林 芳正 内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年7月24日

(平成21年7月24日(金) 10:52~11:19  於:記者会見室)

1.発言要旨

 それでは、閣議がございましたので、その内容を御報告いたしたいと思います。
 本日の閣議では、21年度の年次経済財政報告をさせていただきました。
 それから、閣議案件ではございませんが、株式会社の企業再生支援機構につきましては、6月26日に公布しました株式会社企業再生支援機構法に基づきまして、現在、鋭意、設立準備を進めているところでありますが、このたび同機構の企業再生支援委員長ということで、LM法律事務所の代表パートナーとして御活躍されております瀬戸英雄先生を内定いたしましたので発表したいと思います。
 先生は、これまで弁護士として数多くの重要な企業の倒産や再生事案というものに取り組んでこられて、また事業再生実務家協会の専務理事ということで、事業再生に取り組む全国の弁護士のリーダー的な役割を担ってこられたというふうに承知しております。それからまた、国や地方公共団体に対しても、その専門的な立場でいろいろな指導・助言を行うなど、公的な立場で御活躍をいただいております。 そういう意味で、公正・中立な立場から、機構の業務執行に関する重要事項を最終的に御判断いただくという企業再生支援委員会の委員長にふさわしいという方だと思っております。
 それからもう一つでございますが、先日、経済財政諮問会議で民間議員から提案された「パラダイム転換の中での『国家と市場の関係』の再構築」について、今日、内閣府の事務方に検討を進めるように指示したいと思っております。マクロの経済運営をどうするのか、それからミクロの資源配分・所得配分、新たな公と成長政策のバランスという2つの切り口で、政府の役割を再定義する議論をしてもらおうと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)本日、「経済財政白書」を閣議に提出されたということですけれども、大臣御自身は、今回のこの白書のポイント・見どころはどの辺りととらえているのか教えてください。
(答)巻頭言で申し上げておりますように、まずは今後の景気回復のパターンというものが、内需と外需の双方に牽引されると。これは、党の経済再生戦略会議でいろいろな対策をまとめているときからずっと議論していたことでありますし、さかのぼれば、1986年ですからもう23年前に、「前川レポート」というのが出ておりますが、そのときから内需というのは言われておったのですけれども、まさに内需と外需の双発エンジンというもので景気を回復していくということが1つでございます。
 もう一つは、この危機後の日本経済というものの中期的な課題ということで、資金や人材の成長分野への配分ということや、それから、今やっております緊急避難的な財政拡大のいわゆる出口戦略を書いております。
 3つ目ですが、社会保障制度、医療・年金・介護・少子化等いろいろあるわけですけれども、そういうものに対する国民の信頼というものが、個人消費を下支えするようにしていかなければならないということを書かせております。こういったところが、大きなポイントかなというふうに思います。
(問)それと、先ほどちょっと御説明がありました経済財政諮問会議のパラダイムシフトの話ですけれども、今後どういう形で議論を進めて、実際に作業に当たるのは誰で、例えばスケジュールがどうとか、もう少し具体的に教えていただければと思います。
(答)今日、指示を出そうと思っておりますが、うちの事務方で、経済社会総合研究所もありますけれども、経済社会システムとか、運営部門もありますので、必要な方に網羅的に入ってもらって、やっていきたいと思っております。
 先ほど、出口戦略ということを言ったのですが、実は、今は緊急避難的に財政が出ておりますけれども、ずっとこれをやっていくわけではないので、その出口の後の姿が危機に入る前の姿と同じものかということを、少しきちっと議論したいと思っております。
 ミクロの資源配分のところで、「新たな公」というわかりにくい言葉だと思いますが、イメージしておりますのは、「公」と「私」という言葉がございます。従来は、「公」の仕事というのは官がやる、民が「私」の部分をつかさどるという二分法であったと思うのですが、NPOとか公益法人があるように、実はその公の部分を民に担っていただくということが現実にもありますし、ここが非常に大きなものになってくるのではないかと思います。
 ソーシャル・キャピタルというのを自民党でも研究したことがありますが、いわゆる自発的に連帯して、まちづくりとかいろいろなことをやることが、非常に行政と相まって安心な社会をつくるということがかねてから言われております。また、日本は、実はこのソーシャル・キャピタルという意味では、非常にそういう意識の強い国柄であったと。例えば、自治会ですとかPTAですとか、もっと昔になれば講とか惣といった、非常に自発的に連帯するというのが昔からありました。今、そういうものが少し弱まっているのではないかということもありますので、そういうものも少し考えていく。
 家の前にごみが落ちているときに、町内会でみんなできれいにするということにするのか、市役所に電話して「すぐ掃除しに来い」と言うのかでは、大きな違いがあるのではないかということを、私は、地元でよく言うのですが、そういうことも含めて「新たな公」、それから成長政策ということを、どういうふうにミクロで資源配分したらベストミックスになるのか、こういったような問題意識でやっていきたいと思っております。マクロのほうは、これはよく言われていることですが、サッチャーが登場したのが1979年ですから、ちょうど30年たって、大きな変革の波が来ているのではないかということをおっしゃる方もいらっしゃいます。アメリカでオバマ大統領が誕生したことを、FDR、ルーズベルト大統領が登場して、ニューディール政策をやったことに例えて言われる方もいらっしゃいますので、そういう大きなマクロの考え方というのも整理した上で、マクロ、ミクロ、そして具体的な施策にどう落としていくかということをやりたいと思っております。
(問)取りまとめの時期のメドはありますか。
(答)今から検討しますが、随時、反映できるようなものが出てきましたら、対策の執行とか、あるいは予算要求などに反映していきたいと思います。
(問)経済財政白書の話ですけれども、企業が雇用保蔵という形で、過剰な人員、余剰人員を最大で607万人程度を持っているという推計を示したことについて大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。
(答)ある意味では、雇用の過剰感というのは、極めて動きやすい概念だと思いますが、景気の先行きの見通しとか経営者の判断による部分があるわけでございます。例えば、自動車ですと、昨年もうこれは過剰だと思って保蔵しているというふうに思っていたら、いろいろな政策効果もあって急激に生産が伸びて、今度は土日出勤していただく。プラス面を言えば、今、過剰だと思っていても、将来に備えて、まさにそこにそのままにしていただいている。それは、累次の雇用対策の雇用調整助成金ですとか、いろいろなものがきいているという側面もあると思いますので、それは非常にプラスではないかと思っておりますし、我々としては、先の見通しを確かなものにして、マインドを上向きにしてもらうことによって、保蔵という状態から本当に必要な人材であると、要するに過剰感を解消していくことに努めていく必要があると思っております。
(問)この保蔵の人員が、今後、景気の動向によっては、失業者に切りかわっていくというリスクを、大臣は今、どの程度見ていらっしゃいますか。
(答)これは、かねてからいろいろなダウンサイドのリスクとして、海外経済とかデフレとともに、雇用というのは挙げておりますので、そういうリスクがあるということは認識しております。速やかにいろいろな対策を実行していくとともに、特にどういう層がどういう理由でそういうことになっているのか、また、どういう層が保蔵から外へ出てしまうリスクがあるのかということを、少し丹念に分析して、セクター別にも細やかな対応というものをやっていきたい。これは、実は経済財政諮問会議でも御指摘があったところでございますので、そういうふうな運営をしていきたいと思っています。
(問)経済財政白書の関係で、格差の問題について、かなりページを割かれていて、政府としてもかなり明確に、格差が拡大していることを認めて、対策についてもいろいろ書かれています。今回、白書でこういった格差の拡大について改めて認めた意義について、どうお考えになりますでしょうか。
(答)これは、累次の国会での御議論でも、構造改革をやってきて、いろいろな改革が進んで景気が上向いたということもあったのですが、その裏側として、やはりいろいろなひずみが出てきたということを申し上げておりまして、その1つがこういうことであろうということでありますので、いろいろな数字から見ても、こういうものが出てきておりますので、それを客観的に正面から認めた上で、このひずみに対してどういう施策をとっていくかということをしっかりとやるべきだということであります。ここを現状認識としてしっかりと押さえておくということは、大変意義のあることだと思っております。
(問)格差を是正するための対策ですけれども、経済財政諮問会議等でもいろいろな議論がありましたけれども、この白書で、景気回復が最大の格差対策というような見方をされていて、給付つき税額控除とかは触れられていますけれども、例えば政府が格差是正にもっと大きな役割を果たすとか、もうちょっと踏み込んだことがあるのかなと思ったのですが、その点は、何か景気対策が格差是正にというと、当然ではあるのですけれども、ある意味で旧来型の対策しかないので、やはりここは改革をやっていくという発想と通ずるところがあるので、何か従来と何が違うのかという気もするのですけれども、そこはどうなのですか。
(答)いろいろあると思うのですが、1つは、全く新しい世界に100%なったわけでもないですから、景気のサイクルというのがあると思う。ですから、景気が良くなれば、失業という状況から、その手前の保蔵ということから、過剰感がなくなってくる。だんだん、この右側にシフトしていくということになるわけで、まさに職があるかないかというのは、格差があるかないかというところに大きく影響する一つの分野です。そういう意味ではそういうことをきちっとやっていくという意味で、先の見通しも含めて、景気回復を確実なものにしていくということは大事だと思います。そういう意味では、新しく、さっき申し上げた「公」と「私」で官と民がどう連携してやっていくかという中で、政府がどういう役割をしていくべきなのかというのは、少し先ほどの議論の中でも、当然、入ってくることだというふうに思います。
 総理も、行き過ぎた市場原理主義からは離れていくというようなことを、この間、おっしゃっておられました。けれども、市場経済や資本主義をやめるわけではありませんから、市場と国家がどうバランスをとっていくのかを考えていかなければいけないと思います。既にかなりこの間の経済対策でいろいろな施策が出ていて、職や仕事をきちっと増やしていく、確保していく。働ける場所ができて、そこで働いていただいてという当たり前のことですけれども、ここが一番大きいのではないかと思います。そこがないと、いろいろなセーフティネットというのは、まさにネットですから、そこに不幸にして落ちても、戻ってきてもらう場所がない、結局、ネットのところにとどまってしまうということになります。その意味では、戻るべき場所、職というものが、果たしてプライベート・セクターといいますか、プロフィット・セクターだけなのかということを少し考えてみたいなというのがさっきの話です。そういう意味で、新しいところもありますが、基本的に今までと変わらないのは、やはり職をきちっと確保していく。そのためには、やはり景気を確実に回復させていくことであろうと思います。
(問)そこの部分ですけれども、経済財政白書では、多様な雇用形態を維持したほうが雇用の機会が増える、失業が格差の最大の要因になるという見方です。結局、そういう言い方で、労働のあり方というか、労働法制の見直しに対して全く言及していない、これだけ派遣が問題になっている中で、働かせ方の問題は今のままでよいのだというのは、余りにも安易な結論で、総理が言った市場原理主義に対する批判と整合しないのではないですか。
(答)厚生労働省のほうで「労働経済白書」を出しておられると思いますが、施策の直接の担当をされていますので、そちらでより詳しく書かれているというふうに思っております。我々の経済財政白書の方も、非正規雇用については、女性とか高齢者を中心に就労ニーズは多様化しているので、その受け皿ということで、その入り口、入りやすくしているということを指摘しておりますが、一方で、まさに今お話があったように、「失業とか所得変動のリスクというものがありますね」ということも指摘しております。
 ですから、非正規雇用の全部がだめだということではなくて、やはり雇用や所得の安定が図られるためにいろいろなことをやらなければいけないと思います。経済財政白書では、直接の担当ではないということもあって、そうした明示はしておりませんけれども、例えば日雇い派遣の原則禁止というようなことの法的整備も含めまして、セーフティネットの拡充というものは、きちっと進めていくべきものだというふうに思っております。
 先ほど申し上げましたように、セーフティネットですから、そこから戻ってきてもらう場所というものをきちっとつくっていくということも大事であるというふうに認識しております。
(問)そうすると、「労働経済白書」は、もうちょっと規制を強化する視点に立っていると思うのですけれども、それとバランスをとって、逆に、それと対抗的な考え方を示したということなのですか。
(答)そうではなくて、「経済財政白書」は経済全体を見て作成しておりますし、「労働経済白書」は雇用者のための施策ということをやっておりますので、それぞれ視点が少し違うところはあるかもしれませんが、大きな方向としては全く一緒であるということだと思います。
(問)経済財政白書の中に記述されている格差の改善策として、いろいろ所得再配分について取り上げて論じられていますが、その中で、消費税の役割について全くと言ってよいほど触れていないというのがちょっと疑問です。例えば、給付つき税額控除制度だとか、そういった具体的な方策と財源としての消費税というのを結びつけて、もうちょっと全体の設計をわかりやすく示すといったことが、内閣府としてあってもよろしいのではないかというふうに思ったのですが、いかがでしょうか。
(答)全体の財政運営というのは、「経済財政改革の基本方針2009」で財政健全化目標というのを書いております。消費税とか所得税とか個別の税目についての直接の所管は財務省ですので、我々としては全体的な財政運営ということで、「基本方針2009」に書き込んでおりますので、あえてここで、白書ということでございますので、個別の税目について特出しするというところまでではありません。当然、「基本方針2009」や「中期プログラム」がありますので、その決められた枠組みできちんとやっていくということは、もう言うまでもないことだというふうに認識しております。
(問)「経済財政白書」だと消費税のことを触れられないという理由をわかりやすく教えてもらえませんか。
(答)先ほどの労働のところで、個別の法律について細かいところを書くということは「労働経済白書」でと申し上げたのと同じで、財政健全化目標も基本方針でどう書いてあるかといいますと、「まずは景気を回復させ、5年を待たずに国・地方のプライマリー・バランス赤字の対GDP比を少なくとも半減させることを目指す」、こういうことを書いておりまして、それから「中期プログラム」等でも、経済が回復したときに抜本的な税制改革ということを書いております。あと、所得税法等改正法の附則では、各税目について全部書いておりますが、そこまで詳しく我々のほうの経済財政白書で書かなかったということであります。

3.資産公開関係質疑応答

(問)閣僚の資産公開については、どういうふうに思われますか。
(答)こういうルールで、やはり閣僚になったときと辞めるときというのを時点的にやっておくのは、意味のあることではないかと思います。昨今、政治と金について、いろいろと議論が高まってきておりますので、これが始まったときほど、これがつくられたときに抑止しようとしたようなことはないと思いますが、こういうふうにきちんとやっておくということは、効果があるのではないかなというふうに思います。
 うちでいうと、子供の分まで出るというのが、全く内容はないのですが、ちょっと気の毒だなという感じもしないでもないですが、同居の親族ということですので、こういうルールでやるということだと思います。
(問)御自身の資産については、どういうふうに感じていらっしゃいますか。
(答)代々といいますか、そういうものが多くて、余り自分で頑張ってつくっていないなと。これは、こういう仕事をしていれば当然だと思いますけれども、そういうざくっとした印象はございます。
 あと、細かいことですが、ゴルフの会員権で「富士カンツリー」となっておりますが、これは通称で、ちょっと勘違いで表記ミスがございまして、「カントリー」という、正確にはそうだそうでございますので、必要な時期にできれば訂正したいと思っています。申しわけありません。

(以上)

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