与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月17日

(平成20年11月17日(月) 9:14~9:28  於:中央合同庁舎第4号館643号室)

1.発言要旨

 本日、平成20年7-9月期の一次速報を公表いたしましたので、お話を申し上げたいと思います。
 今回のQEでは、民間企業設備投資、外需が減少となったことなどから、実質成長率は前期比マイナス0.1%と、2四半期連続のマイナスとなりました。詳 しく数字を申し上げますと、実質成長率は前期比マイナス0.1、前年比マイナス0.1、名目成長率は前期比マイナス0.5、名目成長率は前年比マイナス 1.7と。
 7-9月期のQEだけでなく、その後の状況を踏まえた景気の基調判断については、11月の月例経済報告で改めてお示しすることといたしますけれども、今 回のQEは、これまでも述べてまいりましたように、景気が後退局面にあることを示しているものであると認識をしております。
 また、先行きにつきましては、当面、世界経済が減速する中で、下向きの動きが続くと見ております。加えて、アメリカ、欧州における金融危機の深刻化や、 景気の一層の下振れ懸念、株式、為替市場の大幅な変動などから、景気の状況がさらに厳しいものとなるリスクが存在することに留意する必要があると認識をし ております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)消費なんですけれども、この内容を見ると、オリンピックですとか、猛暑でのエアコンですとか、そういう特殊要因がありまして、そういったものがなければ、もっと悪かったんじゃないかというような印象を抱くんですけれども、それについてお願いします。
(答)消費は、皆さんお持ちの資料のページ2を見ていただくと、4-6月期で0.6下がったものが、7-9月期で0.3になったというのは、傾向としては、ちょっと不連続の傾向なので、おそらく御指摘のように、オリンピックで色々な薄型テレビとか、そういう需要とか、実際検討してみなければわかりませんけれども、そういう一時的な要因でここは上がっているというふうに判断することもできるんではないかと思います。
(問)外需なんですけれども、9月中旬にリーマンショックがありまして、あと円高の進行というのもありまして、その後、さらに悪くなっていくのではないかというような懸念があると思いますけれども、そのあたりの御認識をお願いします。
(答)サブプライム問題に端を発した昨年の夏以降、どういうふうに物を考えたのかといいますと、楽観的な方はサブプライム問題はサブプライム問題の範囲内で収まって、1年ぐらいすれば解決する、ということが言われた。それから、その頃はディカップリング論というのが盛んで、アメリカの経済が多少減速をしても、中国を初め新興経済国の経済は減速しないから、日本の対米輸出等は落ちるにしても、そういう新興経済国との関係では、経済はプラス方向に動くというふうに思っておられた方はたくさんおられたんですけれども、どうもそうではないということが最近わかってきたと。
 大変期待していた中国の経済も、中国の首脳自体が減速を認めておりますし、それから中国がいわゆる色々なフレートの契約をしております。そういう契約も契約価格が下落している。例えば、鉄のスクラップなども大幅に値段が落ちている等々、相当なそういう外的な指標を見ますと、中国もまた減速していると。BRICs全体が世界のこういう金融危機の中で、やはり影響を受けているということは、最近はっきりしてきたことだろうと思いますので、OECDが予想しているように、全体では明年はマイナス成長、日本もまたその例外とはなり得ないということですが、OECDの予想は、2010年にはそれぞれプラス成長に転じるということなんで、ただこれは放っておけばプラスに転じるというような性格の話ではなくて、政府、民間挙げて、日本国もプラスに転じるように努力をしなければならないという、大変厳しい時期に来ましたけれども、今こそ麻生総理の言われる日本の底力を発揮する、あるいは国際社会における日本の責任を果たすという時期が到来したと私は思っております。
(問)先ほど景気は後退局面にあるということを示しているというふうなことを仰ったんですけれども、今まで我々も、政府は事実上景気後退を認めている、という言い方はしているんですけれども、先ほどの発言というのは、これは政府として、内閣府の経済分析部局として、今景気が後退局面にあるということを正式に宣言されたと、こう考えてよろしいですか。
(答)そういうふうに考えていただいて結構ですし、経済の全くの非専門分野でも、世界の経済全体が悪くなるということは、もはや皆の常識。常識を、正式に数値分析をして申し上げているというのが内閣府の立場です。
(問)確認ですけれども、要するに、今回のQEで結果が図らずもわかったように、日本経済は既に景気後退局面に入ったという認識であると、政府の認識であるという理解でよろしいですか。
(答)この数字の中で寄与度を見ますと、どこが効いているのかというのを見ますと、やはり効いているのは、内需の中で民間企業設備と。企業の景況感というのは悪くなっていて、設備投資をしていくという経営判断はないということと、それからやはり輸出は0.1伸びているんですけれども、輸入はマイナス0.3、外需の方はマイナス0.2になっていまして、やはり内需の中では企業の経営判断が設備投資から一歩引き始めていると。外需は、アメリカ、中国、ヨーロッパ、東南アジア、いずれも期待できないというのは7月から9月までの間はこういう数字ですけれども、今の9月以降の実態というのは、さらに厳しくなっているということは容易に想像できる状態だと思います。
(問)大臣御自身として、日本の09年度の実質成長率はマイナス成長に陥る可能性が高いと見ているのでしょうか。
(答)成長のためのいい材料は揃っているとは思いませんので、そういう皆のマインドを元気づけるというのが、政府、麻生総理の仕事だろうと思います。結局は、マイナス成長になるということを予想されていますけれども、そういう予想がされていますけれども、やはりそこは政策的な努力、あるいは心理的な要素で、できるだけのことをやっていくというのが我々の責任だろうと思っております。
(問)現状の成長率の見通し等々の認識を踏まえた上で、2011年度にプライマリーバランスの黒字を回復するという政府目標の道筋というのはどのあたりにあるとお考えですか。
(答)12月には、法人税収等々の見通しもわかりますし、予算編成については、やはり経済の状況というものをはっきり、政府の見通しを作らなければいけないと。その段階では、2011年の様子というのはある程度浮かび上がってくると思います。
 しかしながら、大変到達が難しい目標ですけれども、やはり我々は財政再建に向かって努力をしているんだと、そういう姿を示すためにも、現時点でその努力目標を放棄するわけにはいかないと。ただし、相当厳しい状況に置かれているということは、客観的には明らかであると。
 ただ、財政再建というその断固たる意思を持つ以上は、努力目標として掲げ、それに向かって物事を考えるということが大事なんだろうと思っております。

(以上)