増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成20年9月19日

(平成20年9月19日(金) 10:51~11:08  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今朝、閣議がありまして、総務省の方からは「消防法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」と、それからもう1件「消防法施行令の一部を改正する政令」を出していますが、私の方から特に発言事項はございません。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)今週の分権委員会で、国の出先機関の仕分けに関する各省庁からの回答が示されましたが、予想されたとおりというか、事実上のゼロ回答ということでしたが、この結果について大臣がどう思っているかと、この国の出先機関の権限移譲に向けてどう取り組んでいかれるのかをお聞かせください。
(答)事務局からの問いかけに対しての、事務ベースの回答ということではあるのですが、確かに丹羽委員長もある程度想定の範囲ということを言っておられました。それは私も同じようなことであるのですが、大体その程度の想定の範囲で返してくるということは、この点に関しては機能不全ということしか言い様がない。
 こういう大きな出先機関の整理の話ですから、これはもう政治的な観点も加えて、取り組んでいくしかないというふうに思います。本来であれば、もっと真摯に、自らの組織の今後の行く末をきちんと考えて判断しなければいけない。要は、そういう点をきちんと考えれば、あれほど現状維持の回答が出てくるはずがないのです。残念ながら想定範囲ということでありますが、それだけ判断能力を失っているわけですから、あとは政治的な判断で、それぞれ各大臣と相談してやっていくしかないというふうに思っています。
(問)分権の関係ですが、先日、権限移譲の際の交付金についての3省の合意が図られてますが、その点についてお聞かせください。
(答)御承知のとおり、地方分権改革推進委員会の方から、先行実施をすべき道路・河川について意見書も出てまいりました。総務省と財務省と国土交通省で、この道路と河川の直轄事業を地方に移した場合の、特にお金と人の問題について、今後、どうするべきか、金について、やはりきちんと今まで国で掛けていた部分を地方に渡さなければいけないと思います。私もそのためには、やはり暫定的には交付金を措置して、それでお渡しをしないとスムーズにいかないと思っています。そういうことで3省合意をしました。これは全国知事会の方にお示ししていますから、その内容を全国知事会の方でも御理解いただいて、あと今月中には個別の河川・道路の協議に各県が入っていただけるようにしていただければと期待してます。
 それから、当然、人の問題もあるのですが、これは実際にそういったものを引き取るとした場合に、人の体制の問題も大事になってくるので、引き続き、私の方から関係の、省内で言えば人事・恩給局や公務員部、必要であれば当然、人事院とか関係の所が入って、その問題も引き続き検討するように指示してあります。まず順番としてはお金の問題、それから体制の問題というふうになると思いますので、その点についても結論を得て、そして道路と河川の直轄事業の地方への移管がスムーズに行われるように、また地方公共団体とよく相談していきたいと思っています。
(問)今の関連で、自治体側はちょっと権限移譲に躊躇しているような面もあったんですけど、交付金を手当てする方向で検討するということで、予定どおりというか、移譲が進むとお考えですか。
(答)ぜひ前向きに受けて欲しいです。道路については、心配していないのですが、河川については、確かに単なるお金や体制の問題だけではなくて、治水安全度についていろいろなお考えがあると思います。それから今まで河川管理について経験していない一級河川について、いろいろお考えがあると思いますが、やはり一方で当事者である自治体側が国以上に積極的に意欲を示さないとこの問題は進んでいかない。それからほかの分野についてのことにもつながってくる話です。これは道路・河川先行実施ということでやっていますから、いろいろとお考えがあると思いますけれども、それはまたどんどんお出しいただければいい話なので、ぜひ今回の道路・河川については、各自治体としても積極的に受けて立っていただきたいと強く希望しております。
(問)さっきの出先機関の関係なんですけれども、そもそもの認識としてですね、各省の事務方は中央集権体制が限界に来ていて、それを変えなきゃいけないということが全くないというふうに考えられるんですけれども、その辺り、根本的な事務方の危機感というものが全くないということについてどうお考えでしょうか。
(答)情けないとしか言い様がないです。大きな方向として、これは自民党総裁の5候補に全国知事会がアンケートを出しました。5候補とも、当然、これについて前向きに考えている。それから民主党のこの間の地方分権についてのたたき台に、そういったことが出てました。それは、住民に近いところで、住民自治の力を活用しながら、物事を進めていくという大きな統治機構の改編や、官のいろいろな問題が言われてますが、一番ガバナンスを効かせるためには、できるだけ住民の目の届く中で適切に役割分担をして仕事を進めていく。もちろん国がやらなくてはいけないものも一杯ありますので、それに専念できるようにするという、そういう大きな構造改革、変化の時期に来ている。それを国民目線で忠実にやっていかなくてはいけないというのが、今の時代認識だと思います。それが十分でなくて、何が中央省庁としての役割かと思うわけです。そういった感覚を持っていないと、小手先で組織を変えるということではもう立ちいかないわけです。やはりきちんと、それぞれの役所の役割を果たすという意味でも、本当は自ら大胆にそういったことを自分たちから提案をしていくというのが、今、一番大事ではないでしょうか。それを他者に委ねるとかしているうちに、さらにもっと大きな落とし穴に陥ってしまうというふうに思います。ですから、今回の事故米の対応にしても、それからいろいろなことについて、消費者目線ということからすると、いかがかと思うことが一杯ありますが、本当に危機感を持っているのだったら、もっとそれぞれの地域の力や住民の力を活かすような、改革案をまずは自分達で作ってみることが大事ではないでしょうか。今回の回答を見ると、とにかく、現状維持ばかりで、今、起きている問題を一体どういうふうに解決するかという姿勢が感じ取れない。やはり国民から遊離した組織であれば、こちらサイドで大胆にメスを入れていかなくてはいけないというのが、地方分権改革推進委員会の委員の皆様方のお考えでないでしょうか。この間の委員長の会見を見ていても、ある程度想定の範囲だけれど、これがスタートだとおっしゃっていました。これからそういったことを精力的に議論されると思いますし、私もそういうことを期待しています。
(問)大臣の先ほどの話にも出てきましたが、民主党がマニフェストに盛り込むたたき台として、分権調査会が原案というのを決めたんですが、それは補助金を全廃するだとか、あと、最終的には基礎自治体を300程度にして、道州ではなくて、政府と基礎自治体だけの二層構造にするという原案でしたけれども、これについてどういうふうに受け止めるというか、評価をしますでしょうか。
(答)到達目標と、それに至る道筋を書くというのが大事だと思います。最終的な目標を300ということについては違和感があって、白紙から国づくりを進めるのだったらそういう作り方もあるかもしれませんが、現実3,300あったものが、今、1,800を若干切るぐらいの基礎自治体の数になっています。いろいろと地域で議論を真摯に経た上で、それがもう少し少なくはなりますが、それにしても今の1,700程度からは、そう大きくは変化しないと思う。一体、それを300にどうもっていくのか。当面の間は、700から800と書いていましたけれど、ではそれをどうするのか。10年以内にといった感じの書き方でしたが、それで300にもっていく。一体それをどうするのかというのがはっきり見えないとだめなのです。補助金とかいろいろなことが書いてありますが、それは別にしても、見ていて、一番、違和感のあるのは基礎自治体300でいくというところです。それをやるのだったら、強制合併しかないのではないでしょうか。それも1つの方法で、民意的に、民主的にそれが賛意を得られるのであればよいと思いますが、今の時期に基礎自治体を強制合併させて300にもっていくという選択肢は私はないと思うので、そこが一番大きな違和感を持っております。
(問)大臣、その基礎自治体の再編論を除けば、分権派から見れば、割合よくできてるのかなという評価もあるんですが、再編論を除いたところはどうですか。
(答)これはなかなか難しくて、そこの基礎自治体の形というのが一番大事なのです。ほかの補助金を無くすとかは、ある種、金の地方へのトランスファーの仕方で、技術論と言うとあまりにも矮小化し過ぎるかもしれませんが、非常に重要な論点なんですが、補助金か交付金かということよりも、やはり自治を司っていく一番身近な自治体の数とかいうのは構えの話なので、すごく重要なのです。そこをどう考えるかというところで、やはり今のままですと、限界集落とか、過疎の問題があるから、もっと基礎自治体の力を強めたいのだけれども、それを現状から、どういうやり方で、民主的な合意を取り進めていくかというのが自治の基本論なのです。やはり300がいいのだということ、そこの裏に効率性とかということが色濃く出ている。そのために、その自治を反映させるために、どうも私には法律で国が強制的にやるという分権とは真っ向から反するような考え方を一方で持っているような気がしています。そこを除いて、ほかの部分がどうかと言われても、どうもほかのところにも何か色濃く、今、いったような考え方が反映されているところがどうもあるのではないかと見てしまうのです。基礎自治体の数とかというところが、ものすごく重要だと思いますので、それを除いた評価はしにくい感じがします。やはり強制合併の色濃いというふうに私には見えるのです。
(問)大臣、地デジの関係なんですが、今度見込まれる選挙の時に人が集まると思うんですが、そういうときに広報するという形もあり得るのでしょうか。
(答)選挙の時の広報は今考えていない。選挙の時は、中立的な立場であり、選挙事務を公平に執行するということです。ただし、地デジの広報はものすごく重要で、時間との競争にもなっています。できるだけ効果のあるやり方を考えたいと思います。いろいろ人が集まる場面というのを地デジの広報ということで活用できるところは、これから手を尽くしていろいろ探していきたいと思います。
(問)大臣、選挙なんですけども、今、10月26日が有力というような報道もありますけれども、以前、講演の中で、いろいろ準備、手続等を考えれば、10月末ぐらいじゃないと、なかなか難しいという話もおっしゃってましたけれども、10月26日という日程であれば、事務手続上も可能なのでしょうか。
(答)私の立場からは、個別の日にちはなかなか言えないのですが、いかなる日程になろうと、準備はきちんとやらなければいけないということです。それにしても、最近の選挙は在外投票などのことも求められ、一定の時間が必要だということで、私どもの方で選挙の準備に入れと、こういうことを公式に指令しているわけでも何でもありませんけれども、一定の時間はいただきたいと思います。とにかくどういう事態になっても対応できるようにしなければいけない。法律の規定に基づいてきちんと対応しなければいけないのが、選挙事務をやる者の立場ですので、いつという日にちは別にしても、きちんとした準備をする覚悟はございます。

(以上)