増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年9月28日

(平成19年9月28日(金) 9:45~10:01  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今朝ほど、閣議がありました。私の方からは労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果について、発言をいたしました。主なポイントは4月の完全失業率ですけれども、季節調整値で3.8%となっているということです。それから、8月の全国の消費者物価指数ですけれども、1年前に比べ0.2%の下落となったということです。それから、家計調査の関係ですが、全国二人以上世帯の8月の消費支出は29万6,000円で、一年前に比べ実質1.6%増加となりました。それぞれの調査の概要について発言をしたということであります。

2.質疑応答

(問)政府の地方分権改革推進委員会が中央省庁側に求めていました、国の関与の縮小、出先機関の廃止に関する見解が順次公開されているんですが、内容を見るとほとんどが現状維持、分権を求める地方側にとってはゼロ回答に近い内容なんですが、このことについて地方分権を担当する大臣としての御所見をお願いします。
(答)これは今後、議論を深掘りして、この地方支分部局については極力整理するという方向で進めていかなければならないと思っています。この間まで、私は、地方分権改革推進委員会に所属をしておりましたけれども、そのときには経済財政諮問会議で示された案を各省によく検証してもらって、前向きな答えを出すようにと期待をしていましたし、それから現実に知事としての経験では、国の出先機関である地方支分部局が、特に広域行政を担当している都道府県と重複しているところが非常に多いという認識でおります。その認識で今いるものですから、もちろん地方支分部局については、沢山あって、やっている仕事もそれぞれ違うのですが、経済財政諮問会議でも試行的にABC分類をしています。特にC分類のものは、同じ仕事を地方団体でもうやっているわけですから、できるだけ早くその重複を解消していくというのが基本の線ではないかなというふうに思います。これから政府部内でもそういった重複をなくしていく方向で進めて、そういう立場で議論していきたい。もちろん、最終的には廃止にもっていくべきだと思うのですが、そのために現実に人がはり付いている仕事等をどうしていくのかという道筋を書くのはいろいろ工夫がいると思います。できるだけ国の仕事を縮小していく中で、どうしてもやらなければならないものだけ残して、あとは地方に移していく、広域行政体に移していくというのが基本的な考え方だと思います。
(問)昨日、額賀財務相が報道各社との就任インタビューの中で地方法人二税の再配分に言及をされました。今後、都市と地方の格差是正という税制改正に向けて、法人二税見直し論に弾みがつくことも考えられるんですが、このことについて大臣の御所見をお願いしたいと思います。
(答)この法人二税ですけれども、全体で見ると税収が急速に回復しているということが背景にあって、その上で法人二税について見ますと、大体本社機能というのは東京に集中していますから、より一層偏在度は高まってきています。地方法人二税の最大と最小の偏在度は17年度は6.5倍でした。18年度は6.1倍になっている。それにしても6倍を超えているんですね。偏在度は著しいということです。地方消費税は、東京都とそれから一番低い奈良県との差、全国平均を100とした場合での差が1.9倍、前の年は2.0倍だったのです。地方消費税の方の偏在度が非常に少ない。均されているものなのですが、2.0倍がさらに、0.1ポイント下がって1.9倍となった。ですから、法人二税の偏在性というのは著しいという状況はこれを見たら、判然としている。そういうことだと思います。ですから、この法人二税について、偏在是正に取り組むという必要があると思うのです。この時、大事なポイントは、地方団体の税収体系を地方消費税を中心とした偏在度の少ないものに直していくということを行いつつ、なおかつ法人事業税の配分として、法人税は地方団体の一方で財源としても確保されるでしょうから、それについては偏在性を是正していく、このことがやっぱり大事です。地方消費税の充実と合わせて法人課税の在り方を検討していくということが地方団体の税財政構造として大事だというふうにとらえていますので、そういう考え方に立って、この問題について、在り方を検討していく必要があると思っております。
(問)文科省の方が、概算要求で教員の定数増というのを要求しているんですけれども、実現するためには交付税の増額というのも必要になってくると思います。それからあと、地方公務員の定数減の問題もありまして、削減計画にも影響を与えるんですが、削減計画の見直しとか行革推進法の見直し等が必要になってくるかという議論が出てくると思うんですが、その交付税と定員のことについて所見を伺いたいのですが。
(答)まず、教員の数を増やすかどうかというのが御質問のポイントだと思うのですが、今の話の大前提となるああいう概算要求の数字が、ああいう形で要求していいのかどうかというのがあると思います。昨年の歳出・歳入一体改革を踏まえて、今年の骨太方針ができて、概算要求するときの、そういうルールからすると外れているなという感じがあるのです。これはかなり形式的な議論かもしれませんけれども。ああいう要求をしてしまうと、各省もまた骨太方針は別にして、この問題については色々出てくるのだと思います。他の省は大体、要求の枠を守っていたはずなのですね。それはさておいて、今お話しがあったようなことについて、暮れまでに議論の時間がありますので、その中で議論をこれからしていきたいとは思っていますが、教員の質の向上ということは、一方で重要なことだと思っていますけれども、同時に全体の数、それからそれを裏打ちする財源について、あわせて検討して、それで中身を実現していくということが必要です。ですから、もし仮にどうしても教育を充実させる上で、教員の数を増やしていかなければならないということであれば、当然それに伴う地方財政措置も十分なものを国全体として保証していかなければならないということです。しかし、果たしてそういったことが今の中で可能かどうか、定数の枠も厳しくいろいろなことを検討して決めたばかりですから、当然、教員数についても厳密に検討した上で決めたはずなので、それをこの段階で直ちに変えて良いのかどうか、かなり議論が大きいと思います。まだ、議論が始まったばかりですが、私どもも今言ったような観点で議論を見ていきたいと思っていますが、結論としては、ああいうものはいけないというつもりも、もちろんありませんし、それから国民の中に教育の質を上げるためにどうしていったらいいのか、学校の先生の質を上げるというのは、これは国民だれしも望むことです。それがどうしても数を増やしていかなければいけない、この間決めたルールを破って、数まで増やしていかなければいけないということまで国民の皆さんが考えていかなければいけないということは、よく議論しなければいけないと思います。いずれにしても、結論として、非常に大きなこの問題については財政上の問題、地方財政の問題を惹起します。そのことも含めて全体で議論していかなくてはならないと思います。
(問)若干、時間経ったんですが、NHKの問題で、経営委員会と執行部が対立しました。それで一年間計画が先延ばしされると。これは前向きにとらえてらっしゃるのか、それとも一年遅れることを問題ととらえてらっしゃるのか、そこのところを教えてください。
(答)まず、経営委員会が経営委員会として、全体のガバナンスをしっかりと発揮していただきたいということを言いました。それで今回、正にそれを経営委員会として見識を示して、改革について従来の経営委員会とは違う立場に立って、見識を発揮された、指導力を発揮されたのだろうというふうに思っています。ですから、経営委員会の今度の判断というものを総務省として尊重する立場であるということになります。結果として、NHKの執行部が提示した値下げの案がいったん先延ばしというか、ゼロになりまして、もう一回原点から検討するということでありますが、それは恐らく小さな値下げをこの間で実現すると、かなり長期にわたってそれが続くわけです。そのことで得られる国民利益よりも、もっと深掘りした抜本的な改革を作っていただいて、そして本当にNHKの姿をいいものにしていただくということから得られる国民のメリットが非常に大きいということではないか。そこまで、経営を抜本的に、これは経営委員会が執行部にまたもう一回検討し直せと言ったのではなくて、一緒になっていい計画を作りましょうという、こういう展開になったものですから。そうやって作られた計画は、必ずそれよりも大きな、国民に対してのメリットが得られるようなものになってくるはずですから、その方が国民の利益という観点からも適当だというふうに考えます。
(問)総理が代表を務める政治団体が領収書の宛名の書き換えをしていたということが報じられておりますけれども、総理の責任をどのようにお考えになるかお聞かせください。
(答)私どもは、政治資金について透明性を高くするということを考える、そういう行政府の中での組織だというふうに思っております。個々の事案については、私どもとして今具体的に承知する立場ではない。ですから、それについてはそれぞれの事実を踏まえた上で、個々に判断をされればいいというふうに思っております。
(問)閣議や閣僚懇の中で、この話はありましたか。
(答)いや、特にございません。
(問)先ほどのNHKの関連なんですけれども、大臣がお考えになる公共放送の概念といいますか、公共放送とは何でしょうか。
(答)国民のために放送の使命を発揮していく。国民基点ということに尽きます。放送法に基本理念等が書かれておりますけれども、そうした放送法の趣旨を呈して、国民に放送機関として使命責任を果たしていくということであると思います。
(問)いろいろな懇談会等があるんですけれども、あまり具体的に公共放送とは何かという根本的な議論がなされたという記憶はないんですけれども、そういったことを再度共通認識として持つために、何か総務省として行う考えはないでしょうか。
(答)これは、総務省や国が「公共放送とは」ということを改めて定義し直すということかどうかというのは一つあると思います。恐らく、我が国にも多くの放送に携わっていらっしゃる方がいて、これは例えばいろいろ問題があった事案についても、自主的な機関がいろいろ検討されるということに見られるがごとく、やはり放送というのは非常に表現の自由、言論の自由等と密接に関係しているものでありますので、その自主性のようなあり方は、認識をされなければいけないものであります。これは、総務省としてこのことを議論することは、放送法を所管している省としても、もちろん大事なんですけれども、一方で、放送に携わっている者みんなが公共放送というのは、どういう社会的使命を果たして、国民にどういう放送を提供するのか、それぞれのところで考えていくことが特に必要なものではないかなというふうに思います。
(問)よろしいでしょうか。ありがとうございました。

(以上)