甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年4月17日

(平成21年4月17日(金) 9:08~9:30  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からは特にありませんが。どうぞ。

2.質疑応答

(問)国会の審議入りが期待されている国家公務員関連法に絡んで、自民党の中川秀直元幹事長が勉強会を立ち上げるということを予定しているのですが、これについてどのように御覧になっているか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
(答)個々の政策活動について、政府のほうからとやかく制約するつもりはありません。ただ、私としては、国会の9割の賛意によって成立をした国家公務員制度改革基本法の詳細設計を任されているわけでありますから、基本法の範囲内で事をなすということが私のミッションであります。
 中川先生の法案について、詳細を検討しているわけではありませんが、漏れ伺うところによりますと、基本法の枠を超えている部分が多々あるというふうに伺っております。政府として、国会から託された基本法の詳細設計をせよということに関して、私がそれに関わるということはできないんだと思っております。
 ですから、私の使命は、基本法に基づく詳細設計を行うということに邁進をしてまいりたいと思っております。
(問)それに関連して、いろいろなこの動きに見方があるとは思うんですけれども、純粋に政策論として見た場合に、基本法の枠を超えている部分があるということですが、政府案との一番の違いというのはどこにあるというふうに御覧になっていますでしょうか。
(答)いろいろありますが、基本法が幹部職と管理職について新たな制度を作ると言っておりますけど、そこの解釈が随分違うんだと思います。
 基本法では、幹部職、管理職についての新たな制度は、一般職という枠の中での新たな制度というふうに書いてあるわけでありますけれども、中川先生の案は、一般職ではない、いわば特別職のような位置付けをしていくということであります。先生御本人のお考えは、特別職と一般職の間という御表現のように漏れ伺っておりますが、一般職以外は全部特別職なんでありまして、一般職でないのは特別職なんです。その中間職というのはないんでありまして、特別職にもいろんな特別職がありますから。公務員の中でも、国会職員もあれば、司法関係の裁判所職員もあれば、自衛隊の職員もあれば、いろんな特別職があるんですね。一般職以外を特別職といいますから、その中間という存在というのは、実は全部特別職なんであります。
(問)関連してですけれども、政府が出している公務員関連法案に関連する内容の議員立法を自民党の中で提出する動きがあるということが、政府提出法案の審議に影響を与えるという声もあるんですけれども、大臣はその辺はどのように。
(答)これが大きな流れになれば、確かに影響は与えます。しかし、党の政務調査会としては、基本法の枠内でこれを具体化するということの国会からの使命はしっかり受け止めてらっしゃると思います。それが不可能となるような行動については、党として正面から取り上げていくとは思われません。
(問)あくまで政策論として、中川さんらのその案というのは、特別職と一般職の中間的な幹部職ということのほかに、給与を人勧制度の外に置くと。その特別職的なものにすることと、政治任用を拡大していくということとがつながっていると思うんですが、政治任用については、大臣、今の御見解としては。
(答)政治任用を柔軟に行えるというのは、政府案の趣旨の一つなんですね。中川案は、公務員の身分保証をしながら、人勧の枠の外に置くと。でも、特別職ではないと。これは不思議な論理でありまして、人勧と身分保証というのは、ある意味密接な関わりがあると思うんですね。民間の労働者に見合った給与がちゃんと担保されるということ、これは労働基本権の代償措置として今の仕組みがあるわけであります。そして、それと並列的に公務員の身分保証というのがありますけれども、それを侵食しつつ身分保証を定めるという、ちょっと非常にわかりにくい制度でありますし、なおかつ特別職ではないという新しい位置付けを設けると。これは明確に基本法が想定していないところでありますから、政府が関わるとした基本法の改正をしなければならないと。国会からの要請は、基本法が9割の賛成でもって成立をして、これの具体化をせよということでありますから、その国会の意思はどこに行くんだろうかということになります。
 でありますから、政策論として申し上げますと、基本法が我々に要請しているのは、基本法の枠内において降昇任、降昇給の柔軟性を図れと。幹部職、管理職に関してはということで、その具体的な内容も踏み込んで書いてあるわけですね。基本法の中に幹部職の範囲内で降任、昇任を柔軟にできるように、あるいは管理職の範囲内において柔軟にできるようにというふうに、具体的にそこに指示されているわけであります。
 中川案によりますと、都度都度、辞表を出して、1回言ってみれば幹部職が管理職以下に戻るということであります。しかも、政治家も局長につくことがあり得るということでありますと、それからはじかれて管理職以下になる場合のポストの設置はどうするんだと。それは、一時的なポストの設置ではなくて、それが次なる人事までの常設的なポストになるわけですね。役職というのは、仕事の必要性に応じて設置されるわけでありますから、恒常的待機ポストを仕事の必要性と関係なく設置するということは、行革の上から言うと極めて矛盾をしているわけであります。一時、玉突き型でおさめるための短期的な、例えば官房付というようなポストであるならば別として、次の人事の間までの常勤ポストで仕事がない、待機しているだけの常勤ポストというのはあり得ないわけでありますから、行革上、そういうことは設置ができないということ等、だんだん踏み込んでいきますと、お考えになっていることはよくわかりますけれども、それは今の仕組みの中の柔軟性の幅をどう考えるかということでのみ込める問題じゃないかというふうに思いますけれども。
(問)関連ですけれども、同じように提案する中には、基本法とは関係なく天下りの関係については、例えばあっせん禁止に対する違反した場合の刑事罰の導入とか、官民人材交流センターを平成23年で廃止せよとか、そういうものも盛り込まれているんですけれども。
(答)法案を詳細には私も読んでないのでわからないんですが、サンセットで、しかもごく短期間にサンセットと言われています。
 私が、国会答弁していますように、従来型天下りというのは、官民人材交流センターが中立的な機関として行うのでなくなるわけですね。従来型でない、官民人材交流センターが行う再就職あっせんについても、23年でなくせということであるならば、そうすると、本人の意思によって定年まで勤められる体制の充実とあわせて、そこのあっせん部分がフェードアウトしていくということは一体どうなってしまうのかですね、極めて整合性がとれなくなってしまうんです。そういう、恐らく詳細の設計ができてないんだと思うんです。
 かく言うことは、なかなか政治的には受けのいいことでありまして、一般的には拍手が来る話なんですが、政府として詳細設計をしていきますと、矛盾がいっぱい出てきちゃうんですね。ですから、天下りというか、再就職あっせんがなくても済むような公務員制度につくり上げていくということには、これは次第にその人員を吸収していく体制と、給与が全体として膨張しないという体制とあわせて整備をしていかなきゃなんないと。これは、今日作って明日完成するというものではありませんから、一定のフェードイン、フェードアウトの関係の時間をもらわなければならないわけです。その辺のところが全く今のお話ですと配慮されないということになりますから、詳細設計をしていくと矛盾がいっぱい出てきちゃうんですね。
(問)先ほど官民センターのフェードアウト、サンセットについてもありましたが、中川さんの持論で、各省設置法を廃止していこうというのがあったと思います。今回の素案には、最終的にそれは入ってないようなんですけれども、各省設置法を廃止して、もっとフレキシブルに内閣人事局が機構、定員の部分を担うと思いますが、その部分については、今の大臣のお考えとしてはどのように……。
(答)今回の改革実施のための法案を提出をする際に、いろんな議論が国会でもありまして、内閣人事局がやるべき仕事の範囲を超え過ぎて、肥大化しているんじゃないかと、機能的にも、組織的にもという指摘が一方であるわけです。内閣人事局がどこまでやることが基本法の想定をしていることなのかということの議論が過去の国会でもありました。
 私としては、国家公務員制度改革基本法が予定している、あるいは要請している内容を忠実に具現化する必要があると思いますから、それを超えて、それ以上のことをやっていくということであるならば、根本論から議論をしていただく必要があろうかと思います。国会の議論の中には、人事だけやるべきであって、組織は想定していないではないかという方もいらっしゃると。私は、時代の変化、歴史の変化によって政策課題は変化する。政策課題の変化によってポストが変わってくると。ですから、ポスト、人員の再配置をフレキシブルに行えるようにするということが、その目的だと思ってやっておりますが、なかなか基本法の範囲を超えることについては、根本論からの議論をしていただく必要があろうかと思います。
(問)全然違う話題になりますが、自民党の菅選対副委員長などが、世襲候補の立候補制限というのを自民党のマニフェストに盛り込むかどうかということを検討されたりしていますが、甘利大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)それは、世襲候補たる私に対する質問ですか。
(問)そうです。
(答)職業選択の自由という憲法上の権利があるわけですね。ですから、志を持って何をやりたいかと。その志を制約するような仕組みというのは、なかなかつくりづらいわけですね。ですから、職業選択の自由そのものを阻止をしてしまうような法律というのは、仕組みというのはできないんだと思います。
 ただ、世襲候補、二世候補だから他の候補に比べて突出した有利さがあってはならないと。ですから、そこにどういう資格審査、適格性審査を織り込むかということは、各党が工夫すべきことだと思います。
 選挙に有利ということで言えば、知名度の高い人は出てはいかんとか、俳優や歌手や映画スター、プロスポーツ選手は出てはいかんということにまさかするわけにもいきませんから。いろいろなアドバンテージはそれぞれが持っているわけでありますが、極力いろいろな人が挑戦できるように門戸を開くという開き方をどうするかということが大事だと思います。
 自民党は二世候補といえども、自ら公募に応じて、その中で選考して、あるいは自分の政策なりを論文として提出をし、論文審査を受けると。その際には、時々自民党がやることでありますが、名前を伏せて、論文の内容だけで一次審査をするというようなこともありますから、そういうことで公認候補たり得る資質があるかというのは、客観的に評価をすべきだと思います。
 党としては、選挙に強いほうが弱い人を出すよりもいいに決まっているんでありますから、そこはいろいろとお考えになればいいと思います。
 私の場合は、私が出たときには、各新聞は、泡沫候補と私のことを書きまして、もう26年ぐらい前になりますけれども。書くには書く理由があったんですね。それは、私はだめだから書いたわけではなくて、中選挙区時代に公民バーターというのがスタートしたんです、私がチャレンジしたときから。私の選挙区では、私の父親が最下位当選でした。1位、2位が断トツの票を取って、圧倒的票があいて最下位当選がうちの父親で、次点との票差が520票しかありませんでした。その次点の公明党候補が、私の選挙のときから公民バーターで、民社党(当時)の票が乗っかると、4万票が乗っかると。ですから、次点の人がトップ当選に次はなるということは、100%間違いなかったんですね。事実、そのとおりになりまして、圧倒的に強かったです。
 そうすると、1番、2番が圧倒的に強くて、うんと票があいて最下位が私の父親で、520票あいて次点が公明党の人だと。公民バーターで4万票が乗るから、これが一番上に行きますから、ですから一番上と2位、3位と、うんとあいて私の父親ということになりますから、それは当然落選するということは、誰の目から見ても明らかと。
 それを私自身は逆転をして、全国で2つしかない自民党の空白区を作ったわけでありますから、それはそれなりの死に物ぐるいの努力はしたつもりでありますし、その努力は評価されて、マスコミの事前調査、事前報道からいえば、そこは無風区、私が当選しない無風区ということの評判を覆したということは、それなりの覚悟と努力があってできたことだと思いますから。
 ですから、政治を志したいという人の門戸を閉ざしてしまうということはなかなか難しいかと思いますが、平等にチャンスを与えるというやり方というのは、いろいろとあると思います。

(以上)