大島副大臣記者会見要旨 平成22年6月3日

(平成22年6月3日(木) 14:31~15:02  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 発言はありませんので、皆さんから質問を受ける形で答えていきたいと思います。

2.質疑応答

(問)まず先週の会見からえらく激動になりまして、福島大臣及び鳩山首相がいなくなるということになりましたけれども、率直な御感想と、あと今後の消費者行政に与える影響、今現在は事務代理ということで担当大臣が不在となっていますけれども、その辺についてお願いします。
(答)私の立場としては、福島大臣が辞められて、今、官房長官が事務代理になっていて、そのもとで官房長官からはしっかりやってくれという指示をされておりますので、今、私としてはできるだけ、特に緊急事態、例えば食品の事故とか、あるいは製品の事故とか、そういう緊急事態があったときには、まずはしっかりと対応することが大切だなと。
 内田長官含め、消費者庁の皆さんには、大臣が不在である中で、しっかりと対応してくれということで、1回目は福島大臣が辞められたとき、そして鳩山首相の、昨日の表明があった際、これは夕方になったんですけれども、内田長官にお会いし、次の大臣が決まるまでは力をさらに入れて、対応をとれるようにとお願いしているところです。
 消費者行政に与える影響ですが、その点については、これまで福島大臣も一生懸命に消費者行政に携わっていただいていて、特に基本計画を今年の3月にはまとめておりますので、基本計画にのっとって消費者行政は行っていくことになると思っております。
 ですから、次の大臣も消費者行政に対して強い関心を持たれ、そして消費者行政について、従来どおり熱意を持って対応をとられてくると思います。
(問)その消費者行政への影響のところで、基本計画以外にも、こんにゃくゼリーですとかトランス脂肪酸、あと最近ですと、ネオニコチノイド系農薬の問題など福島大臣が提唱されて取り組まれた、検討に着手したような事案もあるかと思いますが、こうした事案について、大臣が交代することで何か影響があるのか、引き続き継続されるのか、その辺いかがでしょうか。
(答)そこの判断については、私もこの場ではどういう影響があるのか、あるいはどうするのかというのは、なかなかお伝えする立場にないかなと思っています。
 こんにゃくゼリーについてはずっと検討をしてきましたので、食品SOS対応プロジェクトにおいて検討を進めているということと、具体的には今春以降に、食品安全委員会ワーキンググループで検討しています。こんにゃく入りゼリーの製造事業者の安全性に関する取組状況、こんにゃく入りゼリーによる窒息死亡事案の御家族の弁護活動をされている方の意見等を聞いてきておりまして、さらに大臣政務官からの指示により事務方が窒息事故に関する詳しい情報の収集を進めております。食品安全委員会によるリスク評価の結果や、消費者委員会での議論も踏まえつつ、プロジェクトにおいて必要な検討を積み重ねられて、今年の夏ぐらいには取りまとめるべく事務方には鋭意作業を進めてもらうようには指示してありますので、こちらは前から取り組んできていますから、こういうスケジュールになっています。ほかの点については、今取り組み始めたところもありますので、次の大臣がどう判断するかについては、これまでの福島大臣が指示されたテーマについては、事務方から大臣に上げられ、その経緯も含めて相談されることになるかなと思います。

(消費者庁長官)今、副大臣から申し上げたとおりでございます。例えば食品の関係であるものは、既にうちの食品表示課のほうで検討を始めております。そういったものは当然続けていくことになると思っております。ただ、いずれにしろ、それぞれこれまでの進め方、それから今後のステップ等を新しい大臣に確認して、その上で続けていくんだろうと思っております。
(問)今日は、港区のマンションでエレベーター事故が起きてから、ちょうど4年になる日です。市川大輔さんの命日であります。御遺族は、徹底的な原因究明ということをずっと求めていらっしゃいまして、やっぱり警察の犯人捜しとは違う、再発防止につながる事故原因の調査機関の必要性をずっと訴えてこられているんですけれども、命日と副大臣会見が重なったからというわけではないんですけれども、消費者庁も今年度検討を本格化させるということで、何かこの日にこの調査機関について、何か表明できることがあればと思ったんですが、何もないでしょうか。
(答)今日が命日であるということと、事故をきっかけにして事故調査の一つの論点、考え方が、我が国の中でひとつ提起された問題でもあって、これは事故調査が次の防止につながる事故調査を早くしてほしいということで、事故調査の一元化について検討を始めるという大きなきっかけになったと思います。
 ですから、今の御指摘を重く受けとめながら、今後、内田長官、消費者庁にも、この問題は私たちとしても重要施策の一つでありますので、しっかりとやっていきたいと考えております。

(消費者庁長官)まさに消費者庁ができる大変大きなきっかけになった事柄でありますし、そういうことをしっかり踏まえながら、情報一元化のシステムができました。それから、それをさらに充実していくためのタスクフォースをつくったり、データバンクが4月に動き出したりというようなことで取組を進めてきておりますので、今の副大臣の御発言もさらに踏まえながら進めていきたいと思います。
 それで、事故調査機関につきましては、今年度から検討に着手をして、来年度のなるべく早い時期に答えを出すというふうに基本計画でしております。今、これも新しい内閣のもとで大臣に御相談をしてと思っておりますけれども、まずは消費者委員会での本格的な検討の前に、消費者庁の中に専門家も入れた検討チームをつくるのだろうと思っております。今その下準備をしておりますが、具体的な方向は、やはり新しい内閣のもとで大臣に御相談をして、皆さんにも御報告することになるのではないかと思っております。
(問)意地の悪い質問かもしれませんけれども、政治の混乱がこの事故調査機関の設立、検討の動きをおくらせているのではないかと思うんですけれども、その点いかがですか。
(答)政権交代が起きたわけではなくて、同じ与党の中で行っていくわけですから、これはマニフェストにも重点政策として提起されたことでもあり、消費者基本計画にもしっかり書いたことでもありますから、それは期限を区切り、そして一つの目標を立ててやっていくので、今回の大臣が代わられたから政策が後退することにはならないと思いますし、ならないように次の大臣も取り組まれると考えております。

(消費者庁長官)少し言葉足らずだったかと思います。
 先ほど申し上げた庁内につくって、それで消費者委員会につなげていくという方針は、今の政務三役に御説明して了解をいただいております。それで、今何をやっているかというと、そういう専門家たちのリストをつくって事前に事務的に話をまず聞きに行く、その取組を始めようとしているところでございます。政務三役に上げた方針を、新しい内閣で確認をしてスタートするという意味で、申し上げました。
(問)副大臣が消費者庁でやり残したことがあるのならば、それは何でしょうか。もっとこれができたかなと、今後期待することは何でしょうか。
(答)9月に消費者庁ができて、内閣ができたのが9月16日ですから、ほぼ消費者庁ができたのと同時に政務三役が機能して、政務三役のもとで消費者庁がこれまで8カ月間、まず体制を整えていただいたと考えております。
 まだまだ至らない点もあるかとは思いますが、各省庁から来ていただいて200人を超える一つの官庁としてしっかり仕事をできるように、大臣あるいは政務官、私も一生懸命努力させていただいたと思います。これは至らない点も多々あったかと思います。
 今回、福島大臣も、その個別のテーマについて課題設定されるとともに、私もこれまでの経験から、マクラーレンのベビーカーの事件では、行政機関としては珍しいとは思うのですが、直接レターを書いてみたり、iTunes社の事件についてもいろいろと努力したり、「現場に行ってくれ」というお願いも、北海道の本屋さんで本箱が倒れた事件にもすぐ現場に行ってもらったり、この間のジオスの破綻の際にも記者会見の当日、同社に行ってもらって情報をとったり、政治的なセンスで、政務官もそうですが、個々には問題提起をして、先ほどの基本計画や、こういう中期的、長期的な話とともに、それぞれ対応をとらせていただいたと考えております。ですから、その「やり残したこと」ということよりも、できる限りのことはしたのではないかなと思います。
 感想として一つ言えるのは、内閣府は副大臣が3人しかいないものですから、消費者庁の問題も、その中でも私は非常に重点的に相談させていただいて、大臣の意向を踏まえながら取り組むことができたのかなと思います。特に、内閣府政策会議で、これはすべてフルオープンですから、最初からずっと消費者基本計画についても各議員の意見を聞いて、これは国民の意見でもありますので、記者さんの皆さんの意見も国民の意見ですが、その意見をしっかり踏まえて、いい政策が具体的にできたと思っておりまして、そういうことで「やり残したこと」と言われるとなかなか難しいんですけれども、できる限りの取組はさせていただいたというのが実感でございます。
(問)ここで終わられるというのは、副大臣的に無念という思いなのか、それともさっぱりしたという思いなのか、どちらでございましょう。
(答)これは皆さんも同じだと思うんですよ。人事異動があったときに、やり残したこととか、こうやればよかったとか、いろいろあると思うんです。私もサラリーマンをやって、短い人事異動で1年ぐらい、長いと3年半ぐらいがあって、それは個々、一つの人事異動かなと思っていますから、そういう感情というのはなくて、与えられた仕事を私はしっかり取り組むということにしております。これは記者会見の場で言うことが正しいかどうか分からないんですけれども、「こういう仕事をやらせろ」と言ったことはサラリーマン時代も含めてないんです。与えられた仕事をしっかりやるという主義で来ておりますから、消費者庁の行政に携わって非常にエキサイティングでおもしろかったと思います。
 いろいろと実験してみると、それなりの効果が出るというところもあって、この政治的なセンスが生かせる役所かなと思いますね。政治的なセンスで、「ああ、ここちょっと問題なのかな」と。例えばトヨタの、まずはフロアマットの事件から始まって、こういう展開になるとか、あるいはアメリカで子ども向けのアクセサリーにカドミウムが入っていた件について、やはり国民生活センターにお願いすると、カドミウムはなかったけれども鉛が検出されたり、記者さんのセンス的なものが結構、政務三役に求められるのが消費者庁でもあると思います。ですから、「さっぱりした」という感じは、それは全くないです。結構楽しんで、楽しんでという言い方はよくないけれども、臨場感をもって仕事ができたのではないかと思います。
(問)そういう意味では、サラリーマンの人事異動とは今回全く違って、要はマイナスな意味での人事、結果的には人事異動という形になるんですけれども、そういう意味で、今回の鳩山総理の退陣について、もちろん福島大臣の罷免ということもあわせてですけれども、受けとめを一言お願いしたいんですが。
(答)私としては、福島大臣、それを通じて鳩山首相に対して、100%、120%しっかりお支えできなかったなということですかね、ということですね。しっかりとお支えはしてきたつもりなんですけれども、もっともっと、お支えをしたかったなというところです。
(問)要するに、国民の目から見て福島大臣が罷免された、あるいは鳩山総理がやめられたということは国民にとってよいことなのかどうか、そこの視線でコメントをお願いできますでしょうか。
(答)いいか悪いかというのは、私の所管の中だと判断つかないかなとは思います。これは私としては、消費者庁を預かっているというわけではないんですけれども、消費者庁の副大臣として、しっかり大臣を支える、100%お支えするというのが仕事なものですから、それについて一生懸命に取り組んだということは言えるんですけれども、首相が辞められた、あるいは福島大臣がお辞めになったことについて、どういう影響かと言われると、次の政府においてもしっかりと取り組んでいかれるということだと考えております。
(問)先ほど「あんまりやり残したことはない」というふうにおっしゃっていたんですけれども、一つ、大島副大臣がイニシアチブをとっていらしたことで、インターネット上の新しい取引とかに問題があるんじゃないかということで調査を始められたと思うんですけれども、それの進捗ですとか、あと今回お辞めになるかもしれないというときに当たって、それについては何かやり残し感とかはないのか、あるいはもしおやめになられた後、どういうふうにかかわっていくのかというところを教えてください。
(答)インターネットについては、多分iTunes社の事件に当たって、いろいろと考えなくちゃいけないという問題提起をさせていただいて、これは政策会議でも議員の中から意見もあって、今回新たに消費者基本計画の中に1項目を入れております。ですから、これは結構深い話だと思っておりまして、この件については、今後、議会に戻ったとしても注目をしていきたいなと考えております。
(問)副大臣おっしゃられたように、政治家としてのセンスが生かせる仕事だという……
(答)なかなか難しいけれどもね。
(問)ええ、そこは非常に納得するところでもあるんですけれども、一方で、どうしても少ない体制の中で、ある種、政治家の直感とか、あるいはこの会見の場でのプレスからの意見とか、そういったことに余りにも過度に反応し過ぎると、実際、現業に人がいない中で、優先順位のつけ方であるとか、あるいは手はつけたんだけれども、どこまでやり切るかというところで、ちょっと中途半端なところもあったのかなと。例えば本棚の問題は、あれは結局調査は行ったけれども、その後どうなったんだろうというのも、今思えばよくわからないですし、そういう点を踏まえて、もちろん反省はあるかと思うんですが、次の政務三役に引き継がれるときに、こういった点はすごく課題だと、こういうふうにあるべきだとか、そのあたりあれば教えてください。
(答)今の論点は、いつも気にしている論点なんです。事件性のものというのか、事故あるいは事件性のもの、これはさっき言っていたインターネットの商取引に関しては、一つの中・長期的な課題設定に結びつくテーマであって、ただ、さまざま起きる事象について過度に反応すると、ここの消費者庁としては250人ほどで結構皆さん忙しく仕事をしているところですから、仕事の負荷がさらにかかるというところはあると思います。ですから、そこのさばき方というのは、政務三役に負っているところが多いかなと思っています。これは個人的な意見ですが、うまく役割分担をされていくのかなとは思いますよね。今の御指摘というのは、いつも私もここで皆さんと議論をさせていただいて、自分も新聞あるいは報道を見ながら、この点ちょっと深掘りしたいなというところはお願いはしていくんですけれども、それは結構時間をかけること、なおざりにしちゃいけないことであって、ですからそこのバランスですよね。
 それで、やっぱり消費者庁の機能強化は大切だと思っています。これは今後、概算要求になって全体の予算の中でどれだけ消費者庁の今後の要望ができるかは、なかなか確約はできませんが、やはり消費者庁の体制の整備、そして消費者庁の役目ですよね。消費者庁の役目というのは、これは司令塔になれというのが役目なものですから、そこのところはおっしゃられるとおりで、結構この6カ月間、悩みながら考えてきたところでもあります。そこは極めて大切な論点だと思っています。
(問)ちょっと非常に似た質問で申しわけないんですけれども、政治的なバランス感覚が生かされるというのは非常によくわかるんですけれども、逆に、消費者庁の職員とかが、今の現下ではそういうようなものを、例えば報道されたような内容に関して、あえて注意喚起をしたり調べたりしようということは、なかなか法律上書いていなくて、もし政務三役がいなければ、ほとんど話題にならない省庁だったんじゃないかなという気もするんですけれども、そういう職員がなかなかできないというか、動けないような今の法律だったり体制というのは、将来的にはどういうふうに考えればいいでしょうか。すべて政務三役が出しゃばっていけばいいのでしょうか。
(答)これは内田長官、現場で一番御苦労されている方ですから、まずお願いします。

(消費者庁長官)この場のやりとりの中から、副大臣から御指示をいただいたり、あるいは大臣から御指示をいただいたりということで、特に当初のころ随分あったと思います。途中から我々も、少しそういう感覚が身についてきたところはあります。
 今の政務三役に御指導いただいてというか、消費者庁が発足してからなんですけれども、今感じていますのは、報道される、その中で国民がおそらく大変不安に思われることが多い。そう思われるから、きっと記事になったんだと思うんですね。そうすると、今、法律上我々の責任がどこまでという話がありましたが、少なくとも消費者が不安に思われることがあるとすれば、そこについては正確な情報をなるべく早く、まずお届けをする。その先、例えばフロアマットのように、実際に調査をするのかどうかとか、そこはまた御相談をしながらでいいのだけれども、まず何が起きているのか、それに対して政府が何かとろうとしていることがあれば、こういうことがあるということを一刻も早く国民が不安に思われることについては、お届けをする。これは消費者庁の責任、仕事であると思っているし、そこの体制が今必ずしも十分ではないので、それはやれる体制をしっかりとっていく必要があると思っております。
(問)関連してなんですけれども、実は報道に出ている以上に、消費者庁にはPIO-NETで相当数のいろんな、驚くべき内容というのがおそらく入っているんではないかと思うんですけれども、それに関しては特に政務三役でごらんになって、これはやった方がいいというような、政治的な感覚を見てということはないと思うんですけれども、そうすると、例えば実際に見ている消費者庁の職員が、すぐに注意喚起ができるようなシステムというのは考えられないんでしょうか。国民生活センターでやっているとは思うんですけれども、それ以上に何かできないんでしょうか。
(消費者庁長官)年間100万件の情報が入ってきていて、これもこの間の事業仕分けでも御指摘がある、その前に政務三役からも御指摘をいただいてます。一つは我々の体制、それからノウハウがまだ足らないという面が一つあります。もう一つは、国民生活センターが実はかなりそのノウハウを持っておられるのに、そことの分担が明確でなくて、時には一緒にやったりというようなことがあったりもしました。そこをまず仕分けをしっかりしていって、彼らのこれまでの蓄積、能力を使えるところはもっと使っていこう、そして我々はもう少し、行政内部のプロが使っていくような情報分析に特化する方向もあるのかとか、そういうふうな検討はいたしております。
 本来はなるべく早く国民にアラームを鳴らすというのが消費者庁に情報を一元化することの意味であります。その分析のところは質、量ともに残念ながらまだ追いついていないので、そういう中で国センの能力をどう活用していくのか、それから我々自身のリソースをどこに振り向けていくのか、それからもちろん、これから体制強化を図っていく、こんな問題意識を持って検討しております。

(答)どうもありがとうございました。

(以上)