甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年10月31日

(平成20年10月31日(金) 9:57~10:25  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からは特にありませんが、どうぞ、何かありましたら。

2.質疑応答

(問)今日、閣議はかなり時間がかかったようですけれども、何か。
(答)やはり金融不安の解消、それに続く実体経済への影響等について、総理が昨日の新しい経済対策の中で、一部、国際社会に向けたメッセージがなされているものですから、それに関して、各大臣からいろいろなお話があったということです。
(問)あと、昨日のその総理の会見の中で、3年後の消費税引き上げについて言及されましたけれども、この点について大臣のお考えをお聞かせください。
(答)中期的な道筋を示すということを総理はおっしゃっていました。つまり、無責任なばらまきというのは、財源の手当てについて、きちんとすべてを一身に受けて説明する覚悟があるかどうかだと思うんですけれども、それに向けて国民に対して、3年後についてこういうことと直面しなければならないと。もちろん、それに向けては行政の効率化、私の担当になりますが、費用対効果は最大限上げていって、効率的な政府をつくりということと当然並行していきますけれども、その上で、こういう対応に直面しなければならないということを説明されたというのは、正に良いことだけ言って、その裏づけとなることについての説明を逃げてしまうという態度からすれば、これは極めて責任のある対応であるというふうに思っております。
(問)昨日、自民党行革本部の公務員制度委員会が開かれまして、その中では、例えば内閣人事局についてですけれども、拙速にやってピントのずれた案を出したらとんでもないことになる。公務員制度と給与体系はセットだというような御意見も出席議員からもあり、あるいはまた焼け太りじゃない、なくなるという方針を党のこの委員会のほうが出して、その意思を決定しなければいけないというような意見もありました。
 それぞれ、いろいろ閣僚の意見もあると思うんですが、党の議論が始まりましたと、中馬本部長など、この場では、顧問会議ばかりに任せているのではなくて、党のほうでもしっかりやりたいと、その発言の意図はよくわかりませんが、というようなことをおっしゃっているんですが、その党の議論というのを担当大臣としてはどのようにごらんになっていますか。
(答)与党ですから、いろいろと議論をして、いいアドバイスがあればどんどんいただきたいと思います。
 ただ、顧問会議というのは、政府に正式に設置をされているわけであります。内閣のもとに設置をされている正規の機関でありますから、そこで精力的に議論をしていただくことを私は就任してすぐ顧問会議に出席をして要請をしたわけであります。
 ですから、ここでの議論を一番中心に据えていくということは今後も変わりません。それに対して、与党側からいろいろとアドバイスをいただくのは結構なことだと思っておりますが、いずれにしても、中心は私が担当大臣でありますし、総理からは「あなたに任せるからしっかりやれ」と言われておりますので、私がしっかりやっていきます。
(問)その関連ですけれども、顧問会議を中心にという趣旨だと思いますけれども、顧問会議であるとかワーキンググループであるとか、そこの場に例えば自民党、公明党、与党の議員をいれるなり、政治主導というのを顧問会議に反映させるような形というのはお考えにならないんでしょうか。
(答)いや、特に私は考えておりませんが、私は顧問会議や、場合によってはワーキンググループにも、節目には出席をしたいと思っております。
 私の顧問会議への要請というのは、まず器の議論ありきではないと。改革基本法に基づいて、その意を受けて、どう公務員制度全体をより21世紀型、日本の国益を担う、国民益を担うものにしていくかということを中身を詰めてくださいと。それに見合った器をつくってくれということを要請しております。ただし、できるだけ精力的にやってくださいというお話をしております。
 昨日の党の議論、報告のペーパーを見ましたけれども、「いつまでも時間はないぞ、早くやれ」というお話と、「慌ててつくって未完成なものになってしまってはいかん」と、「拙速だ」という両極の御心配が出ました。両方には両方の理由、それなりの理由があるということはわかっております。で、ありますから、私は基本方針どおりに中身をしっかり詰めると。そして、それに見合った器をつくると。もちろん無限に時間はあるわけではありません。精力的にやっていただいた時点で、具体的な設置についての政治判断をしなければならないということまでは申し上げているわけであります。
 法律によりますと、設置するための法を提出するということと、具体的に内閣人事局を設置するということは必ずしもイコールではないと、法律上はそうなっておりますが、そこで、だからといって、いつまでも議論を引き延ばすなというおしかりが一方であるということはよく承知をしておりますから、精力的に手順に従って詰めていくと。しかし、詰めきれないときにどういう判断をするかというのは、正にこれは政治判断でありまから、そのときにはもちろん顧問会議ともよく相談をしますし、総理とも御相談をして、どういう対応をするかを、その時点で政治判断したいと思っております。
(問)そうすると、甘利大臣の中では、法律を出すのは当然なんですけれども、設置もできれば来年度中の設置を考えていきたいというお考えでしょうか。
(答)議論が全部詰まって、中身の議論が顧問会議でしっかり詰まったと。そして、それに見合う器をどうするかという議論もできたとするのが理想です。ただ、スケジュールを考えて間に合うのかという点から、スケジュールを優先させて、煮詰まってもいないのに出すということについての懸念が表明されていますから、その懸念は共有をしております。
 ですから、ある時期まで来たときに、その煮詰まりぐあいと期限との関係、つまり法律のほうですね、提出期限との関係を考えて判断をしたいと思います。
 今から私が完全に議論を拘束するようなことは極力したくないと。ただし、お願いしているのは「拙速にするな」、「先送りになってしまう」という両方の懸念が払拭されるような議論ができることが理想だと思います。それができないときに、どうするかの判断をします。
(問)昨日の党の委員会で、内閣人事局とはまた別に、官民人材交流センターの話も話題に出ました。この中で、年内に立ち上げるわけですけれども、監視委員会の人事というのは国会同意人事ですから、なかなか同意される見通しは立たないという、そういう前提のもとで話は進んだんですけれども、そうした場合、センターが立ち上がった場合に、公務員の再就職のあっせんを誰がお墨つきを与えるのかというところは非常に悩ましいという議論になったようですけれども、その点どういうふうにお考えでしょうか。
(答)悩ましいです、本当に。
 それで、これは立ち上げていただかないと、官民人材交流センターと監視委員会というのは二本立てなんですね。これは何か間違って理解している人がいるのかもしれませんけれども、この監視委員会というのは、それぞれの省庁があっせんをしていくのを監視するための委員会であると同時に、人材交流センターとの二本立てなんです。つまり、交流センターが立ち上がったときに、こっちが廃止されるということにはなってないんです。ですから、この二本立てでずっといくということを、つまり各省が再就職のあっせんをするということをチェックするだけでなくて、官民人材交流センターが適切に機能するようにチェックするという機能も含めて立ち上げるわけでありますから、これは時限措置として監視委員会を立ち上げるわけではないんでありますから、そこはしっかり認識しなきゃいかんと思います。
(問)先ほど、昨日の経済対策に関して、各大臣からいろいろ御意見があったということですが、甘利大臣のほうから何か御発言というのはありましたでしょうか。
(答)私は、私なりの考えは直接、間接、総理にお伝えをしてあります。
 中身はここで披露するものではないと思いますが、それは何を一番注視しなければならないかというと、G7で本来は国際金融は安定すると、金融不安は払拭されるという予定だったはずなんですが、そこがマーケットが受けとめきれていないんですね。麻生総理が中心となって、恐らく大胆な提案を共有して、世界中の主要経済国が集まって、完全に押さえ込もうというお話を麻生総理が中心にされているわけですね。そこでG20、サミット国以外の主要経済国、恐らくG20の経済、GDPを全部合わせると、世界のほとんど大宗を占めていると思います。
 ここで、金融不安を払拭する対応策を、具体的な対応策を共有することが必要なんですが、相当強力な会議になると同時に、これをうまく動かさないと、ここでうまく市場がこの結論を受けとめないと、あとは止める人は誰もいないということになります、打つ手がないと。ですから、そういう危機感をG20は共有してもらわなきゃならないのであります。これは他人事じゃないんですね。自分事、世界事なんであります。
 ということは、総理は中身はまだ外に出せませんけれども、相当具体的で実効性の上がる案をお考えでおられます。それをアメリカを中心に世界に共有してもらいたいという作業がこれからあるんだと思います。
 アメリカは当事者であるし、大統領が4日以降代わると。代わるけれども、しかし大統領は1月までいるという不思議な状態になるんでありますけれども。一方で、欧州のほうは経験値が少なくて非常に困惑していると。唯一、この似たような経験を90年代に持っているのは、日本であると。金融不安を払拭することと同時に、産業、その金融が抱えている不良債権の先の産業を再生するということを、一体的にやってきたわけであります。
 そうしたノウハウを唯一持っている日本が果たす役割というのは、極めて大きいわけですね。それをしっかりと、弾込めをしていくという作業が、すべてだと私は思います。G20は失敗が許されない会議でありますから、そこは危機感を20カ国がしっかり共有すると。それから、スローガンでなくて、具体的な行動につなげていくと。しかも、インパクトのある行動、その行動をとれば不安が払拭されるとマーケットが理解するような行動をとるということが必要でありまして、直接、間接、その種のことはお伝えをしてあります。
(問)今日の閣議とその後の閣僚懇で、解散については特に話はありましたでしょうか。
(答)解散については特にないんですが、こういう事態の中で、どこかがやっぱりリーダーシップをとらなきゃならないわけですね、不安の連鎖を完全に断ち切ると。
 今、市場が少し戻していますけれども、それは恐らくG20に向けて各国が協調行動をとってくれるという期待値を前段階で織り込んでいるわけですね。ふたを開けてみたら違ったといったら、もうえらいことになるわけでありますから、ここで、ではリーダーシップをとるのは誰かというとやっぱり麻生総理しかいないんじゃないんですか。だから、そういうときに政局第一と考えるとしたらこれは感性を疑われてしまうのではないかと思いますよ。
 だから、総理は政策が第一。特に、世界危機のこういう状況にあっては特にそうだとおっしゃっているというのは、まさに正しい認識だと私は思いますけど。
(問)行革、公務員改革なんですけれども、国家公務員制度改革基本法は、6月に与野党の共同修正でもって成立したと。内閣人事局についても、その関連法案を形づくっていく上で、与野党の協力関係とか、前々から協議機関をつくったらいかがかというような御意見もありますし、どういう形で野党の意見を反映するような……。
(答)野党も入った修正で今の案ができているんですね。修正の心は何ぞやということは、修正した当事者じゃないとわからないので、まずその法をどう解釈するかという、その衆議院法制局の解釈と、それから修正にかかわった当事者がどういう考え方のもとに修正をしているかと。これは何らかの形で、さっきちょっと話がありましたけれども、どういう形かは別として、情報を収集しなきゃならんと思います。
 私は、最初の顧問会議に出たときに、あれはずっとインターネットで放送されてますから、お気づきになったと思うんですが、確かその場でも、修正の意図というのを顧問会議なり、ワーキンググループなりで把握する必要はありますよねと。個々にメンバーの方がどういう形で対応されるのか別として、私が「ここに誰々を呼んできてください」みたいな、そういうスタイルではありませんけれども、何らかの形でそういう必要があるんじゃないですかというお話はさせていただきました。修正の意図が、その心はというのであるならば、修正をした当事者からお話を聞くというのも一つですねと。
 それから、法制局の法解釈で、これはこういうふうに普通は読める法律ですという解釈も一つですねと。両々相まって、与野党修正と法律のアローアンスといいますか、中で読み取れる範囲というものを確認していただく必要がありますというお話はいたしました。
(問)今回の追加経済対策については、景気浮揚効果がどれほどあるかというような、大臣としてはどういう見方をされていますでしょうか。
(答)景気浮揚効果は、それは間違いなくあります。例えば減税にかわる給付金、確かに税金が少なくなったなと感じるよりも、実際に手元にお金が来ましたねというほうが、実入り感はありますよね。それから、広くあまねくという意味合いで明るさが出ることもあるでしょう。
 それから、総理は、日本の成長力を高めるための投資、あるいは環境に貢献する投資について、極めて大胆なプランを出されました。全額即時償却という、今まで誰もやったことがないんじゃないんですかね。そういうことで、投資を誘発する、巷間言われていますのは、どうやって投資を拡大をしていくかと。内需拡大には投資というのは――投資と消費ですね。極めて重要でありますけれども、そこの消費の部分と、それから投資の部分にかつてないような大胆な案を講じられたと。
 それから、もう1点注目すべきは、金融不安が払拭されたとしても、次にタイムラグを追ってくる、大きなマグニチュードで押し寄せてくるものは、実体経済への影響です。つまり、貸し渋りというものが次にやってくると。これを最大限払拭していくために、当初巷間言われていた、私も承知していた規模をさらに上回る、一次、二次で総額20兆というふうに私は聞いておりましたが、総理の英断で30兆の枠にしたということでありますから、中小零細企業への影響を極小化するという毅然たる決意を示されたんだと思います。これはそれぞれ、消費、投資、中小零細企業の金融対策、つまり実体経済への悪影響を極小化するという意味で極めて効果があるものだと思います。
 ただ、総理が「日本経済、全治3年」と前からおっしゃっているように、一次、二次景気対策、経済対策をしたから、じゃあすぐ景気が良くなるかと、そんなに甘く考えないほうがいいというのは内閣全体での共有認識であります。これは悲惨な状況を食いとめるということで、これから経済の再生に向けては、少し地道な努力をしていかなければならないと。時間がかかると、年単位で時間がかかることだと思います。
(問)もう一点、消費税の引き上げについて、その前提条件として大胆な行政改革というものを総理はおっしゃっているんですけれども、総理から具体的に、例えばそれについて指示があるのか。それともまた大臣としては、そういう行政改革、消費税を上げるに向けた地ならしとして、どういうことをやっていけばいいとお考えですか。
(答)行革というのは、ここまでで「はい、おしまい」ということでなくて、不断の見直しなんですね。未来永劫やっていくべき問題です。これは企業と一緒です。不採算部門がどうして不採算なのか。不採算というのは費用対効果ですから、政府で言えば「予算対政策効果」です。予算対政策効果が効率が悪いときには、悪い原因はどこにあるのかと。あるいはこういうものであるから、当然こういう費用がかかるということを常に分析していくことが必要であります。予算を使う方式についても、いわゆるイノベーションがあるはずでありますから、それは不断に見直していくということが必要だと思っております。総理は常日ごろ、不断の努力として行革を進めてほしいと。
 それから、規制改革につきましては、今回の対策の中に、ライフサイエンス分野のイノベーション、私がかねてから主張して3つの提案を行いましたが、それが盛り込まれております。短期的それから中長期に向けて、日本の底力を発揮させるような、そういう中長期の施策も盛り込まれているのを評価したいと思います。
 消費税につきましては、総理は全治3年であるから、つまり日本経済が体力を回復してきて、負担に耐えうるということを見計らうということを、あわせて政府の責任として財源問題に踏み込んだというふうに理解をいたしております。

(以上)