与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年11月4日

(平成20年11月4日(火) 10:25~10:40  於:記者会見室)

1.発言要旨

 閣議は、案件どおり淡々と進みました。
 閣僚懇でも、特に皆様方の御参考になるような発言はございませんでした。

2.質疑応答

(問)大臣は、土曜日、日曜日とテレビに出演なされて、定額給付金の所得制限について、必要だ、ということを強調なされましたけれども、政府・与党の中でも、例えば中川財務相は難しいという考えを示していますし、与党の税調幹部も、やはりちょっと難しいのではないかというようなこともおっしゃっております。ここをどうお考えになりますか。
(答)1つは、これは申請ベースで給付するわけで、それを取りに来た方に対して、所得を証明するような書類を持ってきてくださいということと、私の言っていることは同義語ですから、そういう申請するときに所得を証明するような税務上の書類を提出させることが、新たな法律の規定が必要なのではないかと。そういう意味では、窓口で仮に所得制限をした場合、その所得の範囲内の方なのか、その所得を超える方なのかという技術的な問題が発生する、ということを、中川大臣たちはおっしゃっているわけです。
 これは、税務書類を所得の証明に使うというところに難しさがあるので、本人が申請ベースで、仮に「自分は正直に申し上げるけれども、何々何万円の所得以下です」ということを自ら申し出れば、日本人はすべて正しく物事を申請する人たちだということを前提にすれば、制度の問題は非常に簡単になると。そこを、多分、まだ御研究になっていないのではないかと思います。
(問)総理のおっしゃった「全世帯へ給付する」というところの解釈なのですけれども、大臣は「生活支援の必要がある全世帯」というふうに解釈されているというふうにおっしゃいましたけれども、そのあたりは、今日、総理のほうから何もお話は……。
(答)何もないです。全世帯という意味は、すべて日本国の上に存在する全世帯という意味ではなくて、その全体の文章を解釈していただくと、生活支援というものを全世帯に給付しますと。そこに言われる全世帯は、論理必然として生活支援を必要とする全世帯という意味に解釈するのが普通でして、生活支援を必要としない世帯に生活支援をするということは、論理的にはおかしいと。
 ですから、総理が言っておられることも、私の言っておりますことも、同一のことを言っておられると私は思っています。
(問)今の所得制限のお話なのですが、まず1点目は、自己申告で所得を窓口で言ってもらうというというお話なのですけれども、あくまでもこれは性善説に立ったかと思うのですけれども、やはりそこには虚偽申告をする人が窓口に来て、自分の所得とは違うことを申告して、それで給付金をもらうという人も出てかねないのではないかと思うのですけれども、そこら辺はいかがですか。
(答)それは、当然、そういう不埒な方も出てくると思います。不埒な方の良心は、多分痛むでしょうし、また、あまりいい加減なことをすると、ちゃんと日本国には、嘘をついた人には罪がかかるという法律がいくらでもあるので、そんなことは心配をしておりません。
(問)総理がおっしゃったことも、与謝野大臣のお考えと同じである、というふうなことをおっしゃったのだけれども、あのときの言い方としては、やはり全世帯だ、1世帯2万円というような言い方をすると、国民には非常に誤解を与えかねない物言いではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
(答)そういうふうに言われたことは確かですけれども、その中身をもう一度、後になって冷静に、また理性的に判断し、論理的に判断すれば、生活支援金なのですから、生活支援金が不必要なところに配布するというのは、もともと入っていなかったと解釈するのが、私は正当だと思います。別の名前がついていれば、また別ですけれども。
(問)関連ですけれども、あくまで申請する人の性善説によって、申告によるもので……。
(答)いや、今、遅くなるという根拠は……、今考えられている方法というのは、その申請する人の申請を受けて、申請を受けたら、その方が世帯主だということがわかれば、その世帯主にお渡しすると。
 所得制限をすると、2つ問題があって、1つは、「では、あなたの所得はいくらなのですかということを証明してください」という問題が起きる。それから、例えば1,000万円の所得制限をしたとすると、999万円の人と1,000万円の人とは随分違うではないかと。そういう2つの問題があって、全世帯に給付するということのほうが簡単です。事務的には。これが、市町村等の意見なのです。それは、税務書類を使うから、それだけ手間がかかるわけで、本人の申請ベースでやれば、日本人はすべて事実のままに申請するのだということを考えて仕組みをつくれば、そんなに難しい話ではないと私は思います。
(問)例えば、要件にはならないけれども、自主的に自分の所得はこれだけですというような、自主的に持ってくる分については、それは全然構わないということですか。
(答)自分で、「私は申請者としての資格を持っています」と名前を書けばよいのです。まあ、それは研究してもらっていますから。
(問)総務省に、研究してもらっているということですか。
(答)総務省、財務省等々でやっています。
(問)それに関連してなのですけれども、今日、一部の報道機関で世論調査の結果が出ておりまして、内閣の支持率、不支持率が逆転しているということもさることながら、おっしゃっている定額減税について、「評価する」と「評価しない」で18ポイントの差がある。つまり、「評価する」が「評価しない」を下回っていると。それについて、いかが思われるかということが1つと、あともう1点、3年後の消費税増税について、同じく「評価する」と「評価しない」で、「評価する」が「評価しない」を8ポイント下回っていることについて、いかが思われますでしょうか。
(答)まず、すべての内閣というのは、浮き沈みが起きてくる。浮いたり浮かんだり、また沈んだりということはあるので、確かに世論調査というのは、参考にすべき重要な指標ですけれども、それだけに頼って政治をやるというのではなくて、やはり麻生総理が自分の信念、信条に基づいて行動するということは、誠実な政治家としての進むべき道だと思っています。
 「定額減税」という名前は、どこかへ行ってしまったのですよね。「定額減税」で世論調査をされたのではなくて、おそらく「定額給付金」ということで世論調査をされたかと思うのですが、そういう評価になるのではないかということを、心の中ではおそれていましたけれども、皆で決めた以上、それを考えたときの原点に立ち返って、より良いものとして評価されるようなことを、これから努力していきたいと思っております。
 消費税の理解というのは、総理が1回言ったから国民がみんな理解する、という類の話ではないので、繰り返し、繰り返し、あらゆる政治家がよくお願いをする必要があると。
 昨日、ロンドンエコノミストの巻頭論文を寝る前に読んでいましたら、オバマ氏の直面するという問題は、これから2つある、ということが書いてある。これは、エイジング・ソサエティーと……、デモグラフィーと書いてありましたけれども、デモグラフィーと、またアメリカのメディケア等々の福祉制度をどうするかと。この2つの問題で、やはり人口動態という問題と社会保障制度のあり方、これが今年の大統領も、また今から8年後の2016年の大統領も、同じ問題に直面すると。日本は、やや早くそれに直面しているのですけれども、これからの政治家が直面するのは、人口の分布……、少子・高齢化と、一言で今、言ってしまっているのですけれども、そういう人口の分布と社会保障制度。社会保障制度をどうやって支えていくのかというのは、どの党が政権をとろうが、どの党が大統領になろうが、誰が首相になろうが、みんな同じような問題を抱えると思います。
 消費税が、総理が一言言って国民が100%賛成してくださるということは、多分、期待できない話で、これはやはり国民の理解をいただくような政治家側の必死の努力が必要だというのが、我々の考え方であります。ましてや、自民党の中ですら、まだ嫌だと言っている人もいるのですから、足元も説得し、多くの方を説得するという説明、説得。これが大事なので、世論調査の数字は我々の耳に響く大事な数字ですけれども、そのほかに努力が必要だということを、わかっていなければいけない。
(問)くどくて恐縮なのですけれども、今の消費税のお話があったのですけれども、やはり国民の方から税金をいただくというのは、非常にこれは重要だし大切なことであって、それだけに政府というのは、お金の使い方、歳出には厳密であらねばいけないと思うのですけれども、そういう意味では、先ほどの定額給付金の話なのですけれども、これはやはり国民の貴重な税金を使うわけですよね。それであっては、やはり厳密な所得制限をするのであれば、厳密な先ほどの税務書類とか、そういうものに基づいてやらなければ、国民の理解を得られないのかというふうに思うのですけれども、その辺はいかがですか。
(答)そうは思っていません。

(以上)