増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年9月26日

(平成19年9月26日(水) 12:37~13:02  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 昨日、改めまして、総務大臣、それから内閣府の特命担当大臣を拝命いたしました。認証式が先ほどでございましたので、正式には今日からということになりますが、再任ということであります。また引き続き皆様方にいろいろお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。それで、初閣議が先ほどございました。内閣総理大臣談話を決定したというのが主な内容でございまして、これは官房長官の方から発表があると思います。私の方から特に発言する案件はございませんでした。それから、昨日の官邸での記者会見でも申し上げたのですが、特に昨日、総理の方から3点指示があったのですが、地方の活力を取り戻すために、地方の声に耳を傾けて地方の再生に全力で取り組んでほしいということが第1点、第2点は地方自治体に対して、一層の権限移譲を行って、地方税財政の改革に取り組んでほしい、これが第2点。3点目は年金記録問題の解決に全力を挙げてほしいと、こういうことでありました。その他、大変広範な仕事を所掌しているところでございますので、その問題の解決のために全力を挙げていきたいと思っておりますが、特にこの総理指示の中にありますとおり、地方の声に耳を傾けろということでございますので、今週の土曜日から地方に出向きまして、「総務大臣とのくるまざ対話」というのを開始したいということで、今考えております。地方の意見を聞く懇談会を開催していきたい。まず、今週末、9月29日土曜日でございますが、この日には島根県、それから一週後の10月6日の土曜日には長野県で市町村長や、地元の経済界、農林漁業関係者等との間で懇談会を開催する予定にしています。その他、この機会に合わせまして、お伺いする県の先進市町村の取組事例のほか、特に条件不利地域における集落の実情視察、いわゆる「限界集落」的なところの実情視察と、そこでどういう工夫をしておられるかといったようなことを現地でお話を聞かせていただきたいというふうに考えております。今後、おおむね2か月程度で日本全体のブロックごとに1か所程度、全国で7か所程度を今考えております。場合によってはもう少し回数多くするかもしれませんが、国会等の合間を見ながらということになりますので、一応10月、11月、12月の上旬ぐらいまでの間に、ブロックごとに1か所、全国で7か所程度を目途にこうしたことを開催していって、出席者からの御意見、御提案なども踏まえながら、そこでの意見を踏まえた総務相、あるいは内閣府特命担当相としての政策を取りまとめて政府の施策の中に反映をさせていきたい。そして、可能なものから実施をしていく、そういうことにつなげていきたいと考えております。今現在は、この島根県と長野県の開催だけが決まっているものでございますが、その他の場所等につきましては、早急に決定をいたしまして、また、順次皆さん方に発表いたしたいというふうに考えております。私の方から冒頭の発表は以上です。

2.質疑応答

(問)今回担当が地方・都市格差是正担当から地方再生担当というふうに変わったわけなんですけれども、これにつきましての総理の指示というか、説明みたいなものはあったのでしょうか。
(答)いわゆる地方の問題についての取組に全力をあげてほしいとこういう言い方を総理はされていました。地方の再生ということが大変大事でありまして、地方がそれぞれのところで元気を出すと、こういうことが究極の目標でありますので、このことに取り組むということです。格差是正もその中に含まれる、格差を是正しつつ、とにかく元気が出る、地方を再生するということに取り組むということです。この「地方」というのは恐らく大変広い概念だろうと思います。以前、都市再生のとき、都市といいつつ、稚内市から石垣市まで入るとこういうことがありました。それから、地域再生とかありました。そういったことを全部含めて地方を元気にしろということだと思います。究極の目的としてそういった疲弊しているところは再生していくんだということをストレートに担当として表されたんだろうというふうに理解をしております。
(問)安倍内閣から福田内閣に変わったんですけれども、地方の問題に対する取組の姿勢もですね、あるいは地方分権改革に対する姿勢について、まだ発足間もないんですが、大臣としてどのように取り組んでいかれるのか。
(答)これは、安倍内閣から福田内閣に変わっても、やるべきことは同じでありまして、究極の地方対策は地方分権改革を行って、そして地方に権限と税財源を移譲していくということです。地方が自らの判断と責任において、仕事ができるようにしていく、もちろん地方もそういったことについて重い責任を負いますので、今、取り組んでおります行財政改革などは自治体としてもしっかり取り組んでいただく必要がありますが。あと、地方制度調査会で監査や議会制度について、今後議論が深められていきますけれども、そうしたことを地方自身も行っていただいた上で、信頼たり得る地方政府を作っていただく。そういうことが具体的に形として見えてくれば、その先の道州制ということにもつながっていくのではないかとこういうふうに考えております。これは、安倍内閣に参画したのは、私はわずか1か月程度でありましたが、そういう中で思っていたことであります。福田内閣でも当然、今申し上げましたようなことを実現するために、これから働いていくということになります。そういうことで今後も仕事をしていきたいと思っています。
(問)総理御自身の分権改革等に対する姿勢はどのようなのでしょうか。
(答)総理に就任された福田総理から、具体的にこの問題についてこうしろということはございませんけれども、総裁選挙のときに、各地域を遊説されたり、両候補で討論されたお話の中にも、お互いに地方が支え合う、助け合うというような、「自立と共生」というのは恐らく、個人個人ということだけでなく、地域のコミュニティの話をしておられましたので、そういったコミュニティの機能を生かすというのは、お互いを支えるということではないかとそういうふうに私は思っております。それからあと、一律ではなくて、それぞれ地方の状況は違うので、地方の状況に応じた、その地域に合った改革を進めていくべしとそういうことを言っておられた。今日の総理談話の中にもそういった地方それぞれの実情に応じた、一律ではない、もっときめの細かい対策を進めていくべしという趣旨の文言が総理談話の中に入っておりますので、この地方の問題についての思いは大変強いものがある。それで今、申し上げましたような考え方を基に、これからリーダーシップを発揮していかれるのではないかと、当然発揮していかれると思いますけれども、そういうふうに考えております。
(問)地方再生問題なんですが、大臣はこの前「特効薬はない」ということを発言されましたけれど、対策として例えば短期的には、まず、こういう施策を行い、中長期的にはこういう政策を行うという見取図のようなものがあれば教えてください。
(答)短期的には今年度やれることですね、それについてはまだ今年度予算は全部執行されていないと思いますし、こういった今年度予算を増やすということも既に決まっている予算ですから、それを地域でもっと効果的に使えるようにということを各省にやってもらうという工夫が1つできるのではないかと思います。それから、来年度予算については、これから暮れにかけての議論でありますので、特に経済的な可能性を秘めているところに効果的に予算が振り向けられるような仕組みを作りたい。それから、予算だけではなくて、税制の議論について、暮れにかけて、税制調査会で議論される中で、地方税の安定性の確保とそれから偏在の問題、そういったものを税制の中で議論してやっていく必要があろうということです。そのためにも、地方の意見によく耳を傾けたいというふうに思っていますが、議論する場を政府として作る必要があるのではないか、地方の人達と意見を交換するような場を作る必要があるのではないかということです。今、地方の問題を取り扱う組織というのは、政府内であちこち分かれているのです。ですから、私の知事の時の経験として、こっちの建物に行って何とか再生本部に顔を出したり、それから今度はこっちの建物に行って、中心市街地活性化本部に行ったりとか、あちこち歩き回っていました。それもおかしな話で、そういうことをやっているのでバラバラになるわけですから。やはり政府としての取組の窓口も一本化をする、そういった今分かれているものを一体化する、そこに地方団体も参画をして、政府ときちんと意見交換、協議するような場作りをするということも、これは、中身というよりは、そういう構えをまず整えなければいけない。これは将来に生きてくる話ですから。地方の意見が政府の中の政策に反映される大きなきっかけになりますから、そういう場作りをしていきたい。その上で予算、それから、税の議論などもしていく必要がある。あと、地方分権改革とか道州制の議論がありました。これは、来年度すぐ具体的なものが出てくるということよりも今、地方分権改革推進委員会があり、今年、地方分権改革推進委員会から、まもなく中間報告が出てきて、来年恐らく勧告が出ると思います。それでその勧告を受けて、政府として、再来年、あれは3年間ですから、そこで何回かに分かれると思いますが、勧告が出てきた上で政府として分権計画というのを作ることになっております。これは今のスケジュールからいうと2年以上先の話なのですが、これはだから、中期ととらえていいかもしれませんけれども、そういう地方分権改革推進委員会。それから2年間というスケジュールが決まっている地方制度調査会の提言というか考え方というのを具体的に制度化していくということです。これは地方分権で、制度的にはこれも大きな地方対策だと思いますけれど、そういうものを確実に実現していくと。先ほど、究極の地方対策というのは、地方の各自治体、地方政府が自らの意思と責任で物事を決定していくような仕組みだということを言いましたので、それを来年、これで全部やりましょうということではなくて、順次、それぞれの場を使って、地方分権改革推進委員会とか地方制度調査会などの議論を加速させて実現に向けていきたい。それから、道州制ビジョン懇談会も一緒ですけれども、そういうことにつなげていきたい。予算、税、地方分権、道州制という、それぞれやっているものについての議論の進ちょく度というのは違うのですが、そういうそれぞれのところのスケジュール管理をきちんと行った上で、例えば、地方分権改革推進委員会で、国と地方の役割分担を今議論していますが、そこで新たな地方の役割というのが明示されてくれば、それにふさわしい財源をどういうふうに地方団体に持ってもらうかという議論が進んできますから。多分、予算の議論なんかは、そういう議論が地方分権改革推進委員会などで深まっていくにつれて、毎年毎年新しいテーマがどんどん出てくると思います。それをこれからずっと毎年追っていくということをしていけばいいのではないかと思っています。
(問)昨日の辞職会見で何か試合開始のホイッスルだと思ったら終了のホイッスルだったということをおっしゃいました。改めて再任されて、率直な御感想を教えてください。
(答)もう一回、試合再開のホイッスルが鳴ったということでしょうか。試合終了のホイッスルと言いましたけれども、あれは試合終了のホイッスルではなくて、途中での、一休みの、半日ぐらいでしたけれども。ということで、今までと継続して進めていきたいとそういう決意でおりますが、この間少し時間が、2週間程たってしまいました。所信表明が10月1日にずれ込むとすれば、3週間程度時間がたってしまって、ある一定の結論を出すのは今年の暮れだとすれば、全体のスケジュールがきつくなりました。だから、これからの検討を加速させてそのスケジュールに合わせていかなければならないというふうに思っています。
(問)くるまざ懇談会についてなんですが、これは安倍内閣のころから、そういう思いがあったのか、それとも福田新総理の意向があったんでしょうか。
(答)計画は安倍内閣の時からあります。実は、現地の方には、既に内々にそういうことをやりたいと言っております。安倍内閣の所信表明が9月10日ですか、あれを行ったときに大臣、副大臣、政務官以下70名近くいて、それが地方に行ってよく意見を聞くという文言を入れたのです。先程、言いました国の政策決定の中に地方団体が入って、いろいろ意見を交わしていくと、そういうこちらでの場作りみたいなことも大事なのですが、いずれにしても、現地を見たり、現地でお話を聞くということももっと大事だと思います。そういうことで、これは安倍内閣から継続してやっていくということになります。
(問)関連ですけれども、政策の取りまとめというのは、目途はいつごろまでということと、あと、最初に島根を選んだことは何か理由がおありでしょうか。
(答)政策の取りまとめ、これは今年の予算に反映できるものは本当に限られているのです。これはほとんど配分終わっていますから、これは非常に限られています。ただ、来年度予算が暮れまで議論の時間がありますから、くるまざ対話で出た意見などについては、そういう節目の時期に反映できるように意見を取りまとめていきたいというふうに思います。それから最初に島根を選んだというのは、何か地域で優先度があるわけではなくて、いずれにしても、先ほど言いましたように、「限界集落」的なところも含めて見たいということで、それから一方でちょうど国会が始まるので、ずっと滞在できるというわけではないので、日帰りでかつ、そういった地域まで足をのばせるところ、基本的には全部日帰りで朝早く行って、夜遅く帰ってくるという日程で考えております。その関係で島根県、次に長野県とこういうことになっております。
(問)懇談会を発案されたのは、大臣ご自身でしょうか。
(答)ええ、地方に行きたいということで、担当部局の方に指示しています。
(問)今回再任について連絡を受けた、どういう形で、どなたから連絡を受けたかということと、それから一月前ですけれども、民間の方からなられて、わずかな間に宙ぶらりんな時期がありました。そのときのご心境をお願いします。
(答)まず、連絡でありますが、連絡は19時40分よりちょっと前だったと思いますけれども、37、8分くらいだったかな、携帯の方に連絡があったのであれ(ログ)が残る、たしか19時35分か36分くらいだったですかね。その前に実は、ニュースでテレビでもう町村さんが全部閣僚名簿を読んでいたのですよね。それをテレビで見て、ああこういうことかというふうに思いましたのですが、全く事前の連絡はございませんでした。実は、安倍内閣の時、一月前のときは、大体この日はこのぐらいの時間帯は連絡のつく場所にいてくださいというのが前の日に来まして、何だかということは言われませんでしたけれども、一応そういう連絡がありました。今回は全くなかったですね。ずっと全く何にもなくて、テレビでいろいろ誰がどうなるとか言っていましたけれども、町村さんが名簿を読み上げたあとも全く何もなくて、ちょっと経ってから連絡が来て、至急来てくださいということで、行ったとこういうことでございます。それから、途中2週間、10日ぐらいですかね、ちょっと期間が空いているのですけれども、私自身の任命権者は総理ですし、その総理が代わられるということですので、これはどういうこともあり得ると。もちろん任命されなければ、また民間に戻って、別に何をやると決めているわけではありませんけれども、民間としての役割を果たしていくということで、両方これはあるなという思いで、準備も辞める場合の準備とそれから当然続ける場合の準備をしました。 10日ぐらい間がありましたのですが、ちょうど国会が空転したというふうに言われていますけれども、逆に言うと、時間的な拘束が、国会の予算委員会等で時間をずっと空けていたので、その間に、逆に担当部局にいろいろ指示できましたから、必ず次再任されるということとは全く関係なしに、それはわからないというふうに思っていましたけれども、むしろその時間を利用して、もし誰か代わりの方が来られても仕事がすぐ始められるように色々な指示だけはしたつもりであります。
(問)地方でくるまざ集会というと、小泉さんや安倍さんの時代に事前に誰が何を言うかシナリオを決めたり、あるいは特定の人を排除したりするような、問題になったことがあると思いますけれども、何かそういうのを防ぐ手だて、あるいは地方から余計な気を回させることをしないようにする手だて、何かございますか。
(答)そこに来ていただく市町村長さんとか関係者は、事前に事務当局が向こうの県内に連絡して決めていますけれども、言っていただくのは自由です。例のタウンミーティングによるやらせ問題がありましたよね。だから、もちろん担当も十分気をつけていると思いますし、それからそんなことをやるとこの時代だからわかりますね、大体。わかりますし、そんなことは絶対ないと思います。私自身も岩手県知事時代に、随分地域で懇談会を開きましたけれども、何が出てもおかしくない。今度の場合は大臣が行って、当然オープンでやりますけれども、マスコミの人たちも来ると、多少最初は緊張するかもしれませんが、2時間ぐらいやると大体ほぐれていろいろなことをおっしゃるので、むしろ、多少時間は窮屈かもしれませんが、今まで私の経験から言うと、後半になればいろいろ本音出てきますので、できるだけ早く緊張を解きほぐして本音が出てくるように、運営に気をつけたい。何を言っていただいても結構です。やっぱりできることと、できないこと、どうしてもありますし、それはいいのですが、どういう考えでいるのか、それを別にこれがいいとか悪いとかではなくて、多分正解はなくて、もし財源があればこういうことは当然やって然るべき話かもしれませんが、財政制約があるからできないということもあるかもしれません。とにかく、本音というか、実情をおっしゃっていただければいいという気持ちで行きますので、事前にそういう私の気持ちというのは、向こうの方に伝えているはずですけれども、運営については私自身もできるだけ率直におっしゃっていただけるような運営に、その場で気を付けたいなと思います。
(問)よろしいでしょうか。
(答)また引き続きよろしくお願いします。

(以上)