上川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年12月11日

(平成19年12月11日(火) 9:05~9:20  於:合同庁舎4号館 6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議は、一般案件5件、国会提出案件が19件、政令9件、計33件の案件がございました。このうち私の所管案件はございませんでした。
 また、私から、報告事項が1件ございます。
 第2回東アジア男女共同参画担当大臣会合についてでございますが、先般のインドへの訪問について、閣議で次のとおり発言をいたしました。
 私は12月6日から12月7日にかけて、インド・ニューデリーで開催された第2回東アジア男女共同参画担当大臣会合に出席しました。
 会合においては、政策・方針決定過程への女性の参画や女性に対する暴力等について議論が行われました。私からは、日本における課題や取組等について説明を行いました。
 また、議論の結果も踏まえ、東アジアの男女共同参画に関する課題についての認識と各国が取るべき行動等を内容とするニューデリー閣僚共同コミュニケが採択されました。
 今回の会合への出席を通じ、諸外国との間でお互いの経験を学び合うことの重要性を改めて感じたところであり、会合の成果を踏まえ、我が国における男女共同参画社会の実現に向けた取組を積極的に推進してまいります。
 閣議での発言は以上でございますが、若干補足的に説明をさせていただきます。
 今回の会合には、11カ国から参加がございまして、うち6カ国から閣僚級が出席をいたしておりました。
 今回は主に3つのテーマ、1つは家庭内労働、そして女性に対する暴力、最後に意思決定過程への女性の参画ということを中心に、広範なテーマでの議論が行われました。
 私からは、まず、会合の冒頭に行われた閣僚によるスピーチにおきまして、日本において今進めております女性の参画の問題や、女性に対する暴力、更にワーク・ライフ・バランスの推進、そしてパートタイム労働法の改正等の雇用法制につきまして報告をいたしました。
 更に3つのセッションが行われましたけれども、そのうち意思決定過程への女性の参画につきまして、日本の現状及び課題につきまして説明いたしました。
 今回の会合は2回目でございますが、昨年に当時の猪口大臣の呼びかけで開催されることになり、1回目は東京で開催され、共同コミュニケも発表されたところでございます。
 2回目はインドで開催されたわけでございますが、私も今回参加をいたしまして、改めて感じたことは、各国の女性の置かれている状況は大変様々であり、各国の状況をまずしっかりと知ることが大切であるということ。そして、女性の置かれている状況は、今申し上げたような家庭内労働の問題、また女性に対する暴力、その中には人身取引もございますし、家庭内の配偶者からの暴力の問題もございます。また、経済的に弱い立場に置かれているという面については、共通している部分が大変多いという印象でございます。そういう中で、女性が手に職を持って経済的にも自立をしていくことが、大変重要であるということを痛切に感じたところでございます。
 こうした、直接に、お互いに胸襟を開いて各国の状況について説明をし、そして共通の課題について、それぞれの国の中で取り組んでいることを会話していくということ、これが非常に大切であるということを改めて認識をいたしました。
 また同時に、会話に使う言葉、使っている概念というものの違いを知ることも、大変大きなことでございます。その概念そのものをその国自身の経済や社会環境の文脈の中で理解していかないと、同じ言葉を交わしたとしても、それについて全く同じ中でその問題がクローズアップされているわけではない、大変複雑なそれぞれの事情があるということも、今回感じたところでございます。
 会合では、ニューデリー閣僚共同コミュニケという形で採択が行われまして、特に今回個別のテーマになりました3つのテーマ、1つは意思決定過程における女性の参画・リーダーシップの問題、そして2番目は女性に対する暴力の問題、そして3番目は家庭内労働の問題、そしてこうした課題に取り組むべく、制度的なメカニズム、あるいは土台となるジェンダー統計のデータ収集等について、とるべき行動がより具体的に示されているところでございます。私としては、こうした点も含めて、日本国内で努力をしてまいりたいと思っております。
 また、今後でございますが、閣僚クラスの参加を確保する上で無理のないように、開催頻度を2年に1度にするということになりました。次回につきましてはカンボジアが開催することを検討する旨の発言を、会議の場でしたところでございます。
 1回目は猪口大臣のもとで、また2回目は私が担当大臣として参加しましたけれども、担当大臣がかわっても継続していくことが大変重要であると感じております。第1回目の開催国として、こうした会合を更に実りあるものとするために、日本としてもどのような貢献ができるのか、次回の会合に向けて責任を持って取り組んでまいりたいと思っております。
 最後でございますが、インドではチョードリー女性・児童開発担当国務大臣が大変しっかりとリーダーシップを発揮しておられまして、そしてその中で有意義な会合ができたことに対して感謝しているところでございます。同時に、各国の女性の大臣とも、私自身個人的な信頼関係をつくることができました。インターネット等の情報手段もございますので、様々な課題について、折に触れてのネット上での対話も継続していこうということを約束したことを、最後に申し述べさせていただきたいと思います。
 詳細につきましては、男女共同参画局にお問い合わせをいただきたいと思います。お手元に共同コミュニケの内容等も含めまして配付しておりますので、ご覧いただきたいと思います。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)東アジアの話で、日本が果たせるというか、各国の状況はかなり違うと思いますけれども、どういうことでリーダーシップというか、とっていくお考えですか。
(答)幾つかあると思うんですけれども、まず東アジアで共通の課題が実はございます。今回も女性に対する暴力の中で、どういう問題が優先的な重要事項であるかという問いかけに対して、それぞれ各国から報告があり、その中には家庭内での暴力の問題もございましたけれども、大変共通していたテーマとして人身取引がございました。これは実は、東アジアの中で国境を越えて、女性や子どもたちが人身取引の対象になっているということ、そして送り出し側の国もあるし受け入れ側の国もあるということです。この問題は日本も密接にかかわることでありまして、取組もしているところではございますが、各国の責任ある機関と、また大臣クラスの交流を含めて、この問題について共同して取り組んでいくということは、これは域内の協力という意味でも大変大きなことではないかと思います。
 それから、日本の実情につきましては、特に労働法制のパートタイム労働に対しての法制の改正が行われたことに対して、大変関心を持っていただいております。パートタイム労働といっても先程申し上げたように各国によって状況は違うんですけれども、こうした女性の労働という問題に対してどういう取組をするのかということについては、個人的にも大変質問をいただきましたし、大きなテーマであると感じています。
 それから、こうした議論を毎年継続していくためには、やはり適切なデータを共有していくということが大事ではないかと思います。そのためには、女性にかかわるジェンダー予算の問題とか、私が担当します男女共同参画でも、例えば「女性の政策・方針決定過程への参画」というこの1点につきましても、各国の情報をしっかりと比較することができるような形でデータを蓄積し、またデータの背景にある社会経済情勢も十分に検討した上で、それぞれ抱えている課題についてより深い議論ができるようにしていくことが重要です。そうした基礎的な情報収集と分析と提案ということについては、日本のリーダーシップが大変期待されておりますので、そういった面については十分に検討をしてまいりたいと思っています。
 それから、議論を継続していくことについては、それぞれの国の事情もございまして、また閣僚級を派遣するということについても、そのような決断をしていくことはなかなか大変であると思っています。ですから、今インターネットというふうに申し上げましたけれども、次の2年後の開催までの間にも、いろいろなチャネルで交流することができるような、そういう提案をすることができたらと思っておりますので、第1回目の主催国としての責任のある対応を、これからも検討してまいりたいと思っています。
(問)先ほど、人身取引で、日本も関係があるというお考え、これはいわゆる外国の方が日本に出稼ぎとかなんかで来て、その際に不法に扱われるケース、そういうことを指していらっしゃるんですか。
(答)人身取引については、日本が目的地の一つでありまして、これについては関係省庁の会議もありますし、人身取引に対しての実効性のある計画づくりの上で対処しているところでございますので、こういった点についても他国とよく連動しながらやっているところであります。これからも引き続き連携をとってやってまいりたいと思います。
(問)それについては、何かデータみたいなのは示されたんでしょうか。
(答)人身取引そのものについては、今回は出されませんでした。このテーマの会合、国際的な会議はいくつも行われておりますし、今申し上げたように各国からはこうしたテーマが大切なテーマだというような指摘が共通して見られたという、そういうことでございます。

(以上)