野田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年2月13日

(平成21年2月13日(金) 9:40~9:54  於:第4合同庁舎6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議について、私から特に報告することはございません。

2.質疑応答

(問)昨日、小泉元総理が郵政民営化についての麻生総理の発言を批判され、併せて定額給付金支給のための関連法案は衆議院の3分の2の多数による議決を使うほどのことでもないという趣旨の発言をされましたが、大臣の御見解をお聞かせください。
(答)まず、お答えするに当たりまして、私は小泉元総理の発言を全部聞いたわけではなく、テレビや新聞といったマスコミの皆さんの報道によって、その要旨しかわかりませんので、きちんとお話しできるかどうかわかりませんが、その範囲の中で答えるとするならば、まず郵政民営化については特段コメントがなかったように思います。麻生総理の総理大臣としての御発言の方法がいろいろと問題になっているのではないかということでしたが、それは総理もいろいろな批判を真摯に受け止めると仰っていますので、その上で総理御自身が御判断されればよいと思っています。他方、事実を客観的に申し上げれば、郵政民営化に関しては、法律で定められた枠組みの中で、郵政民営化法にある3年ごとの見直しに則って、利用者である国民、各会社で従事している人のことを考えて、また、より大きな見地からも検討し、問題があるところは3月末までに郵政民営化委員会が答を出し、意見具申をするということになっていますが、それを叩き台にして取り組むということには何ら問題はないと思っております。むしろ国民が願っているのは、今のままで構わないということではないのだろうと思います。
 次に、4分社化に関しては、私は当時自民党公認ではなかったので、党のマニフェストを見たことがないのですが、そこに4分社化という論点は明記されていたかどうか調べていただければ、そこで初めて、国民が十分知った上で選挙に臨んでいたかどうかについての判断材料になるのではないかと思っています。ただ、選挙戦を通じて、まさに郵政民営化に反対する側で戦っていた私から見ると、4分社化が争点でなかったということは確かだと思います。私自身が選挙戦の中で4分社化について皆さんたちからもその是非を聞かれた覚えはありません。ですから、決して間違ったことを仰っていたのではないのだろうと思っています。反対する側にいた人間からの思いとしますと、ですね。
 定額給付金についてですが、その前提として、今、麻生内閣が抱えている、いわゆる「重荷」というものが3つほどあると私は思っています。1つは、アメリカ発の金融危機に端を発した100年に一度の世界中を巻き込んでいる経済・金融危機の中で、外需に大幅に依存していた日本の経済構造が大変なことになっているという現状。そして、2つ目には、先に行われた様々な改革、三位一体改革や雇用の規制緩和等々を含めて、そこで出てきた陰の部分への対応。最後、3つ目は、ねじれ国会ですね。自民党にとっては前代未聞と言いましょうか、衆議院と参議院で主導権を持っている党が違うというのは安倍元総理以降のことで、それ以前にはなかった話でありました。ねじれ国会の運営の難しさということで言えば、特に昨日の衆議院の本会議は前代未聞だったのではないでしょうか。もちろんかつて全くなかったわけではないのですが、あれだけ多くの質疑者が質問通告を出さずに、本会議のひな壇で大臣にメモをとらせて、その場で答弁させるという事態は、私自身がその立場だったらこういうやり方で果たして大丈夫だろうかという不安を禁じ得ませんでした。今申し上げた3つの厳しい重荷を背負いながら麻生内閣が批判にさらされつつ頑張っている中で、当面の景気対策の一つとして打ち出したのが定額給付金であります。
 定額給付金のこれまでの経緯で言いますと、自民党の国会議員の中では二次補正予算案等が採決された先の衆議院本会議で、松浪元政務官が1回棄権しましたが、その後、今後は賛成に回ると明言されましたので、自民党所属国会議員全員が賛成しているものであります。ですから、このねじれ国会の中での今の自民党の議員の当然の常識として、参議院で何もかも反対されるという想定の下で、現在、国会運営がされているというのは、誰もが理解しておかなければいけない現実ですから、衆議院で賛成した段階では、やはり参議院から関連法案が否決されて戻ってきたら、3分の2の多数で成立させるということも、当然今の自民党の国会議員だったら考えた上での行動でなければならないと思っています。小泉元総理が、ご指摘のようなことを仰ったわけですが、そもそも最初の採決の際にそういうことを仰ってほしかったなというのが私の率直な思いであります。
 定額給付金については、直近の調査で4%の人は受け取らないと明言しているものの、それを差し引くと大多数の国民は、いろいろ問題がある仕掛けかもしれないが給付されたら受け取って使おうというスタンバイ状態になっていますし、当然それを支給する市町村は既に準備に入っているわけですから、そうした思いや努力を逆行させるというのは、国政を担う者として如何なものかという思いがしています。
(問)関連して、郵政民営化の現在の4分社化体制の見直しについて、現時点で野田大臣はどのようにお考えか、改めて御見解をお聞かせください。
(答)現在、利用者からも、また、そこに勤めている人からも、さらには、より大きな見地からも、郵政民営化の現在の形態について様々な提言、こういうところを見直したらどうだろうということがたくさん寄せられているわけですね。そうした意見を、法律に基づいて、郵政民営化委員会が精査・検討して、意見が3月末までに出されるということであります。その意見書を踏まえて、麻生総理の下で、麻生内閣の一員として、自分も郵政大臣経験者ですから、任期中に蓄えた様々な知見を活用して、より良いものにできるよう取り組んでいきたいと思います。ですから、あえて「これを」、「ここを」という特定の方向性を今考えているわけではありません。
(問)関連で、一言でここまで影響があるということで、小泉元総理の党内での影響力というものが改めて明らかになりましたし、小泉さんの再登板を求める声も党内で一部出てきていますが、小泉さんの影響力、再登板について、どう受け止めていますか。
(答)もう御引退されるということで息子さんを後継に指名されておられる方が再登板ということになると、それこそ政治家の発言にぶれがあるということになりますので、あり得ないと思いますし、また、してはならないと思います。引退を表明された以上は、してはならない行動だと私は思います。
(問)小泉元首相がこのタイミングでこういう発言をされることについては、どのように思われますか。
(答)先ほども少し申し上げましたが、定額給付金に対していろいろ思いがおありになるのであれば、堂々と事前に麻生総理と差しで話していただいて、御意見を言っていただいてもよかったのではないかと思います。事ここまで来て仰られても、政府部内で作業をしている方たちからすると困ってしまうわけで、仰るタイミングがその前にいくらでもあったはずだなということで、それが少々残念ですね。
(問)今回の小泉元総理の発言は、非常に影響力の強い方だけに、麻生政権に対してどのような影響を及ぼしてくるとお考えですか。
(答)自民党は、とりわけ内閣に対する評判が低迷すると党内でいろいろと御批判が率直に出てくる政党ですので、それは小泉元総理の御発言も、党内の一部の御意見だと真摯に受け止めて、しかしながら、やはり景気対策の一助になるという総合的な判断を積み上げてきたものですから、しっかりとやり抜かなければなりません。この際、自民党の皆さんには、同じ党に所属する立場ですから、弱っている内閣を叩くのではなく、できれば弱っている者を支え、自分が泥をかぶってでも頑張るという姿勢を示された方が国民の皆さんの共感を得られるのではないかと思います。批判は批判としてしっかり受け止めますが、最終的には、小泉元総理も麻生総理の取組に賛同していただいて、共に汗をかいていただけると、大先輩として自民党を支えてくれるということを信じています。
(問)麻生総理の発言の軽さへの懸念や首相としての資質を問う声も出ていますが、それらについてはどう思われますか。
(答)どちらかというと、私自身は答弁がぶっきら棒な方ですから、総理のようにフレンドリーに質問者とやりとりができるのもまた一つの個性かなと思います。ただ、現状が国民の望んでいる総理の姿ではないということであれば、軌道修正されてもよいのかもしれません。ともあれ、それは私が申し上げることではなく、ひとえに麻生総理御本人が御判断されればよろしいことだと思います。
(問)アメリカとロシアの人工衛星が衝突して壊れ多量の破片が宇宙空間を漂うことになりました。このような宇宙ごみ問題は今後更に深刻になっていくと思われますし、事故で衛星の機能が壊れてしまうと私たちの生活にも様々な不便をもたらす可能性もあるのですが、宇宙開発担当大臣として、どのようなお考えをお持ちですか。
(答)私もその事故のニュースを聞いて大変気がかりでした。現在、アメリカとロシア双方で、かつてないようなことがどうして起きてしまったか、それぞれ調査をしているということです。先月打ち上げた日本の衛星「いぶき」もそうですが、きちんと危機回避に使える推進装置があるわけですから、今回衝突した衛星がその回避がなぜできなかったのかということも究明していただかなければなりません。結果として宇宙ごみが発生してしまいましたが、イメージ図によるNASAのゴミの縮尺は少々大げさで、あれほどにはなっていないということのようです。いずれにしても、日本も宇宙開発を進めていく中で、たくさんの衛星を打ち上げていくことになりますが、長い目で見れば、使用期間が終われば最終的に宇宙ごみになっていくわけですから、中長期的に自分たちが宇宙開発に取り組むことによって発生する陰の部分についても、やはり真剣に考えていかなければならないと考えています。
 現在、日本が運用している衛星に関しては、今のところ今回の事故と何か連鎖して直接問題が起きる、事故が起きるという状況にはないということだけは確認しております。

(以上)