林 芳正 内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年9月8日

(平成21年9月8日(火) 18:46~19:18  於:記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、お待たせいたしました。月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されましたので、概要を御報告いたします。
 景気の基調判断につきましては、「失業率が過去最高水準となるなど厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる」と判断いたしております。これは、①輸出が持ち直していることに加え、経済対策の効果もあって、このところ個人消費にも持ち直しの動きがみられること、②こうした中で在庫調整が一巡しつつあり、生産の持ち直しが続いていること、といった状況に基本的な変化はないことから、判断としては据え置きですが、③失業率が5.7%に達し、雇用情勢が大変厳しくなっているという認識をはっきり示す表現にしたというものであります。
 先行きにつきましては、雇用情勢の一層の悪化が懸念されるとともに、世界景気の下振れ懸念など、景気を下押しするリスクにも留意する必要があると思っております。
 政府としては、「経済危機対策」等を着実に実施していく必要があると考えております。また、日本銀行には、引き続き政府との緊密な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を行われることを期待しております。
 以上が私からです。

2.質疑応答

(問)改めて、おそらくこれは極めて異例なことだと思いますが、基調判断の冒頭で失業率について言及されていることについて、そのねらいをお聞かせください。
(答)これは、基調判断は先月と変わっていないわけでありますが、今までもリスクとして、失業率、雇用情勢というものについては申し上げておったところでありますけれども、特に今回、失業率が5.7%ということで過去最高になったと。これは、やはり経済活動の水準が依然として低く、雇用調整圧力というものがまだ高い状況にあるということを反映しているというふうに考えております。そのことを、その水準に特に言及したということでありまして、基調判断そのものは、申し上げたように、下方修正したものではないということでございます。
(問)「このところ持ち直しの動きがみられる」という判断を、春以降、示されていたわけですけれども、一方で、景気の実感でいうと、例えば今日発表になった景気ウオッチャー調査を見ますと、DIのほうがマイナスに転じていたりとか、やはり厳しいという中で、なかなか実感と動きとの乖離が生じているように思うのですが、それに沿った表現にしたのかなというふうにも見られるのですが、実際のところ、いかがでしょうか。
(答)その実感というのも、それぞれの方がどういう立場というか、ポジションに置かれているかによってさまざまだと思いますが、その一つの話として、景気ウオッチャー調査というのがあると思うのですけれども、これは前月比で現状の判断のDIが0.7ポイント低下で41.7でございまして、これは8カ月ぶりの低下ということであります。特に、家計動向のDIで、天候不順、それから新型インフルエンザの流行などの影響で少し低下しております。逆に、これは景気ウオッチャーですと、雇用のDIというのは、今までもよかったのですが、引き続きよいというというものが出ておりまして、ただ、家計を取り巻く状況というのは、ボーナスが大幅に減少したこともあって、ちょっと厳しいということであります。
 ですから、全体としては、景気ウオッチャー調査の結果というのは、総合的に判断しますと、厳しいながらも、下げ止まっているというふうに見ておりますので、その辺を頭に入れながら、きちんとした経済運営をしていく必要があるというふうに思っております。
(問)今回の判断を受けて必要となる経済財政運営とは何でしょうか。
(答)これは、冒頭にも申し上げましたように、経済危機対策というものを決めて、累次申し上げてきたように、まだ補正の前の本予算で前倒しして、それから補正のものが出て、公共事業ですとか、複数年度にわたって基金等を用いてやる事業とか、いろいろなものが入っておりますので、こういうものを着実に運営していくということが大事だというふうに思っておりますし、また、経済財政諮問会議で御議論いただいて、その中で、特に若年雇用のPT等も立ち上げて、いろいろな対策をつくったりしておりますので、それぞれの対策を着実にやっていくということではないかというふうに思っております。
(問)雇用については、これまで経済の下振れリスクとして認識していたのが、もう既に現実のものとして顕在化してしまったということでよろしいのでしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、基調の判断は変えておりませんので、ただ、失業率が5.7%というのが出たので、それは明示させていただいたということですが、引き続き、先ほど申し上げましたように、雇用の情勢が厳しいという判断はしておりまして、それが経済全体に与える影響については、リスク要因として引き続き見ていく必要があるということの基本的な考え方は変わっておりません。
(問)特に、今後、個人消費に与える影響が出てくると思うのですけれども、その辺はどう見ていらっしゃいますか。
(答)雇用の状況?
(問)雇用の悪化が個人消費にどう影響を及ぼすか。
(答)それは、当然、なぜ雇用の状況が、全体の経済、景気に与えるリスク要因になるかというと、雇用の状況が厳しいと所得環境が悪くなる、それが消費に影響するという経路が当然考えられますから、そういう意味で、この雇用の状況というのが一つのリスク要因になる。そのことを頭に置いて、いろいろな処々の対策、若年雇用PTや、それから補正で入れたような雇用の対策を含めてきちんとやっていく必要があるというのが、基本的な認識と経済の運営姿勢ということになると思います。
(問)何度かこれ以前にも、景気の現状については、たしか「正念場」といった表現を使われていたような気がしますが、現在を持ち直しの動きとおっしゃっていますけれども、どういった状況なのか。一遍、底は打っているけれども戻っている中で、どういった状況と見ていらっしゃるのか。二番底の懸念と、朝の会見でおっしゃっていましたが、いわゆる順調に戻っている単純な状況ではないと思いますけれども、戻っている局面については、どういう段階にあるというふうに考えていらっしゃいますか。
(答)二番底の懸念があるという指摘があるというふうに申し上げて、私自身がその懸念を持っていると申し上げたわけではないのですが、正念場であって、雇用の問題、それからデフレ、世界経済の動向というリスクがあって、そのリスクに注意しながらやっていかなければいけないという基本的な認識というのは変わっておりません。経済財政諮問会議で御議論いただいて、それぞれのリスクに対して、きちんとそれぞれ対応していこうということで、それぞれの取りまとめをさせていただきましたので、今、まさに正念場であるという認識も変わっておりませんし、どういうリスクが想定されるかということについても、変わっておらないということだと思います。
(問)生産と輸出は、一応、持ち直していると思うのですけれども、かなり自動車も、景気対策で世界中で自動車の需要が支えられているので、依然として景気対策に支えられているという側面は変わらないと思いますが、この状況について、まだ自律的ではないというか、非常に弱いと思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)7月の生産の指数で、資料の7ページですが、今お話があったように、業種で見て上位3業種が、輸送機械工業、鉄鋼業、その他工業ということで、その中で3品目ということになると、御覧になっているとおりで、これは下線を引いてあるのが自動車関連ということなので、かなり自動車は、そもそもなぜ対策をやるかという議論をしたときに、非常にすそ野が広いということでやったわけですけれども、その対策の効果が出ているということなのですが、まだなかなかこの種火から民需への自律的な回復というところにつながり切っていないのかなということではないかというふうに思います。
 バーベキューをやるときに、炭に火をつけるのですが、最初になかなか炭につかないので、「チャッカマン」とか新聞紙を使っていろいろやると。それが呼び水的な効果だというふうに思いますが、その炭自体に火がじわりじわりと広がっていって、おいしいお肉がやけるようになかなかなってこないなと。
 ですから、今、大事なことは、焦らずにじっくり対策を実行していくことによって、きちんとこの炭が自律的に燃えていくようにするということではないかと思います。
(問)今の件で、民主党に政権が変わるわけですけれども、民主党がどういう景気対策をやるかよくわからないわけで、予算の組み替えということは言っているのですが、おっしゃるように、まだ自律的ではないという状況で、政策リスクというか、どういった政策になるかわからないといったことと、時間がかかるというか、遅れてしまうのではないかというリスクがあると思うのですが、政権交代に伴うリスクについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは選挙の途中の討論番組とか、それから終わってからも、幾つか討論番組等でも申し上げているのですが、まず、こういう景気の動向ですから、慎重に景気運営をやってもらいたいということと、それから今、申し上げたように、底割れを防ぐということでやっておりますのでということと、それからもう一つ、中・長期的な構造的な課題、未来開拓戦略と両方あるので、非常にこれは大事な施策だと我々は思っております。
 もし、こういう対策を一部やめるということになると、その影響がいろいろ出てくるのではないかというのは、るる申し上げているわけですが、例えば、やめて代わりに何をするかというときに、例えば言われているような子ども手当ということになりますと、この乗数効果ですね。例えば、公共事業は乗数効果が1というふうにあると考えられておりますが、家計の所得支援みたいな政策になりますと、乗数が必ずしも1というわけにはいかないので、貯蓄に回る部分が出てくると。例えば、定額給付金は0.4というふうに見ておりましたけれども、いろいろな条件が変わればもう少し上がるかもしれませんが、そういうことがあるということと、それから、やはり今やろうとしているものをやめて来年の施策に回すということは、お金が出ていくタイミングが遅れるということなので、先ほど申し上げたような非常に大事な時期に、1年の遅れというのは非常に大きいのではないかなというふうに思います。
 また、今おっしゃったように、少し遅れるとか、それから地方公共団体が既に補正予算等を組まれているのに現場が混乱するというようなことが、マインドに影響を与えるということですね。それからもう一つは、前に申し上げたかもしれませんが、例えばこの補正の一部を使うということは、1回限りの財源ということですから、恒久的な政策の財源にはならないという側面がありますので、これはリカーディアン効果というか、ケインジアン効果といいますか、「将来、これをやってくれるのかな」というような、そういうことも懸念が出てくるということもありますので、民主党のマニフェストには、補正予算から財源を出すということは書いていなかったので、補正予算から何か出すということ自体が、「最初、マニフェストに書いた財源が見つからなかったのかな」というような懸念をいろいろな方が持たれないようにする必要はあるのではないかと。
 要するに、きちんと財政状況をグリップして、財政運営をきちんとできるかどうかというのを、内外のいろいろな方は見ていらっしゃると思いますので、そこがきちんと中身や時期的なものも含めてグリップできないということになりますと、そういうことに対する懸念というのが出てくるというおそれもありますので、そこは大事な時期でもありますから、きちんと対応してもらいたいというふうに思います。
(問)リスクに関する記述なのですけれども、雇用情勢の一層の悪化を懸念されるですとか、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある、要は、リスクに関する書きぶりは前月と変わらないわけですけれども、一方で、リスクの水準自体、これが上がっているかどうか、その辺の御認識はいかがでしょうか。
(答)それぞれの数字、特に失業率は、そこに書かせていただいたように、じわりじわりと上がっているということは、その失業率の数字を見れば明らかですし、それから有効求人倍率も下がっているということでありますから、それは数字として、そういうふうに受けとめなければいけないのかなというふうに思っております。
 それから、デフレというか、物価のほうも、これは前に申し上げたように、まだちょっとデフレという判断をするのは早いですが、コアコアでマイナス0.1というのが続いているということでありますので、それもそれとして、やはり認識する必要があるということでありますが、冒頭申し上げたように、そういう数字を認識しながら、基本的なスタンスというのは変更していないということは、基本的な立場であります。
(問)つまり、リスクの水準は、こういう各統計、指標等から見ても、常時上がっているという御認識でよろしいですか。
(答)そうですね。失業率だけではありませんから、いろいろなほかの数字も見なければいけませんし、一方で、新規の求人とか、それから新規の求職・求人などを見ますと、これは少し安定の兆しも見えるというのもありますので、いろいろな数字がありますから、その辺を総合的に判断すると、まだ基本的な判断は、回復から変わらないということになるのではないかと思います。
(問)基調判断で失業率に触れた意味を、もう一回考えたいのですけれども、政権交代するに当たって、次の政権に優先すべき政策課題を明示しておくという意味合いもあるのかなというふうに受けとめたのですが、そういった意味合いを持たせているのでしょうか。
(答)これは、あまり政治的な意味合いはないので、きちんと今の月例経済報告としてどういう判断をするかというのを、ある意味では虚心坦懐にやったということでありまして、ただ、雇用の問題が、再々申し上げているように大きなリスク要因でもありますし、大変大事な問題であるということは、もう私が申し上げるまでもないので、これは与野党を問わず、立法府、行政府、皆さん共有されている問題意識だというふうに思いますし、私も機会があれば、きちんとそういうことは申し上げていきたいというふうに思っています。
(問)今回の個別項目の判断で、設備投資や企業収益といったものが引き上げられましたけれども、これらはどちらかというと、実際の景気の動きに対して一定のタイムラグを伴って反応する、遅行性が認められる指標だと言えるのではないかと思われます。一方で、景気の動きにすばやくビビッドに反応する生産ですとか輸出ですとか、そういった項目を見ますと、今回、判断としては据え置きですが、内容は、従来から見ると若干芳しくないということで、これらを総合しますと、足下の景気、まさにリアルタイムの景気は、今回の月例の判断よりも、ひょっとしたら弱まっているのではないか、ひょっとすると足踏み状態にすらなっているのではないかというような印象も持つのですが、そのあたりの御所見というのはいかがでしょうか。
(答)これは、例えば物価の話もそうですが、まだ基調判断を変えるまでの持続的に下がっていくというか、伸び悩むというか、そういうことではないというふうに基本的に判断しております。
 ただ、おっしゃるように個別の数字は、それぞれの理由があって、そういう数字が出ていると思いますけれども、それはしかし、実態としてはそういう数字なので、それは率直に受けとめてやらなければいけない。
 ですから、先ほど申し上げたように、非常にこういう状況で大事な時期で、もうそろそろこちらが手を離してもよいということでは全くないので、だからこそ、やはり政策運営をきちんとやる必要があるというふうに思っております。

(以上)

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