与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成21年3月16日

(平成21年3月16日(月) 20:59~21:25  於:記者会見室)

1.発言要旨

大変お待たせしました。
 月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されましたので、その概要を御報告いたします。
 景気の基調判断につきましては、「景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」と先月と同様の判断をしております。これは、世界の景気が後退し、急速に深刻化する中で、引き続き、1つは、輸出や生産が極めて大幅に減少するなど景気悪化のテンポが変化してないこと、第2に、個人消費が緩やかに減少するなど企業部門の悪化の家計部門への波及が続いていることなどを踏まえたものでございます。
 我が国経済の先行きにつきましては、当面悪化が続くと見られ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念されます。加えまして、世界景気の一層の下振れ懸念などのリスクに留意する必要があると認識しております。
 政府といたしましては、景気の底割れを防ぐことが重要と考えております。事業規模75兆円の経済対策の実施に加え、先週、総理から与党に対して、あらゆる経済、金融情勢に対応できるよう検討の指示がなされたところであり、政府・与党一体となって「不安の連鎖」の阻止に向けた対応を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)1点は、月例の判断に関するお考えなんですけれども、事前レクでも質問が出たんですが、鉱工業生産などを見ましても、悪化の度合いは更に強まっている可能性もあるという意見でありますとか、ステージそのものはレベルが更に、2月に比べ3月も下がっているということは明白なわけで、今回、判断は6カ月ぶりの据え置きということですけれども、下げてもよかったんではないかという見方もあるんですが、今回据え置いた理由について、改めて大臣のお考えを聞かせていただけますか。
(答)表現は、やはり「急速な悪化が続いており」ということで、その悪化率はともかくとして、同じような悪化の状況が続いているということは、この経済に対する認識というのは、非常に政府としては厳しい判断をしているということでございます。
(問)もう1点、この2カ月ほど、毎回この会見を開かれるたびに、大臣は「底割れを防がなければいけない」ということをおっしゃっていまして、その際、「75兆円の経済対策をやらなければいけない」、「早く実施しなければいけない」というふうにおっしゃっていますが、状況が刻々と悪くなっている中で、その75兆円だけで本当にいいのかという意見ももう出始めていますし、大臣もG20で財政出動に前向きなことをおっしゃったやにも聞いています。更に、今日は官邸で有識者からの意見を聞くという取り組みも始まりましたけれども、改めて追加の景気対策でありますとか、財政出動についてのお考えをお聞かせください。
(答)これは、優れて国民世論の盛り上がり、あるいは国民の御意見の状況によって判断は変わってくると私は思っておりますし、またその根拠となる経済指標、いろいろな種類がありますけれども、そういうものの様子によって、考え方が変わってくるんだろうと思います。
 ただ、政府の立場は、現在、参議院で21年度の当初予算の審議をお願いしている最中でございますし、新たな経済対策というものを具体的に考える時間はない。専ら予算の成立に全力を挙げているという状況ですが、党あるいは経済界、言論界、学問の世界の方々もいろいろなお考えを表明されておられますので、そういうものはいずれかは一つの結論に向かって収れんしていく時期が私は来ると思っております。
(問)内閣府がまとめた消費心理に関する景気ウォッチャーと消費動向指数ですけど、これは2カ月連続で改善しているんですけども、足元悲観論ばかりで明るい動きというものは、大臣から見て見出されるものなんでしょうか。
(答)統計の端々に明るい様子というのが仮にあったとしても、全体の流れとしては、例えば輸出の動向、経常収支の動向、あるいは鉱工業生産指数の動向を見ますと、悲観はしてはいけないんですけど、状況は厳しいと認識することが正しいと私は思っております。そういう厳しい認識の上に立って、やっぱり経済政策の運営をやっていかなければならないというのが、我々に課せられた課題である、そのように認識をしております。
(問)繰り返しの質問になってしまいますけれども、先だってG20のほうで、国際舞台で日本としての立場、追加経済対策も含めて、そういうものを発動していくんだという姿勢を示されたと思うんですけれども、やはり今日始まった有識者会合も含め、世界が期待、注目していることになると思うんですけれども、そういう意味では対策というのは待ったなしな状況なんじゃないかと思いますけれども、そういう観点からの決意をもう一度お伺いしてよろしいですか。
(答)結局、経済政策は、我が国の国民に対する責任であると同時に、やはり世界経済、アジア経済に対する日本という国の私は責任であると思っております。したがいまして、国内の経済をきちんとした軌道にした乗せることのほかに、やはり世界経済に対して、例えばIMF、例えばアジア会議等々を通じて、日本ができることはきちんとやっていくと、そういう姿勢が大変大事だと思っております。何かいろいろやって、1週間、1ヶ月で世界経済全体が良くなるわけではありませんけども、日本としては考えられる、そして日本が持っている能力の限りを尽くして、国内経済もきちんとやっていくと同時に、世界に対しても少しでも貢献できるところは貢献していくと、そういう姿勢が私は求められていると思っています。
(問)今日、有識者会合第1回ということで、率直な感想をお伺いしたいというのと、それからこれから多数意見が出されると思うんですが、それをどのように具体的に反映していくお考えかというかというのを。
(答)テレビのモニターを通じて議論の中身は記者の皆様方には全て明らかにされておりますので、私が感想を付け加えるまでもないと思いますが、やはりこういう会合を開いて良かったというのが、率直な感想でございます。
(問)どのように具体的に取り入れていくかというのは。
(答)いろいろな御意見がございました。1つは、全体まとめますと、個人消費の分野では、やはり貯蓄をたくさん持っておられる年齢階層の高い方の貯蓄を若い方々にどうやったら回せるか、これは非常に大事な論点です。それから、何人かの方が言われてましたけども、やはりこれからの成長分野は福祉の分野、医療とか介護とかの分野であろうということを言っておられました。
 それからもう1つは、やはりGDPギャップがあったにせよ、それを全部公需で埋めるということは、この景気後退が何によってもたらされたかということを考えると、無理であるという御意見もありました。
 それから、やはりこういうときには、最も痛みを感じている方々にどういう政策を展開するべきかということを考えるのが適切だというお考えもありましたし、それから、やはり公共事業等、とりあえずは傷口を広げないための有効需要創出の政策というのは捨てがたいという御意見もありましたし、数々の御意見がありましたけれども、私なんかがいろいろな普段疑問に思っていることに、いろいろ適切なアドバイスをいただけたものと、私は思っております。
(問)今の点なんですが、今日の有識者会合でGDPギャップについて、どこまで公需で埋めるべきかという質問を大臣はされていましたけれども、ご自身ではどのようにお考えなんでしょうか。
(答)私自身ですか? 私がわからないから質問したんです。
(問)有識者会合についてなんですが、傍聴していた限りでは、今日出ていた政策提言ですとかは、これまでにも出てきたものがほとんどだったと思います。また、その資料についても、今回の会議のためということではなくて、これまで各シンクタンクですとか、有識者が作っていたものがまた出てきたと。この新味がない提言が出てくることによって、時間の空費にしかならないのではないかという指摘も既にありますけれども、この点について、わざわざ会議を開くことの意味、それをどこに反映していくのかということについて、教えてください。
(答)今質問された方のように、我々は博学博識ではないんで、一つ一つの提言を貴重にお伺いしたと、こういうことでございます。
 ただ、我々はただ聞いているわけではなくて、将来の政策にどの部分を生かしていくべきかと、そういうことも考えながらお伺いしていたということは理解をしていただきたいと思っております。

(以上)