菅内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成18年12月29日

(平成18年12月29日(金) 15:45~16:00  於:夕張市役所)

1.発言要旨

 かねてより夕張市を訪れて直接市民の皆様からお話しを伺いたいと、また問題となっている施設を自分の目で見てみたいと思っておりました。平成19年度予算編成を終えて一段落したものですから、本日、お伺いをし、限られた時間でありましたけれど、この夕張市全体を私なりに視察をし、そしていろいろな意見を伺ってまいりました。市長、議長、副議長、そして組合の委員長との懇談の中で、市長からは、不適切な財政運営に対しての反省とお詫びの話がありました。議長、副議長も議会のチェックが働かなかったと、それについてのお詫びの話がありました。組合の委員長からは、職員問題、夕張市職員が激減をする、このことについての対応についてのお話しがありました。そして、従来は市が主体だったけれどもこれからは市民が主体、市民参加の自治を行っていきたい。その中で、高齢者の問題、特に交通機関の高齢者の割引問題と、子どもの教育問題、このことについて特別、私に対して要請がありました。
 私がこの夕張市を訪れる中で、夕張市に対する政府としての考え方ですけれど、一定水準の住民サービスについては、政府が夕張市民の皆さんにお約束をしたい。ですから、この長年、住み慣れた夕張市でこれからも生活をしていただきたいと思いますし、さらに新しい年を迎えるにあたって、いろいろな不安をお持ちだったと思いますけれども払拭をして迎えていただきたいと思っております。
 そして財政再建、今、夕張市が北海道と調整しながら行っています。来年には、当然、私どもにも当然提出されてくるわけでありますけれども、その過程であるいはその段階で、子どもと高齢者の皆さんには配慮したいと思っております。そしてこの再建策が同じ1万3千人規模の地方自治体、先行して頑張ってらっしゃる所がたくさんありますから、少なくともそうした自治体の頑張りと同程度の頑張りを夕張市がすることによって、私は国民の理解も得られると思いますし、私どももそうした頑張りに対しては支援をしていきたい、こう思っております。
 それと私の感想として、確かに他の市町村と違って、まさに産炭地という中で、歴史のある街だなということを改めて痛切に感じました。その歴史というものは、大事にしながらもやはり時代の大きな流れで変わるべきところは変えていく必要があったのかなという思いであります。いずれにしろ、時間がなかったのですけれども、私自身実際この夕張市に来て良かったなと思っております。視察したこと、そして、市民の皆さんから頂いたご意見というものを財政再建の中に反映をさせていきたいと思っています。以上です。

2.質疑応答

(問)大臣は一定水準の行政サービスについては、政府として確保したいとそれから子どもや高齢者の皆さんには配慮したいということなんですが、具体的にいうとどういったことを考えてらっしゃるのか、あれば今説明していただきたいというのと、あと財政再建計画の決定のスケジュール感みたいなものについてお願いします。
(答)一定の行政サービスというのは、少なくとも全国の中で、人口1万3千人前後の自治体で行っているサービスについては、政府としてお約束をしたいということです。それとお年寄りの問題、子どもの問題でありますが、教育というのはどこに住んでいても同じような教育を受けることができるというのが国の政策でありますから、そこに支障を来さないような形にしたいと思います。それと高齢者問題として、本日視察して、夕張市の実情というものも私なりに理解できたのかなというふうに思いますが、交通費、バス代金が非常に高いんですね。ですから、今、再建計画の中で、様々なことが言われているようですけれども、それもギリギリの中で、判断をしていきたいなと思っております。
(問)再建計画のスケジュール感についてお願いします。
(答)それについては、年度内に私どもが財政再建計画に同意するということになっております。いずれにしろ、本日、高橋北海道知事と同行をいたしましたので、高橋知事と、それと私ども総務省としては土屋総務大臣政務官を夕張市問題の責任者にして、しっかりと体制を作っていきたい。こういうふうに思っています。
(問)住民サービスの一定水準の確保の件ですけれども、具体的に例えば財政支援をするとか特別な支援まで考えてらっしゃるのでしょうか。あと石炭博物館をご覧になりましたけれど、石炭博物館も恐らく存続するんですけれども、石炭博物館を存続させるために国として何か特別なことは考えていますでしょうか。
(答)行政サービスの一定水準の確保について、北海道庁が行うことについて支援をしたいと思います。北海道も当然、北海道内の様々な市町村との比較の中で行うと思いますので、まず北海道民の皆さんからご理解を得られなければならないという考え方であります。私も実は今日初めて石炭博物館を見ました。大変貴重だなと思っておりますけれども、その周りの施設があまりにも余計だったのかなと正直言って私の感想であります。市民の皆さんから、石炭博物館を残して欲しいという声が非常に多くあるということも私承知をしておりますし、あの観光ボランティアの皆さんですか、時間があればご挨拶したかったのですが、そうした方達の思いを今日は受け留めたということにさせていただきたいと思います。
(問)他の団体と同じくらい夕張市も頑張って欲しいということでしたけれども、今の夕張市の頑張り方はまだ足りないというふうにお考えでしょうか。
(答)私、よく申し上げるのですけれども、私が総務副大臣のときに夕張市が6月に財政破綻の宣言をして7月のボーナス額を前のボーナス額より上げました。そのことを見てまだまだそういう意味では、国に対して甘えがあるのかなと、なかなか国民の皆様に理解を得られないことだというふうに私自身は非常に強く思ったものですから、そういうことから発していることも是非ご理解をいただきたいと思います。
(問)今の質問に関連しますが、11月に夕張市がまとめた枠組み案については、大臣としてはまだもの足りない面があるとお考えでしょうか。
(答)それはないです。
(問)それはない。
(答)はい。
(問)もう1点、この問題で安倍総理と具体的なお話しというのはされましたか。
(答)総理に昨日、夕張市に行ってきますという報告をいたしました。安倍総理からも子どもやお年寄りが不安を抱かないように、安心できる政策をきっちりやってほしいとそういうことを言われました。
(問)一定水準を確保するための支援ということですけれども、大臣がおっしゃったのは、北海道が一定水準を確保すべきであって北海道に対する支援を国が考えるということですか。
(答)これは様々な支援の仕方があるというふうに思っております。北海道の地域の実態というのは北海道が一番良く掌握していると思っておりますし、高橋北海道知事も夕張市の再建に対して大変情熱をもってあたっておられますので、十分相談をしながらこの点については配慮をしていきたいと思います。
(問)先程の再建の枠組み案ですが、むしろ高齢者とか子どもの部分についてはもう少し暮らしやすくするという方向で見直すということはあり得るんでしょうか。
(答)あり得ます。
(問)むしろ、大臣としてはそういうことをお考えだということですか。
(答)そうです。
(問)先程の交通費が高いというお話しでは、お年寄りの敬老パスというのが廃止されるというお話しで、そういうことについてもそのなんていうんですか・・。
(答)それもその中に入っています。
(問)先程、教育を受ける機会に支障を来さないようにしたいとおっしゃっていましたが、再建計画案の中では小学校、中学校をそれぞれ1つに統廃合することになっているのですが、それはより緩和されるということですか。
(答)これはどうなんでしょうね、1校にしてスクールバスをうまく運行できるのか、あるいは2校にした方がいいのか、そういうことを考える余地があるのかなと思っています。
(問)大臣、先程、夕張市を歴史的な産炭地であるとおっしゃっていましたけれど、石炭政策によってかなり翻弄された街ということで、その後の借金というものもこの市にかかっているわけですよね。これに関して国の方の義務というか、責任はあるというふうにお考えでしょうか。
(答)これはですね、胸を張って「ない」と言えないと私は思いますけれども、しかし、この産炭政策やリゾート政策、これは夕張市だけではありません。他の北海道の市町村もありますし、また福岡県の市町村でもそういう事態があったわけでありますけれど、そういうところは頑張って行政を行っています。そうした中でやはり第一義的には地方自治体が決めて実行するわけですから、自治体の責任に負うところが多いと思います。それとこの問題は、夕張市の人口が多いときで11万7千人でしたが、これだけ環境が変わってきたにも関わらず、改革が遅れてしまったと、それと同時に途中から一時借入金による粉飾でここまできてしまったという問題だと思っております。
(問)先程の見直しの件ですけれども、子どもの面で先程学校に関する質問がありましたけれど、学校以外には例えば小学校の授業への補助金とか保育料の基準の見直し、そういったことも視野に入ってくるのですか。
(答)私は、これから検討したいと思っています。
(問)一定水準は確保していくということですが、改革を進めているあるいは財政力がある地方自治体とそうでない厳しい財政破綻を迎えている自治体たくさんあると思うんですけれども、そういったところの格差がドンドン広まっているように思うんですが、大臣その格差をどのようにとらえてらっしゃるのでしょうか。
(答)国会でもこの都市と地方の格差とか、様々な格差について様々な質問を受けています。そのときによく申し上げるのですけれども、地方には地方の魅力とか特徴が必ずありますから、そういうものを生かすような政策を是非これからやってほしいと、そういうことで今回「頑張る地方応援室」というものを私作ったわけです。それから、格差という定義、何を持って格差というのかに対して私は非常に疑問を持っておりますけれども、いずれにしろ教育というのはまさに私どもの責任ですから、教育については大きな格差があるべきではないという考え方の中で、この子どもの問題というのは今、お話ししたところです

(以上)