甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年8月4日

(平成21年8月4日(火) 11:23~11:33  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 大分、遅くなりました。お待たせしました。
 私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)先日、自民党がマニフェストを発表しまして、主要各党のマニフェストが出揃いました。有権者の反応はいかがでしょうか。
(答)有権者の反応は、民主党さんは、とるまでの意欲は相当満々であるけれども、とった後の国家ビジョンがどうなるんだろうかと。1個1個は耳当たりがいいけども、全部合わせると整合性ってどうなっちゃうんだろうかという反応ですね。ですから、本当に命と生活を任せて大丈夫なんだろうかという反応。
 それから、自民党については、これは出たばっかりですから、まだ直接の反応は返ってきておりませんけれども、少なくとも財政支出をする裏打ちについては意欲的に書いてあるなと。もっとセンセーショナルな書き方をしてもいいんじゃないかというような反応だと思います。
(問)その自民、民主の違いを、どのように有権者に訴えていくお考えですか。
(答)一言で言いますと、政権をとった後の経済ビジョンがあるかどうかだと思うんですね。民主党は、お金を使う政策は派手やかに書いてあるんですけども、一体そのお金をどうやって生み出すのかと。「節約で生み出す」と、それから「埋蔵金で出します」としか書いてないんですね。人口減少下では、経済は放っておけば縮小しますから、人口減少下で経済を大きくしていく国家経済ビジョンみたいなものを提示しないといけないんですが、そこのところが全くないと。ですから、経済成長戦略が全く描けてないと。そうすると家計はどんどん縮小していくんではないかと。そういう中で高齢化の中の高い負担力をどう求めるのかと、ここが違いだと思うんですね。
 自民党の場合には、新しい国家経済モデル、つまり、今までは人口が拡大をする、資本が拡大をする、あらゆるものが拡大をする中で経済が大きくなるというシナリオですけども、2005年以降は人口が減少する、高齢化に伴うと貯蓄の取り崩しが始まる、資本の減少がある。つまり、放っておけば縮小傾向の中で、つまり、ベクトルが変わる中で、なおかつ経済成長していくという新しい国家経済モデルが必要なんですね。そこが、民主党さんはほぼゼロだと思います。我が党は、いろんな手立てを打ってきましたから、新しい国家経済モデル、一言で言いますと、日本全土をイノベーションセンターにしてしまうという、つまり、日本を世界の成長センター、ヘッドクォーターにするというプランがきちっと描けていますし、それのための各種法整備とか税制の整備とか、それからファンドの整備、これはもう終わっていますから、あとはこの新国家経済モデルを回していくということの作業に入るわけですからね、そこが大きな違いだと思います。
(問)今日、閣議後にマニフェストの勉強会があったようですけれども、どのような内容だったのでしょうか。
(答)園田政調会長代理から、主だった論点だけ説明を受けました。それに対して、民主党はどういう対応かということですね。民主党さんは、政権をとるまでのことは書いてあるけど、とった後の国家像の整合性が全然とれていないということだと思います。だから、いいとこどりをしてつなぎ合わせていると。それから、裏打ちの財源は、「節約」という言葉と「埋蔵金」という言葉に逃げ込んでしまっていると。やっぱり、経済の規模を人口減少下で大きくしていくという、これとどう立ち向かうかですね。いわば、パラダイムシフトが起きているわけですから、その中で国家経済ビジョンというのを描いていかないと次の20年、30年はもたないと。
 今までの国家経済モデルというのは、すべてバックボーンが、すべてが拡大をしていく中での制度設計ですから、それが逆方向にパラダイムシフトが起きているわけですから、そのパラダイムシフトを受けて、新しい国家経済の基本設計図を書かなければならない。そこは、ほぼゼロではないですかね。
(問)特に、選挙戦に向けて、こういう点を強調していこうとか、そういうようなコンセンサスは、その勉強会であったのでしょうか。
(答)ええ、その違いですよね。特に、民主党は、経済対策の基金はみんな取り止めちゃって、彼らが描いている支出のばらまきに全部充てちゃうと、当面お金がないから、ということなんですが、つまり、来年蒔く種を、今年ひもじいから食べちゃおうという政策ですよね。そうすると、「来年の収穫はどうなっちゃうの?」ということだと思うんです。
(問)マニフェスト関連なのですけれども、一昨日、経済同友会など9つの団体で、前回の総選挙以降の自公連立政権の政策実績評価というものを発表しました。これは、4年間で総理大臣が3回交代して、自民党が前回のマニフェストで掲げた政策を説明なく修正しているという批判も出て、全体的に辛口の評価になっていますが、受け止めをお願いいたします。
(答)厳しいですね。それは、真摯に受け止めなきゃいけないと思います。
 ただ、総裁・総理が代わるということは、それぞれ事情があるわけですから、考えてみますと、前回の総選挙後、自民党も民主党も4人代わっているんですね。数を数えてみると同じなんです。
 ただ、自民党の場合は、小泉さんは任期が来て代わる、安倍さんは病気で続かなくなるということがありますけれども、民主党さんの場合は、みんなスキャンダルですね。偽メールスキャンダルとか、政治資金スキャンダルとか、スキャンダルで辞めてると。同じ4人交代しても、片やそれぞれ任期が来、病気になり、一方ではスキャンダルでみんな失脚という違いがあります。その点は、事情は多少、配慮していただきたいと。
 それから、政策についての整合性については、やっぱり政治というのは、企業も――これは企業人の評価ですから――企業も同じなんですけれども、時代の変化ということを受けて、やっぱり自身も変化しなきゃならないということなんですね。構造改革というのは、これは必ず続けていかなければ、自己革新ですから、これは続けていくべきことなんですが、その改革の仕方もいろいろアレンジがあると思うんですね。そこのところに歴代総理は、特に麻生総理は、言及されているんだと思うんです。
 それから、評価の中に、例えば「国家公務員改革法案が成立しなかった」と言われますけども、これは野党が3カ月ボイコットをされたから日数が足りなかったわけですから、これを自民党のせいにされても、本会議に提出していながら審議が3カ月間棚ざらしですから、こちらからは「審議をしてくれ」と再三再四、呼びかけたにもかかわらず、審議が拒否されたわけですからね。それは自民党のせいと言われても、働きかけ方が弱かったと言われればそれまでですけども、向こうが審議に乗らない以上は審議ができないという国会の事情は、御理解いただきたいと思いますね。

(以上)