども、それで後年度どのように財政が伸びるかと、あるいは財政が好転するか。財政赤字を減らして、財政の持続可能性を国民の皆さん、あるいは市場に分かっていただくかということがこの目的だったわけです。先日、私のところで当時の情報を分析しました。1990年代の後半に試算をしたところを見ると、今の税収、今年、あるいは来年度の税収というのは92兆円になっているという試算でありました。10年前の試算。ところが現実にはですね、私たちは36兆円という大幅な財政赤字を持っているということであります。何が申し上げたいかというと、目先の財政赤字を減らすためにですね、政策の動員の仕方を間違ったために、財政赤字が発散しているということであります。財政赤字が発散するということは何かというと、それは返す見込みがなくなるということにもなりますので、そういうことはあってはならないということを当時議論していたわけです。で、新政権は正に多年度の予算で、しかもいかに財政の持続可能性をしっかりと確保していくかという形で議論するべきだと昨日申し上げたわけであります。財政赤字を、これは私の考え方ですけれども、埋めるための財政出動という考え方、昨日、参議院の方で国民新党の森田委員が質問をされていましたけれども、そういったダイナミズムを含めて、囲碁と同じで、目先の5目を取りにいって、多くの20目を取られるなどということをしないような、そういうバランスの取れた税調議論をしていきたいというふうに思っています。
 もう一つは、納税者番号についての基本的な考え方。それは、中央政府がその管理をするというやり方ではなくて、今、クラウドコンピューティングという考え方が出てきましたけれども、国民自らがそこへ自分の情報の番号を持って、アクセスをして、自らの情報がどのように使われているかということで、自分の情報のコントロール権、あるいは自らの情報が安全・安心に管理できる、そういう権利という議論をしていこうではないかということを、今日、閣僚懇談会でも再度申し上げたところでございます。
 それから最後でございますが、大臣会見は今まですべてオープンでしたけれども、御理解を頂いて、副大臣以下の会見についても大臣会見と同じような形にさせていただくことになりましたので御報告を申し上げます。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)米軍の普天間飛行場の移設問題をめぐりまして、平野官房長官が名護市長選の結果など、地元の意向を軽んじるかのような発言を続けていらっしゃいます。大臣はかねがね地域主権、地方分権の視点から、自治体の意向を尊重する立場を貫かれていらっしゃると思いますけれども、このような一連の発言というか、動きについてはどのように評価されますでしょうか。
(答)平野官房長官の発言を、議事録を、私もすべてを精査したわけではございませんが、昨日の委員会での、予算委員会の答弁を聞いておりますと、軽んじて言ったわけではなくて、やはり選挙の結果というのはとても大事であって、しかも沖縄の皆さんの民意というものを重くとらえて、しっかりと検討をしていきたいということを言っているものだと理解をしています。
(問)マスコミ集中排除原則について、お尋ねしたいと思います。この通常国会で、法案を提出したいというような御意思だと思うのですけれども、現行でもですね、総務省令という形で、法律ではないですが、一応法規範として機能している部分があると思うのですが、これを法律という形で、制定するねらいというか、意味についてお伺いしたいと思います。
(答)政令あるいは省令によらない、いわゆる国会の御審議を経たルールということが、かねてから大事であるということを私たちは主張してきました。それはやはり、何と言っても国権の最高機関は政府ではなくて国会であるからであります。その上で、今の個別の法律ですが、通信と放送の様々な変化を踏まえた60年ぶりの法律を今、用意をしようとしているわけでございまして、だからこそ大きな変革のただ中にあるからこそ、原理原則を明確に法文化して、そして、言論の自由、あるいは多様性、そして、国民の知る権利にしっかりとこたえていく、これが政府としての責務である、そう考えておりますので、法文化の検討をしているところでございます。政省令というのは、だれがだれの責任で決めているかということが、必ずしも国会からは、あるいは国民からは、見えにくいものだという御批判がございました。私たちも過去、野党時代に政省令がわんさかある法律については、もう認めないということも主張してきましたので、私たちのスタンスに沿った法改正だというふうに御理解をください。
(問)先ほど大臣が、赤字が発散していくという問題意識の中で、民主党は政権公約で、消費税については、4年間は上げないという形になっていますけれども、現状の国の財政の在り方として制度改正がなければ、それは歳出を削ったりという大幅な改善も見込めないというのが実態だと思います。まず、消費税率の引上げについての税調の会長代行でもあるお立場からの御発言を頂きたいのと、もしそれによらないというお答えなのだとすれば、どういった形で、先ほど大臣がおっしゃった60兆円近い見込みと実態の差を埋めていく方策を考えるべきかと、その2点お願いします。
(答)いい質問です、ありがとうございます。ちょうど、消費税を上げたとき、覚えていらっしゃいますでしょうか。3%から5%に、当時橋本内閣でしたけれども、私は橋本総理と延べ、どうでしょうね、私の質問だけで十何時間御議論をさせていただいたと思います。あのときにお話をしたのは、先ほど囲碁で例えましたけれども、目先の5目を取りにいって、かえって4倍もの赤字を増やすことになるのではないかと。あのとき消費税を2%上げました。消費税の1%分がですね、大体2.5兆円と言われていますから、2%で5兆円です。本来であれば翌年の財政赤字は5兆円分減っていなければいけない。ところが、これはちょっと数字を正確に確認して言いますが、大体のところですね、消費税を上げるそのときの国庫の一般会計の税収は、私の記憶では52兆円あったと思います。52兆円あった税収が、5兆円分翌年は増えてなければいけませんね。ところが、医療をいじったり、いろいろなことをやって、合計9兆円分の増税をしたわけです。9 兆円分の増税をしたら、その分が上がってなければいけませんから、52プラス9で61兆円になっていかなければいけませんね、計算上は。ところが翌年は、確か43兆円。つまり、消費税を上げれば財政が良くなるなんていうのは、すべては経済との、経済が健全であって、GDPが成長していなければ、税収というのは上がってこないということをですね。よく2次関数だけ計算する人は、そういうことをおっしゃるのですけれども、税というのは多次元方程式なのですね。経済の活発化、あるいは国民生活の安心や安定といったことを無視してそういうことをやれば、何が起きるかということを事例で申し上げました。では、どうすればいいかというと、政府のバランスシートそのものを縮小させるということが大事なのです。政府のバランスシートを縮小させずに、じゃぶじゃぶに、このコップの底がですね、開いていて、ここに消費税を入れたって漏れるだけですよね。だからまずはこのコップの底をふたをする。そして、ストックベースの政府の資産を減らしていく。これが第一です。それから二番目は、前回の記者会見のときも申し上げましたが、キャッシュフロー・マネージメントという考え方を、つまり、お金は遊ばせてはならない。お金を生かしていく、お金を働かせるという考え方です。140兆円あった年金の基金が、なぜ、120兆円切っているのか。これは長期で見たら問題ないよという人がいるかも分からないけれども、私たちの資産を生かすということを片方でやらないで、ただ、ただ、私たちは変わりません、国民だけどうぞ搾りますという考え方は、絶対に採ってはならない。その筋道をですね、今日も菅財務大臣ともずっとお話をしましたけれども、皆さんにお示しをしていきたいと、こう考えています。
(問)夕張の関係なのですけれども、夕張の方が財政再生計画をですね、19年という返済計画の素案を市議会の方に示しています。まず、この19年という再生期間についてどのように受け止めるかということと、それと夕張市長などがですね、体力的にかなり厳しいということで、15年程度が限界だというようなことを言っているのですけれども、国としてですね、現行の枠組みを超えて更に支援をするというような考え方は、持っていらっしゃるかどうか、その点についてお願いします。
(答)よく分からなかったのですけれども、19年で借金を返していこうというのを15年で返すべきだっておっしゃっているわけですか。それだと1年間にお支払いになる、その借金の額が増えて、夕張で実際に使えるお金は減るのだと思いますけれども、そういうことをおっしゃっているわけですか。
(問)今、素案ではですね、19年間となっているのですが、更に北海道なり、国なりというのが、支援をしてほしいと。それで大体15年くらいにできないかというようなこと言っているのですけれども。
(答)それは直接お話を、間接に聞くとね、誤解が生じるかも分からないので、よく冷静に見守っていきたいと思います。先日、私たちは特段の支援を考えるということをお話しまして、今、事務的に詰めているところでございますので、その経過を慎重に見守っていきたい。これが答えですね。
(問)19年という期間についてはいかがでしょうか。
(答)それは計画をおつくりになる議会が御判断なさるところだと思いますが。私たちはなお一層の努力を北海道や夕張市がなさるものだというふうに考えています。
(問)2点ほどお伺いしたいのですが、まず、民主党が企業団体献金の禁止を盛り込んだですね、政治資金規正法の改正案を今国会に提出しようという、昨日そういう方針を決めたわけですが、大臣は先日、規正法見直しに向けた論点整理を指示されたわけで、今回の民主党の動きに対する御感想、それから総務省として、どういうふうに対応というか、協力していくか。二点目は永住外国人の地方選挙権付与について、御存じのように総理が国民新党の反対もあるので、簡単ではないと御発言されたのですが、こちらも総務省で論点整理などをされている経緯があると思うので、これについての御感想、今後の対応、よろしくお願いします。
(答)政治資金規正法の問題については、国会で御議論いただいて、各党各会派でですね、成案を頂く、そういう問題だと思っています。その上で、政治改革本部のメンバーであった私としたら、企業団体献金の即時廃止というのは、大変大事なところで、論点だったのですね。で、これは一政治家として歓迎をしていきたい。三つあるのだと思います。一つは政治活動の自由を保障する。そのために、だれが見ても、どんな人でも参入障壁とならないような、分かりやすい政治資金規正法にする。もう一つは、秘書や会計責任者のかたがたがですね、いろいろなお仕事をしていただいているわけですけれども、その中で、政治家の責任というものを更に明確にする。それから二つ目は、その上で、企業団体献金に対しては、政党助成金を頂いているわけですから、個人献金にシフトをし、そしてそれをオープンにすることで、一定の企業や特定の団体の影響が、不当な影響が及ばないようにすると。この三つが大きな方向性だと私は考えておりますので、その中の一つに沿ったもの。ただ、お金はなくていいというわけではないですから、ネット献金や、あるいは少額の寄付金の控除といったものと合わせてお考えになるものだと、そういう議論を聞いているところでございます。
 あと、後段についてはですね、永住外国人の参政権の問題、地方参政権の問題については、確かにおっしゃるように、私たちで論点整理をしています。で、総理がお話しになったところに尽きているのだと。つまり、三党の連立政権でございますから、三党の中で調整をしていただいていると。その調整を総務省としては見守る立場にあると、こう考えています。
(問)郵政について伺いたいのですけれども。大臣はかねがね、日本郵政の経営はなるべく自由度を確保したいということをおっしゃっていると思うのですが、ゆうちょ、かんぽについてですね、銀行法、保険法、保険業法による機関とすべきか、あるいは特別法によってくくって、例えば総務省が監督する機関とすべきか、これについて、制度設計は亀井さんの方でやっていると思うのですが、内閣の一員として、ちょっと御意見を聞かせてください。
(答)今、正にそこを議論しているわけですね。ですから議論の最中で、つまり民間とのイコールフィッティング。暗黙の政府保証で、郵政だけが特別に強いということがあってはならない。一方で、一時期は月に1兆円くらい預金が、落こっていたわけです。正に分社化在りきの民営化の弊害だというふうに思うのですけれども。そうすると郵便局というのは、今の設計では、手数料収入で成り立っているわけです。つまり、金融2社からの手数料、あるいは事業会社からの手数料が激減して赤字になるということになれば、正に、竹中さんがおつくりになった郵政民営化路線というのは、郵便事業を税金で埋めるという、それが国民に理解を頂けるかというと、今の財政事情でも大変厳しい。そこをどう変えるかという論点と、この二つの論点があるというふうに思いますが、いずれにせよ、亀井大臣とよく相談しながら。あと2、3週間の間に議論が詰まってくると。ほぼ方向性は見えているというふうに考えています。
(問)カジノ構想についてお伺いしたいのですけれども。
(答)えっ。
(問)カジノについて。
(答)カジノ。
(問)はい。亀井大臣はですね、沖縄につくった方がいいのではないかというお話をされているのですけれども、以前に、総務大臣だった鳩山邦夫さんなんかも、地域振興の観点からカジノをつくった方がいいというふうにお話をされていて、そういうことで地域を所管する総務大臣としては、原口さんの見解なんかをお伺いしたいなということと、もし、踏み込んでいただけるのであれば、どの地域にどのぐらいかということもお伺いできればと思っているのですけれども。
(答)カジノについてはですね、正直いろいろ議論があって、私自身、今のシンガポール、リー・クアンユー元首相もですね、お認めになって、そこはただ海外のかたがたにオープンというようなカジノ構想だと考えています。で、アメリカの中にも、単なるギャンブルという発想を超えて、人々の楽しみをしっかり提供すると、そういう考え方の、新たなカジノの考え方というのがあるのも承知していますが、具体的に地域から、いろいろな声を聞きながら、亀井大臣がそういう構想に前向きだということであればお話をしてみたいと思いますが、まだ、こうあるべきだということを私たちの中で考えているわけではありません。
(問)特区をつくったりという話も、やはり余り考えていらっしゃらない。
(答)特区は、どこかにつくりたいという方がいらっしゃるのでしょうか。
(問)まあ、いろいろなところで結構声は上がっているみたいなのですけれども。
(答)特区構想って来ていますか。総務省に、カジノ特区という形で来ているかどうかも、ちょっと調べてお答えをしたいと思います。
(問)よろしいでしょうか。
(答)よろしいでしょうか。ありがとうございました。

(以上)