林 芳正 内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年9月8日

(平成21年9月8日(火) 10:58~11:16  於:記者会見室)

1.発言要旨

 私からは、今日は特にございません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)民主党で、主要閣僚人事が出始めております。徐々に報道等でも出ていますけれども、その中でマクロ経済運営について、誰がどういう形でやるのかというのが全く出てこないという点があると思いますけれども、実際に、現在、経済財政運営を担当している大臣として、ちょっと違和感があるのではないかと思われるのですけれども、その点の御所見を伺えればと思います。
(答)内閣府の中でどういうふうに特命担当大臣を置くのかというのは、それぞれの政権が御判断されることであるというふうに思います。今、法律上は、沖縄及び北方対策と、それから金融庁、それから消費者担当と新しく今度加わりましたけれども、この3つは必置ですが、それ以外は「置くことができる」ということになっておりますので、今申し上げたように、それぞれの政権が判断することですが、ここの経済財政担当、マクロで見ていくというのは、今までずっと置かれなかったことはないので、非常に大事な仕事ではないかというふうに思っております。
 ですから、そういう視点が、いずれにしても、なくなるということはないと思いますけれども、そういうものがポストとしてなくなることによって、成長戦略とかマクロの経済財政戦略ということに対する姿勢が若干後退したのではないかというふうに思われるようになるのは、避けることが望ましいのではないかというふうに思います。ただでさえ、いろいろなリスクを申し上げておりますが、二番底になるのではないかというような懸念も聞こえてくるところでありますので、そういう姿勢というものをしっかりと示していただければというふうに期待はしております。
(問)経済指標についてなのですけれども、今日、国際収支状況が発表になりまして、これは景気統計というよりも、割と構造的な部分が大きいのですけれども、大体、今年の春にかけては、かなり大幅な経常黒字の減少、一時期、経常赤字にも原数値ベースではなったこともありましたけれども、最近は減少幅が、特に先月、7月分も、そんなに大きな減り方ではなくなってきているのですね。一時期は、特にアメリカの赤字を日本とアジアでファイナンスしているという対外不均衡がかなり問題になってきたのですけれども、実際にこの不均衡の急激な調整というのは、今、徐々に終わりつつあるという認識でしょうか。そのあたりのお考えを伺えればと思います。
(答)国際収支統計は、7月が1兆2,656億円の黒字と。これは、今お話が出たように6カ月連続の黒字ですが、対前年比では、ちょっと黒字幅は減少しているのですが、これは中身を見ますと、所得収支というのはちょっと黒字が、黒字ですけれども縮小していると。貿易・サービス収支の黒字は増えているので、輸出の持ち直しというのが続いていることの反映であろう、こういうふうに思っております。輸出の持ち直しは、再三申し上げているように、アジアが中心なものですから、では、日米でどうなのかというと、これはアメリカの景気が今後どうなっていくのかということの裏腹と、それから所得収支は利子がどうなるのか、要するに金利がどうなるのかということもありますので、その辺の動向によって、いろいろ数字が出てくるだろうなというふうに思っております。
 今までよく言われていた、アメリカの赤字をみんなでファイナンスするということがサステイナブルかどうかという議論が、リーマンショックより前から言われていたところでありますが、これは定性的にというよりも、どれぐらいの量なのかということもあると思いますし、新興国がずっと伸びているときは、それなりにそれで回っていくということもあるわけですね。今度、逆に言うと、アメリカの貯蓄率みたいなものが、今度のリーマンショック等々を境に少し上がってきているということもあるので、ある程度は行き過ぎたアメリカの過剰消費と、それを周りが支えるということが、量的に言うと、少し戻ってきているのではないかというのが数字から見て取れると思いますが、定性的に、ではそれが全く逆転するということでもないのではないかなというふうに見ております。
(問)以前も会見で質問が出たと思うのですが、昨日、農水省でちょっと話が出ていましたけれども、基金の話です。基金の執行停止を各省がいくつか出しているということと、あと、国交省でもダムの入札をいったん停止するとか、いくつか、政権前に、いったん景気対策というか、そういった事業に関する停止が相次いでいるのですけれども、これが実際に出てきて、景気への影響がどのぐらいあるというふうに考えるのか、改めて伺いたいのですが。
(答)これは、個別の事項というか、項目別にさまざまだというふうに思いますが、マクロで見ると、景気対策のためにいろいろな施策をやって、それがどういう名目かは別にして、お金が出ていくわけですね。ですから、それをとめるということになると、その分、政府から企業なり家計なりへお金が出ていくというのがなくなると。そのやめた分をどうするのかということになると思います。それを、例えば借金返しに使うのか、来年の予算でやる施策に使うのか、そのこととの比較でマクロ的にはどうなるのかということがあると思いますし、それから、それぞれの施策が、そもそも実行されればどういう影響が起こることを想定して政策がされているのが、そのものがなくなるということですから、そのことの影響というのをどう見るかということではないかなというふうに思います。基本的には、この間、申し上げたとおりです。
(問)内閣府の直接担当ではないのですが、国交省のところで高速道路の無料化の試算があったとか、なかったとか、いろいろ問題になっていますけれども、民主党が言っている無料化をやったときの経済効果なのですが、この点について、大臣は、今の経済財政担当大臣としてどういうふうに御覧になっているのか。特に、自民党も1,000円というふうに値下げをして、たしか春先の景気ウオッチャーとかでも、かなりいろいろな効果があったという話があったと思いますけれども、そこは無料にした場合、どれだけの効果があるとお考えになるか伺いたいのですけれども。
(答)ちょっとその前に、さっきの質問でもう一つあるのは、今出すものをやめて、例えば来年にするということは、出ていくのが1年近く遅れると。その時間的な効果というのも出てくるということを、ちょっとつけ加えたいと思います。
 今の御質問ですが、私のところで、その影響がどれぐらいなのかというのをやってみたわけではないので、つまびらかにどうだというのをちょっと申し上げにくいところがあるのですが、高速道路の1,000円の効果というのがあって、ウオッチャーなどが出ているということですので、実際にその1,000円のときに利用されている方の数字などを見ますと、そういう意味では効果があったということは、もう数字が出てきているわけですが、全体としてどういうふうになるのかというのは、国交省で、もしくは国交省の関連のところでおやりになっているものがあれば、そちらを見ていただきたいということに尽きると思いますが、1つ、選挙のときにもよく議論になっていましたのは、一時的に日にちを限定して1,000円にするということと、それから無料にするということは、質的に違うのではないのかなと。というのは、政策のやり方として、プライシングといいますか、すいているときに料金を下げたり、逆に込みそうなときに少し料金を上げたりして、今あるインフラを最適に活用するというのをロード・プライシングなどといいますけれども、1,000円のものというのは、ゆくゆくそういうことをETCもあわせてやれる可能性があるわけですね。
 ただ、全部ただになりますと、ETCが無駄になるという話もありますが、そもそもプライシングしていろいろな調整をするという機能そのものがなくなっていくということですので、そこは非常にいろいろ議論になった、債務をどうするかとか、そういう大きな問題に加えて、そういうこともあるのではないのかなというふうには思います。
(問)自民党の首班指名について、いろいろ考え方が分かれているようですけれども、大臣はどうされるおつもりですか。
(答)私は、党で決まったとおりにしようと思っています。当然、今日、両院議員総会で議論が出るかもしれませんし、これだけの選挙の結果を受けてのことなので、いろいろな意見が、特に衆議院の方から出ると思いますので、それをよく党でこなしていただいて、16日までにきちっとした結論を出していただいて、粛々とそれに従って行動したいと思います。
(問)麻生さんで選挙を戦って、負けたとはいえ、今、総理であり総裁であって、その人の名前を書かない理由というのはあるのかという気もするのですけれども、いかがですか。
(答)極めてデジュールというか、法制的というか、ルール的に言うと、次の総裁が決まる、もしくは総裁が辞められるまでは麻生さんが総裁ですから、基本的には総裁の名前を書くということであろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、これだけの厳しい選挙結果であったので、特にその選挙を戦われた衆議院の皆さんの意見というのも理解できるところであるので、そういう方の意見をよくよく出してもらって議論して、一番よい結論を党でまとまって出すということが大事なのではないかと思いますね。
(問)一部、白票という意見があって、それもちょっと議員の職務放棄とか、そういう意見もあるようですが、白票ということについては、大臣はどのようにお考えですか。
(答)あまり通常の方法のような感じはしませんけれども、先ほど申し上げたように、みんなで議論して、それが一番よいということになれば、そういうことも可能性として全く排除しないということではないですけれども、それよりは、例えば両院議員総会というのがあります。そこの主宰をされている両院議員会長のような方をみんなでやるとか、そういうことのほうがまだ知恵としてはあり得るのかなという感じは、個人的にはしますけれども、いずれにしても、まだ少し時間がありますので、これは大事なことですから、よくよくみんなで話し合って、きちんと決めていくということだと思いますね。
(問)昨日、民主党の鳩山代表は、掲げた温室効果ガスの25%削減という目標なのですけれども、国際社会では評価が高いようですが、一方で、マクロ的に見ますと、果たして日本の経済成長力にとって足かせにならないのか、どのような影響があるのかという懸念がされると思いますが、大臣の御所見をお願いできますか。
(答)これは国際的に、特に環境に御熱心なサイドには、非常に評価が高いというのを報道で見ましたけれども、一方で、環境問題というのは、常に経済と環境問題を両立させるという視点が非常に大事だと思っておりまして、そういう視点から見て、まだ経済界の方を含めて、みんなが「なるほどな」ということで、すとんと腹に落ちるということにはなっていないのではないかなという印象を持っております。
 25%そのものの具体的な、例えば森林を含めるのかということも含めて、もう少し詳細にどういう数字なのかということと、それから逆に言うと、そういう具体的に25%のブレークダウンを出して、それが、ではどれぐらいのことをやらなければいけないのかということを、前に今の政権で出したときには、かなりいろいろなシミュレーションをしてやっておりますので、その試算によると、この25%というのはかなり厳しいことになると。例えば、週に2日か3日、車に乗らないとか、日本の航路がいくつかなくなるとか、だから、本当にそういうことなのかということをもう少し説明してもらって、みんなで議論するということが、やはりプロセスとしては大事ではないかなと。マニフェストでお掲げになったので、もうそのまま途中の議論をせずに国際公約してしまうということについては、若干、もう少し国内議論を成熟させたほうがよいのではないかなという印象は持っております。

(以上)