甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年6月30日

(平成21年6月30日(火) 10:30~10:50  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 お待たせをいたしました。
 私からは1点の報告があります。
 お手元に配付をしてありますけれども、「質の行政改革」、今までが量の行政改革だとすると、質の行政改革、縦糸、横糸を通じて簡素で温かい政府をつくるということに資するわけでありますが、この質の行政改革を推進するに当たりまして、国民の皆様の行政に対するニーズを把握する、つまり国民満足度を高めるということを目標にしていますから、国民の側から見て行政のどういう点をどう改善をしてほしいかということ等々、このニーズを把握するために国の業務に関する御意見、御提案の募集を開始をいたします。インターネット、郵送にて受け付けますので、是非奮って御意見をお寄せいただきたいと思っております。
 詳細については事務方にお問い合わせをいただきたいと思います。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)まず麻生おろしについてですけれども、自民党の幹事長経験者等の要職にあられた方々からも麻生総理のもとで総選挙を戦うべきではないということで、麻生おろしの動きが広まってきておりますが、そういった一連の動きについて、大臣からどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)前にも申し上げましたけれども、自民党の支持率を下げているのは自民党内の浮き足立った動きであります。これは選挙民の方からももっとしっかり結束をしろと。追い風のときもあれば向かい風のときもあるんだから、追い風のときだけは総理にすがっているけども、向かい風になったら途端に散り散りばらばらになるということではそれ自体が正に支持率を引き下げる要因になるということで、ここは結束をして一丸となって自民党はあらゆる困難を乗り越えて国民のための政治を行っていくということを明確にすべきだと思っております。
(問)党の役員人事と内閣改造についてなんですけれども、大臣はこれまでも内閣改造というのは一つのカードだというふうにこの会見の中でもおっしゃっていたかと思うんですけれども、大臣自身、現時点で党役員人事、もしくは内閣改造についてどのようにするのがいいというふうに思われますでしょうか。
(答)これは総理がお考えになることでありますが、これから総選挙に向かって政府・与党、自民・公明が構成する麻生内閣は、どういう新しい国家像を示すのかということが問われているわけです。それを示して、それを推進していく、世に問う体制を国民に問うわけでありますから、手をつけるなら一部部分的にということでないほうが私個人としては国民に対する訴えになるんではないかと思ってます。
(問)今日、閣議が終わった後、総理と随分残られていたようですけれども、どんなお話か伺えますか。
(答)まず、今日私の新しい国の国家経済モデルを提示する本を、出版を今日からされます。宣伝するようで恐縮ですが、これが「日本の底力」という本なんでありますけど、この本をまず総理に差し上げました。この中身については日頃私と総理が思いを共有する部分が多いわけでありますから、「お時間がありましたら御一読ください」という話。それから、公務員法につきまして簡単な、簡潔な周辺状況報告をしたということであります。あくまでも対決法案ではないので、与野党よく意をすり合わせしながら持っていけば、そう混乱するような法案ではないと。これを政争の具にしてしまわないことが大切であるし、そうしてしまうと国民にとっても不幸なことになるという種の話をちょっといたしました。
(問)その中で党の役員人事ですとか、内閣改造ですとか、そういう解散時期等の話は出ましたでしょうか。
(答)一つだけ言えることは、麻生総理は解散総選挙を御自身の手で行うという強い決意をお持ちだということであります。そして、新しい国家像をマニフェストで示して、それをどういう陣容で世に問うかということは今思案中だと思います。それが今の陣容で世に問うのか、全く新しい陣容で世に問うのか、それはこれから総理のお考えになることだと思います。
(問)そのやり取りの中で甘利大臣の個人的なお考えはアドバイスとしてお伝えになったというふうに考えてよろしいんでしょうか。
(答)今は言えません。
(問)党役員人事については党内からいまだにやはり慎重論というか、やはりこのまま総選挙に堂々と立ち向かうべきだという意見も出ていますけれども、そうした意見について、大臣自身はそれでもある程度の人心一新は図るべきだというふうにお考えですか。
(答)週末から議員を含めていろんな御関係者からお問い合わせを随分いただきましたけれども、総理御自身がこの時点で人事を行うという発言は一切されてないと思いますけれども。周りがいろいろおっしゃっているだけじゃないですか。総理御自身は一切されてませんし、私にも自分は言った覚えがないというお話でした。
(問)総理は、日頃ぶら下がり取材に応じていただいているんですけれども、人事とかについては、常に「今の時点では」とか「現時点では」という形容詞を挟んで否定されるんですね。「今の時点では」ということなんで、将来的には、可能性としては否定していないような言い方にもとれるんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。総理は言ったことがないというようなお話も、今、大臣はそういうふうに御説明されていますけれども。
(答)それは、私はいつも申し上げてますとおり、人事と解散は総理の大権でありますから、この二つを完全に自ら縛ってしまうようなことは、どの総理もかつてやったことはないと思います。そのツールを使うか使わないか、いつ使うかというのは、総理御自身がいろんなことを考えながら御判断されることですから。
(問)ちょっと話は戻ってしまうんですが、今日、総理とお話しされたときに、公務員法の関係で、総理は何かおっしゃっていましたか。
(答)「しっかりやってくれ」というお話です。
(問)それは、今国会で成立を期すようにという。
(答)もちろんそうです。
(問)先ほどお述べになった中で、マニフェストをしっかり示して、それをどういう陣容で世に問うていくのか、これは総理が今、思案中だというふうにおっしゃいましたけれども、総理が思案中だというふうに考えたのはどうしてでしょうか。
(答)お話をさせていただいている中で、いろんなやり取りをしましたけれども、全体の話の中でそう感じましたし、私自身が「マニフェスト作業は、今、順調に進んでいますか」と聞きましたら、「今、順調に進んで、やらせているから」ということでありました。
 「これは非常に大事なことですよね」と、当たり前の話ですけれどもね。
 つまり、これから先、正に21世紀が本格化する中で、日本の向かうべき方向、あらまほしき姿、国家像というものを示すわけです。私なりに思うことは、例えば日本というのは何を生業としていくかということで、戦後には一つの国家経済モデルというものがありました。会社でいえば、いわゆるビジネスモデルがあったわけです。そのビジネスモデルというのは何かというと、貿易立国という一つのビジネスモデル。それに従って、それに必要なインフラを集中的に整備をすると。それに必要な資源調達に対する外交交渉をしっかりすると。それに対して国民の叡知を結集して、優秀な安い材料を使って良質な性能のいい製品をつくるという、いわばビジネスモデル、国家経済モデルをつくってきたと。それが、今や通用しなくなってきた、後続組に追いつかれつつあると。「世界の工場」と言われた日本は、今や「世界の工場」は、中国にその座を譲っているわけですね。
 ですから、日本が何を生業としていくか、それによって生まれてくる国富をどういう安心と安定に使うか。で、その前段として、あらゆる危機管理についてはどう対処するかということが新しい国家像ですよね。それを示す。つまり、従来型の設計図が、次第に通用しなくなってきたと。その従来型設計図の下に国家づくりをしている国、後続部隊がどんどん追いついてきたと。だから、新しい基本設計をしていくというときが今だと思うんですね。それをマニフェストで示して、いわば新しい「坂の上の雲」を示して、それに向かって国民のあらゆる叡知を結集すると。そうしないと、古い設計図で歩んできた日本というのは、いわば遺産の取り崩し型ですから。ですから、これから先に新しい国家経済モデルをつくって、そして、あらまほしき国の姿というものを示す。それを世に問うというのが、今度の選挙だと思いますから。それを世に問うのに、こういう陣容で世に問う、ということを国民の皆様に示すのが総選挙でありますから。だから、それを今の陣容のまんまでやるのか、全く新しい陣形をとってやるのか、それは総理御自身が考えることでありますから、それはマニフェストと一緒に示すことじゃないんですか。
(問)その陣容とマニフェストを固めていくペースについては、総理は思案中だと思うのですけれども、今日のお話の中で、総理は何かおっしゃっていますか。
(答)いや、いつまでにというお話はありません。もともと、マニフェストをつくるチームを編成したときに、確か園田政調会長代理が「いつまでに」という質問に対して、「それは選挙の時期とかかわるんで、今は何とも言えない」と、確か言われてたと思いますけども。そういうことなんだと思いますけど。だから、つくるほうに聞いてください。
(問)先ほどの「新たな陣容」と大臣がおっしゃった中で、それは内閣の陣容というのと役員の陣容というのと、それは一体で「新たな陣容」ということですか。確認ですが。
(答)「新たな陣容」というのは、正に「新たな陣容」ですから。今の陣容か、新たな陣容か、それは私が決めることでも考えることでもありませんから、それは総理御自身がお考えになることですからね。
 ですから、私は、個人的な考えとしては、もし新たな陣容を組むんであるならば、「なるほど」と思うような陣容のほうがいいし、そうでなければその意味がないと。
(問)関連ですけれども、その「新たな陣容」を、「一部部分的ではないほうがいい」という大臣の考え方について、総理の反応はいかがだったのでしょうか。
(答)いや、私はそういう具体的な話を、今日はしておりません。
(問)総理は昨日のぶら下がりで、「人事については現時点では考えていない」ということだったのですが、大臣は先ほど、マニフェストを示して、それをどういう陣容で問うかというのは、総理は思案中だということですが、総理は、では具体的に人事について検討しているというふうに甘利大臣は受け取ったと。
(答)いやあ、それは……。いろんなことを書かれるからなあ。
 私は、今日の主な話は、今日の本の話と公務員法の話でございまして、そのついでに「4月からいろんな騒ぎがありましたね」という程度の話で、いろんな問い合わせが来ましたから、「「総理自身がこの時点で部分的な人事をやるだ、ここですぐ解散するだなんていう話は、私は聞いてませんよ」とお問い合わせが来た人に言ったんですよ」という話をした程度で、「うん、うん、うん」とお聞きになってましたから。
 だから、「これからやるべきことは、とにかくマニフェストをしっかりつくることですね。それは、新しい国家像、新しい「坂の上の雲」、目指すべきあらまほしき国家像を示して、それに向かって我々は邁進するという決意を示すことですよね」と言ったら、「それはそのとおりだ」と。それから先は私が勝手に、「そのマニフェストに向けて、今の陣容でいくか、新しい陣容でいくか、それは総理がお考えになることですからね」と。ただ、にこにこして聞いてられただけですから。

(以上)