増田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年9月11日

(平成19年9月11日(火) 10:53~11:10  於:総務省会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今朝の閣議で私の方から発言をしております。平成二十年度機構・定員等の要求について、基本的な方針について閣議で説明をしました。機構について、既存組織の合理的再編成によって措置することとし、その肥大化を来さないように対処したいという考え方を申し上げまして、各省から出てまいりました要求段階の数値等を御紹介をしたところでございます。この場では数値等の御紹介は、省略させてただきますけれども、いずれにしてもメリハリのある定員配置を実現したい、こういうことを申し上げております。 それからもう1点、この場を借りまして私の方から発表させていただきたいのは、「デジタル・ディバイド解消戦略会議」というものを立ち上げたいということで御紹介を申し上げます。今、ブロードバンドが急速に普及しているわけですが、しかし、今年の6月末現在でブロードバンドを利用できない地域の皆さん方というのは、依然として約226万世帯、世帯比率にして約4.4%いらっしゃいます。また、PHSを含む携帯電話の加入者も既に1億加入を超え、正に携帯電話というのは生活必需品になっておりますが、今年の3月末現在で未だ携帯電話を御利用になれない地域の皆さん方は約42万人。これは人口比で0.3%、比率で言うと非常に少ないような印象がありますが、実は42万人の方が、そういう地域に住んでいらっしゃる、こういうことがございます。そこでこうしたブロードバンドや携帯電話の空白地帯を速やかに解消して地域間の情報格差を是正するということを目的として、今般、「デジタル・ディバイド解消戦略会議」というのを立ち上げたい。実際には、10月の初めに会議を開催することになりますが、その中で学識経験者、地方公共団体、通信事業者等の有識者の皆さん方に参画していただきまして、人数的には20人を超えるぐらい、30人になるのかな、人数は後で担当課に聞いてください。その方々を広く集めて、解消方策について検討を進めていきたいと考えています。詳細につきましては、この後、事務方から説明させていただきたいと思います。私の方から以上です。

2.質疑応答

(問)安倍総理がですね、海上自衛隊の給油活動が継続できない場合に「職責にしがみつくつもりはない」と、まあ、もしうまくいかない場合退陣するような意向を表明されましたが、周辺に寝耳に水のような状況で、捨て身の発言とか、破れかぶれの発言ではないかというような見方もあるようですけれども、大臣としては総理の発言、どのように受け止めましたでしょうか。
(答)そうですね。総理としてのこの問題への強い決意を表したということだと受け止めました。これは、総理の信念として職を賭してやっていかれるということを高らかに言われたのだと思います。私も内閣の一員として、内閣一体の原則というのがありますから、総理の発言を重く受け止めるということと、それに向かって内閣が全力を挙げて取り組んでいくということだと思います。
(問)昨日の所信表明演説で、総理は内閣に置かれた地域再生などの実施体制を一元化するという発言がありましたが、大臣は、昨日、与謝野官房長官にお会いになったり、今日、総理に面会されたりしますが、これに関連して指示等、ございましたでしょうか。
(答)以前、総理等にお目に掛かったときも、大臣に就任してみて、政府の中で、いわゆる地方の問題について扱う組織が複雑で分かれているというふうに申し上げてきました。これは知事時代からもそう思っていました。この大臣を担当して、関係者を呼び集めたのですが、確かに都市再生本部や地域再生本部、中心市街地活性化本部、構造改革特別区域推進本部は、場所もそれぞれ違うところに関係者がいて、非常に多くの人間がいるのですが、どうも聞いてみると、全員が全体像をきちんと把握しているわけでもなくて、後から枝分かれみたいに続々と組織が出てくるという、これは官庁の組織で時々見られるのですが、非常によくないことだと思います。そんなことが内閣で総力を挙げてこの問題に取り組むということの差し障りになっても困ると思いまして、これはすぐにバラバラになっているのを止めて一本化したいということで、都市再生本部や地域再生本部等は、これは法律で書いてあるのですが、いずれも本部長は総理がなられて、その下に事務局員というのがいるのですけれども、その4本部を一本化して、総理が本部長で、関係閣僚が入るという構成をするとともに、全体を私が責任をもって動かしていくことになります。事務局体制も一本化して、時間が許せば、物理的にも同じ場所に皆、集めるようにしたいと思います。よくわかりませんが、各省のいろんな縄張り争いみたいなのが、そういう結果になっているのだと思いますが、それを止めて一本化して、政府として、これから地方向けの個別具体的な話を進めるときに一体感をもって取り組むという仕組みにしたい。これはある種、国民にとって見れば、政府の中だけの話なのですが、まずそういうところから片付けないと、この問題の糸口をつかめないので、まず順番としてそれをやったということです。そういうこちら側の体制を一本化した上で、今度は、そこでどういう意思決定をするか、今まで従来のやり方だと、政府の関係者だけが集まって決まるというところに、もっと私は地方公共団体の人間も参画して意思決定をするような体制が作れればと思っています。これはあくまでも構え、形の話なのですが、まずそういうものをきちんと作り、多くの地方の関係者もそこの中で意見を言う、地方に行って意見をいろいろ我々が聞いてくる。地方関係者が意見を言って、それが従来どおりのスタイルでまた決まっていくのでは駄目なので、そこをさらにもう一歩進めて、関係者がそこに少しでも入って意思決定をさせるような仕組み作りをして、あとは、今、同時並行的に具体的な玉を見つけていますから、それについていろいろ議論すると、そういうことをやっていきたい。そんなことを考えていまして、それを総理にも官房長官の方にも話をして、総理の方からも地方の知恵、元気が出るような、そういう具体案を出すようにということを今日も指示されております。これから議論をいろいろ進めていきたいと思いますが、まず形を整えてその上で、同時並行的にその整えた場の中で具体策を議論していきたいと思います。
(問)一本化の日程の目途についてはいかがでしょうか。
(答)可及的速やかにです。今月中ぐらいに一本化したいなというふうに思っています。いろいろな役所の皆さん方の御意見があるでしょうが、そういうのは無しにして、今月中には一本化をするということでいきたいと思っています。
(問)実際、進めるに当たって、現時点でも少し他省庁の抵抗のようなものはありますでしょうか。
(答)抵抗というか、そこはわかりませんけれども、とにかくそういう指示をしてありますので、それに従ってやっていただくということです。
(問)今の対策本部を一本化する仮称というのは決まっているんですか。
(答)まだそこまでは。名前はまだ。
(問)地方対策というだけですか。
(答)地域の中、地方対策の戦略を練る本部のようなイメージです。
(問)あと自治体以外に地方の関係者を入れたいということですか。
(答)まだきちんと練り上げてませんけれど、経済関係者などはその中に入れたいなと思っています。
(問)郵政民営化絡みなのですが、民営化で発足する郵貯銀行が、地銀と組んで住宅ローンをやるということで、計画しているようなのですけれども、1つ、政府出資が残る間の肥大化路線というのは、ある種公的金融が拡大するという見方、批判というのも民間からはあるようなんですが、増田大臣自身はどのようにお考えですか。
(答)今のところ、郵便貯金銀行も郵便保険会社も現状維持のままスタートするわけです。今後、それぞれの会社の方でいろいろな計画があるのですけれども、政府出資が残るという期間は、移行期間ではあります。ただ、繰り返し我々も広報していますが、いわゆる暗黙の政府保証のようなものは、民営化されたら一切なくなるということを国民にずっと言い続けています。ですから、それを浸透させて、移行期間であるから、当然株式保有ということで残りますけれども、今後、民間銀行として同じに取り扱いますということなので、そのことを徹底しつつ、今、お話のあったイコールフッティングとの関係があるので、そこは民営化委員会の方で厳しくチェックをされるでしょうから、その意見に従ってこの業務のことについて考えていけばいいだろうということです。今の段階でそれをいいとも悪いとも、なかなか言えないのですけれども、今後、会社をスタートしていった後の経営状況等を見ながら、それから郵便貯金資金が全体として今、約160兆円まで減ってきているのではないかと思いますが、そこがむしろ肥大化していたものを適正な資金量に移行していく期間なので、それとの兼ね合いで判断していけばいいのではないかというふうに思っています。
(問)先ほどの地方対策本部の一元化なのですけれども、基本的なことで恐縮ですが、4本部全てが、総理が本部長ということですか。
(答)そうです。法律がありまして、法律に総理が本部長ということで書いてあります。
(問)都市再生と後は何ですか。
(答)都市再生本部と地域再生本部と中心市街地活性化本部、構造改革特別区域推進本部の4つのグループです。
(問)一元化したあとも本部長は、総理が務められるのですか。
(答)本部長は総理です。私が全体を取り仕切ります。今まで4本部が並立して、それぞれ事務局があって、事務局の場所も別々の場所にあって、それで、政府で地方対策をやるというときに、都市再生と言いながら、都市という中には稚内市から石垣市まで入っている。そこにいる事務局の人たちが、目で都市再生をやっているんです。一方で、別の建物の人たちが地域再生と言って、地方のことをいろいろやっているわけです。地域にとってもわかりづらいし、政府としても分散して力が一本化されない。ですから、財政規律をきちんと高めて限られたものを有効に使うときに、そこから一体化していかないと話にならない、こういう問題意識を持っていました。
(問)今までは所管の省なり、大臣は別々だったのですか。
(答)所管の大臣は別々ですね。
(問)それが全部総務大臣の下になるということですか。
(答)地方・都市格差是正担当という形になるのではないかな。
(問)デジタル・ディバイド解消の話ですけれども、今、こういうものをやらないとどういう問題が起こるという、問題意識みたいなものはありますか。
(答)地方の情報格差ですね。先ほど、言いました携帯のカバーエリアから漏れている人たち、ブロードバンドがアクセスできないというところが、大体、地方の山間地域になります。逆に、そういうところの行政サービスを維持するためには、ブロードバンドなどを積極的に使うことが有効だと思っているのですが、そのエリアからどうしても今の仕組みだと漏れてしまう、経営効率等を考えるとやっぱり難しいのですよね。そこを違う切り口で格差解消につなげられないかということです。情報格差が進むことを懸念しています。
(問)昨日、臨時国会が招集されましたけども、民主党が参議院を握っている中で、地方問題なり、特措法なりどういうスタンスで臨まれるのですか。
(答)虚心坦懐に臨むというか。いろいろ議論があると思います。「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」の問題もそうですし、政治とカネの問題もそうですが、地方対策というのも大きな議論になると思います。妙案があれば私はどういう方が主張されるにしてもいい案だったら、是非取り入れたい、しかし原則として財政規律とかバラマキでないようなものを考えていかなければならないと思います。そういう前提を置いた上で、政府の政策の対象から置いていかれてしまったという、一種の疎外感のようなものは払拭したいと、そういう政策を考えたいと思っています。
(問)デジタル・ディバイドの点でもう1点、伺いたいんですが、経営効率等で格差が生じることですが、それを解消するために例えば財政支出を伴うような措置も念頭にあるのか、あるいは固定電話のユニバーサルサービスのように民間の資金の流れを活用するのか、どのようなイメージを持たれていますか。
(答)有識者を集めて議論するときに、財政支援のようなことを初めから出すと、私の今までの経験でも、議論はあまりいい方向にいきません。事業者の皆さん方もメンバーに入れていますし、まずやはり当事者の間で、いろいろ自助努力的なことで最大限考えるというのが、原則だと思っています。その上で、最後どうしてもというところは、こちらで政策判断をしなくてはいけませんけれども、とにかく当事者間で何ができるかをまず考えてもらいたいです。

(以上)