林 芳正 内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年8月11日

(平成21年8月11日(火) 11:28~11:45  於:記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。それでは、閣議のほうは特に私の案件はございませんでした。それから、その後、月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されましたので、その概要を御報告いたします。
 景気の基調判断につきましては、「厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる」ということで、先月と同様の判断をいたしております。これは、①依然として経済活動が極めて低い水準にあるものの、②輸出が持ち直していることに加え、経済対策の効果もあって、このところ個人消費にも持ち直しの動きがみられること、③こうした中で在庫調整が一巡しつつあり、生産の持ち直しが続いていること、など、これまでの状況に基本的な変化がないことを踏まえたものでございます。
 先行きにつきましては、雇用情勢の一層の悪化が懸念されるとともに、世界景気の下振れ懸念など景気を下押しするリスクにも留意する必要があると思っております。
 政府といたしましては、「経済危機対策」等を着実に実施してまいる、これはまず大事だと思っております。また、「安心・活力・責任」の3つの目標を同時に達成するための道筋を示す「基本方針2009」に基づき、経済財政運営を進めてまいりたいと思っております。
 また、日本銀行におかれましては、我が国経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復帰するため、引き続き政府との緊密な連携のもとで、適切かつ機動的な金融政策運営を行われることを期待しております。
 それから、国家と市場の関係についてでございますが、経済財政諮問会議で問題を提起されました国家と市場の関係の再構築につきましては、8月5日と7日、2日間で3回にわたりまして、マクロの経済運営とミクロ政策、これは資源配分とか所得分配、こういうことでございますが、このマクロとミクロの2つの観点から有識者の皆様においでいただきまして、議論させていただきました。
 お手元にお配りしてあります資料は、今回の懇談を受けまして論点を整理させていただいたのものでございます。今後も検討を進めて、できるものは方向性を整理していきたいと、こういうふうに思っております。
 ざっと読んでいただくとわかりますように、マクロについては、サッチャー、レーガン以降、1979年がサッチャーの登場ですから、ちょうど30年前でございますが、かなり市場機能重視ということになっていったと。2007年以降、この財政金融政策の発動へ転換してきたと、こういうようなことで、その後「危機の出口」後の経済社会の姿を見据えてどうしていくのかと、こういう議論をさせていただいたところであります。
 それから、ミクロについても、この「出口」後の姿を見据えて、有効な成長政策、「呼び水」的なものという言葉もございますけれども、そういうことや、必要な所得の再配分に有限な政策資源を集約していく必要があるだろうと、こんなような論点があったところでございます。
 以上が私からのお話でございます。後は御質問があればお願いします。

2.質疑応答

(問)まず月例経済報告についてなんですが、一応基調判断は据え置きとなりましたが、昨日の例えば機械受注ですとか、景気ウォッチャー調査なんかで、機械受注は設備投資の意欲が若干、7-9月期の見通しが弱いところもありまして、企業の設備投資意欲がまだなお弱いんではないかというところが見られるのと、あと景気ウォッチャー調査なんかでも伸び率が大分鈍化しまして、先行きはマイナスに7カ月ぶりに転じるという、天候不順だとか、そういう新たなリスク要因というか、そういったものも出ているようなところもありまして、そういった中で、景気のこれまでの底打ち宣言をされて、持ち直しの動きが続いているということで分析をされたと思うんですけれども、潮目が変わりつつあるのかどうかということについて、どういうふうにごらんになっているかということを御説明願いたいと思います。
(答)機械受注は今お話がありましたように、この6月季節調整済みで前月比9.7%増ということですが、大型案件の影響が大きいということと、それから今お話があったように、7-9月期の見通しはまだマイナス8.6%ということですから、まだここは慎重に見極める必要があると思っております。
 それから、景気ウォッチャーですが、これもお話があったように、景気の全体の各分野の合計は7カ月連続で上昇しております。ただ、家計の動向がこの天候不順の影響等において低下している。これは地域的に見ますと、やはり西日本のほうが低下が大きいものですから、やっぱり天候不順が影響しているのかなというふうに見ております。
 ボーナスの時期でもございましたので、家計を取り巻く環境というのは依然として厳しいというふうに認識をしております。経済対策の効果もありますので、足下、自動車、家電、消費支出の持ち直しが一方では見られているのも、これは事実でございますので、こうした持ち直しの動きが続くということを期待していきたいと思っておりますし、これも毎度の繰り返しですが、いろんなリスク、雇用、所得環境の悪化の影響等もきちっと注視をしていくと、基本的なスタンスは変わっていないということでございます。
(問)続きまして、今日ありました国家と市場の関係で、これは一応論点を整理されて、今後検討はどういうスケジュールで、具体的にどういうふうに進められていかれるかということをもう少し詳しく教えてください。
(答)懇談で、かなり突っ込んだ御議論をいただきまして、それぞれマクロ、ミクロで有識者の方から内容の深い、濃い話をいただきましたので、ちょっと今その議論を整理をしております。
 それから、もう少し部内でもちょっとディスカッションをして整理をしていきたいと、こういうふうに思っておりまして、今ちょっとなかなか、私もいろんなところに応援に行って東京にいないものですから、日程の調整が厳しいところもあるんですが、今週じゅうにもそういうディスカッションをして、方向性を整理をしていって、今からの運営に役立ててまいりたいと思いますし、特にミクロで「新たな公」というのもそこに少し触れておりますが、そのあたりで若干、もう一個回しております若年雇用のPTというのがございますが、そちらとの関連も出てくるかもしれませんので、そちらともあわせて整理をした上で、いろんな諸施策に反映できるものは反映していければというふうに思っております。
(問)あともう1点、すみません。靖国の参拝の関係で、終戦記念日も近いので、麻生総理は終戦記念日に参拝をしないというようなことを表明をされましたけれども、これに対する御所見と、大臣御本人はどうされるかというお考えがあれば教えてください。
(答)総理を含めてほかの方がどうされるかというのは、それぞれの御判断だというふうに思っております。
 私については、従来から、8月15日に特にということで参拝いたしておりませんので、今年も予定はございません。
(問)参拝の関係で、もう既に今年に入って参拝をされたとか、既に終えたということはあるんですか。
(答)今年、今までということですか。
(問)はい。
(答)特にございません。
(問)靖国の関係なんですが、8月15日以外に参拝されるということも特に考えていらっしゃらないと。
(答)はい、考えておりません。
(問)行かない理由について、端的におっしゃっていただけますか。
(答)いつも亡くなった方も含めて手を合わせておりますが、特に、どこかの日に決めて参拝するということを今までしておりませんので、今後も変わらないということです。
(問)しつこくて恐縮ですが、逆に15日の終戦記念日は御予定というか、どういった形でこの日を迎えられる御予定なんでしょうか。
(答)たしか武道館だったと思いますが、戦没者の追悼式、これに出席をする予定にしております。そこで戦没者に対して追悼の誠を捧げたいと、こういうふうに思っております。
(問)あと景気の関係ですけれども、2つあって、1つは先ほどちょっと触れられた天候不順の件で、大分いろんなところで西日本を中心に被害が出ているんですが、今後の景気へのリスクについて、どのぐらいとらえていらっしゃるのかという点と。
 あと、今朝ほどの地震の関係で、高速道路が止まったり、かなり大きな影響が今後出てくると予想されますが、経済活動の影響についてどういうふうに考えておられるか、その2点お伺いします。
(答)そうでございますね。これは、防災担当大臣とか国土交通大臣のほうで、まずどういう被害が出ているのか、特に地震については今朝の話でございますので、まずは現状の把握に努められているというふうに思っております。その上で、どの程度の被害が出ているのかということ、そして、それを修復させるのにどれぐらいの時間的なものを含めてかかっていくのか、この辺がわかってこないと、まだ今の時点でどういう影響があるのかないのかというのは少し早いのかなと、こういうふうに思っております。
 一方で、全般的な天候不順につきましては、特に先ほど申し上げましたように、今まで被害が実際多く起こっている西日本で、景気ウォッチャーでもそういう影響が出ておるという報告もございますので、これは今年に限って今まで全くなかったことがということでもないと思いますので、これがどういうふうになっていくのかというのは、少し推移を見極めなければいけないのかなと思っております。
 家電のエコポイントの資料を見ますと、クーラーだけが少し調子が悪いと。こういうところにも冷夏の影響が出ているんじゃないかなというふうには思っておりますが、全体としてどういうことになるのかというのは、しっかりと見極めていきたいと思っております。
(問)地震の関連ですけれども、東名高速がああいった形になると、交通量や物流の関係の影響と、あと時期が時期ですので、お盆、観光とか多分、数日間で復旧はなかなか難しいような、映像を見る限りだと思いますが、そこはぱっと見た感想というか、大臣の率直な今後の影響の見方というか、それはどうでしょうか。
(答)そうですね。これは、この経済財政担当大臣というよりも一国会議員として、1日も早くこれは修復をしていかなければいけないと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、どれぐらいの被害が出ているかと。画像の印象ですと非常に大きな被害だなと。修復にもそれなりに時間はかかるんではないかなという印象は持っておりますが、例えば国道で迂回をしていただくとか、いろんなことを関係のところでやっていただけるものというふうに思っておりますので、こういう影響を最小限にとどめるように、政府全体として取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
(問)選挙の応援でいろいろな地域を回っていらっしゃると思いますけれども、実感として景気の現状というのはどのようにお感じですか。
(答)随分いろんな方と懇談もさせていただいておりますが、昨日も四国へ行きまして、経済界の方と、これは党の仕事として行かせていただきましたけれども、特に中小企業の方からは、資金繰り等につきまして、また雇用調整助成金等の一連の施策につきまして非常に効果が出ているということで、評価する声がありました。
 景気の現状につきましては景気ウォッチャー等も出ているように、冒頭申し上げましたように、やっぱり水準が非常に下がっております。そのことと、それから底を打って今からリバウンドしていくという方向性と、それぞれのお立場で、さまざまな受け止めだなということでございます。やっぱり水準が低いということで、景気回復という実感にはまだ乏しいというところもありますし、ただ一方で、非常にシャープに落ちた後、戻ってきているという声もありますので、この後者をどんどん増やしていくことによって、なるほど景気回復してきたなという実感をどうやって広げていくのかというのが、今後のポイントではないかと思っておりまして、そういうことでマインドがよくなっていくということが、実は遅行指標である雇用なんかには非常にいい影響になってくると、こういうふうに思っておりますので、今まさに正念場ではないかなという実感を強く持っております。
(問)来週月曜日に4-6月期のGDPが出るわけですが、ほとんどの調査機関はプラスを見込んでおりますが、大臣はどのように。
(答)これは今作業中でございますので、しっかりと来週、しかるべき時期に発表したいと思っておりますが、民間のいろんな調査機関が、いろんな予測を出されておることは私も承知しておりますので、いい数字が出るといいなと思いながら、これはしかし、きちっと来週の月曜日に発表してまいりたいと、こう思っております。

(以上)