中山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年8月2日

(平成20年8月2日(土) 13:59~14:28  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 このたび内閣府特命担当大臣を拝命いたしました中山恭子でございます。よろしくお願いいたします。
 担当でございますが、少子化対策、男女共同参画でございます。併せて内閣官房大臣として拉致問題、公文書管理担当も務めます。
 私の方から読み上げるということでよろしいでしょうか。
 始めに、少子化対策につきましては、働き方の見直しによる仕事と生活の調和の実現、それから保育サービス等の子育てを支える社会的基盤の整備を車の両輪として推進する必要があると考えております。
 さらに、認定こども園の抜本的改革を始め、新待機児童ゼロ作戦を推進してまいります。また、男女共同参画社会の実現は、豊かで活力のある社会を築く上で、不可欠と考えております。女性の活躍や男女の仕事と生活の調和の推進のために、施策を積極的に推進してまいりたいと考えます。
 これらの施策の取組を通じて、国民一人一人が夢と希望を持ち、生き生きと暮らせる社会を実現できるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。さらに、青少年健全育成、食育に関する事務も担当いたします。
 公文書管理制度につきましては、国の活動や歴史的事実の正確な記録である公文書は、民主主義を支える基本的インフラであり、過去と、それから歴史というものから教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために、必要不可欠な国民の貴重な共有財産でございます。国民が公文書を十分に利用できるように、文書管理体制の充実強化に全力で取り組みます。
 最後に、北朝鮮による拉致問題を担当いたします。北朝鮮による日本人拉致は、日本の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題でございます。政府といたしまして、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現すべく、拉致問題対策本部を中心に、引き続き最大限の努力を行う所存でございます。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今それぞれ担当される仕事の内容について御発言がありましたけれども、御自身のお言葉で、閣僚としてどうこの問題に取り組んでいくかというのを、それぞれ少子化、男女、それから公文書、拉致と抱負の方をまず一番最初にお聞かせいただけますか。
(答)中身を今申し上げたところですけれども、それぞれでなくてもいいですか。
(問)結構です。トータルでも。
(答)拉致問題につきましては、これまで内閣総理大臣補佐官として担当しておりました。今回、それに加えまして少子化問題、男女共同参画の問題、公文書管理の問題を担当することになりました。いずれにつきましても、私自身、これまで専門的に行っていたテーマではございません。ただ、普段の生活の中でいずれの問題も非常に身近な問題として常に自分自身のそばにあったテーマでございますので、このような問題を担当することができて大変嬉しいと思っております。
 また、どの問題も家族や社会、若者たち、今日本の中でいろいろな暗い話題がありますけれども、そういった問題につながっている問題です。日本の中で、家族を中心にして、そこに温かな家庭があり、自然に囲まれた豊かなふるさとがあり、地域社会があり、それは日本全体にとっての基本の問題ですので、一生懸命取り組んでいきたいと思っています。特に子供たちが夢を持てるような――夢を持つのは子供だけではないかもしれませんが、――日本の中でみんなが何か一生懸命生きていけるような、そういう社会になるように少しでも役に立てたらなと思います。内閣府のメンバーと一緒になって考え、また全国の人と意見交換しながらそういった社会の確立に役に立ちたいと思っています。
 拉致問題については、これまで、総理補佐官として総理への助言、進言というような形で関わってまいりました。また、被害者の方々や被害に遭っている方の御家族の方々とも直接話をし、心配をしながら同じ気持ちでこれまでこの問題に取り組んでまいりました。
 今回、総理が拉致問題担当大臣に私を任命されたということは、昨日も申し上げましたが、総理が被害者の帰国、一刻も早く被害者を帰国させたいという思いをお持ちでいらっしゃる、非常に強い思いをお持ちでいらっしゃるというメッセージであろうと受け止めています。
 被害者自身が向こうでどれほど苦しい思いをしているか。多分1日も日本のことを思い出さない日はないだろうと思うわけでございまして、また御家族の思いを考えますと、随分と時がたっておりますので、1日も早く帰国できるように、真剣に取り組んでいきたいと思っています。
(問)福田総理大臣は総裁選のときから、自分の手で拉致問題を解決したいとおっしゃっていましたので、最初の段階から拉致の担当大臣を置くということもやろうと思えばできたと思うんですけれども、今回補佐官であった中山先生をあえて担当大臣にされたということは、交渉が何か北朝鮮との間で何か新しい転換点を迎えるとか、何か新しい局面に変わっていくというような見通しのようなものがあっての御起用というか、そういうことなんでしょうか。
(答)総理からそういったお話はまだ伺っていません。ただ、総理はサミットでも、それからあらゆる他の機会を通してアメリカのブッシュ大統領やそれから中国の胡錦濤国家主席などとも、長い時間をかけて拉致問題について話をし、協力を要請しているということでございます。国際社会の支援、協力を得ながら早期に解決、解決というのは被害者の帰国を意味していると考えておりますが、早期解決に向けてより一層の努力、力を尽くしたいと思っていらっしゃるのであろうと考え、私どももさらにあらゆる手段を使って帰国に向けて仕事をしていきたいと思っております。
(問)国会議員の中には議員外交という形で北朝鮮への訪朝も視野に入れて国交正常化を進めるという議連が立ち上がったりしていますけれども、こういった議員外交は政府の進める政策と非常に齟齬が出てくるということがあったりとか、もしくはうまくやっていくといういろいろなことが考えられると思うんですけれども、中山さんはどのようにお考えでしょうか。
(答)これまでもそうですが、私自身はやはりこの問題は政府でなければ、北朝鮮側も安心して、信頼して対応してこないのではないだろうかと思います。やはり非常に大きな重要な問題でありまして、簡単な交渉とか取引とかで解決できる問題だとは思っておりません。もっともっと問題としては大きい部分があると思っています。これはやはり政府がしっかり対応しなければ解決できない問題だと考えております。
 御意見についてはもちろん参考にしていきたいと思いますし、いろいろな意見があってもいいのであろうと思いますが、でも政府の対応としては、信頼できる、信頼される対応を続けなければいけないだろうと思っています。
(問)昨日も官邸での会見の中で少し出ましたけれども、外務省が直接的にいろいろ北朝鮮との接触を含めてやると思うんですけれども、その中で大臣の特色というか、意見というものをどのように反映させていくのかお聞かせ願いたいと思います。
(答)もちろん外交交渉は外務省の担当でございます。しかし、拉致問題というのはまさに国内の問題であり、国内の中に多くの関係者がいる問題でございますから、拉致問題というものをどう考えていくのかということを外務省としっかり打ち合わせて、外交交渉に当たってもらうことだと考えています。
(問)被害者の御家族の方々の御意見を踏まえて、それを大臣の方から外務省の方にも活かしてもらいたいというような形でしょうか。
(答)被害者や御家族の意見を伝えるというだけではありませんで、そういったものを踏まえて、日本政府としてどのような対応をとっていったらいいか、しっかりとした対応策というものを策定し、関係する省庁と打合せをして、交渉に臨んでもらうという、そういう関係になるかと思っております。外務省とは緊密な連携をとっていきます。
 国内問題と申し上げますのは、被害者御家族と関係するというだけではなくて、関係する省庁というのは全省庁に関わっています。拉致問題対策本部がございます。本部長は総理大臣でございまして、関係省庁は全省庁になります。それぞれの省庁が関係している事柄について、積み上げますとまさに1省庁でこんな分厚い書類が作られるほど、拉致問題は、あらゆる省庁、すべての省庁が関係している問題だということでございます。その中で外交交渉については外務省にお願いしますし、警察も、公安も、海保も、他の省庁も絡んでくる問題でございますから、すべての省庁の意見を調整し、それからもちろん国内の関係する人々とも連携をとりながら、対応策を企画・立案するという、そこまでやらなければいけないと思っております。
(問)6月に斎木局長が北朝鮮当局者と話をして、拉致について再調査を期待する、これは言葉対言葉、口語対口語という話で、日本側は制裁を一部解除する用意があるというそういう話をして既に1カ月以上経ちますが、外交を水面下でやっているのかもしれませんけれども、少なくとも何か私たちの目に見える形であるいは発表があるということで、北は再調査をやっている、また再調査に向けた具体的な行動を起こしているというふうには見えないわけです。根本的な疑問ですが、なぜ北朝鮮は再調査に何も、今のこの1カ月間以上リアクションを起こさないというふうに、なぜ北はそういう対応をとっているというふうに思っていらっしゃいますか。
(答)なかなか難しい御質問ですが、非常に幅の広い事柄が含まれてくるかもしれません。逆に簡単に言えば、北朝鮮の中で拉致問題に対する決断、解決に向けて被害者を帰国させるという決断が、まだしっかりした決断がなされていないと見てよいのかと思っています。
 簡単に言ってしまえばそういうことですが、多分その前の段階で、ではなぜ約束したのかとか、いろいろなことが絡んできます。今日本は北朝鮮に生存者を見つけて具体的な行動を起こすための再調査を約束させたというところまできています。8人死亡、2人未入境(現在4人未入境)という、北朝鮮が言ってきた事柄について、日本は全く納得できないというところからこの拉致問題が始まっていますので、そこに戻って白紙の段階から再調査をやってくださいということを日本側としては強く要求しているところで、北朝鮮側もその点について同意したということでございますが、それが具体的に北朝鮮の中で動き出すためには決断が必要だろうと考えています。どのようにして決断につなげていくのか、今はまだなかなか進んでいないのかもしれません。
(問)拉致問題を補佐官から引き続いて担当ということになるんですけれども、大臣という立場になることによって、補佐官ではなかなかこういうことはできなかったけれども、こういうことができるようになるというのは何かございますか。
(答)補佐官という仕事は、スタッフと言っていいんでしょうか、定義が合うかどうかわかりませんが、これまでも対策本部のメンバーと常に意見交換をし、考えながら総理への助言、進言を続けてきていますが、今回拉致問題を担当する大臣ということであれば、企画・立案、政府内の調整まで担当することになると思っています。
 そういった意味で、関係省庁と連携をとって、日本での拉致問題に対する対応のあり方を打ち出していく、そういう仕事になるだろうと思っています。
(問)企画・立案ということですが、今何か具体的にこういったことをやってみたいというようなことはありますか。
(答)拉致問題について企画・立案という場合、北朝鮮に対して取る対応策をその都度決めていくといったこともしなければならないと考えています。日本としてとっていく対応の仕方をもう一度しっかり考えていきたいと思っています。
 2006年10月16日に日本政府の対応方針6項目が出されており、この対応方針で今の拉致問題の扱いは進められているはずでございますが、その対応方針に従ってとる具体的な動きについても考え方を打ち出していきたいと思っています。
(問)今回、大臣に御就任されて、被害者の方とか御家族の方からは歓迎する声も聞かれますけれども、そういう方々の反応というのを大臣御自身はどのようにお考えでしょうか。
(答)被害者やそれから被害者の御家族が、今の政権が拉致問題にしっかり取り組むという姿勢を表したものと受け止めてくださったんだろうと思っています。改めて1日も早く被害者を連れ戻したいと強く思っています。
(問)大臣就任というのは、総理のほうから割と早い段階から何かそんな示唆はあったりしたんでしょうか。
(答)いいえ。いつ頃だったでしょうか、昨日の夜、まさに呼び込みがかかる少し前にありました。
(問)びっくりされたという感じでしょうか。
(答)そうですね、びっくりというか、これからさらにどのようにしたら帰国につなげられるだろうかと、そういったことばかり考えていました。
(問)ちょっと話を戻してしまうんですが、拉致被害者の家族の中には、中山さんが拉致問題だけではなくて、他にもいっぱい兼任をされるので、逆に拉致問題への取組が薄れてしまうんじゃないかという懸念をされている方もいらっしゃるみたいですが、その辺はどうお考えですか。今までと変わらず拉致問題に全力で取り組まれると思うんですけれども、どうしても兼任することによって時間を割かれてしまうと予想されるんですが。
(答)拉致問題に関して使われる時間数がどうかということは、あまり問題には……。
(問)取組のパワーは変わらないですか。
(答)はい、全く変わらないと思っています。
(問)総理の方から、拉致問題に関して補佐官から大臣に変わることによって、こういうふうに取り組んでほしいという、総理からそういう言葉というのは。
(答)まだそういう具体的にどうするようにというお話は特にはございませんでした。
(問)就任の要請の連絡のときに、大臣として任命する理由というような、こういうことなんでということは。
(答)それも特にはありませんでした。拉致問題は、引き続きやってもらうからねという、何かそういったおっしゃり方でした。

(以上)