林 芳正 内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年8月4日

(平成21年8月4日(火)  11:20~11:41  於:記者会見室)

1.発言要旨

 閣議での私の関連の案件は特にございませんでした。
 それから、先日の7月24日の記者会見での申し上げましたとおり、パラダイム転換の中での国家と市場の関係の再構築ということにつきまして、事務方に検討を進めるように指示を出したところでございますが、今週、私と有識者の皆さんの懇談の場を設けることになりましたので、御報告をしておきたいと思います。マクロの経済運営とミクロの資源配分と所得配分、こういう2つの切り口で、マクロは1回、それからミクロは2回、計3回ですけれども、水曜日と金曜日に御議論していただこうと思っております。この懇談の成果につきましては、いただいた御意見を踏まえながら、なるべく早く論点とか、それからできるものは方向性について整理をしていきたいと考えています。
 私のほうからは以上でございます。

2.質疑応答

(問)まず、今御紹介ありました国家と市場の有識者の懇談なのですけれども、論点整理というのは大体いつごろぐらいを目途に、どのようなものをということを、もう少し詳しく教えていただければと思います。
(答)これはなるべく早く、できれば来週ぐらいを目途にして論点整理をし、方向性が出てくれば、方向性を出して整理をしたいと思っておりまして、それにまたいろいろ検討を加えながら、いろいろな対策を執行しておりますし、予算要求も今やっておりますので、そういうものに反映できるものはしていきたいと思っております。
 また、少し長い目で見ますと、まだ少し気が早いかもしれませんが、出口戦略というのを国際的にいろいろ議論しておりますので、今緊急避難的ないろいろな経済対策というのをやっておりますが、ここから出口から出ていった後の姿というのを、この緊急的な状況に入る前と同じものであるかどうか、そういうことについても問題意識を持って議論していけたらというふうに思っています。
(問)予算要求とかに反映させたいということなのか、ちょっと具体的なイメージがよくわからない、ちょっとテーマが壮大なので、どういうふうに予算要求に落とし込んでいくのかというところをもう少しわかるように教えていただければと思います。
(答)対策の執行というのは今もうやっているものでありますが、いろいろと雇用にしても金融にしてもやっております。また、来年度も今概算要求の作業をしているところでございます。ここで出てくる議論というのはマクロが非常に大きな議論で、サッチャーやレーガンがやっていた市場主義といいますか、新古典派的な考え方と、それからもうちょっとケインジアン的な考え方というのがどうなるということですが、そういう議論をしながら、ミクロの部分ではどういうふうに政府の再分配機能というものを果たしていくべきなのか。今かなり政府が出動しているわけですが、出口戦略というのが決まってきますと、どこをどういうふうに出口に向けて変えていくのかという方向性が出ると思いますので、それに合った今年の執行、来年の要求というものを出口のイメージと整合的にしてくという意味があると思います。ですから、ちょっとわかりにくい言い方で恐縮なのですが、まだ今から議論しますので、そういうような形で反映をさせていければなと思っています。
(問)今の問題ですけれども、大臣の頭の中では今は大きな政府なのだから、将来的には小さな政府にしていきましょうというのか、それとも今までは小さな政府を政権は志向してきたけれども、これからは大きい政府を志向しなければいけないという考えなのか、大きな問題意識はどちらなのですか。
(答)そこもマクロのところで大いに議論したいと思っておりますが、私の今の頭の中はそれほどすっきり整理されているわけではないのですが、フェーズ的には3つあって、この危機に入る前のフェーズ、それから今この危機的な状況ですから、もともと大きな政府か小さな政府かということを超えて今出動しているというところがあります。出口の後のイメージを今から考えたいと思っておりますが、やはり麻生総理がおっしゃったように、行き過ぎた市場原理からは決別すると。このことは実はよく総理のお話を聞いておりますと、特に安心という分野でおっしゃっているのです。社会保障の分野です。ですから、私は一律に全部大きな政府、小さな政府というざっくりした話をもう少し深めていって、例えば社会保障の分野と産業政策とか成長政策といった分野は少し分けて考えるということがあってもいいのかなというふうに思っております。例えば、社会保障は、医療にしても年金にしても、皆保険といういわばかなり大きな政府的な、自助、共助、公助、かなり組み合わせた仕組みになっておりますが、一方で産業政策、どの分野を成長させるかとか、この分野については、例えば、今対策で太陽光を打っていますけれども、あくまでやはり政府の役割というのは呼び水といいますか、いろいろな目標を示してこういうところに行きましょうと誘導するとか、最初のところはいろいろな補助金を出しますとか、税の優遇措置をとりますということで誘導する。しかし、自立できるようになれば、もう呼び水は要らないわけですから、自立的にやってもらうと。このように全部大きな政府ということではなくて、それぞれの分野に応じて少し細かく議論ができたらなと思っております。
 例えば、農業なんかでも、今まではどちらかというと、集団的にやっていこうということがありましたが、今度の平成の農地改革で、いわゆる耕作者原則というのから大きく踏み出して、法人もどんどん入ってくる、農地も集約するという方向性が出てきておりますので、こういう分野は今まであまり産業政策という言葉がなじまなかった分野かもしれませんが、今後はそういうことで潜在力を引き出して、強いところは強くしていくと。そんなようなそれぞれのセクターに応じた考え方というのができないのかな、それを全体としてまとめてみたときに、どういう政府の役割ということになるのかなということを議論できたらと思っております。
(問)出口戦略ということですけれども、現状の景気についての認識を、先週いろいろ各種指標が出ましたので、御見解を伺いたいと思います。
(答)先週からずっと指標が出ております。各々の指標については特に申し上げませんが、まずこの間経済財政諮問会議でも御議論させていただいたように、底を打って最悪の事態からは脱出して、今から景気回復に向けて努力をしていかなければいけないという状況の中で、リスクが3つぐらいあるのではないかということを議論いたしました。1つは雇用のリスク、1つは海外経済のリスク、それからもう一つはデフレのリスクと、こういうことを言って、それぞれ1つずつについて、こういう対策をちゃんといろいろ準備しながら、果断に臨機応変に対応していくと、こういう議論をいたしました。
 雇用の数値というのは、若干遅行的なものがありますので、言ってみれば地震が起きた後で津波が来るみたいなイメージがどうしてもありますので、ここは経営者のマインドによるところも大きいですし、経済白書でも雇用保蔵という言葉を使わせていただきましたけれども、何とかこの保蔵が実際に動いていく、実際に働いてもらえるようにしていくということが非常に大事だと思いますし、そういう行き先の見通しを持ってもらうことによって、雇用調整助成金を使ってでも、何とか外へ出すということではなくて、中で保蔵して頑張っていこうというふうになってもらうと。ですから、マインドを持ってもらうためには、やっぱり見通しというものを我々が出していかなければいけないと、こういうふうに思っておりまして、そういう意味では資金の緊急的な対策を打つとともに、経済成長戦略というものを、この間未来開拓戦略というものを出しましたが、こういうものを切れ目なくやっていくということではないかというふうに思っておりますが、基本的な認識はこの間から申し上げているラインで変わっていないということであると思います。
(問)今リスクの中で雇用のところは触れられましたが、デフレなのですけれども、物価下落がずっと続いているんですが、去年石油が上がって反動がありましたけれども、引き続き消費がよくない中で、現在の状態についてデフレの懸念ということをおっしゃった場合、もうデフレに入っているのかどうか、今現状をどういうふうに認識していますか。
(答)先週末に消費者物価が出ていますが、マイナス1.7%ですから、先月に続きまして下落が大きいということであります。いわゆる今おっしゃった石油を除いたコアコアというもの、生鮮食品、石油製品、その他特殊商品を除いたもの、これは前年比でマイナス0.4、前月比だとマイナス0.2ですが、この前月比をずっと見ていますと、4月がマイナス0.3、5月がマイナス0.2、6月がマイナス0.2と続いているということでございますので、まだこの段階でデフレだと言うにはちょっと早いので、持続的な下落となるかどうか、見極めが必要だと思っております。
 ただ、月でマイナス0.2ということは、12カ月だとマイナス2.4ということに単純に言うとなるわけで、やはりここは懸念を持って、今後の動向を注視してまいらなければいけない、景気の持ち直しの動きが続いて、マイナスが減っていくというようなことを努力していかなければいけないというふうに思っています。
(問)この有識者との懇談なのですけれども、何か会議の内容のブリーフなり何なり、その辺は大臣がされるのか事務方がされるのか、どうするのでしょうか。
(答)そうですね、事務方と詰めたいと思いますが、懇談会ですから自由にやるので、懇談会自体を公開するというのはあれかなと思いますけれども、頭撮りをしていただくなり、ブリーフするなりきちっと対応したいと思います。
(問)失業率について、経済対策を政府でつくったときに過去最悪の5.5%になるのを防ぐというのが1つあったと思うのですが、今回5.4%に上がって、過去最高を更新という見通しが高まったように思うんですけれども、その点、大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
(答)この間諮問会議でも御議論しましたように、やはり雇用情勢は懸念されるということで、昨年の8月以降ずっと対策を打ってまいり、事業規模で130兆円ですから、これはかなりの効果が既に出ていると思っております。雇用調整助成金で230万人という既に申請があるということでありますから、これはどちらの新聞だったか忘れましたけれども、これがなかりせばという試算を出しておられて、8.8%という数字を私は新聞で読んだことがありますが、いろいろな試算の仕方があると思いますけれども、保蔵というところでとまっていただいているということではないかと思っておりまして、下支えはかなり効いていると思っておりますが、さらに今月の指標が出ましたし、その前に諮問会議から議論がありまして、この間本部でPTの設置を決めていただきましたので、若年雇用PTを今回しておりますけれども、特に全般的に雇用対策を今申し上げたようなことでやっていくと。雇用調整助成金しか申し上げませんでしたけれども、例えば職業訓練をやっている方に手当を出すとかいうことも今度の施策で入っておりますが、その中で私が今PTを立ち上げた若年雇用を、こういう状況なので、第二のロストジェネレーションといいますか、来年卒業されて就職されるという大きな固まりがあるわけですね。そこがまだ今の日本の雇用の仕組みですと、一度最初に就職できないと、エンプロイアビリティというのがOJTで高まっていくという機会を逸しますので、ずっとこのきっかけがつかめないということで、今の第一のロストジェネレーションというのができたわけなので、まずはそういう第二のロストジェネレーションをつくらないということと、それから今既に言われております若年の雇用の問題についても、コンサルを丁寧にやって、マンツーマンでいろいろ相談をしてあげて、その人がそれぞれ、例えば農業なら農業とか、医療とかそういう分野なら医療と、それぞれの専門家につないでいけるというようなことを少しできないのかなと。昨日も有識者の方からいろいろとお話を聞きましたけれども、やはり教育のところで職業というのはこういうものだという意識も持ってもらうし、それから実際に社会人になってから自分の適性はどうなのかいうことを丁寧にマンツーマンでやっていくということが非常に大事ではないかなと思っておりまして、既にいろいろな制度をそれぞれやっておりますので、ジョブカフェとか、ハローワークにしてもそうですが、その辺の取り組みをより有機的に結合させていくと。若い人が、職をどうするかという人から見て、やっぱりマンツーマンで、ワンストップでシームレスということになるようなものを早急につくっていきたいと思っております。
 これはこの間も申し上げましたが、経済危機対応等特別措置ということで3,500億円ほどありますので、そういうものや、それから今積んであるいろいろな基金の使い方などを含めて、若年雇用PTの成果というのは概算要求に反映していきたいというのは前に申し上げたとおりです。
(問)今の雇用PTの話、昨日開かれた有識者会議の話なのですけれども、これはどちらかというと年末にかけて時間をかけて長期的なスパンで検討される必要があるというお話なのかと思うですが、昨日の有識者会議の中で、新卒一括採用というものと終身雇用、この2つが合わさると非常に雇用の流動性が低くなってしまう、結果として失業者が増え、正社員の門戸が狭まってしまうというようなことをおっしゃった人が多かったように見受けられるのですけれども、この点に関して大臣の御見解をお願いできますか。
(答)前回か前々回、少し私の個人的な考え方を申し上げたときにも、ちょっとそういうお話をした記憶がありますが、4月に卒業して同時に全員入ると、そこで入れないとコースから外れるということをどうやってもう少し流動的なものにできるかというのは、私は強い問題意識を持っておりまして、例えば9月に卒業、入学する大学があったりとか、それか中途採用するとか、あとこの間も申し上げたかもしれませんが、ノンプロフィットのセクターでボランティアをやると。昨日も有識者の方からお話があったのは、そういうNPO的なところでボランティアをやりながら、そういうパブリックセクターのノウハウというのを積み重ねた人の中から公務員になってもらうというような考えもあるのではないかというお話があって、なるほどなと思いましたけれども、例えば将来こういうことがあり得るというキャリアの道筋を示すことによって、なるほど自分は本当はこういうことをやりたかったのだな、この道に行ってみようかなと思ってもらえると、そういうようなことを昨日も大分御示唆をいただきましたので。
 両論あって、今の4月にみんな入るというのを全部壊せというのだと、どんと出てきますが、それでできるところはそれはやるべきだという方もおられました。ですから、そういうところではいけないというのではなくて、それと並立的にいろいろな道があり得るのだということを、もう少し有識者のヒアリングをやり、詰めていけたらなというふうに思っております。施策でこういうふうにやったらすぐそうなるという部分と、そうでない意識の部分もありますが、しかし施策がそういうふうにしっかりと方向性を出すことによって、意識も変わってくるという効果もありますので、そういう考え方で整理をしていきたいと思っております。

(以上)

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