鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年12月5日

(平成20年12月5日(金) 10:02~10:23  於:総務省会見室)

1.発言要旨

おはようございます。私から申し上げることは特にございません。

2.質疑応答

(問)道路特定財源の一般財源化に関して、与党の方で、暫定税率を原則維持するですとか、地方向けに1兆円規模の交付金を作るとか、それと併せて地方交付税については、予算編成過程で増額するという方針が明記されたわけですが、そうしたことに対する大臣の御所見と、これから地財折衝が本格化するわけですけれども、それに向けた意気込みというものをお願いします。
(答)私は絶句しませんけれども。この問題はですね、そもそも総理指示があって、「道路特定財源を一般財源化するに際し」となっていたと思いますが。1兆円を地方へ移すというか、渡すと。そういう総理指示があったわけですね。その時に私はいろいろ考えまして、この御指示は、おそらく「際し」というのは、そういう変革、改革が行われる「時」「When」と読むのだろうなと。つまり、国に3.3兆円の道路特定財源が入りますが、それが地方道路整備臨時交付金に7,000億円、あるいは補助国道の方に5,500億円とか、6,000億円という数字が行く。そうしますと、残りが2兆円ということになるのでしょうが、直轄国道に1.4兆円ほど使われて、あとは一般財源になる部分とか、まちづくり交付金関係とか貸付が5,000億円、6,000億円ということになるのだと思います。
 その表を見ると、国の3.3兆円を地方道路整備臨時交付金や補助金、つまりは生活道路に充てる、一般会計を通らないでガソリン税の4分の1が直入されていくわけですね。特別会計から地方にまいりますね。そういうことを考えますと、その中から1兆円を取り出して、地方交付税にするというのはそう簡単なことではないなと思いまして、とにかく私としては「特定財源が一般財源化するに際し」というのは「When」。その時に地方交付税1兆円という固まりを、それも穴埋めというよりは、基準財政需要、地方の歳出と言ってもいいのでしょうか、一般歳出というのでしょうか。これと同時に、これを上げて1兆円交付税がやってくるということを結果として勝ち取れればいいと私は考えました。大体、そういう方向になってくれるのではないかと、今は期待しております。1兆円の固まりが、名前もまだ決まっていないと思いますが、それがどうのこうのということについては、これは現在、政府・与党で検討してもらっておりますから、その結果を待ちたいと思っております。ただ、総理は「地方を元気にしろ」、「地方の底力を発揮しろ」というのが、生活対策の3つの柱の1つでございまして、しつこいようですが、従来から総務大臣2年以上、地方というものについて、極めて明るい。あるいは地方経済の現況というものについて非常に危機的なお考えを持っておられまして、総理のおっしゃることは、総裁選挙から総理大臣になって2月余りの間に一貫しておりますのは、地方重視のお考えでございまして、そこから、できる限り地方が自由に使えるお金を1兆円という発想が出てきているものと思いますので、その線は崩れないと、こう考えております。
 どれが1兆円かということについては、政府・与党の結論が来週月曜日辺りに出るとすれば、それを待ちますけれども、例えば、「地域活力基盤創造交付金(仮称)」も党の方でそういう構想をされていることは、私も十二分に聞いております。そうした中で、地方公共団体にとって、でき得る限り使い勝手のいいものにする方向で、決着していただきたいと望みますし、総理はその点は十二分に御理解をいただいているものと思います。新聞等に「一般財源化はどこ行った」なんて書かれるような形ではいけないと思いますね。
(問)新しい交付金なのですが、新しい交付金について配るのはどこかという問題がありまして、国土交通省の道路局が従前どおり配るのか、それとも、どこが配るのか、というのが決着がついていないわけなんですけれども、地方にとって使い勝手がいいということになりますとどういう形になるというふうに思われますか。
(答)それはあなたがおっしゃったような形で、国土交通省の道路局が配るとしたら、「一般財源化はどこ行った」と国民が怒るのではないですか。必要な道路は作らなくてはならないけれど。国民は福田前総理の決断の一般財源化というものについての、十二分な評価をしたのだと思いますから。総理も使い勝手のいいものでなければ納得できないとおっしゃっているわけだから。
(問)総務省で配りたいというお考えはないでしょうか。
(答)そういうことは、私は今答えません。
(問)大臣、与党の方で、地デジのところで、無償でチューナーを配るということなんですけど、この辺についての御所見をお願いします。
(答)地デジへの移行、2011年7月24日にアナログが停波するわけですから、これは国策なんですよね。という以上は、国民が全て等しく、一部衛星の力を借りるとしても、地デジを受像し、これを楽しむことができなければならないという観点で、最初、生活保護世帯ということを考えましたが、これを与党の方で、NHK全額受信料免除世帯と。つまり、住民税を払わないでいい家庭で、障害者の方がおられる御家庭とか、社会福祉施設に入っておられる方とか、ほかにもあるのかもしれませんが、そういう形でお考えになっていることは、大変結構なことだと思います。ただ、これは予算が要ることでございます。計算上、予算が倍になるということではないと思います。
 こういうことを私が言うのは、本当はいけないかもしれませんけども、受信料全額免除世帯というのは、受信契約を結んで免除されているわけですから、受信契約を結んでいない御家庭がまだ3割くらいあるのでしょう。3割くらいあるとすれば、これは「みなさん、NHKと受信契約結んでください。」という、放送法の規定に近づける、そういう要素にもなるかなと。将来、免除世帯の方が収入が増えて、例えば、今は受信契約を結んでいない。不払いでもある。だが、受信契約を結ぶ。そして免除だと。チューナーはもらえる。そしてその後、仕事が好調になって受信料を払うようになるということだって、考えられますからね。副次的効果としては、私は受信契約率が高まるといいと思います。 それからですね、聞かれもしてないので余計なことかもしれません。私、先ほど、国会内で皆さんにお会いする前にお手洗いに行った。手を出した時に水が出てこない。よく見たらひねるものだったと。この問題は、実は非常に大きな意味合いがある。結局、人間は便利になるとそれに頼る。本来の行動ができなくなる。自動的に水が出る所が多いもんだから。けれども、本来、水道というのはひねったら出て、またひねり直せば水が出なくなる。人間は脚が弱くなったと。それは、自動車があるからだと。ある生物学者というか、脳の学者かは分かりませんが、人間は自転車はまだしも、電車や自動車などの乗り物に乗ることによって脚の機能を退化させたと。人間は、なまじ眼鏡というものがあり、また、細かい活字というものがあり、自分の目で何でも見てやろうという意識がなくなって、減って、目の機能も一部退化させていったと。コンピュータはどうかと。考えること、計算することは、人間の頭でやってきたことをコンピュータに頼るということは、脳を退化させることであって、人類の脳は今後著しい退化を始めるだろうと。こういう文書を読んだことがあります。私は環境というものを最も大事にするナチュラリストとして申し上げるならば、科学技術の発達というものは、経済的に、あるいは便利という意味で素晴らしいことがある。しかし必ず影がある。その基本の影というのは、科学技術が進歩することによって、人間が体のどこかをおかしくしていくことではないかと。あるいは心をおかしくしていくことではないかと。私はそういうふうに思っておりますから、常に光と影ということを考えております。
 携帯電話という恐ろしく便利なものが、そういう側面を持っていることは否めません。メールというのも便利だ。しかし、メールで打ち込めば、誰にも聞かれることなく相手にものが言える。そうすると、本当は言えないようなこともメールでは言ってしまう。本当は言ってはいけない、言うべきでないものをメールだと書ける。メール人間は会話能力がおかしくなる。人の顔を見て、そこでやり取りして、お互いの心のひだも読み合う中で人間関係というのは成立する。したがって、携帯電話が人間性を失わせるという側面を強く持っているということは、これは疑いようのない事実です。便利は、便利なんだけど。そういう意味で、教育現場から、携帯電話を追放するというのは実に正しい。これは遅きに失したと言ってもいい。ここにSPさんがおられますが、本当に申し訳ないと思うのは、例えば夜、会合があって、私が家に帰るのが11時とか12時になってしまう。それでも装備を置きに必ず警視庁に帰るんでしょ。だから、携帯電話が要るのだったら、皆学校に行って、預ければいいのではないか。預けるというか、何というか。例えば、携帯電話入れというのを作っておいて。それで、登下校の間は、使っちゃいけないということにして、例えば腹が痛くなったり、熱が出た時に、親に電話するのだったら、使っていいよとか、何かそのようにするとか。
 文部科学省からかなり強力な教員の増員要求が出ているでしょ。これは、子供と向き合う時間を増やすために教師を増やしたいと。これ、教師が向き合おうとしても、子供が全然向かなくて携帯電話と向き合っているということは恐ろしいことです。先生と生徒が向き合う、先生が向き合おうとしても。昔、サザエさんの漫画にこういうのがあって、計算機ができたころに、算数で足し算の問題を出して答えろというと、子供が計算して答を言うと、教師が自分で計算して合ってますという漫画があったけど。そういうのもね、私は疑問を感じています。
(問)分権の関係ですが、8日に2次勧告をまとめる予定ですけれど、それを受けた政府方針をいつごろ決めるのかということと、それまでに分権担当大臣としてどういう折衝をしていくのかというのをお聞かせください。
(答)昨日、党三役には、簡単に今の状況を私から説明を申し上げて、手順としては、12月8日、丹羽地方分権改革推進委員会委員長が第2次勧告をまとめて総理にお渡しすると。で、そこで総理から当然どういう指示があるか分かりませんが、「ここはどうだ、あそこはどうだ。」という個別の指示があるかもしれないし、ないかもしれない。「こんなふうにやってくれ。」という指示があると思います。基本的な方針については、私はいくらでもサンドバックになりますが、できれば年内くらいに総理に基本的な在りようを決めていただきたいなと思います。つまり「こんな方針を守りながら調整しろ。」という、それこそ骨太い部分を決めてもらいたいと。そうなれば、私も随分打たれるかもしれませんが、皆で努力をして、年度内くらいにひととおりの工程表ができればいいなと考えてます。だから、あなたのおっしゃる、今、何とおっしゃいましたか。
(問)政府要綱が1次勧告の後には出ているのですけど。
(答)どれをそう言うかということになりますと、基本的な指示について総理から承って、総理に決めていただきたいと思うのですが、実際の工程表は今年度中、来年の3月くらいを予定していますが。
(問)工程表と今おっしゃったのは、出先機関のどこをいつどれだけ見直すかということでしょうか。
(答)だからその出先機関についての基本的な考え方が第2次勧告で示されます。したがって、それに対して総理はその場で励ましの言葉をかけられると思いますけど、その後、当然いろいろな方がいろいろな意見をおっしゃるだろうと思います。そういう中で、「基本的には、この線を守って、こういう枠でやってくれ。」ということは総理にお決めいただいて、私がその後の調整努力をしたいというふうに考えております。だからそこで、どこで政府・与党の方針か、あるいは政府の方針かと言われるとちょっと今、日にちを限って言うことはできませんが、工程表というのは、具体的にこうやって、こうやって、こうやりますという、それは3月までには作るということですね。
(問)工程表を作るのは分権推進本部ということでしょうか。
(答)でしょうね、当然。だけど、当然、地方分権改革推進委員会も御自分たちで勧告を出すわけですから絡んでいただいて。
(問)ほかにございますでしょうか。ありがとうございました。

(以上)