鳩山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年10月31日

(平成20年10月31日(金) 9:55~10:29  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日の閣議では「労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果」を報告いたしました。これは皆さん、御承知のとおりで、9月の完全失業率は4%で、4.2%から4.0%になっているわけですが、1年前、3.6%ぐらいを記録していると思いますので、前年に比べれば悪い。
 それから同時に厚生労働大臣から有効求人倍率等の報告がありましたが、若干悪化をしていますので、決して安心できる状況ではない。消費者物価指数2.1%の上昇で変わらずということです。
 新しい経済対策、「生活対策」の件でございますが、地方というのが非常に重要な項目になっておりまして、地方の元気回復というのが私の使命でございますから、総理のリーダーシップの下で懸命にやる。これは、総理が総務大臣を2年以上なさって、非常にこの地方についての理解を深められたことと、161か所回ったことと併せて、今回、地方に非常に手厚い内容になっている。手厚いと言っても、地方は非常に厳しい状況ですから、結果としてまだまだ足りないのだと思いますけれども、そういう意味で総理はこれからもいろいろ決断をして、私ができない決断を総理がしていただくと、さらに地方は元気になると、こういうふうに思っております。
 「地域活性化・生活対策臨時交付金(仮称)」、これはさんざん議論をいたしましたが、6千億円の金で、これは形式的には内閣府かもしれませんが、私どもで地方にお配りをする。前の一次補正のときの260億円に比べまして、今回は6千億円でございますから、景気浮揚効果あるいは安心安全のために使ってもいいわけで、非常に大きな効果があるだろうと思って、生活対策、景気対策を地方にやってもらおうということで決めました。
 いろいろ取材がありましたから、取材にみえた方々にはお話をしておりますが、要は金利変動準備金は取り崩しません。それは地方公営企業等金融機構法の附則第14条をきちんと守るわけでございまして、では、3千億円という数字が一体、機構関係からどうして出てくるかというのは、法律ができてから今日までの間に、政府保証の資金調達、つまり、当時で言えば公庫債が低利で借りられて、長期で地方団体に貸し出した。それが今日までの間に7、8百億円くらいの余剰は生んでるわけです。
 それから、これも法制局とも議論をいたしましたけれども、まだ地方公営企業等金融機構が10月1日にできたばかりで、一月たっていない段階で、余ってるから大丈夫だ、円滑に運営できるから大丈夫だという判断は、それはできない。3.4兆円は取り崩さないわけでございますが、既にこの低金利で調達して貸し出しているものが、確実に利益として新機構に入ってくる分があるわけです。これを先食いという言い方はどうか分かりませんが、確実に入ってくる利益でございますので、それを足しまして3千億円調達をする。で、財投、財融の方から3千億円ということで、合わせて6千億円が地方に行くわけで、地方が少しでも元気になってくれることを心から願うものでございます。
 それから、いろいろあって申し訳ありませんが、実は閣議後、総理と二人でお話をいたしまして、前に総理指示にありました地方共同の金融機構を作ると、そして長期低利の資金を融通する、そういう機構を作るというお話に関してですが、総理の指示を仰ぎまして、私から「今度の地方財政審議会の会長でございます神野直彦先生に、早速具体的な方法、方策について諮りたいというふうに思いますが、よろしいですか。」と言って、「どうぞ。」ということでございますので、本日、神野教授にお会いをしまして、地方公共団体の一般会計ですね、公営企業会計は従来からの公営企業金融公庫が、そして今の地方公営企業等金融機構がやるわけですから、地方自治体の一般会計に長期低利の資金を融通できる地方の共同金融機構というものの具現化について、できれば素案作りをお願いしたいということで、今日、神野教授に午後お会いをして、お話をいたします。
 それから、減税から形を変えました2兆円の給付金について、これは金額は2兆円を上限とするわけですが、実は、15歳以下とか65歳以上を増額するとかしないとかいう話は、これ、決まってません。これは詰めてもらわなくてはいけないので、これは、我々も議論には参加いたしますけどれも、また政府与党でお決めになるのだろうと思います。いずれにしましても、2兆円の金をお配りするというのは、これは自治事務でございますから、当然経費も掛かりますけれども、自治事務でございますので、私どもから地方自治体にお願いをして配ってもらうという形になります。
 これは、地方自治体は、要らないと、配らないという自治体は多分出てこないと思います。そういう自治事務でございますが、できるだけ速やかに間違いなく、生活支援の定額給付金が配れますようにすぐ、今、検討を命じます。
 「金額についてはまだ議論がありますが、その配り方について、事務手続が大変なので、事務方に、今日、指示をしてよろしいですか。」と、これも総理にお尋ねをしまして、「どうぞ指示をしてください。」ということですから、指示をします。
 以上です。

2.質疑応答

(問)2点、伺います。追加経済対策の中で道路特定財源から1兆円という話について、昨日、総理は会見では1兆円が地方道路整備臨時交付金7千億円の外なのかどうかということを明言されなかったのですが、今後、この点、この規模とか財源についての調整は政府・与党内でどのように進められる見通しでしょうか。
(答)これはですね、私も法律上どうなるのか、つまり一般財源化するわけですから、その効果がどのように及ぶかについては、詳細に全部を、極めて正確に理解しているかどうか分かりませんが、ガソリン税の4分の1である6千8百億円、約7千億円というお金が、今、地方自治体に自動的に来ているわけです。それは姿形をどういう形に変えるのかわかりませんが、従来と同じ形ではないでしょう。総理がおっしゃる1兆円は、それとは別の1兆円でございます。これは、私は総理とその点ではお話をしておりますので、それとは別の1兆円で、多分、地方交付税として1兆円というふうに考えるべきだと思います。
 ですから、国、地方合わせて、約5.3兆円とか4兆円というお金が道路目的財源としてあります。これは今、いつも御説明しているように分かれておりますが、その中から地方に来る7千億円とは別に1兆円が、これを財源として地方交付税として地方公共団体に配られるという意識、考え方でございまして、これは毎度申し上げております三位一体によって5兆1千億円、交付税が減ったとか、あるいは補助金のカットと税源移譲をやりましたときも、交付税にかぶってきておりますから、5兆円とも6兆円とも言われる交付税のカットがあったと見ていいわけでしょう。それが1兆円回復すると、復元であると、私は考えております。
(問)もう1点、先ほど定額給付金の配り方の検討を事務方に指示するということなんですが、これは、地域振興券のときのように総務省で給付する、もろもろの調整、政府・与党の、それをやるということですか。
(答)政府・与党から金額等を決められたら、その配り方をですね、色々、配り方というのかな、その相談にもあずかり、実際に市町村の窓口に配っていただくことになるわけでしょうから。まだ政府・与党とも御相談をしながら、現金とか、クーポンとか、色々な考え方があるでしょうから、それも検討させて、与党とも調整していかなくてはならないと思います。
(問)大臣、道路財源の地方への1兆円の関係なのですが、昨日の地方分権改革推進委員会で、「税源委譲しろ」ということを総理や、あと大臣御自身にも、申し入れに行くということで一致したのですけれども、これについてはどういうふうにお考えでしょう。
(答)それは、そうできるものならそうしたい。それは、いつも申し上げますように、税財源ということで財源論をここでも随分お話してるわけですが、税源をどんどん地方に委譲して1:1までもっていきたい。国6、地方4を1:1まで、5:5までもっていきたいというのは悲願でございますから。それは税源が委譲すればいいけれども、今回の場合は、税法を根本的に変えるような話にまでなっておりませんから、1兆円は地方交付税という形を取ると思います。
(問)大臣、自治体の融資機関ですが、これは現在の地方公営企業等金融機構を活用するのか、それとも新しい組織を作るのか。
(答)それはですね、昔からある議論なのですね。つまり今、地方自治体の一般会計に財投の金が流れていった。しかしやはり地方の一般会計にお金を貸す、長期低利で貸す場合は、地方のことをよく熟知している地方の共同機関、共同機構のようなものの方が適切ではないか。従来からあった議論で、今までは、地方中心に考える総務省の考え方は、実現しませんでした。
 しかし、やはり地方重視の麻生太郎総理の姿勢、麻生総理が総務大臣として、十分な研究を積み、また経験を積まれたということで、総理の決断によってはじめて可能になることでありまして、可能になるならば具体策を、具体的なやり方を地方財政審議会に1日も早く作ってもらおうと思って、今日、神野教授にお会いをすると申し上げております。
(問)今日の消費者物価のところですが、総合のところは2.1%だったんですけど、生鮮食品を除くところは、2.3%、0.1%、落ちたのですけど、そこら辺のところはどう思われますでしょうか。
(答)生鮮食品を除くのを普通、生鮮食品というのはやはりアップ・ダウンがあるから、総合指数と言うようですね。生鮮食品を除く総合指数、これは大体横ばいではないですか、違うかな。落ちてますか。
(問)0.1、落ちました。4月以来、落ちてはいるのですが。
(答)私の認識ではほとんど横ばいという認識で、それほど変わっていないと思っています。
 生鮮食品を除いた場合、石油とか原油の下げもだんだんは響いてきますけれど、直ちにどこまで影響するか分かりませんが、認識としてはほとんど横ばいと思っております。
 東京が、ほかに比べて上昇が少ないのは、これはエネルギーの使用量が少ないからです。地方の方が圧倒的にガソリンとか多く使いますからね。あるいは、これから北海道とかでは寒くて灯油を使うというところもあるでしょうし。
(問)閣議がだいぶ長引いたということですけれども、昨日の経済対策について、各閣僚から何か意見というものが今日の閣議では出たのでしょうか。
(答)違います。各閣僚から、いろいろ発言が相次ぎましたのは、世界的な金融危機の問題でございまして、11月15日にアメリカで行われるG20のことです。主な発言を紹介しますと、G20でやるということはすごく意味があると。しかし、G20でやるというのは最後の砦というか、これで失敗したら後がない。だから絶対成功させなくてはいけないというような意見が相次いでおりました。
 それから格付けの問題等もです。格付けがいいかげんでないように、世界的にきちんと監視しなくてはいけないという話も出ていました。私は詳しく読む時間がありませんでしたけれど、昨日の新聞に、ソフトバンクがああいう金融証券商品というか、あれで7百何十億という数字が出てましたよね。全部、失うかもしれないなんていう話が出ていました。こういうことを見ると、かなり格付けの高いゴールドマン・サックスか何かの商品でしょう。「格付け、格付け」というけれども、それが正確でないというか、えこひいきがあって、そういうこともあるのではないかという意見も出ていました。そのようなことが多かった。

 私からいいですか。実は年金記録確認第三者委員会の件でございますが、これは最近ときどき話題になることがありますので、あえて申し上げたいと思います。それは、年金の記録が、証拠がそろわないとか、うまく自分で確認できないような方々、あるいは年金特別便でおかしいなと思うような方々が、社会保険庁に申し出るということは、それが基本的には年金記録確認第三者委員会で引き受けるということでやってきておりまして、時間が掛かるというようなことの御批判もあるようですが、これは精一杯、今、50か所、200チームに増やして、全力でやっておって、今のところは、1週間に1,200件の処理をする。新しく来るのが、700件とか800件ということですから、たまっているものは減っていくという状況で、これは懸命にやっています。
 ただ、態度が偉そうであるとかというようなことも言われますが、これは注意をしてですね、そういうふうに批判が起きないように頑張っていきたいと思います。私は、そもそも5千万件というところに発して、社会保険庁の超ずさんな体質と仕事ぶりのために起こったことで、国民に被害が及んでいるわけですから、これはもちろん国民も正直に話していただかなければなりません。
 ですが、できるだけ認めてあげるという、できるだけ温かく認めてあげるという姿勢を第三者委員会は持たなければならないと思っています。個別の案件ごとにいろいろあると思いますが、第三者委員会に申し立てられたものについてはできるだけ温かく見てもらうように第三者委員会にも改めてお話をしたい、こういうふうに思っております。
 一部のマスコミ報道で、正確かどうか分かりませんが、結局、あっせんは社保庁に対して私がするわけです。「この方は、こういうふうに年金は増えます。」と。その斡旋どおりやっていないというような報道があったわけです。17年間、期間が違っていたと、最初の5年間分はとか、あとの12年分はちょっとまだ分からないとかというようなことを社会保険庁が言ったということがテレビ等で報道があったと。私はそれを聞いて極めて不愉快な気持ちになりましてね、とにかく私があっせんしたものは社保庁はきちんと払えということですよ。払えというか、そのように裁定しろということですよ。それをですね、だから事実を調べてないから、個別の案件でそれはどうだったか、それは放送事業者を信頼しないわけではないけれど、事実関係を調べてから言うべきかもしれないけれど、あっせんしたら直ちに何というんですか、社会保険庁としては裁定し直しすべきですよ。それが、あっせんしてもぐずぐずしておるようなことはもう絶対許さんという気持ちが、正直言ってあります。
 調査員の能力の向上等についてはですね、懸命にやってまいりますし、できるだけ国民に親切に、認めてあげることが基本方向だということは、第三者委員会にもきちんと申し上げようと思っております。
 あっせんだから、それに従わないということは法的にはあるのだろうけれど、しかしこれは、この年金の問題は、元々社会保険庁のだらしない体質が生んだことで、私があっせんしたものに従わないということは許せないという気持ちですね。
(問)大臣、さっきの道路の1兆円の件ですけれども、交付税の原資に加えるということはですね、これは1年限りの暫定措置として考えるということですか。
(答)私はそうは思っておりません。ただ財政とか税制とか、いろいろ変化します。例えば住宅ローンだって、総理が過去最大というのは、過去には570万円か580万円かというときもあったし、今は160万円とか、いろいろ変化します。
 だから、それは未来永劫同じということはないけども、私は道路特定財源が一般財源化されるに当たって、これはつまり来年度予算ですね。1兆円を地方の財源に、多分交付税という形だと思いますけれども、入れていくと、移すということは、それは1年限りのことではない。2兆円減税とは違います。
(問)それに伴って、原資とする1兆円の道路整備の分を補てんするために建設国債を発行した方がいいという意見が出ていますけれど、それはどうなんでしょう。
(答)私は、財政規律を守る中でやっていくべきで、すぐ国債を発行すれば済むという安易な考えはあまり賛成できません。ただ、あまりに国の工事量が減ってしまうというのであれば、やむを得ない時もあるかもしれないとは思います。
(問)総理が、昨日、3年後に消費税を上げたいということをおっしゃったのですけども、これに対する評価をお願いします。
(答)当然というか、これは、総理の持論で、私の持論でもありますが、無駄を排除して、徹底的に小さな政府にする。しかし、およそ福祉、ありとあらゆる利益を全部福祉と括っていえば、高福祉だったら高負担なんです。中福祉は中負担、低福祉は低負担です。これは、当選1回のときから私は申し上げているので、それを選ぶのは国民だと思います。国民負担率が高くて、もう老後は何の心配もないという、その代わり税金も保険料率もものすごく高いという国家を目指すのかどうかというので、総理は中福祉中負担ということ明言されておられます。私もそれでいいと思っているわけでして、だから、中福祉中負担というのに合ったやり方ではないかなというふうに思います。
(問)大臣、1兆円の話ですけども、早速1兆円の話について国交省とか財務省とかですね、自民党の道路族とかから、抵抗の声が出ていますけれども、闘う総務相というお話も大臣、日頃からおっしゃっていますけど、どういうスタンスで今後。
(答)これは、総理指示の下で、まず与党でもんだ、そして政府・与党でまとめた1兆円でございますから、そのとおりやります。逆に戻すようなことは絶対あり得ないと思います。
(問)大臣、さっきの消費税の絡みで、無駄を省かないといかんということですけど、まさに中央集権的型の体制は無駄がたくさん生まれるので、分権型社会に変えていくということが、まあ無駄を省いていくことにつながるわけですけども、この辺りのところはどのように考えておられますか。
(答)だから、今、消費税5%の内、地方消費税1%に、地方交付税に計算するのが足されるから、多分、地方に2.2%くらい、来ているのではないでしょうか。だから、今後、中福祉中負担ということで、とりわけ狭い意味での福祉にお金が確定的に掛かることは、間違いないわけです。今、2,200億円ずつ押さえていくことが、いろいろなひずみを生んでることもあるから、いずれ、そういう意味で福祉目的税的な形での消費税の増税は避けられないと、私は思っています。それは、できれば、地方消費税が増えた方がいいなと。それが分権型社会に通じると思います。
(問)大臣、地域活性化生活対策臨時交付金6千億円、これはさきの経済対策ではですね、財政的に苦しい自治体に重点的に配分ということにしていましたが、今回は、これは考え方としては、配り方はどうなるんでしょうか。
(答)これはですね。ちょっと悩んでるところではあるわけです。やはり地方を元気にするわけですから、困ったところに手厚く、元気のないところに手厚くというのは当然のことなのだろうと思いますが、ただ、この間のはかなり極端にやっていますよね。私はそれよりは、ちょっとこの間は極端過ぎるかなという部分をちらっと感じますので、その辺はうまく調整をして。やはり財政が大変なところ、これは難しい議論ですよ、夕張市なんかに行くと余計そうですよね。例えば夕張市は本当に助けなくてはいけないと思うけれど、しかし近隣の自治体から見れば、要するにひどい財政をやっておいて、そこが救われるのかという部分は必ずあるわけでしょう。だから、やっぱり困っている地方を元気にするために、より、例えば財政力指数の低いところに多くいくというのは、あるべき姿だと思うけれども、そのやり方にも限度があるだろうと思います。
(問)ほか、ございますでしょうか。どうもありがとうございました。

(以上)