鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月11日

(平成20年11月11日(火) 9:14~9:30  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 おはようございます。私の方からは特にありませんが、今日、この間も話した生活支援定額給付金実施本部の発足式をやります。

2.質疑応答

(問)その給付金の関係で、昨日、総理がですね、「所得制限のあり方について高額所得者が自発的に辞退する、あるいは辞退を促す形がよい」と認識を示されたりですね、秋田市長が「所得制限はない方がいいんだ」とおっしゃったり、いろいろな発言があったのですが、大臣御自身はどういった方式、形が望ましいとお考えでしょうか。
(答)私、前から申し上げておりますように、それは与党で詰める、あるいは政府・与党で詰める、総理の御指示、あるいは決断を仰ぐということは一貫しておりますが、所得情報は、税務情報としてしか把握は基本的にはできない。国税からの情報ということよりは、やはり住民税の情報でしょうか。住民税の情報というのは、例えば皆さんもお書きになっているように、今、我々がというか、市町村、都道府県が持っている税務情報というのは前年の所得ですよね。つまり住民税というのは前年の所得で課税しますから。今年の所得というのは財務省、税務署の方でしょうけど。いずれにいたしましても、これを使ってあなたは1千万円です、2千万円ですというのは、これは個人情報保護という観点から、あるいは税法上にも書いてあるのでしょう。地方税法にも書いてあるのでしょうか。これは使えない。もちろん本人の同意があれば別ですけど。
 したがって、それは法律でやらないといけないことですね。税務情報を使って、1千万円とか2千万円で切る切らないをやるとしたら、税務情報を他に転用して給付金を決める。給付する、しないを決めるとすれば、これは法律改正が要ると。これはなかなか大変なことではないかと思います。
 ですから、住民基本台帳にある4情報というか、性別は当たり前ですけれども、年齢ですね、65歳とか15歳とかという、お子さんがいるか、高齢者がいるかという話もあるでしょうし、そのことと、世帯に何人いるかという、この情報で配れるのが市町村にとっては非常に事務手続が円滑に行く。前にもお話ししたことがあるかもしれないけれども、市町村にお願いをして自治事務ということであれば、これは市町村がそれぞれ予算の議決をする必要が出てくるだろうと、こう思いますね。そういう手続も要る。それで、全国市長会会長もおっしゃっているように物理的な混乱があっては困るということは強くおっしゃってる。私も全くそう思います。つまり窓口でもらえる、もらえないなんていうやりとりがあるような状況というのは、私は望ましいとは思わない。そういう意味では「できるだけシンプル、シンプル」というふうに市長会も町村会もおっしゃるが、私も「シンプル、シンプル」と言い続けております。ただ、何を高額所得と見るかは別問題として、高額所得の人にあげないと、渡さないというのは、正しい考え方であることは間違いない。間違いないけれども、それを窓口で実現することは非常に困難だということを申し上げているのです。
(問)大臣、支給方法ですが、振込方式にすると、振り込め詐欺があるかもしれないとかですね、現金にすると、役場の外で奪われたらどうするんだという、いろいろ問題があるようですけど、市町村側の負担や安全性も含めてですね、現時点で支給方法についてのお考えをお願いします。
(答)私は、それは今日立ち上げる、実施本部がですね、いろいろ研究し、地方の意見を聞くことだと思っております。それは現金でお配りすれば一番楽ですね。それは口座振込は、全部口座がなくてはいけないし、口座を聞いて振り込むというのもかなり手数の掛かることです。ただ、口座振込が安全だと思うのですが、振り込め詐欺の高度化という言葉は言いたくないけれど、何か非常に高度で複雑な技術を使った悪質な振り込め詐欺が増えてきておりますからね。そういう意味でこのこと、大丈夫かなと。「あなたのところに何万円、振り込まれますよ。私が何か代行してあげましょう。口座を教えなさい」ということがあったならば、それは私が考えるような単純な手口で、もっと複雑な手口を考えられたら困るでしょう。だから、振り込め詐欺の問題というのは、非常に難しいが絶対に防がなければなりませんので、実施本部に警察庁の人にも入ってもらうようにしました。
 まさに定額給付金の配付方法については、実施本部で徹底して研究してもらいたいと思います。二重取りがあったとか、何かで漏れたとか、だまされて人に取られたとかということが万が一にもないように体制を取らなければなりませんからね。
 正直言って、頭が痛い問題ではあるのですよ。今、あなたがおっしゃったように、皆、それぞれに問題がありますから。
(問)自主的な返納という案が今、あると思いますけれども、自主的な返納というのは、大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)それは、日本という国は、アメリカに比べると、一般に寄附という観念が強くないですよね。だから自主的な返納というのは、これはあったらいいとは思うけれども。例えば我々が自主的に返納したらどうなるだろう。公職選挙法上は大丈夫なのか。地元への寄附はできませんよね。そんな問題もあるかなと思います。公職選挙法上の問題もあったり、だから難しいですよね。
 私の場合は久留米市役所ですよね。私が久留米市役所に寄附したら、多分これは公職選挙法上絶対許されないですね。もらわない、受け取りに行かなかった場合、どうなるか。私は欲しいと言っているのではないですよ。私などは受け取るべきでないと思っていますけれど、国会議員あたりが全部受け取るべきでないだけの所得があると思うけれども、公職選挙法上の問題もありますね。
(問)高額所得者について自主的にもらうのを辞退するべきと、麻生総理が昨日、おっしゃったと思うんですが、それは例えば何をもって高額所得者というのは、ガイドラインとして示すのか、大臣自身はどういうふうにすべきとお考えでしょうか。
(答)それも詰めなくてはいけない話ですね。だから、詰めなくてはいけないことがいっぱいあり過ぎて、自主的な返納という話がそもそも一定の所得で受け取る権利がなくなる、所得をどう見るか。給与所得者と事業所得者と両方ありますから、その所得というものの捉え方もあるじゃないですか。税引き前と税引き後もあるし、難しいじゃないですか。
 それで権利あり権利なしというのは税務情報を使うから法律改正が要るでしょうと申し上げているので、そうすると、自主的にうんぬんという話になった場合、どうするかという問題になるが、やはり自主的というのは全く基準がないというのもおかしいような気がするし、基準を作っても、それは権利ありと権利なしの差ではないというのが国民に理解されるかという問題もあります。
 昨日、ちょっと夜の会合で面白い案をおっしゃった方がいて、とにかく全部に配ると、定額給付金を配って、所得税法を改正して、翌年、要するに国税の方の所得税で所得が把握できて、例えば、その世帯が3万6千円とかもらったとしたら、所得税の定額増税で返していったらどうなんだろうと。これは税務情報の横流しにはならないが、増税ですからね。それも1つの知恵だと思いますよ。私はそれがいいとは思いませんけど。
 そもそも、この定額給付金というものが一体何であるかと、生活支援であると、それは経済の状態がこんなですから、生活支援あるいはそれによって消費喚起、両方の要素だと思いますけどね。
 詰めなくてはいけないことが多くあり過ぎて、私は原理原則を先ほどから申し上げているので、ある程度詰まってこないと、今のあなたのような質問には答えられない。
(問)大臣、先ほど国会議員は貰うべきじゃないと言われたんですが、それは与党という意味ではなくて全部ですか。
(答)国会議員くらいの所得であれば、もし、国会議員ぐらいの所得の人が自主的に返納するとすれば、自主的かどうかも分からないけれど、何らかのメルクマールを、基準を示すとすれば、それは国会議員ぐらいの人間が基準より上であるべきだと。
(問)年度内実施ということを考えると、ある程度早急に結論を出さないと作業に入れないと。
(答)早く一定のものを出していただかないと、今日、実施本部の看板を掛けますけれど、これ、大変です。実際、お金も掛かるわけでしょう。市町村の手間暇を掛けるから、自治事務ですから、当然、国がその手間暇についても面倒見なくてはいけないと。自治事務であれば、これ、全部、市町村の予算で入って出る形の市町村別での議決がいるでしょう。だから大変ですよ。かなり総務省的には大変な作業だというか、地方に御迷惑と御負担をお掛けするから、私の立場というのは地方を元気にする、地方の方に給付金を配るのはいいのですけれど、地方が手間暇で音を上げると。窓口であげるのか、あげないのか分からないなんていうことが絶対ないように、「シンプル、シンプル、絶対シンプル」とこう言っている。
(問)ほか、ございますか。どうもありがとうございました。
(答)はい。

(以上)