増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年12月18日

(平成19年12月18日(火) 16:07~16:30  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 それでは、発表いたしたいと思います。先ほど財務省に行きまして、まず初めに来年度の教員の定数増関係について財務大臣、文部科学大臣、私の三大臣で合意いたしました。教員の関係でありますけれども、教員の定員増につきまして、政府として教育再生の取り組みが最重要課題であることに鑑みまして、三大臣で合意をしたところでありますけれども、この際に、地方行革の観点から、教育部門における職員数の削減について、文部科学大臣としても指導力を発揮していただくように要請をしております。
 それから、給与の関係でありますが、教員給与の見直しについても、地方の現場で支障を来さないように、文部科学省から各都道府県教育委員会に対して、今回の見直しの考え方等について周知・徹底していただくように要請をしたところであります。いずれの点についても文部科学大臣の方から了解を示したということであります。これが前半の部分です。
 それから後半の部分ですが、地方財政対策の関係であります。これについては、私と財務大臣との間で折衝をしたところでありますが、この地方財政対策について、地方税や地方交付税の原資となる国税の伸びが鈍化する厳しい環境の中で、地方交付税をはじめとして、一般財源の総額を増額して確保することができたところであります。地方団体の皆様方にとっては、このことによって、地方財源が充実・確保されたことを実感していただけるのではないかと考えております。
 地方財政対策の具体的な内容でございます。主な点だけ私から申し上げて、後ほど事務方から更に詳しい説明をさせます。
 まず、地方再生対策費の創設の関係であります。歳出の特別枠として、今回、地方再生対策費というものを創設致しました。これは税の関係で地方税の偏在是正措置を講ずることとしていますが、そこで生じる財源を活用して、地方財政計画の歳出の特別枠として、この地方再生対策費を4,000億円程計上して、地方の自主的・主体的な活性化策に必要な財源を確保することで、財務大臣と合意をしたところでございます。この地方再生対策費4,000億円ですが、地方交付税の算定を通じて、市町村、特に財政状況の厳しい地域に重点的に配分をしたいということです。従いまして、勿論、県の方にも配分をするわけですが、市町村に重点的に配分をしたいというふうに考えております。
 2点目は、地方交付税、それから、それを含めた一般財源の総額を増額して確保したということでございます。実質的な地方交付税は、折衝の結果、18.2兆円。前年度比でプラス4,000億円と平成15年度以来の増額を確保いたしました。
 さらに、地方税等を合わせた一般財源の総額が59.9兆円と、前年度を更に上回る水準7,000億円プラスで財務大臣と合意いたしました。特に、交付団体ベースの一般財源を増額確保、これは6,000億円ほどでございます。こうした交付団体ベースの一般財源を増額確保できたことは、厳しい財政運営を余儀なくされている地域にとって大きな意味があるではないかと、このように私たちは考えております。先ほど、一般財源の総額で59.9兆円、7,000億円増えたと申し上げましたけれども、その7,000億円増えた分のうち交付団体ベースの方に6,000億円増やすということでございまして、だからこそ、厳しい財政運営を余儀なくされている地域にとって大きな意味があるのではないかと考えております。
 3点目でありますが、歳出の抑制の関係であります。基本方針2006で歳出を抑制するという方針がでておりますので、その方針に沿って、引き続き歳出の抑制は努力しております。この歳出の抑制について、引き続き歳出の抑制の観点から、様々な見直しを行っておりまして、先ほど冒頭で申し上げました特別枠を除く一般歳出の方については、前年度比で0.6%減とこういうことを行っております。従いまして、人件費や投資的経費の削減など従来の改革方針はきちんと維持をする、ということを行いつつ、一方で、特別枠ということによって全体としては増額していき、人件費など削減すべきところは削減していく、ということでございます。
 以上が特徴点、私の方から申し上げるポイントですが、今般の地方財政対策を踏まえたそれぞれの地方団体が、喫緊の課題である地方の再生や地域の活性化に明るい展望をもって取り組んでいただきたいと考えています。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、こういう形で交付税の増額確保できたということについて、まず全体的な評価と今回の一連の折衝の中で、課題として積み残された部分があればお伺いしたいと思います。
(答)まず、評価ということでありますが、平成15年以来ずっと、地方交付税は、実質的な減額が続いておりまして、特に、平成16年度に、いわゆる地方交付税ショックで、2.9兆円という大幅な減があったわけですが、こうした一連の傾向を今回変えたということです。この間、地方の現場をいろいろ歩きましたけれど、交付税が減ることによって様々な問題が地域で出ている傾向があると思っており、今回、特に財政力の小さな地方団体に対して、やはり何らかの対策が必要だと思っておりましたので、それが実現できて大変良かったというふうに思いますが、この財源をどうやって生み出すか、この1点が大変難しい問題でありまして、税の偏在是正によって、その財源を生み出したとこういうことです。こちらの方は、将来の地方税収について、消費税を中心にした安定的な税収を確保するという方向に沿った線が今回出ているので、そのことによって生み出された財源をこうした形で有効に使うということは、今後の地方財政にとっても有益ではないかというふうに判断しております。
 今後のことでありますけれど、いずれにしてもこういった地方財源を確保することによって、将来的に地域を活性化させる、それから産業も振興させると、こういうことをきちんとそのことに結びつける必要があると考えております。今回、地方交付税などについても大変苦労したのは、その原資である国税が伸び悩んでいるということがありまして、その原資をどうやって確保するか大変苦労しているわけでありまして、産業をとにかくこのことによって活性化させるということで、全体の経済を成長路線に向けて税収が上がるような構造に切り替えていかなければいけないと、これは当然のことでありますけれども、このことによってできるだけ早くそうした成果を出していくということが重要であるというふうに思います。来年度の経済成長見通しが、近々出ると思いますけれども、今年たぶん実質成長率が2.0%ぐらいで想定したものが、ずっと今、落ちているわけです。しかも、デフレを克服して名目が実質を上回るような、そういう経済構造にしていかなければならないので、そのことに向けて各地方がこうした財政措置を受けて、しっかりと努力をしていただくということが必要になってくるだろうというふうに思います。
(問)概要で宜しいのですけれど、財務大臣との折衝の経過について、どのような内容だったのでしょうか。
(答)私の方からは、この特別枠を来年度作らなければいけない必要性、それからそのための財源の生み出し、財源措置等について私の方から話をしました。それから、財務大臣の方からは、引き続き地方行革等に地方団体が是非取り組んで欲しいと、そういった話があって、その上で、今回の措置を認めましょうと、こういうやりとりでありました。私の方は、行政改革等について、これまでも取り組んでいると同時に、今後も行政改革等にしっかり取り組むと。それから、この特別枠を活用して効果が出るように、地方団体の方に努力を促していくと、そんな話をしております。
(問)福田内閣の最重要課題として、地方再生と活性化があったかと思うんですけれども、今回のこの地財対策に十分に反映されたとお考えでしょうか。
(答)反映したつもりであります。今までの傾向をずっと大きく変えたということでありますし、それから、一方で地方歳出の抑制ということについては、きちんと努力をしてございます。そういう地方歳出の抑制を図るという大きな方針の中で、地方活性化のための特別枠を生み出して、具体的な措置をとってきたということでありますので、喫緊の非常に重要な課題に対して、私どもとして出せる工夫というか知恵を出したというふうに考えております。
(問)福田政権では地域活性化とともに財政健全化というのも掲げていると思うんですけれど、今回その交付税の総額確保のために、自治体の借入金の償還を繰り延べると、健全化の路線に逆行することにはならないでしょうか。
(答)基本的に税収がどのように伸びていくか、そこの見通し、判断になってくると思います。当初予定していた税収の伸びというのがやはり十分に見込めないということでありまして、その中で現下の緊急課題である地方活性化に対して優先的に取り組まなければいけないということがございましたので、今、申しあげましたように、お話しがございましたような本来償還にまわすべきところを、地方にお配りをすると、こういう判断をさせていただきました。これは、やはりそういったことによって、地方の経済を、それぞれの地域で工夫をしていただいて、それで活性化にきちんと取り組んでいただくということが優先されるだろうというふうに私ども考えているところであります。
(問)あくまで緊急の暫定的な措置で、19、20、21年度以降は、きちんと返していきますよということですか。
(答)そこは、今後よく検討ということになります。今後の経済動向等をよく見通していく中で、そこは考えていきたいと思っております。平成21年度までは、今回のような措置を取りたいというふうに考えております。
(問)あくまで緊急の暫定的な措置で、平成20年度、21年度以降はきちんと返していますよ、ということでしょうか。
(答)そこは今後よく検討ということになりますけれども、今後の経済動向等を睨んで、よく見通していくなかで、そこは考えていきたいと思っています。平成21年までは、今回のような措置をとりたいと考えています。
(問)特別枠なのですけれど、当初大臣が経済財政諮問会議で示されたときには、都市部の歳出の税収是正をして地方の総額では変わらないという御説明をされていたと思うのですが、結果的に偏在是正が来年度はないということで歳出面の規模がちょっと膨らんでくると思うのですが、そのあたりはどんなふうにお考えですか。
(答)来年度自身については、税の性格上どうしても税収が上がってこないので、臨時的な措置で財源を満たすためのこういうことを仕組んだということで、これは一年ないし一年半のズレを補正するという意味で臨時財政対策債でつないでいかないといけないということであります。それから、地方の全体の歳出の枠というか、そこのところでありますけれども、これは、これからもできるだけ早期に償還は確保していかなければならないという判断は、私ども変わっておりませんし、一方で歳出抑制についての取組というのは、当然のことながら今後も行っていきますので、現実に実行していく中でどのような枠を確保していくかというのは、その年度その年度でよく考えていきたいと思っています。
(問)格差是正の効果が出てくるまでの措置として臨時財政対策債をつなぎで使うということなのですが、これは国の財政を見るときに、まずプライマリーバランス一年目は悪化する懸念が無いのかということと、市町村が借金する訳ですから、一時的にせよ財政指標が悪化する懸念があると思うのですが、その点についてはどういったお考えでしょうか。
(答)まず、翌年に必ず税収で入ってくるものでありまして、この再生枠自身は、今の地方再生の必要性から言って、やはり来年度から措置をして、地方でそうしたお金を事業に対応する必要性があるだろうということで、再生枠自身は平成20年度から必ず設けたいと思っています。偏在是正については、臨時財政対策債で初年度は対応いたしますけれど、これは翌年度に必ず税収としてきちんと入ってくるものでありますので、将来の確実な税収が極めて至近の年次で見込まれるものでありますので、御理解いただけるのではないかと。ずっと後になってから入ってくるということではなく、必ず翌年度、翌年度で措置される。そういった税制による偏在是正の措置が仮に終わった後もその分の税収として翌年必ず入ってくるものということになっていますので、今回の全体の制度設計については御理解いただけるのではないかなというふうに思っています。それから、先ほどの特別枠の規模の4,000億円についてでありますけれども、偏在是正の関係について平年度ベースの交換額をだいたい勘案して今回計上していますけれど、不交付団体の需要増加額も若干加えて全体の枠を確保すると、こういうことになっていますので、冒頭申し上げました地域の活性化についての必要性というのは、やはり非常に緊急性の高いものでありますので、これに私どもとしては、来年度当初から誠実にお応えをする必要があるだろうと判断しております。
(問)この再生枠4,000億円なのですが、大臣もおっしゃいましたけど、税収に拘わらず当面はこれ位の額を確保するということでしょうか。
(答)税収の見方にもよって、確かに厳密には、大きくはずれればまた考え直さなければいけないかもしれませんが、しかし、地域の活性化に努力する自治体にとっては、安定的な財源を当面確保したいという強いお考えもあると思いますので、私どもとしては、今の特別枠については、暫くの間、4,000億円程度は確保して地域のそれぞれの自治体の御要望に応えていく努力をしていきたい。その間、税収偏在の是正について、確かに法人事業税の伸びが変動する場合があるかのかもしれませんが、その時は何らかの工夫をしてその甕を生み出したいと思っています。
(問)県1,500億円、市町村の2,500億円の枠もだいたい同じような感じということでしょうか。
(答)ここは、初年度そういうふうにしたのですけれども、今回の考え方からすれば、市町村にウェイトをかけて措置していくというのが考え方だと思います。今回、特に合併をした市町村などを歩きますと、合併時にいろいろと聞いていた話と違うなどという話も聞こえてきましたので、合併によって本来期待感が高まっていたものを、きちんとその期待感に応えるような形にさせていただきましたが、今後もやはりウェイトとしては市長村に軸足を置いてやっていくだろうと。全体としてはだいたい4千億くらいを考えて、もちろん細部で若干数字を動かすことはあるかもしれませんが、今回措置したくらいの額で全体を構成していきたいと考えています。
(問)教員定数の関係についてなんですが、定数増となると歳出削減の方針と若干離れるのではないかと思いますけれども、全国知事会の麻生会長もおっしゃっていましたが、大変苦しいという指摘がありますが、この辺との兼ね合いついてはどのようにお考えですか。
(答)まず、定数の数の問題と、給与の問題とあるのですけれども、今それぞれ、行政改革で国と地方でそれぞれ取り組むとなっていますけれども、行革推進法自体はその枠組みを守るということにしておりますので、その中で今回ぎりぎりの措置を考え出している、地方の教育現場での要請にもお応えすべくぎりぎりの策を生み出しているということで、行政改革自身はしっかりと取り組むということです。いわゆる行革推進法第55条の3の「その他職員」のところで、その数を生み出すということですので、ここは文部科学省の方でその数の生み出し方についての考え方はお話しをいただいて、そちらサイドから教育現場のためにいろいろ考え方を示していただきたいと思います。それから、給与の関係ですが、いろいろと今回の措置を採ることについて、当初の計画よりも予算が増えますけれども、そこはきちんと地方財政計画において確保しているので、いままで行革について各地方団体で計画をされてきましたけれども、まさにそれとは別枠で、教育現場の強い要望に応えるということで、今回の分は今回の分としてきちんと措置をしたと考えています。

(以上)