甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年5月29日

(平成21年5月29日(金) 8:50~8:57  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 私からは、1点ございます。
 お手元に配布をさせていただいておりますとおり、本日の閣僚懇におきまして、総理から新たな行政改革の取組について御発言がありました。
 具体的には、今後の行政改革の取組は、まず1、コスト削減を目指す量の改革に引き続きこれはこれでしっかり取り組むと。2として、これに加えて新たに量に加えて質の行革を重視する。これはすなわち、1点として行政サービスの生産性向上を行う。2として、国民の期待に応えるために、民間用語で使われますけれども、行政サービスのユーザーとしての国民の側から見た顧客満足度を高めるということでありました。その上で、私に対しまして、官房長官、総務大臣と連携をし、速やかに政府全体としての具体的な取組方針を取りまとめるように指示がありました。
 この総理からの御指示を受けまして、私からは、まず1として、行革を実現するためには国民のニーズや評価を踏まえながら、職員の意識改革とともに、各府省で業務工程の改革、これも民間の用語で言うとBPRといいますが、BPRというのはBusiness Process Reengineering、業務工程改革ですね、これの行政版のBPR、行政BPR、行政の業務工程改革というものを積極的に推進をしまして、行政の仕事の進め方を変えていくことが必要であると。官房長官、総務大臣と御相談をしつつ、速やかに政府全体としての具体的な取組方針を取りまとめたいという旨の発言をいたしました。
 なお、鳩山総務大臣、それから野田IT担当大臣からも、協力に取り組んでいただける旨の御発言がありましたので、連携をとりつつ、早速、方針の取りまとめ作業に取りかかりたいというふうに思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)これについて速やかに取りまとめるというのは、今後、どのように取りまとめられていくかということと、昨日までの厚労分割・再編についてですが、どのように見ていらっしゃるかと、今後の方向性についてどのように考えていらっしゃるか。
(答)まず、この質の行革についてであります。質の行革というのは、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、今までは人を減らす、コストを減らす、無駄をなくすと。これは、国民目線から見ますと、政府にとっては都合のいい行革でしょうと。でも、人を減らした結果、受益者たる国民にとって、「人を減らしたらいいことがあるんですか」とか「予算を減らしたらよいことがあるんですか」と。無駄を減らすというのは、当然ですけども。
 それに対して政府側からは、「コストを減らしていくということは、税金をそれだけ有効に使えるからいいことでしょう」という間接話法的なよさのPR。ところが、国民からすると、むしろ、例えば「窓口の並んでいる時間が短くなった」とか「行政に申請した案件の結論が今までより早く出た」とか、そういうユーザーとしての満足度を上げるという視点が、実は欠けていたんではないですかという視点があったと思います。
 ですから、今度は、政府側にとって都合のいい行革と思われている部分、これはユーザーにとっても都合がいいんですけどもね、では次は、具体的にユーザーにとってこんなに利便性が上がったと、つまり、それは民間用語で言うと顧客満足度を上げるということですが、その視点から業務の流れを分析をして最適化を図っていこうと思います。例えば、この部分はさらにIT化を進めていくとか、この部分はアウトソーシングしたほうが、むしろ流れはスピードが上がるとか、こんな業務はなくしちゃっていいじゃないかと、業務の流れを分析して、その最適化を図るという、これは民間の手法で言うBusiness Process Reengineering、これを取り入れていこうと思います。
 これを、もう一つの民間手法である改善手法を取り入れたいと思います。つまり、行政に携わる部員の人たちが改善提案をすると。それを、いいものについては大臣表彰をしていくと。それから、効果が上がる、表彰を受けたものについては、その人の人事の査定に組み込んでいくということで、自動的に組織がいいほうに向かって自走すると、自分で走るという仕組みをつくりたいと思っております。これが、質の行革の意味であります。
 そこで、それをどういう工程表にこれから持っていくかという御質問でありますが、任期も限られているわけでありますから、これは「骨太方針」にどういうふうに折り込んでいくかというのは当面の作業になります。その後に、ある一定の試行期間を経て、次の年度には本格施行というような手順になっていくのではないかと思っています。これが、前段の御質問。
 後段の厚労省の分割云々についてであります。これにつきましては、総理からの御指示は、いろいろな課題を抱えているし、いろんな指摘があると。それを総合的に議論をして、安心社会実現のあらましき姿を描いて、それに必要な最終的に組織の改革なりにとつなげていくべきではないかという趣旨だと思います。
 まず組織論ありきではなくて、安心社会実現に必要な中身の分析と、その整合性を図っていくというところからスタートするということが、最初に組織論から入ってしまったととらえられてしまったということではないかと思います。

(以上)