与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年12月12日

(平成20年12月12日(金) 9:31~9:44  於:記者会見室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)与党の税制大綱ですけれども、昨晩の大詰めの協議で、ほぼ内容が固まりまして、消費税の増税の時期については「2010年代半ばまでに」ということで、総理がおっしゃっていた「3年後」、それから総理の考えに基づいて与謝野大臣が進めていた「3年後に」という時期を明示という案は通りませんでした。これについての受け止めをお願いします。
(答)昨夜、12時半、夜中、伊吹さんからお電話がございまして、定性的ではあるけれども、総理の考え方は全部これに包含されていると。したがって、後退したわけではないので、それを前提にいろいろな作業を進めてほしい、ということがございましたので、総理のお立場は全く揺らいでいない。そういうことでございます。
 ただ、それぞれの政党ですから、今後行われるであろう選挙に対しての影響も御心配されて、表現はあそこまでで止まっているということでございます。が、内容は変わっておりません。
(問)この大綱を受けて、「中期プログラム」のまとめに入ると思われるのですけれども、その「中期プログラム」においては、この消費税の上げる時期についての書きぶりも、大綱と変わる可能性はあるのでしょうか。
(答)私が申し上げてきたのは、整合性を保つ、ということで、同じ文章で、人の書いた答案をそのまま引き写すということではなくて、やはり諮問会議の議員の方々の御意見も十分取り入れた、そういう諮問会議のまず議を経なければならないと思っております。
(問)大臣は、「中期プログラム」では、やはり消費税を上げる時期、例えば「3年後」とか、そういったことは盛り込みたいというお考えなのでしょうか。
(答)党税調が大綱を、今日夕方、決めますので、最終的な姿を見て、政府は政府の立場として、どこまで国民に対して責任を持って物を申し上げるべきかということは、もう一つ、総理と御相談しなければならないところだろうと思っております。
(問)先ほど「後退ではない」というお話があったかと思うのですけれども、大臣もおっしゃっていたように、税制抜本改革の時期の考え方については、まず時期を明示した上で、停止条項として経済が回復しなかったらストップしましょうという考え方と、経済が回復したらやりましょうというトリガーにするという意見、2つあるというお話をされていたと思うのですけれども、先日は、党のほうでは停止条項的な考え方が多いのではないかとおっしゃっていて、確かにそちらのほうが、拘束力としてはより強いというか、抜本改革の実行の可能性としては、より確実なものだと思うのですけれども、そういう意味では、やはり抜本改革の実行の確実性がかなり減ってしまったというような考え方はできないでしょうか。
(答)そうは思っておりません。どんな社会保障制度であれ、社会保障制度を支える財源が必要なことは、全ての国民が理解されていることでございまして、財源の話を抜きに社会保障制度を論ずることは、全く意味のないことだと私は思っております。「こういうよい社会保障制度があります」という議論は、幾らでもできます。したがいまして、やはりそれを支える財政的な基盤、すなわち財源をしっかり議論をして、その確保に努めるということが、将来世代、また高齢化社会に対する政治の責任であるという信念は、総理もいささかも揺らいでおりません。
 したがいまして、政府としての立場というのは…与党が書かれた税制改革の大綱の中で実際にどうするかということは、政府に与えられた宿題であると思っております。
(問)これを前提とした「中期展望」というものが、今後、議論されると思うのですけれども、停止条項的な書き方ではなくて、「経済の回復を前提に2010 年代半ば」というような書き方だと、かなり財政の中・長期的な姿というものは描きにくくなるかと思うのですけれども、そこはいかがでしょうか。
(答)来年1月になってからの作業になると思いますけれども、幾つかのケースに分けて書かざるを得ないというふうに思っております。
(問)時期を示さない場合に、多年度の減税、増税を一体的に法定化するという諮問会議で出された原則というのは、守ることはできるのでしょうか。
(答)ゆえなき減税というのは、今年でおしまいです。
(問)「3年後」を総理は指示されていたわけで、実際にはそれが入らなかったということで、総理の指導力を問う声が上がると思うのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
(答)問われているのは、総理の指導力ではなくて、自民党が責任政党として、選挙とかその他のいろいろな事情を考えて、最後まで踏ん張れなかったということで、これを総理の責任に帰するということは、気の毒なことだと思っております。
(問)大臣が、10月の追加経済対策のときに、今の給付金の基となる定額減税の議論の中で、「主張する人は税制抜本改革から逃げられない」というようなお言葉を言われたと思うのですけれども、今回、時期を何年から始めてということが明示されなかった、与党が明記しなかったということで、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)定額給付金の歴史を、8月の末からですけれども、振り返ってみますと、もともと自民党としては、全くこれについては無理だろうという判断をしていたわけですけれども、強い御主張があって、我々としては1年限りの措置として、また、財源を勘案しつつ、税制の抜本改革に合わせてやりましょう、ということになっております。
 それから、生活対策の中でも、一定の縛りはかかっているわけでして、今回、どのような文章を税調が書かれておられても、それは一連の合意の中の一つのパーツでございまして、問題を解釈するときには、福田総理の下でつくった1次策、それから麻生総理の下でつくった2次策、党税調の文章、この3つを合わせて解釈して物事をやっていくということであって、昨日決まった党税調の大綱独自で物を解釈することはできないという立場でございます。
(問)今日の夕方、政府・与党の幹部が集まって、追加的な経済対策を新たにまたお出しになるということですけれども、その辺の考え方というか、重点項目というようなことがあるのでしょうか。
(答)読売新聞にはそういうふうに書いてあったので、取材を皆さん、一生懸命されたほうがよいのではないかなと思っています。
(問)税制大綱の正式な決定を受けて、「中期プログラム」のほうですけれども、まとめる手続とか正式にまとめる時期とか、その他についてのお考えはどうなっていますでしょうか。
(答)諮問会議というのは、総理の諮問会議でございますので、諮問会議としてどういう考え方をするかということは、総理一人で決められるわけでもないし、私一人で決められるわけでもない。諮問会議を構成されるすべての議員の意見を集約して、総理に答申するということでありますから、税調の文章と同一になる保証はどこにもない。
(問)諮問会議として、より具体的な内容を盛り込むことも考えられるということでしょうか。
(答)それは、皆さんの意見を聞いた上でやりたいと思っております。
(問)その際は、総理が昨日、大臣におっしゃられたような「3年後」と書いてほしいという意思は、尊重されるというおつもりですか。
(答)口から出た言葉というのは、魂を得て世の中をさまよう。だから言霊だと。これは三島由紀夫さんが書いた文章の中にありますから、「3年後に消費税をお願いしたい」と麻生総理の口から出た言葉は、魂を得て、今、この永田町、霞が関界隈を飛んでいますから、やはりその魂を、ちゃんと慰霊しないといけない。
(問)そうなると、大臣は、最低限「中期プログラム」は閣議決定したいという御意向だったと思うのですけれども、その場合、また新たに公明党との関係に、きしみが生ずるということも考えられると思うのですが。
(答)与党の言うとおりやっていたら、政府の存在意義はないので、与党と政府の立場が異なることは、十分あり得るということです。

(以上)