与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月28日

(平成20年11月28日(金) 10:17~10:37  於:記者会見室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございまして、特に御報告することはございません。
 以上です。

2.質疑応答

(問)消費者物価指数なんですけれども、コアで上昇率が2%割れとなりまして、家計に物価安定の恩恵が及ぶ期待の反面、デフレを懸念する声も出ておりますけれども、御所見をお願いします。
(答)原油等の資源価格が下落をした、食料等、外国から来ておりますモノの値段が下がってきた、消費者の消費意欲がやや落ちている、等々の影響から、物価にそういう状況が総合的に表れていると思いますが、従来の「デフレ」という役所的な定義は「物価が持続的に下落している状況」ということで、従来のデフレの定義とは全く違う状況であると思っております。
 今、アメリカ等で使われている「デフレーション」の懸念というのは、いわば一つのリセッションの形にして、生産と消費が全般に縮小していくということを議論している方が多いわけで、そういう状況とは違いますけれども、ただ、世界的には信用も収縮し、世界的には設備投資意欲も減退し、という中での日本に対する影響というものは、デフレ的な影響というのは、これから出てくるわけでして、従来のデフレの定義とは一つ違うデフレーションというのは、やはり心配しなければならないことの一つであると思っております。
(問)本日、労働力調査も発表されておりまして、失業率は改善して、求人倍率は低下しているということですけれども、前回の月例報告でも雇用に対する懸念を示されていると思うんですけれども、雇用情勢に対する認識をお願いします。
(答)一見、失業率が表面的には下がっているように見えますけれども、実態は多分違う側面があるんではないかと。このレベルの失業率は、やはり雇用の問題として政府・与党も心配をしなければならないと思っております。
 と申しますのは、例えば、就職を全く諦めた、というのは、労働力人口から落ちてしまう可能性があって、そういう意味では失業率で数えますと、一見、失業率が下がったように見えますけれども、実際働いている人たちの数というものを……まだ詳しく見ておりませんけれども……見れば、それは深刻な問題を含んでいる。
 かてて加えまして、有効求人倍率も0.84から0.80に落ちていると。これはやはり深刻に受け止めなければならない数字だと思いますし、またせっかく就職が新たに決まっている新卒者に対して、内定の取り消しというようなことが起きているという報告がありますので、やはり働く意欲があり、働きたいという意志がある方が働ける場所がないというのは、社会における大きな悲劇の一つであると思いますので、政府・与党を挙げて雇用問題には取り組まなければならないと思っております。
 そういう観点から、昨日、総理大臣から、与党及び我々に対して指示があったものと私は理解をしております。
(問)生活対策の財源になる第二次補正予算なんですが、来年1月の通常国会に提出されることになりまして、生活対策の実施の遅れが、対策の効果ですとか景気に与える影響というのをどのように見られているか、御所見をお願いいたします。
(答)12月初旬に第二次補正を出す場合と、1月の通常国会に出す場合とで景気に対する影響はあるかと。こういう御質問の趣旨だと思うんですけれども、これは自民党の国対に伺うと、いずれの時期に出しても、国会運営の難しさからいって、成立する時期はそんなに大幅に変わるわけではないと。そう言われておりますので、提出時期の差によって景気に大きな影響が出るほどのものではないというふうに私は認識しております。
(問)雇用対策なんですけれども、政府・与党を挙げて取り組まなければいけないということなんですが、具体的にはどういったことをやるべきだと大臣はお考えでいらっしゃいますでしょうか。
(答)雇用対策というのは、社会保障的に雇用を守るのか、あるいは実際に経済活動が盛んになることによって雇用を守るのかという差もあります。しかし、労働保険特会などはまだ余裕もありますので、そういう意味では、そういうものはこういう時期にこそ活用して、何らかの政策を打つということは考えなければならないと思っております。
(問)社会保障関係費の2,200億円の抑制の問題ですけれども、昨日、自民党の部会などからの決議もあったということですが、総理が記者団に対して「限度に来ている」というような見直しを示唆したともとれるような発言をされていますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
(答)2,200億円の話は、毎年1兆円ずつ伸びていく社会保障関係費の伸びを2,200億円減らす努力をしようということで、実際には社会保障関係費は毎年8,000億円近く伸びていっているということで、今ある社会保障関係費から2,200億円削っているわけではないと。自然に放っておけば1兆円増えてしまうと。そのうちの2,200億円を何とか倹約しようと。これは限度に来ているという方もおられるし、やはり財政規律の面から、一度決めたことは愚直に守っていこうという立場も両方あるわけです。
 しかし、一方では、例えば平成20年度の予算をとってみれば、社会保障関係費は、補正予算で積み増したもの、また、二次対策で積み増すものと、 2,200億円をはるかに上回る予算が計上されているわけですから、当初予算の2,200億円だけに着目して、物事を論じていくのは、やや不十分な嫌いがあるんではないかと思っております。
 ただ、我々はやはり介護の現場とか医療の現場とか、そういうところで起きておりますいろいろな不具合というものには、十分過ぎるほどの注意深さをもって配慮をしていく必要があると。一方では私はそういうふうに思っております。
(問)今日、失業率とか消費者物価以外にも、家計調査とか鉱工業生産とか各種指標が出ていまして、特に鉱工業生産がかなり急激に落ちているということがあるわけですけれども、今日出た指標を見て、総括的な景気認識の御判断は、さらに厳しくなっていると見るのか、その辺含めて、総括的なお話をお願いします。
(答)10月の鉱工業生産の落ちは3%台です。それから11月はまだ予測値ですけれども、6%を超えるということです。一方では、在庫は増えてしまうというようなことで、いい数字はどこにも出ていない。やはり日本の経済の外需に依存している部分が、相当実体経済上、世界の景気後退の影響を受け始めたと。これから、来年にかけては、楽観できるような状況ではないと。それに対しては、厳しい認識を持ちながら政府としては努力していく、ということでなければならないと思っております。
(問)12月1日に麻生総理が経団連の会長と面談し、景気対策にも盛られておりましたけれども、賃上げの要請をするという話が出ておりますが、こういう非常に景気後退が厳しくなってきている中で、企業のほうもなかなか賃上げというのは難しい状況だと思うんですけれども、そこをやはり賃上げを要請していくというところについて、改めて御所見をお願いできますでしょうか。
(答)おそらく経団連には経済政策全般の御協力をお願いする。そういう中でも、雇用対策については労働分配率を上げていただきたいという部分と、やはり雇用の維持ということについて、企業社会全体としてそういう意識を持って臨んでいただきたいということを多分お願いするんではないかと思っております。
(問)先ほどの2,200億円の話に絡んで、たばこ税を増税したらどうかという話も一部に出ているようなんですが、これについて大臣はどう思われますでしょうか。
(答)一時期たばこを1箱1,000円にしろなんていう人がいて、その時には私は(たばこを)やめようと思っていましたけれども、今は日本人の喫煙量というのは1年に2,500億本ですから、1本1円、1箱20円上げると2,500億円入ってくるというのがそのストーリーの基礎になっているわけですが、現段階では、捕らぬ狸の皮算用の段階だと思います。
(問)というのは、やはりたばこを吸うのをやめようという人も出てくるのではないかと。大臣はいかがですか。
(答)大体2,500億本吸っているんですけれども、1年経つと大体100億本減るんですよね。少し前は 3,000億本は吸っていたんですけれども、ダラダラとたばこを吸う人が減って、今年もまた100億本ぐらい減るんです。そういうものに対する課税ですから、課税というのはきちんと理屈がなければいけないので、やはりどういう理屈をつけて物を考えておられるのかと。
 私は、今、税調におりませんので、あまりこの問題にはタッチしていない。小委員長をやっている時には、割に関心があったんですけれども。
(問)二次補正の提出時期によって景気に大きな差は出ないというお話だったんですけれども、追加経済対策では企業の資金繰り対応ということについて、また対策に盛り込まれていらっしゃいますけれども、その点でも支障はないんでしょうか。日銀は、企業の資金繰り、企業金融の円滑化に向けて、更にいろいろ対応を練っているようなんですが、政府として十分だったのかどうか。
(答)非常に大雑把な議論しかできないんですけれども、年末の中小企業金融は私は十分対応できると思っております。
 ただ、年末にかけて心配しなければいけないことは、やはり中堅企業、あるいは大企業の一部の資金繰りの問題でして、社債の発行が難しくなっている、CPの消化が十分できていない。日銀は先般、決定会合でCPの現先取引についての政策を決定しましたけれども、やはり年末にかけて、それでも政府、日銀は、中堅企業、大企業等の資金繰りについても、場合によってはいろいろ物事を考えていかなければいけない、ということは念頭に置きながら進まないといけないと思っています。
(問)20日の経済財政諮問会議で、総理が、たらたら飲んで食べて、何もしていない人の分をなぜ私が払うんだというような発言があり、党内からも苦言等が出ているようですけれども、大臣はこの件については、どのように。
(答)私の父は秀(しげる)という名前で、私の父の兄貴は光(ひかる)という名前だったんですけれども、この光さんというのは、たばこも吸わない。お酒もビール1杯。94・5歳まで生きましたですね。実に健康管理に努められた人。
 一方で、私の父は、大酒のみで、45歳のときにアルコール性肝炎になって、それからも母が止めるにもかかわらず、平気で20年以上お酒を飲んでいて、 66歳で他界をしました。同じような体を親からもらっても、私の父のように不摂生すると60代で亡くなるし、私の伯父貴のようにきちんと健康管理をすれば、90何歳まで生きられると。
 そういうことを考えますと、やはり自らの健康管理というのは、大事なんだなといつも思っておりますから、麻生総理の言われたことに自分の個人の体験から言うとそう違和感はありません。

(以上)