甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年5月15日

(平成21年5月15日(金) 10:30~10:48  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 どうぞ。

2.質疑応答

(問)公務員改革についてですが、大島国対委員長、中馬弘毅さんと石原伸晃さんと中川さんが、公務員改革について協議して、御報告は既に受けられていると思いますが、その受け止めと、今後の審議入りに向けた展望についてお聞かせください。
(答)会談、協議を通じて、一刻も早い審議入りと、それから今国会での成立を期すということでは意見が一致をいたしたと報告を受けております。会期も残り少ないことでありますし、一日でも早く審議入りすることが大事であります。
 それぞれ法案に対する思いというのは、与野党みんな、持っていると思います。それは、審議入りした中で、それぞれの思いとその差を埋めていくという作業があるわけでありますから、最初から、審議する前から、それぞれが差をぶつけ合って、全部整わないと審議入りさせないということでは、これはもういかなる法案もスムースな成立が望めないわけですから、とにかく審議入りを一刻も早くするということを最優先にして考えていただきたいと思っています。
(問)政策金融についてなんですが、過日、衆院で補正予算案が通過しました。補正予算案の中に、政策金融の大規模活用などが盛り込まれているところではありますが、政投銀の民営化の繰り延べというか延期についても議論されている中で、一部、これは政策金融全体の改革の中で、行革の後退ではないかという見方をする人がいるんですが、それについて政策金融の活用と行革という2つの観点から、担当大臣としてはどのように考えられるのか。
(答)簡単な話でして、今の金融経済危機を、単なる景気循環の中での不況ととらえるのか、そういう景気循環とは全く異なる、臨時・異例の事態としてとらえるかの違いだと思うんです。景気循環の中での不況ととらえる人は、識者の中には1人もいないわけでありまして、異常な事態というふうに、当然とらえているわけです。
 異常な事態には、それに対する即応体制をとらなきゃならないわけであります。とった即応体制が、行革の本質から外れてしまっている、つまり、決めた行革の方向を取り止めてしまうんだとか、法案を出して、従来の最終的な向かう方針をやめてしまうのであれば、行革の本質を外れるということになると思いますけれども、道筋、つまり、向かうべき方向は、そのまま向かっていくと。若干、臨時・異例の事態のために回り道をするということは、行革の精神の、当然範囲内に入っていると思っております。
(問)民主党代表選なんですけれども、昨日、それぞれ鳩山さん、岡田さんが会見をして、それぞれ持論の政策を述べられていました。岡田さんは、一部、無駄のない行革などに触れられていて、一方の鳩山さんは、「友愛」という言葉をキーワードにいろいろ語っておられたと思いますが、自民党との政策の違いという点も含めて、両者の政策について、大臣はどのように御覧になっていますか。
(答)お二方の政策をつぶさに検証したわけではありませんから、何とも言えませんけれども、鳩山さんは精神、考え方、理念を述べられまして、岡田さんはもうちょっと噛み砕いた政策論をお述べになっているという印象の差ぐらいしかありません。
 いずれにいたしましても、政権を争う政党は、良いことだけ並べているわけにはいかないんですね。国民が受け止める苦痛といいますか、乗り越えなきゃならない課題についても示すということが大事でありまして、政策を提示する際にはその裏づけ――裏づけも、「我々は仕組みを根本から変えるんです」なんていう中学生の作文みたいなことではいけないんでありまして、政治家として、「ではこれは、この政策は取り止めて、それを原資にします」とか、「ここの部分は国民に負担増をお願いして、こうやっていきます」とか、責任を持って入りと出をつじつまを合わせていくということが必要だと思います。
 よく言われる弁法ですけれども、「我々は行革を間断なく推進をして、それを原資とし」とか、あるいは「行革を徹底するまでは、これはこうしません」とかというのは、国民に対して単なるアリバイづくりということしか思えません。というのは、行革はエンドレスなんですね。「ここまでやったからもうやりません」というわけにはいかないんです。全部やっても、それから先もやっていく。常に、行革というのは常時取り組んでいくことであって、それを理由にこれができないというようなことは、単なる言い訳にしかすぎないと思っております。
(問)とすると、今の岡田さんと鳩山さんの議論というのは、そういう点が非常に不十分ではないかという指摘でしょうか。
(答)そうです。野党の議論の中に、「政権をとったらちゃんと言います」というようなおっしゃい方をするんですけども、二大政党で、選挙があった場合、いつ、どちらが政権をとるかわからない状況をつくり出すとするならば、「明日政権をとっても、我々ならこれをこうやります」ということをやっぱり国民に示すのが、責任政党だと思います。責任政党は、政権党が責任政党で、野党が無責任政党であっていいなんてことはありませんから。野党であっても責任政党です。
(問)与党の中には、鳩山さんが小沢さんに近いということで、選挙のときに与しやすいというような声もありますが、大臣はどのようにお考えですか。
(答)自民党は、なかなかしたたかな政党ですから、高等戦術を組んでくるということも考えたほうがいいかなあと。私は、岡田さんのほうがやりやすいと思います。
(問)それは、高等戦術という……。
(答)理由はあんまり開示すると……。
 とにかく、岡田さんがなった場合には、相当、党内混乱が起きます。選挙というのは、一つの指導者の下に一致結束して邁進をするのが選挙ですから、選挙する体制ということであれば、私は岡田さんのほうが、我々にとっては都合がいいということですね。これも高等戦術かもしれませんが。
(問)公務員制度改革の関係の話に戻るのですけれども、まだお経読みがないと。6月から始まったとして、どれぐらい会期延長すれば成立に――これは別に、純粋に公務員制度改革として、どれくらいが必要だというふうなお考えか。
(答)私は、国対委員長ではありませんし、総理ではありませんから、これは総理と国対委員長が協議をされて、公務員制度改革法案を含めた残り重要法案をすべて仕上げるのにどのくらい必要かということは、綿密な打ち合わせをしていただくわけですね。
 ただ、基本法の経験に鑑みれば、協議が調えば、つまり、対決をしたままでいくと日数がかかると。差異があるとするならば、それを埋める努力を与野党で協議をすると。協議が調えば、スピードが上がるという関係にあります。
 ですから、私は、党内でいろいろな御意見があるのはそれは結構でありますけれども、政府案は与党の手続を正式に経て、「これでいきます」ということを党として了解しているわけですから、党として了解している政府案が一日も早く審議に入ると。その環境を整えるということは、全与党議員の責務だと思うんですね。「与党案は、出すことについて承認をしました。しかし、審議入りをする前にやっておくことがあります」ということは、その審議入りに向けての障害となってしまうおそれがあるわけですから、審議入りを早くするということが大事、これの認識を共有してもらいたいと思っています。
(問)鴻池問題について、大臣はどのようにお感じになられているでしょうか。
(答)まあ、懲りない人ですね。いわば執行猶予中の身でありますから、ああいうことをなされば職を解かれるということは、当然だと思います。
 いずれにしても、私も内閣の一員でありますから、内閣の一員として、心からお詫びを申し上げます。
(問)ああいうことというのは、どういうことですか。
(答)報道されているようなことであります。
(問)大臣の御認識としては、鴻池さんの辞任というのは、ああいう報道が原因であると。
(答)報道されたような行為・行動をとったことです。
(問)総理の任命責任については、どのようにお考えですか。
(答)それは、総理もおっしゃっているように、当然、任命者は総理ですから。
(問)懲りないような人を任命したということでしょうか。
(答)いや、非常に政治家としては、いろいろな能力や魅力のある方であることは間違いありませんけれども、当然、公職にある者は、自分のDNAがどうであろうとも、守るべき規範というのはあるわけでありますから、それが自身で守れないというんであるならば、そういう職に就かなければいいんであります。
(問)今回、総理は辞任の理由について、当初は健康上の問題というのを全面的に打ち出していたように思うのですけれども、その説明の仕方についてはどのようにお感じになられますか。
(答)これは、官邸スタッフがきちんとした理由を総理に説明をするということが大事なんですね。総理には、「副長官は体の不調を訴えられて入院されました」というのが第一報なんでしょうから、そこのきちんとした、当然求められる質問について、あり得べき質問を想定して、きちんと正確な情報を入れておくと。週刊誌情報については、当然、事前に検証をしておいて、入院情報も含めた全体の情報を正確に入れておくということが大事だと思います。内々の話とは別に、公式に「辞任理由はこうです」というふうに入れられたら、公式には総理がそれを受けた回答をされると思いますから、総理が適切なコメントができるように、適切な周辺情報を入れておくということが大事なんだと思います。
(問)そうすると、総理の今回の説明というのは、あまり適切ではなかったと。
(答)総理がすべての情報を得た後に、「任命責任は、従来どおり任命した者にありますから、私にあります」とおっしゃったのが、最終的な総理の見解だと思います。それを最初に出せるような状況を、当然、つくっておくべきだったと思いますけど。
(問)鴻池副長官をめぐっては、実績とか功績とかが見えにくいという指摘もありますけれども、大臣は、鴻池さんの働きぶりで何か目立ったところ等はありますでしょうか。
(答)私は官邸にいたわけではありませんから。そもそも副長官が世間に向けて目立つということ自身、あまりいいことじゃないと思います。副長官というのは、黒子であります。総理にいかに振りつけるかということを、政務・事務あわせて担当するところでありますから、国民に向けて総理のメッセージが適切に届くような環境づくりをするという黒子に徹するというのが仕事ですから、官房副長官が目立つということは、私は、あんまりいいことではないと思います。

(以上)