高市内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年5月8日

(平成19年5月8日(火) 9:50~10:10  於:合同庁舎4号館6階 会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議案件は、条約の公布が1件、法律の公布が6件あり、私どもの主請議はございませんでした。
 4月28日から5月3日までのドイツ訪問について発言しました。最先端の技術開発を担う研究施設であるハーン・マイトナー研究所を視察するとともに、青少年の違法・有害情報からの保護に関して、連邦政府幹部、州政府の担当大臣、各州共同の監督機関、さらには民間の自主規制機関の幹部等と会談を行いました。イノベーション政策については、ドイツでは、昨年策定された「ハイテク戦略」に基づいて、国の発展を担う最先端技術の開発、そのための環境整備に省庁横断で取り組んでおりますが、その具体的な状況を、代表的な公的研究機関の一つであるハーン・マイトナー研究所を訪問し、把握しました。ちなみに、「ハイテク戦略」は日本の「イノベーション25」の短期版のようなものです。同研究所では、太陽光発電の高効率化に関する最先端技術の研究開発の現場を視察したほか、優秀な人材確保の一環として、若者や女性研究者の積極的活用に関する取組や研究成果を社会に還元するための産官学連携のあり方等について意見交換を行いました。また、同国の政策策定者及び科学者が我が国の「イノベーション25」に高い関心を寄せていることもうかがえました。この視察で多くの示唆を得ましたが、今月末に公表予定の「イノベーション25」の最終取りまとめなど、今後の政策の立案・推進に活かしてまいります。また、違法・有害情報からの青少年の保護については、ドイツにおける青少年保護を所管する連邦政府の幹部と意見交換を行うとともに、近年、国境を越えた問題となりつつあるインターネット上の違法・有害情報対策について、州政府の担当大臣や各州が共同で設立している監視機関の長、さらには、民間の自主規制機関の幹部と会談し、各々の立場から関係機関との連携、役割分担の状況、年齢に応じた適切な情報へのアクセシビリティの確保のための技術的な問題、今後の課題等について幅広く意見交換を行いました。
 我が国においても、違法・有害情報対策を一層推進していくことが必要と考えております。今回の出張の成果を踏まえ、関係閣僚と連携しながら実効ある対策の在り方を研究してまいりたいと思っております。
 次に、本日の閣議におきまして、私から平成19年春の全国交通安全運動の実施について発言をしました。来る5月11日から20日までの10日間、春の全国交通安全運動を実施いたします。今回の運動では、「子どもと高齢者の交通事故防止」を基本とするほかに、「飲酒運転の根絶」、「自転車の安全利用の推進」、「後部座席を含むシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底」の3点を重点に掲げ、広く国民に呼びかけて、活発かつ効果的な運動を展開してまいります。このうち、「飲酒運転の根絶」に関しましては、現在、厳罰化を盛り込んだ道路交通法改正案が審議されているところです。また、常習飲酒者による飲酒運転等を根絶するために、4月27日に交通対策本部の「常習飲酒運転者対策推進会議」を開催し、関係府省の連携により、その取組を強化することといたしました。閣僚各位に従来にも増した取組と御協力をお願いしたところでございます。また、これに関連して溝手国家公安委員長からも御発言がございました。
 次に、内閣府ホームページにおける少子化に対する意見募集でございますが、4月は「家族・地域の絆について」と、「子育て初期家庭に対する家庭訪問について」という2つのテーマで募集を行いました。その結果を取りまとめましたので、御報告いたします。 寄せられた御意見の総数は31件でした。「家族・地域の絆について」が16件、「子育て初期家庭に対する家庭訪問について」が11件、その他4件です。「家族・地域の絆」の主な御意見として、「家族がともに時間を過ごしたり、地域の活動に参加したりすることができるよう、働き方の改革を進めるべき」という御意見、「近所付き合いが希薄になっており、子育ての孤立化が問題である」という御意見などがございました。「子育て初期家庭に対する家庭訪問」の主な意見として、「このような取組は大変助かる」という御意見、「保健士の人員確保や、しっかりとした人材育成が必要である」という御意見、「一律に家庭訪問するよりも、希望者あるいは必要な人に絞った方がよい」という御意見などがございました。今回のテーマは、いずれも本年度より新たに実施される事業に関するものですので、今後、取組を進めていく上での参考とさせていただきます。この他の意見の詳細等につきましては、事務方に問い合わせていただけたらと思います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)視察の中でイノベーションについて示唆を得たということですが、具体的に今後どのように活かしていくか伺います。
(答)ドイツでは「ハイテク戦略」が発表されました。これは日本と同じように、これからドイツをリードしていく分野に焦点を当て、具体的な分野を挙げ、省庁横断的に取組を進めるものでございます。対象期間は4~5年と割と短期であり、日本で言いますと科学技術基本計画のようなものです。私の印象としては、「イノベーション25」を掲げる日本が今後主に取り組んでいくべき分野と重複するところも非常に多く、明らかにライバルであるという気がいたしました。一方で、ドイツの政府関係者、科学者の方々から日本の「イノベーション25」が非常に注目されているというのにもびっくりいたしました。今、インターネットなどで中間とりまとめを英文で公開しておりますし、在外公館の大使や公使が外で講演をされるときに御紹介もいただいていたようですが、20年近いタームで技術革新や社会制度を変えていくという発想がドイツにはなかったので、驚きながら注目をしているということで、激励もいただきましたし、最終報告を必ず見せてほしいというリクエストもございました。
 特に参考になりましたのは、両国とも少子高齢化が進んでおり、これまで強かった産業でも低賃金国との競争が激化しており、人材が何より大事ということで、ドイツでは特に女性研究者の出産・育児後の復帰支援に力を入れているということでした。例えば、出産・育児を終えた女性研究者が復帰するときに、特に科学技術の分野では、休みをとっている間にどんどん技術、情報が進展していくため、復帰に向けた再教育が難しいということで、私が行きましたヘルムホルツ協会のハーン・マイトナー研究所でも、協会の会長基金を活用して、有望な女性研究者に対して、研究所自らが復帰に向けた再教育プログラムを提供しているということでした。非常にお金はかかるけれども、優秀な人材を確保する上では重要ということで、最も印象に残りました。また、「イノベーション25」の一つの柱でもあります環境やエネルギーの分野では、ドイツは非常に強力な競争相手になるという印象でしたので、我が国も根性を入れてやっていこうと思っております。
(問)的外れかもしれないですが、交通安全運動の中で、「自転車の安全利用の推進」があり、例えば歩道走行とか、自転車でお酒飲んで運転するのをやめようなどの話だと思いますが、そもそも自転車は、車道を走るのが道交法上は原則になっており、それが実はドライバーに浸透しておらず、車道を走る自転車が迫害を受けている現状があります。自転車を交通機関として、国としてどの様に位置付けていくのか、位置付けるべきかという議論をしなければならない時期に来ていると思いますが、その辺はどの様にお考えですか。
(答)私もそう思います。どこを走っていいのかよく分からないということ、それから、国民に広くきっちり啓発されていない問題があると思います。だからこそ、交通安全運動の機会を通じて全国各地で自転車の乗り方、走り方を自転車のユーザーにも、そしてまた自動車を運転される方にも徹底していくというのが大切な取組だと思います。特に、高齢者の方が自転車とぶつかって、非常に重篤な事故につながっているケースもございますので、今後、全国各地で自転車専用の走行車線の確保も重要ですが、啓発運動も非常に重要だと思っております。国家公安委員長とも十分に相談をしながら取組を進めたいと思います。
(問)安倍総理が靖国神社の春季例大祭で内閣総理大臣名で真榊を奉納なさいました。政教分離や外交との関係で懸念もあると思いますが、今回の奉納に関して大臣はいかがお考えでしょうか。
(答)費用の出所等、まったく把握しておりませんが、ポケットマネーで奉納されることでしたら問題はないと思います。大臣であれ、政治家であれ、信教の自由はございます。また、安倍総理は御就任前から、国家のために命を落とされた方への尊崇の念を表したいとおっしゃっていた政治家ですし、私もその思いに通ずるところを持っておりますので、感謝、尊崇の念を捧げるという行為をされたとしても、それは問題のないことだと思っております。
 真榊の件につきましては、私、今詳しい情報を持っておりません。
(問)違法・有害情報の対策ですが、こうしたものはイタチごっこになってきていると思いますが、実効ある対策として、現時点で想定されているものはありますか。
(答)幾らか想定はしていますが、私自身もこの問題は、何年も一政治家として勉強を重ねてきましたし、世界各国の有害情報対策の法律等も集められる限り集めて読んでまいりました。また、今回のドイツの出張でも、日本とは全く違った形で有害情報対策が行われているということも十分に勉強になりました。基本的に、私が想定しているのは、インターネット上の有害なサイトや、暴力、わいせつ、犯罪を誘発しかねないようなDVD、ゲームソフト等が主となります。今後、夏ごろをめどに政府としての公式な協議の場を設けまして、関係省庁と連携をしながら対策を研究していくことで、昨日総理からも御了解をいただいたところです。取りまとめができましたらこの場で御報告をさせていただきます。
(問)昨日、自民党が事務所費問題に関連して、5万円以上の経常経費に領収書を添付するという政治資金規制法改正案を容認する方針を決めましたが、これについての大臣のコメントをお願いします。
(答)自民党でそのような方針が正式に決定したということを私把握しておりませんでしたが、そうであったとすれば、私は基本的に歓迎です。分かりやすいと思っております。

(以上)