甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月18日

(平成20年11月18日(火) 9:38~9:59  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 総理が金融サミットからお帰りになりまして、日本がリーダーシップをとって多大な成果を上げられたと思っております。ドルの体制に対して、つける注文は厳しくつけると。その上で、それに代わるものがない以上、その体制を支えていくという具体的な発言もありましたし、また、IMFに対して10兆円の融資を行うと。それによって、IMFの機能を強化をすると。新興国も交えたグローバルな体制をしっかり裏打ちをしていくということについてコミットをしたということで、これも高く評価されているようであります。
 一部テレビ報道で、事態をほとんど理解していないで解説されている方がいらっしゃる。「そんなに外貨があるのだったら、ほかにまけばよい」と。もう全く荒唐無稽な何も理解していないという報道があるのは残念ですが、これは融資をする、貸すわけでありますね。IMFという倒産しない対象に対して貸し付けて、機能強化をするということであります。貸す金は、100%返ってくるお金です。本来であるならば、恐らく出資を増やすというのが本来の道なんでしょうが、まず時間がかかるし、出資と発言権の割合等々をかんがみますと、どこの国が幾らとか、そんな話で延々と時間がかかってしまうんでしょう。この即効性を高めるという意味でも、今回の措置は極めて妥当だと思いますし、関係国から高く評価されたということであります。
 これから、具体策が着実に実行されると。それが関係国で共有されるということが、抜本的に金融危機を脱出をし、実体経済への影響を最小限にし、一刻も早い景気回復を世界同時に行っていく、その道だと思っております。
 私の所管ではありません。
 何かありましたらどうぞ。

2.質疑応答

(問)内閣人事局についてなんですけれども、先週の金曜日に顧問会議をやりまして、報告を受けられました。その終わった後に大臣は、次の作業をどうつなげていくかは週末に考えたいとおっしゃっていました。今後の関係方面などの調整などについて、今後どのように進めていくというお考えでしょうか。
(答)今日と明日で、与野党に対して、ワーキング・グループが取りまとめ、顧問会議から私に提出をされた検討案、それを提示をし、各党それぞれ議論をしていただけると思います。
 併せて、私に顧問会議から提出をいただいたあのプランは、事務折衝が終わっているわけではありませんで、未だに――未だにというか、始まったばかりですけれども、かなりの抵抗を示しているところが多々あります。これをまず事務レベルでしっかりと理解をしてもらうと。それから閣僚レベルで、一部、今日はもう総務大臣には非公式に協力要請をいたしましたが、公式に話し合う場も、近々、出てまいります。
 そういう中で、私としては、先般も申し上げましたけれども、拙速でも先送りでもないしっかりとした改革を迅速に行うという工程表をつくります。つまり、一部食い逃げとか逃げ切りみたいなことが絶対に言われないように、最後までを縛る工程表をつくります。これをきちんとオーソライズをいたします。でありますから、私がこの職を去った後でも、それが「これはあの大臣のときのこと」というようなことがないようなですね、内閣としての、政府としての縛りをかけたいと思っております。
 そういう工程表の中で、法案提出は当然でありますが、内閣人事局設置をいつにできるかということは、今、綿密なシミュレーションをしているところであります。それも踏まえて、まず中間報告に、総理のところに伺いたいと思っております。恐らく、最終的な決断は、予算要求ぎりぎりの段階でするということになりますが、その際にも、総理には、その判断の了解をいただきに上がろうと思っております。
(問)確認ですが、今日、非公式に総務大臣のほうとお話をされたということですが、これは閣議の前後にですか。
(答)閣議の前です。隣の席ですからいつもいろいろな話をしていますけれども、総務省ですら協力されないようであるならば、何のための国家公務員制度改革かと。「できない理由をわんさか持ってきた」とか言っていましたけども。これは政治決着でちゃんとやらせてもらいたいと。もし事務的に折り合いがつかなければ。
(問)先ほどのぜひ政治決断でやりたいというのは、鳩山さんのほうのお言葉ですか。
(答)いやいや、私から。
(問)鳩山さん自身は今回の、総務省の場合、2局ありますよね、この移管については、鳩山さん御自身のお考えは、今の段階でどうでしょうか。
(答)鳩山さん自身は、今の段階で「いかん」とも「わかりました」とも、返事はまだないです。ただ、「できない理由をいっぱい持ってきたよ」という話だけはありました。
(問)先ほどの工程表をオーソライズするということですけれども、この工程表に盛り込むのは、もう既に基本法自体がプログラム法ですけれども、どういうものを工程表に盛り込むというお考えでしょうか。
(答)いつの時点で何をどうするとかということ、それから最後までのスケジュールを、少しでも改革加速ということで短縮をしたいと思っております。いつの時点で何を行う、いつの時点で何を行うと、最終的にこの改革ができ上がるのがいつということを示したいと思ってます。
(問)それは、顧問会議の報告の中で、すべてのものを今すぐ実現できないので、幾つかのものについては工程表の中に盛り込むということでしょうか。
(答)まず、基本的に労働基本権に関することは、労使関係制度検討委員会で検討をお願いしています。この結論が出ないと動かない、動かしてはならんという申入れを、連合からいただいております。恐らくそれに関しては、民主党からも、再三、委員会の席上等で協議の場をとおっしゃっていますから、同じような話になるんだと思います。
 ただ、それがいつまでも時間がかかると、全体が極めて遅滞しますから、その議論を加速することを事務方に指示をし、事務方から要請をしております。で、全体のスケジュールを少しでも短縮して、一刻も早く改革全体を仕上げたいと思っております。
(問)工程表の短縮してという部分なんですけれども、労働基本権については、来年度中の結論ということで、何らかの報告をまとめるようにスケジュールを出されているということなのですが。
(答)それ自体も短縮して、議論を急いでもらいたいと思います。
(問)それは、めどですけれども、どれぐらい短縮して……。
(答)いや、まだ、今、どれぐらい短縮が可能かを、事務方に先週の金曜日の後すぐ指示をしましたから、今、要請が先方に伝わっている最中でございます。
(問)オーソライズの方法は、閣議決定か、あるいは公務員制度改革推進本部の本部決定になるのか、どちらをお考えでしょうか。
(答)なるべく縛りがきついものにしようと思います。
(問)野党のほうですけれども、先ほど各党とおっしゃいましたけれども、民主党以外にも説明に行かれることになるのでしょうか。
(答)もちろん、まず自民党、それから民主党、それから公明党からも説明要請が来ていますから、公明党は明日になるかな、事務方が行きます。
(問)総務省のほうは、鳩山大臣、所管大臣がいますけれども、人事院のほうは、なかなか交渉相手自体も難しいという……。
(答)総裁と会います、私が。本当に交渉相手がいないんですよね。独立した存在ですしね。
 しかし、人事院が抵抗しているために改革ができなかったと言われたら、責めは向こうに行きますから、それは大所高所から、きちんと協力はするという姿勢は持っていただけると思いますけれども。
(問)先ほどの短縮という部分ですが、それは労働基本権以外の部分、例えば公務員制度改革は5年をめどに、1年、3年、5年というのがあって、制度としては2013年までにはスタートしなければいけないというスケジュールになっていると思うのですが、それを前倒しするという意味なんでしょうか。
(答)基本権の部分の議論が進んでいけば、全体も短縮できるということです。
(問)人事院に関しては、基本権の制約されている部分の代償措置の範囲がそもそもどこまでなのかという議論が、ワーキング・グループのほうでもあまり詰まっていないので、なかなか給与に関する企画・立案を移すといっても、どこが移せるのかというのははっきりしていないと思うのですけれども、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)中立・公正機能というのは、やはり事後チェックとして残るわけですね。基本権の部分については、公務員制度改革基本法でも、明確ではありませんけど、こんな方向で議論をしてもらいたいということが書いてあるわけですね。ですから、その仕分けをしなければならない。両方がオーバーラップして全部の事務にかかってますという説明は、組織防衛そのものだと思いますから、組織全体が何とか逃げ切って残るというような幻想は、絶対に抱かないでもらいたいと思います。私がやることですから、そんなことはしません。
(問)確認ですが、国会の答弁で、1年、3年、議論があると。段階的に追加して――ちょっと正確な文言は忘れてしまいましたけれども、追加していくという御答弁があったと思うのですが、労働基本権の部分についてというのは、その後から追加するものという理解でよろしいですか。
(答)そうです。現実にそうだと思いますけれども。先般のワーキング・グループが取りまとめたのも、基本権の問題の決着以前を前提として作業されていると思います。
(問)人事局なのですけれども、設置の時期も含めて、シミュレーションの中間報告、これは総理に対しては、いつ……。
(答)まず第1弾報告は、今週中にも、ぎりぎりの段階でやらなきゃならない、総理がAPECにお出かけになる前には、しなきゃならんと思ってます。今、調整中です。
(問)昨日の党首会談の件なんですけれども、民主党は回答を不服として、採決を見送るというような方針を出していますけれども、その民主党の対応についてはどのようにお考えですか。
(答)よくわからないですね、本当に。何か、審議は止めろという指示が出ていながら、今日も粛々と審議が行われているとか、景気対策に対して抵抗しているという姿を見せたくないのか、「早く出せ」と。出せと言っていながら、どうして金融機能強化法を早く成立させてくれないのと。1次の金融対策を補完していく重要な部分の強化法が、まだ確か審議中じゃあないですか。つまり、1次が予算案としては通っているけれども、それを周辺で構成する重要な要素の法案が通っていないと。だったら、早く通してくださいと。それから2次の話になりますよね。ですから、どうもおっしゃっていることがよくわからないのと、おっしゃっていることと国会の事態がまた別に推移しているんで、どういう意図なのかを恐らく自民党もはかりかねているんじゃないですかね。
 それもありますし、党首討論を毎週でもやってほしいですね。国民は、次なる総理、つまり、政権をかけた戦いと民主党自身もおっしゃってますから、どっちかが総理になると。アメリカの大統領選みたいな話ですからね。2人が何を考え、どういう方向に国を導いていくのか、その差は何なのか、それを国民は知りたいと思っているんだと思うんですよ。それをなぜやらんのですかねえ。アメリカなどは、何回もやりましたよね。国民に向けて、自分が次を託されたら、こういう国をつくると、こういう政策のプライオリティーを行うということを、何度も討論しましたけどもね。そのために党首討論があって、それを小沢代表御自身が、あれは提案されたことですからね。どんどんやってほしいですね。
(問)関連してですけれども、民主党は、2次補正予算案を今国会に提出しないと、新テロ特措法とか、今おっしゃった金融機能強化法に応じないとおっしゃっているのですが、今後の国会運営については、やはりこれはもう延長というのは避けられないというふうに見ていらっしゃいますか。
(答)私、国対委員長ではありませんから、それは大島さんが総理と相談して判断されることですけども、国の重要な政策、特に対外的にどう国が意思表示をするかということを政局として使うというのは、どうしたもんなんですかねえ、これ。別に、賛成しろと言っているんじゃないですね。意思表示をはっきりして、いたずらに延ばすなと。それを、政局の具にしてはならないと、これはよくおわかりだと思うんですけどねえ。それがこういう場面だとよく顔を出すんですね、そういうスタイルが。これは、どうしたもんかと思いますけどね。
 国会運営の判断は、恐らく近々に、総理、国対委員長でなされると思います。

(以上)