林 芳正 内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年7月2日

(平成21年7月2日(木) 16:04~16:16  於:記者会見室)

1.発言要旨

 このたび内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)を拝命いたしました林芳正でございます。
 我が国の経済は、経済の危機、社会の危機といった危機的な状況に直面をしておりますので、成長力の強化をする、それから安心社会の実現をする、それから財政の健全化にも同時に取り組んでいく、という必要があると思っております。
 安心・活力・責任という3つの目標、これに一体的に対応していくために、基本方針、いわゆる「骨太の方針2009」をこの間取りまとめたところでありますが、この方針に基づきましてしっかりと慎重に経済財政運営を進めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
 麻生内閣の一員としてしっかりと頑張ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 私のほうからは以上でございますので、御質問があればお願いします。

2.質疑応答

(問)今もお話ございましたけれども、非常に難しい時期に経済財政運営を強いられるということになりますけれども、このタイミングで与謝野前大臣からバトンを受けて、どういう形で新大臣らしいカラーというのを出していくのかというあたりをまず1点。
 それと関連いたしまして、日本経済の現状について、落ちるところまで落ち切って、今は底から這い上がってこようかと、先日の月例経済報告でも前大臣のほうから底打ちというような発言が出ましたけれども、景気の現状をどう認識されているかというのを、2つお願いいたします。
(答)前大臣にはいろいろなところで御指導いただいておりまして、たしか与謝野政調会長のときに私が副会長で、一緒に「骨太の方針」をつくったり、党で取りまとめをしたりということもございましたので、私が勝手に思っているのは、大変尊敬をしておりますし、考え方も近いのではないかな、と思っております。
 与謝野前大臣が昨日の会見で、用心深い丁寧な経済運営と、こういうふうにおっしゃっておられたというふうにうかがっておりますが、まさにそういう今大事な時期であるというふうに思いまして、次の質問の内容にも少し入りますが、底打ちをした、という状況ですが、おっしゃったように、水準という面で見ますと大変低いわけですね。2四半期で15近くずつ落ちたということは7割になってしまったということですから、7割の水準が8割、9割と戻っていくようにいろいろな施策を、先ほど申し上げたように打ってきたわけで、それをまだ底打ちしたからといって手放しで喜べる状況ではありませんから、本当に丁寧な運営を心がけていきたいと思っております。
 その上で、大事なことは、未来開拓戦略というようなものを、党では日本経済再生戦略会議というところで取りまとめいたしましたけれども、そういう少し中長期にわたったものをまとめて、それがこの間の補正、また、「骨太の方針」に入っておりますので、こういうことが実はありますということを、党内、またこの界隈では随分議論をしたつもりですが、まだまだそれが国民の皆様方に「こういうものなのか」という実感として届き切っていないのではないか。これは時間的な制約等でしようがないことなんですが。これからだんだんそれが実行されていく段階になっていくということであれば、こういうことですよ、という説明もきちんとやっていく。こういうことをしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
 短期的なセーフティネットとか、緊急的にやることに加えて、中長期的な展望もかなり入っておりますので、そういうことをしっかりと御説明しながら、慎重な運営をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
 次の質問は、今申し上げたとおり、経済の指標というのは、前期比とか前年同月比とかいう、比べて幾らという数字が多いものですから、その前の数字が悪いとプラスになるという性格もありますが、先ほど申し上げたように、水準にも重々注意をしながら、特に最近、ああいうショックに少し遅れてくると言われておりました雇用関係の数字というのは非常に厳しい数字でございますから、十分留意をして慎重に運営してまいりたいと思います。
(問)急な就任であることがあると思いますが、解散の時期がいつかわかりませんけれども、衆院の任期満了が迫っていて、大臣としてやられる時間が当面は非常に限られるかと思うんですけれども、経済財政運営の施策として当面まず手がけたい施策はどういうふうなものをやりたいとお考えなのか、「骨太の方針」も終わっていますし、今後の財政運営で何が一番課題になってくるのか、そこを伺いたいんですけれども。
(答)先ほど申し上げましたように、基本的には与謝野前大臣がおっしゃっていた慎重な、大事な時期における経済運営ということが、大事な基本線だと思いますので、何か向こう正面に新しい基軸でどんと新しいものを出す、ということよりは、基本的な経済運営を忠実にやっていく。非常に大事な時期ということもありまして、当たり前のことを当たり前に慎重にやっていくということが一番基本ではないかなと、こういうふうに思っております。
 その上で、「景気は気」という言葉もありますから、まさに先ほど申し上げたように、いろいろなものが補正予算等を含めて施策にはメニュー化されておりますので、そのメニューを一つ一つ丁寧に展開をしていくということと、それから、その展開をわかりやすく、こういうことになっています、ということを御説明していく。
 実は、例えば、エコカーみたいな施策は、自動車業界の方はわかっておられる。しかし、それ以外の方はなかなか関心がないというところもあるかもしれませんし、いろいろ取り上げられていない施策の中に結構いろいろなものが入っておりますので、こういうものが入っているということを、「政策のセールスマン」とでもいうんでしょうか、そういうことをやっていくことによってどんどん活用していただく。また、それによって、「気」の部分でマインドを良くしていく。こういうところにまずは注力をしていきたいと思っております。
(問)非常に麻生政権の支持率も下がっていて、政権内部も混乱しているわけですけれども、その現状についてどういうふうにお考えなのかということと、新大臣を含めて、内閣改造で政権を浮揚させるというねらいもあると思いますが、果たして今回の内閣改造でそれはできるとお考えなんでしょうか、それについて伺いたいんですが。
(答)私はこの仕事を与えられましたので、この仕事を一生懸命やっていく。先ほど申し上げましたように、いろいろな説明を丁寧にやっていくということを通じて、やはりやっていることが理解をされる。その前に、聞いてもらう、ということがあるわけですが、理解をしてもらって評価をしてもらうということが、ひいてはそういうサポートということにつながってくるのではないかと思いますが、私は、その前段の部分をしっかりと努力してまいりたいというふうに思っております。
(問)「中期プログラム」を政府はまとめておりまして、その中で景気の回復の前提に消費税を引き上げるということをうたっていますが、昨日、内閣府が出した経済見通しですと、来年度も0.6%という非常に低い成長率にとどまっておりますし、先ほどの大臣のお話に関連すると、3%以上のマイナスが続いた後の0.6%ということで、経済のGDPの規模としては全く回復したとはなかなか言いがたい状況にあると思うんですが、こういう状況で消費税を本当に2011年度に引き上げることが可能だというふうにお考えなのかという点が1点と、その引き上げが何で必要かというのは、社会保障と財政の建て直しのためにということになると思うんですけれども、今政策のPRをされるとおっしゃいましたが、この財政状況等についても国民に理解を求めていく必要があると思うんですが、それについてはどういうふうな役割を果たしたいとお考えですか。
(答)私はこの仕事になる前も、特に地元の会合が中心でしたけれども、財政再建の重要性というのは、あまりうれしくない話なんですけれども、やってきたつもりでございます。
 ですから、今でもその基本的な考え方は変わっておりませんが、基本的には、やはり成長するということ。それから無駄遣いをなくすという意味で、私も党で行革の仕事を5年、6年やってきましたけれども、そういう歳出削減ですね。無駄遣いをやめる。それから、税制の抜本改革、歳入。この3つが相まって初めて財政再建というのはできるわけですね。財政再建も、大きな意味では手段であって、大きな目的というのは国民の幸せ、経済の厚生ということでありますから、あまり財政再建だけが至上目的であるといふうになってはいけないと、こういうふうに思います。
 そういった意味で、「中期プログラム」においてもいろいろな書き方をしておりますけれども、ここに書いてありますのは、「景気回復過程の状況と国際経済の動向等を見極め、潜在成長率の発揮が見込められる段階に達しているかなどを判断基準とし」というようないろいろなしばりが書いておりますので、必ずしも年度が何年だということではないわけですし、所得税法の附則にもそういう関連の記述がありますけれども、経済は生き物でございますので、今言った3つのことが一番よく調和できるような道筋というのを考えていかなければいけないと、そういうふうに思っております。

(以上)