鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年6月15日

(平成21年6月15日(月) 12:55~13:20  於:会見室)

1.発言要旨

どうもお世話になりまして、ありがとうございました。皆様方には大変充実した日々や場合によっては楽しい夜の時間をお与えいただいて、マスコミ各社の皆さんには心から感謝申し上げます。去る金曜日でしたか、あれは。総理とお会いをして、午前中は、西川さんが詫び状を書いて頭を下げるから、それで手を打てないかということでありましたが、私は、日本郵政の幹部がお詫びすべきは私ではありません、国民であります。したがって、その妥協案はのめないということをお返事して、それで午後、どうしてもだめですかということになって、寂しいけれども、悲しいと思うけれども、辞表を書いてくれといういきさつで、潔く辞任をいたしました。以上でございます。

2.質疑応答

(問)鳩山前大臣は自らを永遠の政界再編論者と公言されております。今回閣外に去られたわけですけれども、今後の自らの政治的な行動をどのようにおとりになるかというのが1点と、また、不正義があると、これまで再三にわたって指摘されてきた日本郵政の経営について、今後も追及されるお考えがあるか、お伺いします。
(答)最初の御質問ですが、私が永遠の政界再編論者と申し上げているのは、政治の形態、政党の形態、形態というのか編成というのか、日本における政党のあり方のようなものは、常によりベターなものを求めていくべきである、ということから申し上げているわけでございまして、今、私の念頭に、例えば自民党を離党するとか、新党をつくるとか、そういうことは頭には全くありませんが、ただ、では未来永劫ないかと言われれば、常にあるべき姿が別にあると考えれば、そうした行動はとらせていただきたいと思いますが、それは仲間あってのことでございますし、また私自身もう還暦になったのですから、私は80歳になってまで政治をやろうとは全く思っておりませんから、私に与えられた、残された時間はそんなに多くはないと思っております。
 2番目の問題については、もちろん野党とは立場が違う。この間まで麻生政権の中にいた自民党の代議士ですから。立場は違いますけれども、ただ、私は日本郵政の今までのあり方、あるいは郵政グループ全体とも言えますが、大体、内部の機密文書があるでしょ。部外秘の、ホールディングス、つまり日本郵政が4つの子会社をがちがちに縛っている内部合意書みたいなものがあるのですよ。大体それを公開すべきだと思いますね、私はね。あれが何というか、例えば日本郵政が博報堂は切らないと言ったのも、どこも右へならわなくてはならなくなる原因の一つは、内部の機密文書なのですよ。あんなもので、国の、国民の財産あるいは税金も使われたことがあるかもしれませんが、共有の財産によって成り立ってきた郵政という事業が、上の方が全く不透明で、しかも縛りつける文書を持っていて、そういう日本郵政が下の子会社を縛り付ける契約書があるのですよ、表に出ていないものが。非常に非民主的だと思いますね、私は。日本郵政グループ経営管理契約、これをまず表に出して、白日の下にさらして国民に批判してもらうべきですね。そういうことがありますから、私は、かんぽの宿というのは氷山の一角ではないだろうかと、こういう感覚を持っておりますから、当然国民の共有の財産を守るためには命がけでこれからも戦ってまいります。
(問)今日、午前の会見で、佐藤新大臣が西川社長の進退については、経営改善計画を見て、周りと相談してから決めたいという発言をされましたが、前大臣としてはどのようなことを新大臣に望まれますか。
(答)私が、不透明なことをずっとやってきて、国民共有の財産を棄損せしめる寸前まで行っていた、そういう経営陣というのは認められないといって辞表を書かされたわけですから、現内閣がそれは認めるのでしょうね。ですから、「政府に尋問の筋これあり」という立場になるなと私は思っています。
 それから、金曜日に辞職して、翌日福岡へ参りましたら、見知らぬ人から色紙を書いてくれと、その場で頼まれたのですね。昨日までの肩書きでいいですかと、つまりもう辞めていましたけれども、総務大臣鳩山邦夫の色紙がほしいのかとこう思ったら、違いますと。前総務大臣鳩山邦夫と書いて、友愛と書きましたけれども、日にちを入れてくださいとお二方ともおっしゃいました。この日にちが入っていると意味があるのですよと、喜んで私の下手な字を受け取っていかれました。つまり私が辞任をした翌日だと、翌日という日付に意味があるのだと、盛んにその見知らぬ方はおっしゃっていましたね。それから、まだ3日ですけれども、町を歩くというか、食事にも出ますし。とにかく若い人たちのものすごい反応があるのですね。今まで、私も30何年間この世界にいて政治とか選挙をやっていますと、とにかく若い人というのは反応しないのですよ、大体。それは本当にびっくりします。餃子屋さんね、ひとり勝ちの王将に餃子を食べに行ったら、若い人ばっかりですよね。それが「気持ちいいよ、頑張ってくれ。」とか何かそういうものすごい声援を受けて、生まれて初めての経験だなとこう思いました。だから世の中の人は見てくれているのかなと思うと、うれしい気持ちにはなりますね。
(問)大臣は常々一連の問題で、例えば、かさかさした社会から潤いのある社会、正しいことが言えるような政治というふうにおっしゃっていますけれども、直近に衆議院選がありますが、どういった衆院選で何かテーマとして訴えていくのか。また、大臣が訴えていく政治テーマというのは、今の自民党政治の枠内で可能なことなのか、その観点でお願いします。
(答)それは、あなたの御質問は本質を突いた御質問で、私は非常にかさかさした社会や行政の有り様というものに対して警鐘を乱打していきたいと思っております。それは私が選挙に臨めば一番強く訴えるのは、もっと潤いのあるしっとりとした世の中にしようではないかと。もっと弱い者に味方できる、そういう世の中にしようではないかと。私が32年ぐらい前に初めて立候補したときには、パンフレットにこう書きましたよ。正直者が馬鹿を見ない世の中、まじめに働く人たちが損ばかりしている、そうではない、まじめに働く人たちがしっかりとした報酬を得て幸せになれる、そういう公正な世の中をつくりたいということを訴えて、 28歳のときに立候補しました。今思うと、要するに利益が出ないから不良債権だといって1万円で売ったら6,000万円に化けるという、どこかで濡れ手で粟を、そればかりねらっている人たちがいるということでしょう。だから、そのことはまるで明治14年の政変につながっていく官有物払い下げ事件、政商五代友厚、黒田清隆が絡んで、国民共有財産を特定の人間に払い下げていった。まさに官有物払い下げ事件の再来のようなことが起きつつあるのではないか。バルク売却などというのは、その筋ではないかと疑われていますよね。つまり、民営化はいいのですよ。郵政の民営化ということは、私は賛成し進めてきた。しかし、民営化するというプロセスにおいて、国民共有の財産を一部の人間だけが濡れ手で粟で儲けることが出来るように払い下げていくような、そういうあり方は絶対間違いなのです。これは、日本の今後の社会をどう構築していくかという上では最大の課題の一つになるだろうとこう思います。
 今日ある若手議員が私の事務所に見えて、自民党を二つに割ったらどうですかと、かさかさ派としっとり派で分けるような、そういうようなことぐらいしないと、この国は本当にだめになりますねと強い危機感を訴えて帰っていかれましたね。
(問)一部に、今年の2月に日本郵政の社長人事については、総理から鳩山大臣に人事を一新するように指示があって、その中で西室さんを含む3人の後任案というのが示されたという話があるのですが、その辺の事実関係はどうなのですか。
(答)2月ではなかったと思うのですが、総理からお手紙をちょうだいしまして、要するに西川後継の人事でお悩みではないかと思いますと。ついては自分なりの考えで後継にふさわしい人が何人かいますからリストを同封しますと、ということでリストをいただきました。3月、4月、いつだったですかね。私は、そのころは総理も当然これだけの問題の起きている日本郵政ですから、社長交替は既定の路線とお考えであると、私が安心し切っていたのが馬鹿だったのかもしれませんね。いつだったか、分かりますよ、調べれば。非常に総理から暖かいお手紙をちょうだいしまして、総理もその時点ではそういうお気持ちだったことは間違いない。
(問)その後、こういう形に、西川さん続投という形になってしまった経緯についても教えてください。
(答)それは私の知らないところで行われているのではないでしょうか。麻生総理はいつも、私は地元でも申し上げるのですが、あの方はすごくナイーブで、人の立場を傷つけてはいけないと思われて、進言してくる方の意見を聞き過ぎる。そういう嫌いは従来から感じておりまして。私は総理にもっと人が悪くなっていただいて、人の言うことを聞かない方がいいのではないですかと御進言申し上げたことがあったような気がします。ですから、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃって、それを聞き入れた結果が西川続投だったのではないでしょうか。でも私の見えないところでの話でございます。
(問)総理が変節するに当たって、どうして西川さんを続投させるのかということをこの間の会談では大臣にはお伝えしたのでしょうか、理由は。
(答)その日の夕方のぶら下がりで会社法とかおっしゃっていませんでしたか。
(問)民間会社に。
(答)結局そういうようなことでしたね。しかし、現総務大臣も、そういうことをおっしゃっていたかどうか分かりませんけれど、民間の会社に、要するに権限があるからといって口出しをするのはおかしい、よくないという考え方は、全く正当性はありません。それは、ではなぜ取締役の人事に関する総務大臣の認可権限が書いてあるか。それは公的な会社だからでしょ。公的な会社だし、国民の血と汗といろいろな努力ででき上がってきた郵政という事業を民営化するわけですから、それは国民共有の財産もあるし、もともと、民営化したとしても公的な性格が強く残るということがあって、そういう規定になっているわけですから、それは間違っていると思ったら、それは当然政府として口を挟んで誤りを正していくというのはやらなければいけない仕事ですから。民営化されたから、民間になった会社だから、政府が口出ししたらおかしい、それは全く誤った考え方だと私は思います。ですから折り合いませんでした。私は妥協しませんでしたから。
(問)その関連で、いろいろな人の意見を聞くということなのですけれども、いわゆる構造改革派と言われる人たちはいろいろなことを言っていましたが、結果としてこういうことになってしまって、支持率も下がっていますけど、その人たちに言いたいことがあったら。
(答)まあ、それはよろしいのではないでしょうか。言いたいことは山ほどあるけれども、私は人と喧嘩しているつもりは全くないので。私はただ、国民共有の財産を守りたいと、その一心でやってきた仕事ですから。西川さんと喧嘩したつもりはありませんし、何か喧嘩両成敗なんて書かれると私と西川さんが喧嘩しているような、相撲を取っているような漫画とかいろいろありましたけれども、私は西川さんだって酒を飲んだらいい友達になれるのかもしれないと思っている。ただ、あの不透明な有り様がおかしいと。当然かんぽの宿は氷山の一角に過ぎないのではないかと国民が思ったとしてもおかしくないでしょう。現に低料第三種郵便の問題では、厚生労働省の現局長まで逮捕ということまでいっている。とすれば、かんぽ生命の不払い、未払いを含めて、やはり膿は出さなくてはいけないですよ。不透明なことはやめなくてはいけないですよ。それは過去に対する真剣な反省がなければいけないと思う。
(問)各種世論調査を見ますと、総理が鳩山前総務大臣を更迭されたことへの批判がかなり高く、大臣の西川社長を再任しないという御判断も非常に支持する調査結果が出ているのですけれども、こういう世論の反応についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)私は麻生総理が大好きで信頼して、ここまでまいりました。今でもその基本的な気持ちに何ら変化もありませんが、この件については総理大臣は判断を完全に誤られたと思います。これからは持ち前の優れた資質と能力で、国の将来に過ちがないように正しい判断を連続して行っていただきたいとい思いますが、この件に関しての総理大臣の判断は完全に誤りであって、国民はその評価として支持率を下げる形で示してきているのではないでしょうか。
(問)先程、国民共有の財産を守るために戦っていくと言われたのですが、具体的に例えばどのようなことをされていくことになりますか。
(答)それはやはり、私がここにいて知り得たことを調査していくということでしょうね。ということは、質問主意書とか書くのかな。資料提出要求とか、するかもしれません。
 今日、また別の若手議員が来て、鳩山先輩は浅野内匠頭ですかと言われて、ははあと思って、ちょっと最初はぴんと来なかったのですけれども、そんな忠臣蔵のような有名な物語になぞらえていただいて恐縮だけれども、世の中の受け取り方はそういうところがあるかもしれませんね。地元に行ってもそういう感じの反応なのかなという。かわいそうに、お気の毒にと、腹を切る人は別にいたのではないですかみたいな、そんな感じの反応があったから、ある議員から浅野内匠頭ですねと言われて、泉岳寺に埋められるのは、まだ私早いですけれども。さて、大石内蔵助はいるかとこういう思いもあります。
(問)昨日の千葉市長選挙で自民党公認の候補が敗れましたけれども、その影響はこの件が与えたとお考えでしょうか。
(答)私も駅前に行って、一度街頭演説して町を歩きました。そのときに、私が先にあいさつしたものですから、それは、私の演説はこうした事柄が大詰めを迎えていましたから、確かに皆さん聞いていただいたのですけれども、私が演説をやめた途端に6割、7割の方がお帰りになって、候補者の演説は聞いてくれなかった。こういう選挙は厳しい。私も選挙ばかり30年以上やってきて、そういう選挙は厳しいと思いましたから、これはちょっと勝ち目のない戦いだなという感じはしておりましたので、影響は多少はあったかもしれません。
(問)事実関係で、先程の総理からのお手紙の中で示されていたのは、西室さんと。
(答)西室さんの名前、入っていたか、入っていないか。入っていないのではないかと思うのですけどね。
(問)和田さんと。
(答)私、全然、その辺は。その後もいろいろな人がいろいろな候補者を出してこられたから、私、財界人の名前は余りわかりませんので、西室さんぐらい有名な方だったらわかるけれども、それはいずれお示ししますよ。今記憶にないところが多くて。
(問)麻生総理と西川さんを更迭させるということで一致していたということになりますと、最終的に首を切られてしまったということになると、麻生さんに裏切られてしまったということになると思うのですが。
(答)総理は人柄がよ過ぎて、だから、ほかの方々の進言を受け入れるようになったということでしょう。だから裏切られたなどという思いは全くありません。ただ、他の人の方の意見を私の意見より優先されたのは誠に残念で、その結果、判断を誤られたわけですから。
(問)話は全然違うのですが、総務大臣をやられてみて、旧自治省と総務庁と郵政省と合体して3つを1つとしてやっていますけれども、この役所の形態というのは果たしてこれでいいのかという論点がありますが、そこはいかがお考えですか。
(答)今は合併の利益を追求していくべき時期だと私は思っています。それは、例えば地方自治体でICT化の問題とか、いろいろあるから。ただ、いわゆる地方交付税とか特別交付税とか、交付金とか様々な計算をしたりすることと、電波監理あるいは3.9世代の携帯というようなことは少し異なっている部分があるから、情報通信とか放送というものが、これから放送と通信が融合していく中で、非常に日本の経済の中核を担うようなことになってくると、そこが独立した官庁であるべきというときもくるのではないでしょうかね。それと郵政が一緒でいいかどうかという問題はありますが。
(問)よろしいですか。
(答)歴史が証明しますよ。待っていてください。
(問)ありがとうございました。
(答)ありがとうございました。

(以上)